※この作品はR-18です。

冴えない彼氏の育てかた   作:もっち~!

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クリスマスパーティー

---土間うまる---

 

終業式も終わり、家で出掛ける準備をしている。紗霧ちゃんの家のクリスマス会へお泊まりで行く為である。今日は内うまるに成らないようにしないと…私には何故か変身能力が有る。非現実的であるが、見た目が高校生である外うまる、デフォルメキャラのようになってしまう内うまるだ。家でグータラ三昧をしすぎたせいで、神様が罰を与えたのかもしれない。お兄ちゃんは私の変身姿で、私のグータラ具合を見極めている。う~ん…普段は、自分で言うのが恥ずかしいけど、容姿端麗かつ品行方正と言われているのだが、変身すると、夜更かし、偏食の不摂生かつグータラなデフォルメモードになってしまう。自力で、外モードに戻れるのだが、内モードには自力ではなれない。不思議な力で変身させられてしまうのだ。

 

紗霧ちゃんは、私のこの能力を、目を輝かして「スゴい」って言ってくれた。それはそれで嬉しいのだけど…紗霧ちゃんのお兄ちゃんには見せたくない姿である。荷物を整えて、駅へと向かう。期待と不安で一杯だ。

 

紗霧ちゃんに出逢ったのは、ネットにあるゲームユーザーの為のSNSだ。掲示板での書き込みをみて、メッセージのヤリトリをして、テレビ電話のように顔をつきあわせて会話して、似たような境遇なので、意気投合したというか。私もそうだけど、紗霧ちゃんもお兄ちゃんしかいないようだし。

 

そうこう考えていると、目的の駅に到着。意外に近いんだな。移動時間は2時間弱だけど…日帰りはきついかな…これは。

 

送ってもらった地図を頼りに、徒歩を開始。すると…あの『たかさご書店』って、ここにあったんだ…マニア垂涎の書店。あのエロマンガ先生の直筆のイラストが飾られていると言う…ちょっと寄り道。店内に足を踏み入れた。レジの奥には、件のイラストが飾られていた。エロいイラストであるが、かわいらしさが際立っているので、女の子の間でも人気のあるイラストレーターである。店内を物色…コミケに行かないと買えない同人誌が多々置いてある。う~ん…スゴいなぁ。今度、お小遣いをもっと持って来て買おうかな。

 

おっ!『追憶の紅兎』…転生の銀狼の外伝が出ていたのか…う~ん…近くの本屋さんに無かったので知らなかったよ。そうだ!紗霧ちゃんが持っていたら、借りようかな♪そんなことを思いながら本屋さんを出て、紗霧ちゃんの家に向かう。

 

『和泉』という表札がある家を見つけた。隣にはデカイ洋館が…紗霧ちゃん曰く、以前は幽霊屋敷だったらしい。う~ん…そんな雰囲気があるなぁ。

 

気を取り直して、呼び鈴を押した。

 

ガチャッ!

 

ドアが開くと同時に、紗霧ちゃんが抱きついて来た。

 

「生うまるちゃんだぁ~♪」

 

思っていたより、健康的では無いようだ。内うまるモードの私と同じような生活なのかな?

 

「ねぇねぇ、入って♪」

 

「おじゃまします」

 

玄関に入るが、他に人のいる気配が無い。

 

「兄さんは、パーティーの準備でいないの。だから、遠慮しないで上がって、上がって♪」

 

準備でいない?ここで、パーティーでは無いのか…じゃ、どこで?紗霧ちゃんに手を引かれて、彼女の部屋と思う部屋に連れて行かれた。

 

こじんまりした部屋。でも、いいなぁ、一人部屋かぁ。部屋の中を見回すと、えっ!なんで…エロマンガ先生のイラストと思われる物が、机の上に置かれている。本棚には、『追憶の紅兎』が…その表紙と同じイラストが、机の上に…

 

まさか、エロマンガ先生と知り合いなのかな?いいなぁ。

 

「あぁ、そうそう。これ…嵩張るけど、うまるちゃんにプレゼントだよ」

 

先程、目にしたイラストを額に入れてくれて、本棚からあの本を1冊取り出して、二つを私に手渡してきた。貰えるの?!いいの?!受け取った私。

 

「ありがとう…でも、なんで?手に入ったの?」

 

本を何げに捲ると、和泉マサムネ先生とエロマンガ先生のサインが入っているし…

 

「兄さんと私の合作…うまるちゃんに♪」

 

合作?はて?紗霧ちゃんと紗霧ちゃんのお兄ちゃんとの…あれ?そう言えば、紗霧ちゃんって、和泉紗霧だよね…事実に辿りついた私、当然のように固まる。

 

「喜んでくれて、嬉しいです」

 

私に抱きつく紗霧ちゃん…いきなり、スカートを捲られた。

 

「わぁ~、かわいいパンツだぁ~♪」

 

彼女が…エロマンガ先生…なのか…紗霧ちゃんは、動揺している私を尻目にペンタブレットを手にして、描き始めた…私のパンツを…

 

 

「紗霧、どうだ?」

 

ショッキングな事実で意識が飛んでいた私は、紗霧ちゃんのお兄ちゃんの声で、現実に戻って来た。どうしてそうなったのか記憶に無いのだが、物凄い恥ずかしいポーズだった…

 

「はぁ…紗霧…お前なぁ…あれほど言ったに…初対面の人に、失礼なことをするなと、俺…言ったよな」

 

紗霧ちゃんの顔からは、血の気が引いていた。

 

「いや…かわいいパンツだったから…ごめんなさい…うまるちゃん」

 

「妹が大変失礼なことをしまして、すみませんでした」

 

紗霧ちゃんと紗霧ちゃんのお兄ちゃんが、私に土下座をしている。恥ずかしいポーズの私に…それはそれで、余計に恥ずかしい。だけど、身体が痺れて動けない。ポーズの解除が出来無い…どうしよう…

 

「大丈夫ですか?」

 

私の身体を支えて、ベッドサイドに座らせてくれた紗霧ちゃんのお兄ちゃん。

 

「紗霧、これ以上…言わないでもわかるよな?」

 

「はい。失礼のないように…心掛けます…だから、スルーはしないで…兄さん…」

 

涙目の紗霧ちゃん…かわいい…

 

「もうすぐ、パーティーの準備が出来ます。もう少し待ってください」

 

「はい…」

 

紗霧ちゃんを一睨みして部屋を出て行かれた。

 

「マズい…スルーの刑だ…パーティーなのに…」

 

紗霧ちゃんの目から大粒の涙が零れていく。スルーの刑…私なら嬉しいかな。お兄ちゃんはいてくれるだけで嬉しい。小言はスルーしたい方だし。でも、紗霧ちゃんは違うようだ。お兄ちゃんと会話をしたいらしい。それほど、キツい刑が言い渡されたようだ。

 

「紗霧ちゃん…大丈夫?」

 

「うん…大丈夫…兄さんとの約束を破った私が悪いんだから…」

 

身体が動くようになるまで、しばらくかかった。恥ずかし体勢は、筋肉に負担が掛かりすぎたようで痺れてしまったようだった。身体が動くようになった頃、紗霧ちゃんも落ち着いてきた。なので、パーティーが始まるまで、普通の体勢で、色々とおしゃべりをした。

 

驚くべき事実が次々と知らされた。私の予想通り、紗霧ちゃんがエロマンガ先生で、紗霧ちゃんのお兄ちゃんが和泉マサムネ先生だった。だけど、さらに驚くことが…朝霧沙樹先生が紗霧ちゃんのお兄ちゃんだった。あぁ、確かに『さぎり』って、入っているわね。ペンネームに…

 

「兄さんに言って、妖精シリーズの最終巻のサイン本を頼んでみるね」

 

私のお兄ちゃんが、朝霧先生のファンと言ったら、紗霧ちゃんが笑顔で、そう言ってくれた。

 

 

 

---和泉正宗---

 

「え?紗霧ちゃんが、またやらかしていたの?」

 

気になったので、紗霧の部屋を覗いたら…まさかあんなことに…凹んでいる理由を恵に訊かれて、答えた後の反応が、冒頭のやつだ。

 

「初対面の…紗霧の正体を知らない人には、無理と無茶はダメって言ったんだけど…パンツの誘惑が勝ってしまったようだ。はぁ~」

 

溜息を吐く。どうすれば、いいんだろうか。紗霧のあの行動は止めさせないと、犯罪に繋がりそうで恐い。

 

「で、どんな子だったんだ?」

 

コウに訊かれた。

 

「どんなって…そうだな、コウの高校生バージョンかな?」

 

「私の高校生バージョン?う~んっと、普通の子か」

 

「亜麻色のロングヘアで、割と細めだったよ」

 

「細め…ここにいないタイプか…紗霧ちゃんレーダーに掛かった理由は」

 

そうか、それで、やらかしたのか。ここにいるタイプなら、知り合いにすれば良い訳だし。う~ん…かといって、色々な女性をここに集めることは無理だし…どうするかな。

 

「飾り付けは終わったよ」

 

エリさんと恵が椅子に座ると、千尋君が紅茶を二人へ渡しに行った。神楽坂さんと葉月さんは、既に飲み始めている。みゃーも飲めるらしく、二人に捕まり飲み仲間にされているし。

 

後は、七面鳥のローストか。エミリーの家のキッチンへと向かった。

 

「あぁ、マサムネ。もう少しで焼き上がるわよ♪」

 

エミリーが抱きついて来た。優しく抱き締めてあげる。

 

「ありがとう、エミリー」

 

「うん♪パーティーが、楽しく終わるといいわよね」

 

紗霧が暴走しなければ、大丈夫かな?酔っ払いも心配だけど。

 

 

 

---土間うまる---

 

こじんまりとしたパーティーを想像していたのだが…沢山の人がいる。紗霧ちゃんのお兄ちゃん以外、全員女性だし…もてるのかな…

 

私のお兄ちゃんみたいな感じで、格好いいとか爽やかそうってイメージでは無いのだが、気になる。お兄ちゃんと同じ感じだからかな?

 

クラッカーが幾つか鳴り響き、パーティーがスタートした。

 

「兄さん…新居には煙突は?」

 

新居?紗霧ちゃん達は引っ越すのかな?

 

「無いよ。いや、有るに有るけど…ピザ釜だからな…サンタさんは来ないよ」

 

煙突が無いとサンタさんは、来ないと思っているの?まだまだ、紗霧ちゃんは子供なんだな。あんなことをするなんて、想像が出来ないな。

 

「散々でしたね。ボクもやられましたよ」

 

羽島千尋さんもやられたようだ。

 

「あれは、病気だな。職業病になるのかな?」

 

フェアリーストーリーズのメインキャラデザの八神コウさんだ。って、有名作家さん達のパーティーだった。ゲーム、アニメ、ラノベを愛する私には、雲の上の神々である方達が揃っていた。何、この豪華な参加メンバーは…

 

ショックだったこと…アニメ化作品の原作者、千寿ムラマサ先生が、中学生の女の子だったこと…それも和服の似合う…ここは別世界なのか?異世界なのか?

 

「はい♪ケーキですよ~」

 

おいしそうなデコレーションケーキが出て来た。全部手作りだそうだ。おでんの鍋もあるし、大好物のコーラがある。夢のような世界だ。

 

 

はっとした瞬間、意識が夢から現実に引き戻された。どこかの部屋にいる。また紗霧ちゃんかな?パンツをチェックした…あれ?何か違和感がある。パンツでは無く…

 

「うまるちゃん、どうすれば、元に戻るのかな?」

 

紗霧ちゃんのお兄ちゃんのマサムネ君が目の前にいた。どうすれば元に…おぉぉぉぉ~!内うまるモードになっていた。

 

「紗霧から聞いていたけど、実際に見て驚いたよ。みんなが気づく前に、ここに連れて来たんだけど」

 

救出してくれたんだ…紗霧ちゃんのお兄ちゃんのマサムネ君は、私と同い年だった。名前で呼んで良いって言われている。

 

「戻り方…『うまる~ん』」

 

あれ?いつもなら、これで戻れるんだけど…どうしよう…

 

「その姿だと、みんなが混乱するから、悪いけど、ここにいてくれるかな?食べ物と飲み物は持って来てあげるから」

 

私を残して部屋を出ようとするマサムネ君。出て行かないで欲しい…彼の背中に抱きつく。え?お兄ちゃんにも滅多にしないのに…自分の取った行動に驚く。しかし、背丈が無いので、彼の足に抱きつく恰好ではある。うっ!目の前にはお尻…

 

「お願いです。口づけをしてください。そうすれば、呪いが解けます」

 

何かの小説の影響と思われるセリフが、つい口から出てしまった。この姿だと、シチュエーションに影響を受けやすいようだ。こうなった原因はコーラの飲み過ぎかな…

 

マサムネ君は私の言葉を間に受けて、私を抱き上げて…唇を重ねた。その瞬間、奇跡が起きた。偶然な気もしないでも無いけど…私の身体は外うまる体型に戻っていく。

 

「うん、その姿なら、パーティーに戻れるな。さぁ、行こう♪」

 

マサムネ君が私の手を握り…二人でパーティーへ復帰した。

 

 

 

---和泉紗霧---

 

兄さんとうまるちゃんが二人で戻って来た。どこで、何をしていたんだ?

 

「うまるさんが熱気にやられたみたいで…風に当たって来ました」

 

と、中座した理由を口にした。確かに熱気はスゴい。おでん鍋のせいか。後、気化したアルコールのせいか酔いが…兄さんも同様に思ったのか、窓を開けていった。

 

「どうしたんだ?寒いぞ!」

 

神楽坂さんが噛みついたけど

 

「みなさん、未成年が多いんですよ。アルコールが気化したみたいで…空気の入れ替えをしますよ」

 

と、毅然と言い放つと、神楽坂さんは納得したようで、兄さんと共に窓を開けていった。窓を開け終わると、兄さんが近づき、私の耳元で囁いた。

 

「再度、うまるさんが変身したら、どこかに隠して、俺に知らせろ」

 

兄さんとうまるちゃんが、いなかっった理由がわかった。うまるちゃんが予期せぬ変身をした為、兄さんが場の混乱を避ける為に、隔離していたようだ。私はうまるちゃんに近づき、

 

「また、変身しそうになったら、言ってください。私と兄さんで、どうにかしますから」

 

と伝えた。

 

「ありがとう…」

 

とても素敵な笑顔…兄さんと何か遭ったのかもしれない。でも、うまるちゃんなら…あの女に取られるよりマシかな。いや、一緒に住めば誰であろうと問題は無いか。

 

「優しくて、いいお兄ちゃんだね」

 

「うん♪自慢の私の兄さんだよ」

 

私とうまるちゃんで兄さんを見つめた。

 

 

 

---和泉正宗---

 

酔っ払いが寝込む前に、2階へと運んでいく。神楽坂さん、葉月さん、みゃ~、意外だったのは大和さんかな。いや、りんさんが一番意外だな。性格が豹変して、コウに絡みまくっていた。青葉さんははじめさんに絡んでいるし。酒は毒薬かな。性格を一変させるようだ。

 

「マサムネ君、先程はありがとうございました」

 

うまるさんが、お礼を言いに近づいて来た。

 

「大丈夫?うまるさんは、うちで寝て下さい。基本、俺と紗霧しかいませんから」

 

と、不測な事態に対応できる旨を伝えた。

 

「はい♪また、遊びに来ても良いですか?今度は、私のお兄ちゃんも連れて来ます」

 

「機会があればね。待っています。う~ん、後片付けは明日だな。これは…」

 

先輩と千尋君に、後片付けは明日にすると伝えた。

 

「そうだな。場の雰囲気にやられた感が強いよ」

 

って、先輩。

 

「でも、楽しかったです。また、やりましょうよ、パーティー♪」

 

千尋君は楽しかったようだ。

 

「うん、しよう。次は元旦に新年会かな」

 

「兄さん、年越しそば♪」

 

「年越しそばパーティーか。そうなると、そば粉を明日注文しないと…先輩、そば打ちできますか?」

 

「和食はまかせてくれ、後輩♪」

 

花ちゃんも嬉しそうだ。良かった♪あれ?エミリーは?奥の部屋に行くと寝ていた。2階へ置いてくるかな。

 

 

 

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