※グロなシーンがあります。
---羽島伊月---
新作を書いていると、玄関の呼び鈴がなった。応対に出ると…ちっひーが…笑顔のちっひーが立っていた。
「義兄さん…食事を作りに来ました」
と、何かが吹っ切れた様子だ。
「あぁ、頼む…お前の料理が恋しかったぞ~」
「そうだと思ったよ」
はにかんだような笑顔を俺に向ける義妹…
俺は奥の部屋で執筆を再開した。徐々に、美味しそうな香りが、キッチンから漂ってきた。
「義兄さん、出来ました。食べてくださいね」
キッチンからは裸エプロン姿のちっひーが鍋を持ってやって来た。
「暫く逢わない間に、ずいぶんと大胆になったな、お前…」
「てへへへ♪」
何か違和感を感じた、ちっひーの照れ笑い。どことなく固い。どことなく蒼い…鍋の蓋を取ると、白いスープに何か白い物が浮いていた。
「もう一品有るんだよ」
ちっひーは何かの丸焼きを盛った皿を持って来て、俺の前に置いた。美味しそうな香りが、胃袋を刺激するが…これは何だ?子豚にしては小さい気がする。
「さぁ、食べて…もう2度と作れない一品だからね」
白いスープには赤い物が、混じっている。まるでストロベリーソースのようだが、なんだ…これは…浮いている物を箸でつまむと…白いパンティだった。
「義兄さん…食べたいって言っていたから…」
頬を赤らめたちっひー、青白い顔なので、余計に朱く見えている。そうか。だから、裸エプロンなのか…現実に食べられるとは…いやいや、ちっひーは俺のせいで壊れたのか…
「ボクの生搾りの乳で作ったミルクシチューなの。完食してね♪無理に絞ったから、出血しちゃったけど。てへへへ♪」
ちっひーの生搾り乳?確かに飲みたかったけど…子供を身籠もらないと出ないだろう?どうやったんだ?何かの丸焼きが目に入った…それは胎児のように見える…をい…ちっひー、お前…
「ボクと彼と間に出来た子供だよ。子供を身籠もらないと、乳が出ないからね♪」
笑顔のちっひー…お前…もう、いいんだよ…ごめんな…
「ねぇ、義兄さん♪残さずに食べてね。最後の晩餐だから…もう、ボクは彼の元に戻れない…」
どさっ!
目の前に、突然現れたちっひーの首つり体…目を見開き、声にならない叫び声を上げた俺…
目覚めると真っ暗の室内で寝ていた。良かった…夢だった。しかし、全身に嫌な汗が…呼吸が荒い…夢だよな?本当に夢だよな?ベッドから降りて、部屋に灯りを灯した。キッチンに行き、玄関、風呂場を見て歩いた。ちっひーの来た痕跡は無い。
俺の抱いた妄想…マズい。現実的に考えて、もし、ちっひーが叶えると、夢の結末のようになるだろうな…俺はちっひーを追い込んでいたのか…どうすれば、償えるんだ…
---和泉正宗---
新刊『混合する性』に目を通していた。何か違和感を感じる。あれ?こんな風に描いたっけ?何かが、おかしい。いや、良く出来た作品なのだけど…あれ?なんで、紅兎が…
挿し絵の至る所に紅兎が映り込んでいた。自分の部屋を出て、紗霧の部屋へと向かった。
「紗霧!これ、どういうことだ?」
ドアが少し開き、紗霧が顔を出した。
「何の事?」
挿し絵を指差した俺。
「あぁ…紅兎ちゃんが、いたぶられる姿を描きたくなったの…」
なにげないイラストにより、話の展開が変わった気がする。文字で見るより、イラストの方が印象的であるから。
「問題無いですよね?和泉先生…言っている意味はわかりますよね?」
紅兎を出せと言うことですか…『転生の銀狼』で紅兎が死んだことに、抗議していたエロマンガ先生…この作品で転生させるんですか…
「神楽坂さんの了解済みですよ♪」
って、笑顔で俺の顔見つめてきた。そうか…担当編集者は知っていたのか…紅兎グッズで更に売上増でも狙っているのか?
---金剛叶---
彼の新刊…このタイトルって…考えただけで耳が熱い…読まないでも内容が脳裏に浮かぶ。しかし、読まないと、事実がわからない。読んでみた。初めて徹夜でライトノベルを一気に読んだ。あの時の感覚が身体に甦って来ている。文字を見ただけなのに。あれは、何かの呪文だったのだろうか。
「金剛(が)する性(交渉)」って、勝手に脳内変換してしまう。『混合する性』なのに…彼に逢いたい…気持ちが破裂するのではと思う位に膨張していく。こんなに恋い焦がれたのは初めてだ。タイヘイにもここまでの恋い焦がれは無かったのに…
金曜の夜、仕事が終わるとダッシュで駅へと向かった。電車に乗ると、本場とアレックスが尾行しているのに気が付いた。私の異変を感じとったのか?彼に迷惑は掛けられない。どこかでまかないとダメだな。
五反野駅に着くと、たかさご書店に猛ダッシュで入店して、あの二人が通り過ぎるのを待った。二人が通り過ぎたのを確認して、心を落ち着かせる為、店内を見て廻る。すると、彼の本が纏めて置かれている棚を発見した。こんなに書いているのか。
---土間タイヘイ---
金曜の夜、隣の部屋ではうまるが勉強をしている。土日は彼の家に行くので、勉強できないから。本気で彼の為に何か出来無いかを模索しているうまる。こまるに変身していた頃が懐かしい。彼と出会って、こまるになることはなくなっていた。
コンコン!
来客のようだ。誰だ?ドアの覗き穴から見ると、本場とアレックスがいた。ドアを開けた。
「よぉ、タイヘイ♪」
本場は玄関を見渡した。何かを調べているようだ。
「どうしたんだ?二人揃って…」
「いや、近くまで来たついでだよ。あがるぞ!」
許可無く部屋にあがる二人、うまるの部屋のドアをいきなり開けた本場。
「えっ?どうして?何?」
うまるの悲鳴のような声が聞こえた。
「お前ら、失礼だろ?勝手に上がり込んで、勝手に妹の部屋に乱入って。アレックス、貴様…懲りていないのか?」
僕の視線を浴び、顔色を悪くしていくアレックス。本場は悪びれる様子は無い。
「いないな…課長の様子が変だったんで、追跡してきたんだけど、五反野駅で見失ってな。で、タイヘイの家があることを思い出したんだよ」
叶が、ここに来たと思ったのか?
「叶は来ていない。お前ら、帰れよ!妹が怯えているだろ?」
「なんで、怯えているんだ?」
「アレックスの妹の虐めに遭っていたんだよ。だからだ!」
「アレックス、お前の妹はひでぇなぁ~!で、たぬ吉は?」
「いない!帰れ!平穏な時間を壊すんじゃねぇ!」
二人を玄関から叩き出した。
「今後、同じマネをしたら、住居不法侵入で訴えるからな!」
ドアを勢いよく閉めた。
---金剛叶---
アポなしだったけど、快く迎え入れてくれた。
「どうしたんですか?」
「う~ん…急に逢いたくなったというか…」
「ほぉ~、なるほど…金剛さんがモデルなんですね」
って、千寿先生。なんで、バレたの?
「う~ん…くやしいけど、大人の反応は、未だ出来無いわ」
って、山田先生。何かのミーティングをしていた彼ら…
「ちょうど、悩んで居るときに見えたんで、モデルを頼んだんだよ」
まさか、あんなモデルとは知らずに、頷いてしまった軽率な私。
「で、何かミーティングをしていたんですか?」
話題を変えようと必死な私。
「あぁ、隣の山田邸を更地にして、マンションにする計画があるんだけど、一階スペースを飲食店にしようって計画があるんだよ。で、それのデザイン会議をしていたんです」
彼からの話によると、作家はスランプになると長い間収入が得られなくなる。だから、副業を考えておいた方が、将来的に精神面で楽ではないかということだ。そこで、飲食店ってことらしい。彼、山田先生、千寿先生、千尋さんは料理が得意であるから。さらに範囲を広げると、りんさん、タイヘイなんかの料理上手がいるかららしい。
「まぁ、どのみち、まかないの食事を作るスペースは必要だし。それなら、暇な時は、普通の人に開放して、副収入もありかなって」
「あのね…うちの会社…レストランなんかのシステムを扱っているの…だから、経営とか運用の手助けができると思うの…」
アピールポイントを彼に伝えた。
「じゃ、今頼んでいる案件が終わったら、頼もうかな」
「個人的に手伝ってもいいですよ」
いや、個人的に手伝いたい。会社の仕事としてでは無く。そうすれば、タイヘイと彼と…二兎追うことも可能かな?
「まぁ、将来的にはお願いするかも。まだ、資金がそこまで無いし。ただ、どういう設備があった方が良いかは、先に検討しているんだよ」
「燻製庫とか、醸造蔵は欲しいかな」
って、山田先生。私はノートに記入していた。仕事のクセだ。プライベートなのに…
「あぁ、そうだね。干物とか、自家製味噌は造りたいな」
って、千寿先生。う~ん、中学生の会話に思えない。
「千尋君はどう?」
「ボクは…そばつゆのかえしとか、チーズも興味あります」
「そうなると、地下に作るかだな。叶さん、どうかな?」
彼が私を頼ってくれている。嬉しい♪
「そうですね、地上に設置するより、温度が安定すると思います。川が近いから、湿気対策に多少はお金を掛けた方が良いと思います」
「さすが、プロの意見だ」
千寿先生が、頷いていた。こうして、みんなと打ち解けて、ミーティングをしていたら、心のモヤモヤは晴れていったのだった。
---うみこ---
嬉しいやら、何されるんだか…パンツにシャツ姿で拘束されている。モデルらしい。
「ねぇ、どこが感じますか?」
真面目な視線で見ている正宗君。言いにくい…そんなマジマジと見ないで欲しい。感じて立っていく…そして濡れていく…
「えっ?見ているだけで…あぁ、これが視姦ってものかな?」
ノートに私に起こった事象を書き込んでいく彼。腿が震えている。欲しい…刺激が…
「で、どこをどうされたいですか?」
彼の言葉責めで、息が荒くなっていく。口の中が乾く…捕虜になったコマンダー気分である。目の前で『拷問百科』なる書物を見ている彼。何をやらかすのだ?もう、限界なんだけど…
「えっ!」
ペン先で割れ目をなぞってきた。たった、それだけで、とても興奮している私の身体。
「限界です。何か刺激をください…」
彼の焦らしに降参をした私。しかし、彼はまた、見ているだけだ。頭の中がどうにかなりそうだ。薬も無しで、こんなにも淫らになれるのか…私の頭の中では、されたい行為が色々浮かんでいる。しかし、言葉に出せない。
「どうして欲しいの?」
シャツを捲り、乳房を揉み始めた彼。その目付きは真剣である。いやらしい目であれば、それなりの反応をしたかもしれないが、なにか怖さを感じている。乳首をガーゼで拭いている。スゥースゥーする感覚、アルコール除菌だと?…コップのような物を取り付けた。コップの底にはホースが…搾乳器か?想像通り、乳首が吸われている。気持ちいい…乳はまったく出ないのだが蜜が溢れ出て行く。
「なんで?乳首から出ないで、そこから出るの?」
考え込む彼。気持ちいいからだよ~。もうカンベンしてください。
---和泉正宗---
うみこさんから得たデータを基に、地下室の魔物の次なる得物の料理方法が決まった。大体のコマ割りをして、ページ数の目安をつけていく。この得物を紅兎にするとどうなるかな?転生して直ぐに、敵の魔の手に墜ちるヒロイン。う~ん…大まかなプロットを書き上げて、紗霧、先輩、エリさんの意見を訊いてみた。
「えっ…颯爽と登場していきなり…兄さん、萌え萌えですね♪」
エスっ気が芽生えてきている紗霧の了承は得た。
「ふ~ん…こうなるのか…まぁ、ヒロインは最初やられまくるのは王道かな」
って、先輩も良い反応である。
「紅兎ちゃんを…こんなことに…おぉぉぉぉぉ~♪萌えてハイになりそうだよ、マサムネ君♪」
エリさんは、プロットをコミカライズしていく。
「うんうん、有りだな。まさかの展開というか…」
じゃ、この方向で書いていくか。
---金剛叶---
週を明けて月曜日。仕事に熱が籠もる。本場とアレックスをこき使う。私にもようやく将来のビジョンが見えて来た気がしたから。マサムネ君達とのミーティング。楽しかった。資金が無いから、直ぐには着手しないと言いながら、細やかな部分まで決めていった。夢を語るって、大まかで無くて、そこまで細やかでもいいんだ。
「課長…どうしたんですか?先週末のどんより感がまるで無いようですが…」
本場が訊いてきた。
「やりたいことが出来たんだ。その夢を叶える為に、仕事をバリバリ熟すんだよ」
生活も徐々に変化していく。酒の飲む量が減っていく。無駄な買い物が減っていく。彼の資金の足しに…貯金をしていく。彼の為という貯金が楽しいのだ。
---和泉正宗----
土曜の縁のミーティングに神楽坂さんが来襲した。穏やかなホクホクした笑顔で…
「和泉先生の初のヒット作で、作家として評価が上がっていますよ。編集部もね、規制との戦いを楽しんでいます。あの攻めの書きは、良い仕事ですよ」
いや、あれを書くために、どんだけ体力を使っていると思うっているんだ?楽しんで取材出来るように、エロ心が欲しい今日この頃である。
「で、ですね。ゴールデンウィークに取材旅行はどうですか?縁関係者全員を編集部で招待しますよ♪」
あの1作で、儲かったようだ。小説本体、イラスト集、コミカライズ、紅兎グッズetc.。何よりも、ムラマサ先生の原稿が締め切り落ちしなかったのが、大きいのだろう。
「次回作のプロットも良い塩梅ですし。今後の展開に期待して、大奮発ですよ♪」
どこへ取材をするというのだ?
「温泉がいいな~♪」
って、詩羽先輩。
「旨い食べ物♪」
って、紗霧。
「温泉と食べ物ですね。では、旅行代理店と相談してみます」
って…ゴールデンウィークは、団体旅行になるそうだ。