※この作品はR-18です。

冴えない彼氏の育てかた   作:もっち~!

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尾行の果てに

---土間うまる---

 

まず八王子駅に行って、特別快速でお茶の水駅へ。そこで乗り換え、秋葉原駅。地下鉄に乗り換え五反野駅へと向かう。乗車時間自体は1時間半くらいだけど、徒歩を入れると2時間くらいだ。う~ん、もっと近いといいんだけど…

 

電車の中では、頂いた本を読む。所々に紗霧ちゃん、いやエロマンガ先生の直筆のイラストが入っている。書き込んでくれたのだ。私の目の前で…

 

お兄ちゃんに相談した。大学には行かないでもいいかと…

 

『うまるのやりたいことをすれば良いと思う。彼だって、妹さんにそうしているんだろ?大学にやりたいことが無いなら、うまるがどうするかを決めて良いからね』

 

って…お兄ちゃん…ありがとう…

 

問題はお兄ちゃんと離れて暮らすことだ。紗霧ちゃんは、彼が誰と結婚しても、ずっと彼の傍にいるという。千尋さんも彼と結婚しなくてもいいから、一緒にいたいという。私は…お兄ちゃんも居て欲しい。贅沢な夢かな…

 

あぁ、乗り換えないと!お茶の水駅のホームは狭い。でも、降りた向かい側に来た電車に乗るので、ストレスは少ない。車窓からは秋葉原の街並が見える。1駅乗って下車。ここの駅が難所である。人混み酔いがしそうな混雑…わかりにくい乗り場…地下鉄のプラットホームへと降りると、少しリラックスできる。ここまで来れば、あと少し。彼に到着時間をメールしておく。迎えに来てくれるそうだ♪

 

 

 

---橘・シルフィンフォード---

 

海老名さんには、うまるさんのお兄様から情報を引き出して貰うように頼み、きりえさんと共に、八王子駅で張り込み…うまるさんを見つけて、尾行を開始したの。

 

特別快速に乗られたので、隣の車両から、様子を監視していましたの。バレないように…お茶の水駅で乗り換えられて、秋葉原で下車…秋葉原の喧騒…色々なゲームやアニメの広告…目が奪われる…

 

「きりえさん、迷子にならないよ…」

 

えっ?きりえさんがいない。あっ!うまるさんも…迷子になったのは私らしいですの…

 

 

 

---土間うまる---

 

目的の駅で下車。改札口を出て、彼を待つ。

 

「うまるさん、こんばんは」

 

「すみません…迎えに来て頂いて…」

 

笑顔の彼が、私を見つめている。それだけで、恥ずかしい…

 

「ねぇ、あの子…知り合いかな?こっちを見ているんだけど…」

 

彼の指差した先には…きりえさんがいた。えっ?尾行してきたの?!

 

「きりえさん…」

 

「あ…その人?うまるさんの…」

 

俯いて訊いてきた。怒りが沸々と…外うまるでは今まで抱いてこなかった感情が…

 

「うまるさん、ダメだよ」

 

えっ?!彼の腕が私の頭を、優しく抱き締めてくれた。彼には見せたく無い感情…彼はいち早く感じ取ってしまったようだ。マズい…マズいよ~

 

「君も来るか?」

 

彼の声に、強張るきりえちゃん。

 

「今から八王子だと、帰宅ラッシュに巻き込まれるよ」

 

「い…一緒に…いいんですか…」

 

「良くは無いけど、うまるさんの友人を、追い返せないよ」

 

やはり迷惑のようだ。だから、来ないでって…

 

「すみません…」

 

「家には連絡をしておいてね。失踪扱いになると大変だから」

 

「はい…」

 

彼は私の頭を抱いて離さない。

 

「うまるさん、落ち着いたかな?」

 

「はい…お見苦しい姿を見せて、すみませんでした」

 

私が平常心になったのを確認して、腕から解放してくれた。まるで、お兄ちゃんみたいだ…私の感情を読み取れるなんて…だからかな、彼に心が惹かれるのは…

 

 

 

---橘・シルフィンフォード---

 

きりえさん達を探しに、駅の外に出ましたの。ネオンが美しい…煌めく星々のようですわ。ふと、気づくと…駅はどこ?ここはどこ?完全な迷子に…どうしましょう…こういう時は、スマホで家へ連絡。

 

「なんで、秋葉原?」

 

お母様の声が恐いですわ…

 

「なんで、学校の帰りに秋葉原で迷子なの?」

 

理由を説明しましたわ。

 

「お友達を彼氏と別れさせる為に尾行?何をしているの?」

 

「もちろん、私のお友達を減らさない為ですわ♪」

 

ガチャ!

 

一方的に通話は切れてしまった…お母様が切れたようですの…

 

 

 

---土間タイヘイ---

 

目の前の強敵は納得してくれない。どうすれば良いんだ?どう言えば良いんだ?そんな時、うまるから連絡があった。

 

きりえちゃんに尾行をされて、彼女と共に彼の家に行くという。

 

「わかった。きりえちゃんには家に連絡をいれるように…そうか、彼にも言われたか。まぁ、気を付けて帰って来いよ」

 

彼は俺と考えることが似ているようだ。ますます、弟になるならウェルカムだな♪

 

「お兄さん、きりえちゃんがどうかしましたか?」

 

あぁ、グルか…

 

「彼女も仲間なのか?海老名ちゃん!」

 

少し怒ったような声で言うと、ビクッとした海老名ちゃん。顔から血の気が失せていく。

 

「うまるが、誰と付き合おうと、うまるの自由だと思うんだけど、どうかな?」

 

「それでは、私はどうなります?」

 

どうなる?う~ん、どう言えば良いのかな?

 

「うまると結婚するの?海老名ちゃんは男になるの?」

 

「えっ!」

 

涙目になって来た海老名ちゃん。少し脅し気味に言う。妹の自由を護る為だ。彼もそうするだろうな…

 

「彼と将来結婚するかもしれないのに、海老名ちゃんは許せないんだろ?そうなると、海老名ちゃんがうまると結婚するしかない。しかし女性である君は結婚出来無い。男に性転換するしか無いだろう?」

 

「いや…結婚は…うまるさんとしません…お兄さんが…」

 

はぁ?僕?

 

「僕はうまるが選んで、僕が納得出来る相手なら、うまるの好きにさせたい。残念だよ、海老名ちゃん、君がそんな考えだったとはね」

 

「違うんです~」

 

大泣きをして、黒幕の名前『橘・シルフィンフォード』を出して、言われたことを洗いざらい白状した海老名ちゃん。やはり、海老名ちゃんの純粋さを利用していたヤツがいたのか…

 

うん?橘?ハーフ?まさか、アイツの妹か?同僚のアレックスに連絡をした。

 

「どうしました?」

 

僕の声がいつもと違うので、戸惑っているアレックス。こういう時って、冷静になるほどに恐い声になるらしい。

 

「お前の妹って、シルフィンフォードって名前か?」

 

「え…どうして…それを…」

 

ふふふ、ビンゴかぁ。

 

「お前の妹に、僕の妹が虐めを受けてなぁ」

 

「えっ?まさか…」

 

声が震えているアレックス。

 

「どう、落とし前を付けてくれる?僕の大切な妹に、手を掛けたって、どういうことかな?なぁ、アレックス…」

 

「ちょ…ちょっと…待って下さい…」

 

慌てているアレックス。

 

「あ…後日…妹と共に謝罪に伺います」

 

会話が切れた。何か遭ったのか、バックで『迷子』とか声がしていたけど…まさか、尾行していたのか?彼とうまるが回収したのはきりえちゃんだけだった。途中で見失って、迷子…

 

「シルフィンさん、迷子になったらしいな」

 

「え…尾行失敗…」

 

あぁ、尾行していたんだ…やはり…

 

「海老名ちゃん、お腹空いていないか?一緒に食事する?」

 

「はい、喜んで♪」

 

笑顔になった海老名ちゃん…食い物には弱い子だものな…

 

 

 

---本場切絵---

 

うまるさんの彼の家に連れて行かれた。うまるさんは怒っている。そんなうまるさんを宥めている彼。

 

彼の家に入るなり、小さな女の子がうまるさんに抱きついた。

 

「どうしたの?うまるさん…」

 

「紗霧ちゃんのお兄ちゃんに迷惑を掛けちゃって…」

 

申し訳なさそうに言ううまるさん。お兄ちゃん…彼女がネットで知り合った友達なのか…

 

「兄さん…この子は誰?!」

 

私を指差した少女。

 

「うまるさんのお友達。彼女を尾行してきたそうだ。うまるさんのボーイフレンドが気になってだって」

 

「兄さんを探る為に来たの?許せない!」

 

「紗霧!初対面の人には、無理と無茶はダメだぞ」

 

「でも…」

 

う~ん…少女とうまるさんの怒りを買っている…どうしよう…

 

「千尋君、食事は1人前追加だ」

 

「はい、わかりました。対処します」

 

奥のキッチンにボーイッシュな女の子がいた。どんな家族構成なんだろうか?

 

「うまるさん、また呪いが掛かるから、怒りを解いてくれないかな?」

 

彼はうまるさんを宥めている。呪い?なんだろうか?

 

「あっ!そうですね…もう、呪いはダメですよね。ごめんなさい…」

 

彼の胸に顔を埋めて啜り泣いているうまるさん。罪悪感が私に襲い掛かってきた。

 

「なんだ、マサムネ君。問題でも発生したか?」

 

奥から和服姿の少女が出て来た。これって、ハーレムなのか?目の前の彼は何者なんだ?

 

「あぁ、先輩。問題と言えば問題ですね。う~ん…どうしようかな…」

 

「ねぇ、兄さん…そのお姉さんと遊んでいい?」

 

「いいけど…無茶と無理はするなよ」

 

「うん♪行こう!」

 

私の手を握りに、2階へと連れ込む、彼の妹さん…

 

 

 

---土間うまる---

 

彼の新作…いや、まだ納品前なので、没かもしれないらしいけど…これって…耳が熱くなる。私のこと…あの時のこと…えぇぇぇぇ~!タイトルは『怠惰な呪い』…まんまだよ~彼には千里眼でもあるのか。背筋に冷たい物が走った。

 

「どうかな?実体験をモチーフにしたんだけど…」

 

どうって…事実ですとも言えないよな。

 

「創作部分が現代的ですね」

 

「あぁ、呪いの原因が分からなかったから、女性でやって欲しくないことを考えたんだ。その結果は怠惰かなって。うちの紗霧なんかもスナック菓子が好きだから。でも塩分とか糖分の取り過ぎになるから、なるべくハンドメイドのお菓子は用意はしているけど、好きな物を完全排除は難しいよね」

 

えぇ、自己規制前の私がそうでした。

 

「お菓子を作られるんですか?」

 

棚から缶を取り出して、蓋を開けて私の前に置いてくれた。クッキーやら、おせんべいがはいっていた。

 

「洋菓子は千尋君が先生で、和菓子は先輩が先生で、習っているんだよ。業務用のオーブンがエミリーの家にあるし」

 

スゴい…こんな物も作っちゃうんだ。

 

「そうそう、新作を食べてみる?」

 

冷蔵庫から何かを取りだして、グリルで暫く焼いて、タレのような物を掛けてくれた。

 

「みたらし団子だよ♪」

 

口に入れる。美味しい…この家の料理チームはスゴい…お兄ちゃんにもっと習わないと、料理が手伝えないよ~

 

「どう?」

 

「美味しいです♪」

 

 

 

---本場切絵---

 

ペンタブレットで絵を描いている紗霧ちゃん。私もモデルにして、イラスト化している。うまい…

 

「お姉さんも絵が描けるの?」

 

彼女と話をして、絵本作家になるのが夢と語ったのだ。作家名『きりんりん』だと伝えると、頷いている。知っているの?

 

「そう…あの楽しそうな絵は、お姉さんの絵だったんだ」

 

紗霧ちゃんは私のページをチェックしていてくれたのだった。

 

「そうなのか…お姉さんも一緒に活動しない?」

 

活動?何の?

 

紗霧ちゃんが本棚から、書類の束を取り出してきた。表紙には『プロダクション縁 就業規約』と書かれていた。これって…

 

「私が推薦するから。明日のミーティングに参加してくださいね♪」

 

ミーティング?はぁい?

 

--------

 

翌日、仕事場と呼ばれるスペースに連れて行かれた。

 

「君が新規加入のきりんりんさんか♪」

 

八神コウさんに声を掛けられた。あのフェアリーズストーリーのメインキャラデザインされた方だ…ゲーム雑誌で見たことが有るし。

 

「えっ!きりえちゃん…スカウトされたの?」

 

うまるさんが驚いている。いや、私もだ。何、この集団…有名人ばかり…

 

「高校を卒業したら、正式に契約だな」

 

って、神楽坂さんっていう編集者に言われた。この方も雑誌で見たことがある。

 

「絵本作家かぁ…マサムネ君達のライバルだね」

 

って、恵さん。作家さんでなくて、雑務を担当されているそうだ。うまるさんも雑務担当らしい。うまるさんの彼も作家さんだった。ペンネームを聞いたら、鳥肌が立った。あの朝霧沙樹先生だと言う…えぇぇぇぇ~!

 

そういえば最近、学校の休み時間にうまるさんが読まれているのは、朝霧作品だったことを思い出した。そういうことだったんだ。だから、正体は秘密にしたかったのか…事実を知って、うまるさんの行動を納得した。朝霧沙樹先生は性別、年齢が不明だから…

 

「で、新社屋というか、新しい住処は、いつ出来るの?」

 

霞詩子先生だ…

 

「4月には住居部分は完成する予定です」

 

彼が答えた。同い年なのに…スケールが違う…うまるさんの惚れた理由がわかる気がする。

 

「そうか。大学進学はしないで、創作活動に打ち込めるな♪エリはどうするの?」

 

柏木エリ先生に訊かれた。

 

「ここに住所を移して、来年度にマサムネ君の学校に編入するわ」

 

何か踏み込んではいけない世界に、踏み込んでしまった気がする…

 

 

 

---土間うまる---

 

「ただいま♪」

 

日曜の夕方に帰宅…お客さんが来ていた。アレックスとシルフィンさんだ…なんだ、この組み合わせは…

 

「おかえり、うまる。あぁ、この兄妹がお前に謝罪に来たんだよ」

 

はぁい?兄妹?アレックスとシルフィンさんが…あぁ、そう言われれば、似ているよね…

 

「うまるさん…ごめんなさい…」

 

シルフィンさんが土下座をしてきた。尾行の件だろうな…迷子になって大変だったらしい。

 

「アレックス…お前も謝れ!」

 

「すみません…妹が…ご迷惑を…」

 

あぁ…迷惑だけど…謝られても…

 

「二度としないでください。不愉快です」

 

「そういうことだ。アレックス。お前の妹に理解させておけよ!」

 

お兄ちゃんが怒っている。私の為に…

 

「はい…」

 

鬼のタイヘイを前にして、アレックス兄妹は震え上がっているようだ。

 

 




うまるキャラだと、エロ要素を差し込む隙間が無い(^^;
叶とうまる以外では妄想出来無い…

余談ですが…叶と外うまるが、似ているように思うのだけど、姉妹ってオチはあるのだろうか?
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