※この作品はR-18です。

冴えない彼氏の育てかた   作:もっち~!

31 / 88
12/13 誤字を修正


義兄と義妹*

---羽島伊月---

 

朝、目覚めると全裸のちっひーが、俺と抱き合っている。小振りな胸ではあるものの、弾力は気持ち良い。俺の肉棒は、ちっひーの中に奥深く刺さっていた。

 

「義兄さん、おはよう♪」

 

ちっひーが笑顔で俺の唇に唇を重ねて来た。柔らかくて決めの細かい皮膚感…それだけの刺激で大砲が火を噴いた。

 

「義兄さん、早すぎるよ。早漏なの?」

 

「ちっひーが気持ち良すぎるんだよ」

 

ちっひーの乳首を口に含み吸う。口いっぱいに広がるちっひーの味…美味しい、朝の目覚めにはこれだな。だけど、徐々に塩気と鉄の味が口に広がっていく。なんでだ?目の前のちっひーの顔からは血の気が失せていた。まさか…口を離すと、ちっひーの乳首からどす黒い血が流れ出していた。

 

「ちっひー!しっかりしろ!」

 

「彼と添い遂げたかった…なのに…」

 

ちっひーの首には首輪…首輪から伸びる鎖は、天井に固定されていた。

 

「なんで…義兄さん…邪魔したの…」

 

俺はそんなことはしたくない…なんで、こうなったんだ…時間は巻き戻らないのか?そうだ、救急車を…ベッドから降りて、スマホを手にした俺。待ち受け画面には、首のない男の死体に泣きすがるちっひー…俺が殺したのか…

 

 

はぁ…はぁ…はぁ…今夜も禄な夢を見ない。ここ最近、ずっとである。俺はちっひーに…後悔の念ばかりが空回りしている。軽い気持ちで書いていた妄想小説…今も書くには書けている。しかし、書いた内容がグロテスクに変貌して、夢に現れてしまう。ヒロインはちっひーでだ。

 

担当編集者に相談をして、病院に通っている。覚醒している時は何も問題無い。今まで通りの俺である。しかし寝てしまうと…悪夢を定期視聴する羽目に陥っていた。寝た気がしない。しかし、熟睡しているようで、悪夢三昧以外、悪い箇所が無い俺。

 

どうすれば良いんだ…

 

 

 

---羽島千尋---

 

こんなことは初めてだ。自分の枕を抱えて、正宗君の部屋を訪れた。

 

「ごめん…今夜、隣で寝てもいいかな?」

 

「かまわないけど…寝るのは0時くらいだよ」

 

彼はPCに向かって作業していた。それは彼の日課であり、生きる為の行為であり、妹さんと生きる為に必要な行為でもあった。

 

ボクは正宗君の寝床に入り、暖めておく。今までに何度も一緒に寝た。でも今夜みたいに枕を持参したのは初めてだった。

 

「う~ん…」

 

何かを悩んでいるような彼。

 

「ボクで役立てるかな?」

 

彼に声を掛けた。

 

「千尋君だったら、うまるさんにどうアプローチする?」

 

えっ?意外すぎる質問…咄嗟に答えが浮かばない。

 

「だよね…忘れてください。う~ん…」

 

何か、想像出来ないことを妄想しているような彼。

 

ベッドを抜け出して、彼の背後から、PCのモニタを覗き見た。朝霧作品『天使と悪魔』のようだ。まだ、発刊されていないので、全貌は不明である作品である。もしかして、モデルはボクとうまるさん…もし、そうなら、有り得ない組み合わせでしょ?

 

「ボクは悪魔?」

 

「うん?そうだね…うまるさんという天使を惑わす小悪魔かな」

 

って、プロットを口にした彼。えっ?ボクが小悪魔なの?

 

「心優しい小悪魔…上級悪魔になる為の試験で、天使を惑わす試練を行うんだけど、心優しい小悪魔は天使と友達になり、二人は恋人のようになっていくんだ。で、最後は…二人で新しい生き方を選択して終わる…そんな感じになるんだ」

 

ボクとうまるさんが恋人…新しい生き方?気になる。

 

「問題は、天使は欲に塗れると堕天使に堕ちるんだよ。だから、その愛は純粋無垢で無くてはいけない。独占欲とか欲情とかは抱いてはいけないんだ」

 

純粋無垢な愛…難しいテーマを書いているようだ。彼がスケッチブックを手渡して来た。捲っていくと、ボクとうまるさんを描いたデッサンがたくさんあった。ボクは悪魔の羽と尻尾を持っている。うまるさんは天使の翼と光輪を持っている。二人が愛おしそうに抱き合うデッサン。愛おしそうに身体を合わせるデッサン。実際には、こんなことした事無いのに…作家さんの想像力ってスゴい…

 

「大筋の展開はデッサンで描いてあるから、それに沿って話をつけていくんだけどね」

 

彼はボクと顔を合わせない。モニタを見つめている。モニタには文字が追加されていっていた。

 

「ボクはどうしたら、いいのかな…」

 

「作家って、妄想と現実の区別は出来ているよ。出来無いような者は作家では無い」

 

義兄さんのことだね。

 

「もし、千尋君に手を掛ければ、その瞬間、彼は作家では無くなる。彼は妄想を文字に変えているんだろ?俺は不器用だから、見ないと書けないけど…」

 

そうだ…義兄さんは、見ないで書いている。妄想というキャンパスに描かれた物を書いている作家である。正宗君は見た物を応用しているけど…

 

「正宗君は紗霧ちゃんで妄想する?」

 

一瞬沈黙が訪れた。キーボードの打音が止まったのだ。

 

「今はしないかな…以前は…でも、身体が浮かばないんだよ。モヤに隠れていて…顔しか見えないんだ。俺は、どうしていいかわからず…学園異能バトルに走った」

 

正直な正宗君。義兄さんも正直なんだと想う。現実と妄想を入り交じらせていたのは、ボク達の両親だけなのかもしれない。

 

「逢いに行くかい?」

 

「一緒に行ってくれる?」

 

「勿論だよ」

 

 

 

---羽島伊月---

 

土曜日の午前中…呼び鈴が鳴った。担当編集者は、今日来るって言っていたかな?何の躊躇も無くドアを開くと、みゃーとちっひーと彼がいた。固まる俺…何をしに来たんだ?おい…まさか…汗が噴き出していく。鼓動が激しくなっていく。

 

気が付くとベッドに横になっていた。俺を心配そうに見ている、みゃーとちっひー…俺はどうしたんだ?これは、夢なのか?俺はちっひーを、今日も壊してしまうのか?

 

「驚いたわよ。いきなり汗を吹き出して、倒れるんだもの」

 

みゃーの声。俺は倒れたのか?

 

「義兄さん…私を妄想の中に引き釣り込みたいの?」

 

ちっひーの声…引き釣り込めば…結末は毎晩見ているよ。どうすれば、良いんだ。

 

「義兄さん、紹介がまだだったね。ボクがお世話になっている朝霧沙樹先生だよ」

 

アイツを紹介してくれたちっひー。朝霧…沙樹…コイツが…

 

「ボクは彼の傍で一生を終えたいと思っています。例え、彼と結婚は出来無くてもね。彼のおかげで、ボクは心の拠り所を得ました。心の安らぎを得ました。ボク自身を取り戻せました。そのお返しがしたいんです。彼と彼の妹さんを支えてあげたいんです」

 

何を言っているんだ?結婚しないでもいいって…

 

「遊びなのか…」

 

「違う…真剣だよ。ボクも彼も…真剣だからこそだよ。出逢いは一期一会。再会できるのは縁がある証拠…ボクは彼と出会い、女の子であるボクに再会出来た」

 

言っている意味は、なんとなく、わかる。ソイツに出逢わなければ、一生、俺の義理の弟でいないとダメってことだよな。

 

「だけど、どうなんだ?一生添い遂げるって言うのは…結婚もせずに」

 

「彼は、ボクに将来のビジョンを見せてくれた。ボクの進むべき道を示してくれたんだよ。今、その道を進む上で必要な勉強をしている」

 

ちっひーの顔が誇らしげに見えた。こんなにも力強い笑顔が出せるのか…

 

「みゃーはどうなんだ?」

 

「私?私も、ちっひーと同じよ。彼の傍で、自分の出来る事をするわよ。結婚しないとは言わないけど、少なくても、彼とは結婚しないと思う。彼は私にとって大切な弟枠だからね♪」

 

そうか…結婚すると弟枠では無くなるのか…そうか、ちっひーもそうなのか。恩人枠が旦那になるのが許せないのかもな。俺にとって、ちっひーは弟枠だ…それが良い落としどころか。

 

「おぉ、以前のような笑みを浮かべたね。ふっきれたのかな?」

 

みゃーがからかうように言った。あぁ、そうかもしれない。ちっひーの彼氏がお膳立てしてくれたのか?やっぱり、天才作家には勝て無いなぁ…

 

 

 

---羽島千尋---

 

義兄さんに逢って、良かったと思う。義兄さんなりに結論が出たそうだ。ボクは義兄さんにとって、永遠の弟枠で良いそうだ。ふっきれた義兄さんの表情には、接見した時のような狂気な目付きは消えていた。

 

帰り道、彼に抱きついて泣いてしまったボク。

 

「気がかりなことが無くなって、気が緩んだかな?」

 

みゃーさんが優しい声を掛けてくれた。彼は、何も声を掛けてくれない。きっと、掛ける言葉が浮かばないのかもしれない。ボクのしたいようにさせている彼。

 

 

 

 

---八神コウ---

 

マサムネ君達は、ゴールデンウィークに温泉旅行に行くそうだ。なのに、私達は仕事とは…

 

「新作のキャラコンペがあるのよ。しっかり、アイデアを出してね」

 

って、りん。コンペには青葉、そして、大和さんの推薦枠で強豪2名が参加するそうだ。

 

「りんは、知っているのか?強豪枠が誰かをさぁ?」

 

「勿論♪出来れば、強豪枠が通らないことを祈っているわ。ゲームが変わっちゃいそうだもの」

 

あっ!一人はわかった。エロマンガ先生かぁぁぁぁ!それは、強豪すぎるだろ?かわいい女の子のイラストを描かせたら、一番だと思うし。

 

「あぁ、一人はわかったみたね。そういうことだから、社内コンペをもぎ取ってねコウちゃん」

 

「温泉に行きながら、考えるのは無しか?」

 

「う~ん…コンペ提出作品創作合宿?」

 

そうだ。その手があるじゃないか!

 

「うんうん♪」

 

「酒抜きでもいい?あぁ、私と大和さんは飲みますよ♪」

 

はぁ?なんだよ~二人は参加なのか…ズルい!

 

「じゃ、青葉と私も参加で話を通してくれよ!」

 

「後、うみこさんもだよ♪」

 

ライバルのうみこは、この前モデルをしたそうだ。豹変しそうなことをされたらしい。何をされたのかも気になるが、温泉の方が気になる。

 

 

 

---土間うまる---

 

「お兄ちゃん、行って来てもいいよね?」

 

正宗君達と温泉旅行に行きたいと、お兄ちゃんへ伝えた。ただ、問題がある。長い休暇中にお兄ちゃんを一人にする不安。帰ってきたら、ミイラになっていたら、泣くに泣けないよ~

 

「行きたいって割りに、複雑な表情だな、うまる」

 

それは複雑だよ~。正宗君もお兄ちゃんも大切で、ず~っと一緒にいたいんだもの。

 

「そうだな、行って来ても良いよ」

 

お兄ちゃんの許可はゲットできたが…

 

「お兄ちゃん…一人で大丈夫?ねぇ、帰ってきたら、屍化していないよね?死んじゃあ、いやだよ~」

 

お兄ちゃんに泣いて縋る。

 

「勝手に殺すなよ。実はなぁ、僕と叶にもお誘いが来ているんだよ♪」

 

はぁ?何ですか、それは…何か、泣いて損した気分が満載なんですが…

 

「問題はきりえちゃんだな。まぁ、大人組が彼女も行けるように、親御さんを説得するらしいよ」

 

大人組とは、神楽坂さん、大和さん辺りらしい。

 

「で、お兄ちゃん…あの話はどうなったの?」

 

「あの話?あぁ、将来的な話か?そうだな。うまると一緒に暮らせるなら、良い話だと思う。まぁ、会社で単身赴任とか左遷されたら、料理人の道も有りだと思うよ」

 

あの話とは、飲食店構想である。料理好きが揃っているので、前向きの人が多い。私と恵さんは美人ウェイトレスを目指そうと、誓い合ったりしている。

 

「叶も協力したいそうだ。僕も驚いたけど、あんな前向きな叶って初めてみたかも」

 

うっ…叶さん…まさか、私と同じ二兎追うんじゃ…なんか、あの人と被るのは何故…他人なのに…

 

「うまる…旅行中に、彼と進展が有るといいなぁ♪」

 

え?耳が熱い…なんか、私よりもお兄ちゃんの方が、彼を気に入ったみたいだ。義理の弟として…先走らないでよ~!お兄ちゃん…

 

 

 

 




うまるは、ホノボノ系キャラなので、エロパートに持ち込みにくい(^^;
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。