---土間うまる---
まず八王子駅に行って、特別快速でお茶の水駅へ。そこで乗り換え、秋葉原駅。地下鉄に乗り換え五反野駅へと向かう。乗車時間自体は1時間半くらいだけど、徒歩を入れると2時間くらいだ。う~ん、もっと近いといいんだけど…
電車の中では、頂いた本を読む。所々に紗霧ちゃん、いやエロマンガ先生の直筆のイラストが入っている。書き込んでくれたのだ。私の目の前で…
お兄ちゃんに相談した。大学には行かないでもいいかと…
『うまるのやりたいことをすれば良いと思う。彼だって、妹さんにそうしているんだろ?大学にやりたいことが無いなら、うまるがどうするかを決めて良いからね』
って…お兄ちゃん…ありがとう…
問題はお兄ちゃんと離れて暮らすことだ。紗霧ちゃんは、彼が誰と結婚しても、ずっと彼の傍にいるという。千尋さんも彼と結婚しなくてもいいから、一緒にいたいという。私は…お兄ちゃんも居て欲しい。贅沢な夢かな…
あぁ、乗り換えないと!お茶の水駅のホームは狭い。でも、降りた向かい側に来た電車に乗るので、ストレスは少ない。車窓からは秋葉原の街並が見える。1駅乗って下車。ここの駅が難所である。人混み酔いがしそうな混雑…わかりにくい乗り場…地下鉄のプラットホームへと降りると、少しリラックスできる。ここまで来れば、あと少し。彼に到着時間をメールしておく。迎えに来てくれるそうだ♪
---橘・シルフィンフォード---
海老名さんには、うまるさんのお兄様から情報を引き出して貰うように頼み、きりえさんと共に、八王子駅で張り込み…うまるさんを見つけて、尾行を開始したの。
特別快速に乗られたので、隣の車両から、様子を監視していましたの。バレないように…お茶の水駅で乗り換えられて、秋葉原で下車…秋葉原の喧騒…色々なゲームやアニメの広告…目が奪われる…
「きりえさん、迷子にならないよ…」
えっ?きりえさんがいない。あっ!うまるさんも…迷子になったのは私らしいですの…
---土間うまる---
目的の駅で下車。改札口を出て、彼を待つ。
「うまるさん、こんばんは」
「すみません…迎えに来て頂いて…」
笑顔の彼が、私を見つめている。それだけで、恥ずかしい…
「ねぇ、あの子…知り合いかな?こっちを見ているんだけど…」
彼の指差した先には…きりえさんがいた。えっ?尾行してきたの?!
「きりえさん…」
「あ…その人?うまるさんの…」
俯いて訊いてきた。怒りが沸々と…外うまるでは今まで抱いてこなかった感情が…
「うまるさん、ダメだよ」
えっ?!彼の腕が私の頭を、優しく抱き締めてくれた。彼には見せたく無い感情…彼はいち早く感じ取ってしまったようだ。マズい…マズいよ~
「君も来るか?」
彼の声に、強張るきりえちゃん。
「今から八王子だと、帰宅ラッシュに巻き込まれるよ」
「い…一緒に…いいんですか…」
「良くは無いけど、うまるさんの友人を、追い返せないよ」
やはり迷惑のようだ。だから、来ないでって…
「すみません…」
「家には連絡をしておいてね。失踪扱いになると大変だから」
「はい…」
彼は私の頭を抱いて離さない。
「うまるさん、落ち着いたかな?」
「はい…お見苦しい姿を見せて、すみませんでした」
私が平常心になったのを確認して、腕から解放してくれた。まるで、お兄ちゃんみたいだ…私の感情を読み取れるなんて…だからかな、彼に心が惹かれるのは…
---橘・シルフィンフォード---
きりえさん達を探しに、駅の外に出ましたの。ネオンが美しい…煌めく星々のようですわ。ふと、気づくと…駅はどこ?ここはどこ?完全な迷子に…どうしましょう…こういう時は、スマホで家へ連絡。
「なんで、秋葉原?」
お母様の声が恐いですわ…
「なんで、学校の帰りに秋葉原で迷子なの?」
理由を説明しましたわ。
「お友達を彼氏と別れさせる為に尾行?何をしているの?」
「もちろん、私のお友達を減らさない為ですわ♪」
ガチャ!
一方的に通話は切れてしまった…お母様が切れたようですの…
---土間タイヘイ---
目の前の強敵は納得してくれない。どうすれば良いんだ?どう言えば良いんだ?そんな時、うまるから連絡があった。
きりえちゃんに尾行をされて、彼女と共に彼の家に行くという。
「わかった。きりえちゃんには家に連絡をいれるように…そうか、彼にも言われたか。まぁ、気を付けて帰って来いよ」
彼は俺と考えることが似ているようだ。ますます、弟になるならウェルカムだな♪
「お兄さん、きりえちゃんがどうかしましたか?」
あぁ、グルか…
「彼女も仲間なのか?海老名ちゃん!」
少し怒ったような声で言うと、ビクッとした海老名ちゃん。顔から血の気が失せていく。
「うまるが、誰と付き合おうと、うまるの自由だと思うんだけど、どうかな?」
「それでは、私はどうなります?」
どうなる?う~ん、どう言えば良いのかな?
「うまると結婚するの?海老名ちゃんは男になるの?」
「えっ!」
涙目になって来た海老名ちゃん。少し脅し気味に言う。妹の自由を護る為だ。彼もそうするだろうな…
「彼と将来結婚するかもしれないのに、海老名ちゃんは許せないんだろ?そうなると、海老名ちゃんがうまると結婚するしかない。しかし女性である君は結婚出来無い。男に性転換するしか無いだろう?」
「いや…結婚は…うまるさんとしません…お兄さんが…」
はぁ?僕?
「僕はうまるが選んで、僕が納得出来る相手なら、うまるの好きにさせたい。残念だよ、海老名ちゃん、君がそんな考えだったとはね」
「違うんです~」
大泣きをして、黒幕の名前『橘・シルフィンフォード』を出して、言われたことを洗いざらい白状した海老名ちゃん。やはり、海老名ちゃんの純粋さを利用していたヤツがいたのか…
うん?橘?ハーフ?まさか、アイツの妹か?同僚のアレックスに連絡をした。
「どうしました?」
僕の声がいつもと違うので、戸惑っているアレックス。こういう時って、冷静になるほどに恐い声になるらしい。
「お前の妹って、シルフィンフォードって名前か?」
「え…どうして…それを…」
ふふふ、ビンゴかぁ。
「お前の妹に、僕の妹が虐めを受けてなぁ」
「えっ?まさか…」
声が震えているアレックス。
「どう、落とし前を付けてくれる?僕の大切な妹に、手を掛けたって、どういうことかな?なぁ、アレックス…」
「ちょ…ちょっと…待って下さい…」
慌てているアレックス。
「あ…後日…妹と共に謝罪に伺います」
会話が切れた。何か遭ったのか、バックで『迷子』とか声がしていたけど…まさか、尾行していたのか?彼とうまるが回収したのはきりえちゃんだけだった。途中で見失って、迷子…
「シルフィンさん、迷子になったらしいな」
「え…尾行失敗…」
あぁ、尾行していたんだ…やはり…
「海老名ちゃん、お腹空いていないか?一緒に食事する?」
「はい、喜んで♪」
笑顔になった海老名ちゃん…食い物には弱い子だものな…
---本場切絵---
うまるさんの彼の家に連れて行かれた。うまるさんは怒っている。そんなうまるさんを宥めている彼。
彼の家に入るなり、小さな女の子がうまるさんに抱きついた。
「どうしたの?うまるさん…」
「紗霧ちゃんのお兄ちゃんに迷惑を掛けちゃって…」
申し訳なさそうに言ううまるさん。お兄ちゃん…彼女がネットで知り合った友達なのか…
「兄さん…この子は誰?!」
私を指差した少女。
「うまるさんのお友達。彼女を尾行してきたそうだ。うまるさんのボーイフレンドが気になってだって」
「兄さんを探る為に来たの?許せない!」
「紗霧!初対面の人には、無理と無茶はダメだぞ」
「でも…」
う~ん…少女とうまるさんの怒りを買っている…どうしよう…
「千尋君、食事は1人前追加だ」
「はい、わかりました。対処します」
奥のキッチンにボーイッシュな女の子がいた。どんな家族構成なんだろうか?
「うまるさん、また呪いが掛かるから、怒りを解いてくれないかな?」
彼はうまるさんを宥めている。呪い?なんだろうか?
「あっ!そうですね…もう、呪いはダメですよね。ごめんなさい…」
彼の胸に顔を埋めて啜り泣いているうまるさん。罪悪感が私に襲い掛かってきた。
「なんだ、マサムネ君。問題でも発生したか?」
奥から和服姿の少女が出て来た。これって、ハーレムなのか?目の前の彼は何者なんだ?
「あぁ、先輩。問題と言えば問題ですね。う~ん…どうしようかな…」
「ねぇ、兄さん…そのお姉さんと遊んでいい?」
「いいけど…無茶と無理はするなよ」
「うん♪行こう!」
私の手を握りに、2階へと連れ込む、彼の妹さん…
---土間うまる---
彼の新作…いや、まだ納品前なので、没かもしれないらしいけど…これって…耳が熱くなる。私のこと…あの時のこと…えぇぇぇぇ~!タイトルは『怠惰な呪い』…まんまだよ~彼には千里眼でもあるのか。背筋に冷たい物が走った。
「どうかな?実体験をモチーフにしたんだけど…」
どうって…事実ですとも言えないよな。
「創作部分が現代的ですね」
「あぁ、呪いの原因が分からなかったから、女性でやって欲しくないことを考えたんだ。その結果は怠惰かなって。うちの紗霧なんかもスナック菓子が好きだから。でも塩分とか糖分の取り過ぎになるから、なるべくハンドメイドのお菓子は用意はしているけど、好きな物を完全排除は難しいよね」
えぇ、自己規制前の私がそうでした。
「お菓子を作られるんですか?」
棚から缶を取り出して、蓋を開けて私の前に置いてくれた。クッキーやら、おせんべいがはいっていた。
「洋菓子は千尋君が先生で、和菓子は先輩が先生で、習っているんだよ。業務用のオーブンがエミリーの家にあるし」
スゴい…こんな物も作っちゃうんだ。
「そうそう、新作を食べてみる?」
冷蔵庫から何かを取りだして、グリルで暫く焼いて、タレのような物を掛けてくれた。
「みたらし団子だよ♪」
口に入れる。美味しい…この家の料理チームはスゴい…お兄ちゃんにもっと習わないと、料理が手伝えないよ~
「どう?」
「美味しいです♪」
---本場切絵---
ペンタブレットで絵を描いている紗霧ちゃん。私もモデルにして、イラスト化している。うまい…
「お姉さんも絵が描けるの?」
彼女と話をして、絵本作家になるのが夢と語ったのだ。作家名『きりんりん』だと伝えると、頷いている。知っているの?
「そう…あの楽しそうな絵は、お姉さんの絵だったんだ」
紗霧ちゃんは私のページをチェックしていてくれたのだった。
「そうなのか…お姉さんも一緒に活動しない?」
活動?何の?
紗霧ちゃんが本棚から、書類の束を取り出してきた。表紙には『プロダクション縁 就業規約』と書かれていた。これって…
「私が推薦するから。明日のミーティングに参加してくださいね♪」
ミーティング?はぁい?
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翌日、仕事場と呼ばれるスペースに連れて行かれた。
「君が新規加入のきりんりんさんか♪」
八神コウさんに声を掛けられた。あのフェアリーズストーリーのメインキャラデザインされた方だ…ゲーム雑誌で見たことが有るし。
「えっ!きりえちゃん…スカウトされたの?」
うまるさんが驚いている。いや、私もだ。何、この集団…有名人ばかり…
「高校を卒業したら、正式に契約だな」
って、神楽坂さんっていう編集者に言われた。この方も雑誌で見たことがある。
「絵本作家かぁ…マサムネ君達のライバルだね」
って、恵さん。作家さんでなくて、雑務を担当されているそうだ。うまるさんも雑務担当らしい。うまるさんの彼も作家さんだった。ペンネームを聞いたら、鳥肌が立った。あの朝霧沙樹先生だと言う…えぇぇぇぇ~!
そういえば最近、学校の休み時間にうまるさんが読まれているのは、朝霧作品だったことを思い出した。そういうことだったんだ。だから、正体は秘密にしたかったのか…事実を知って、うまるさんの行動を納得した。朝霧沙樹先生は性別、年齢が不明だから…
「で、新社屋というか、新しい住処は、いつ出来るの?」
霞詩子先生だ…
「4月には住居部分は完成する予定です」
彼が答えた。同い年なのに…スケールが違う…うまるさんの惚れた理由がわかる気がする。
「そうか。大学進学はしないで、創作活動に打ち込めるな♪エリはどうするの?」
柏木エリ先生に訊かれた。
「ここに住所を移して、来年度にマサムネ君の学校に編入するわ」
何か踏み込んではいけない世界に、踏み込んでしまった気がする…
---土間うまる---
「ただいま♪」
日曜の夕方に帰宅…お客さんが来ていた。アレックスとシルフィンさんだ…なんだ、この組み合わせは…
「おかえり、うまる。あぁ、この兄妹がお前に謝罪に来たんだよ」
はぁい?兄妹?アレックスとシルフィンさんが…あぁ、そう言われれば、似ているよね…
「うまるさん…ごめんなさい…」
シルフィンさんが土下座をしてきた。尾行の件だろうな…迷子になって大変だったらしい。
「アレックス…お前も謝れ!」
「すみません…妹が…ご迷惑を…」
あぁ…迷惑だけど…謝られても…
「二度としないでください。不愉快です」
「そういうことだ。アレックス。お前の妹に理解させておけよ!」
お兄ちゃんが怒っている。私の為に…
「はい…」
鬼のタイヘイを前にして、アレックス兄妹は震え上がっているようだ。
うまるキャラだと、エロ要素を差し込む隙間が無い(^^;
叶とうまる以外では妄想出来無い…
余談ですが…叶と外うまるが、似ているように思うのだけど、姉妹ってオチはあるのだろうか?