---司波深雪---
私の部屋に正宗君と二人きり。何かドキドキする。彼は、背負っていたディバッグから画材を取りだし、絵を描く準備を黙々としていた。
「あの、この服装で良いですか?」
「えぇ、自然体の深雪さんを描いたいんです。ですから、普段通りにしていてください」
スケッチブックに鉛筆を持ち、描き始めた彼。ポーズとかは問題では無いようだ。彼の描き方は、美術で習う方法とは違っていた。彼には私はどう見えているのだろうか?気になる。
普通と違う点はまだある。その描く速度である。迷い無く太く濃く、初めから一気に輪郭を描いているようだ。なので、ポーズがぶれても、何も言わない。一発目で輪郭を押さえているのだろう。
まだある…彼に見つめられると、身体の芯が熱くなってくる。あの引き込まれそうになる瞳…身体が何かに反応している気分になる。どこか一点を見られている気になるのだ。実際は、万遍なく見ているのは確かである。彼の描いている様子をみるとわかる。だけど…
ブラウスのボタンを外してしまう。もう第2ボタンまで外している。だけど、彼は私の胸元に、普通の男子生徒が向けるような視線を向けない。試しに第3ボタンも外した。胸の谷間が露わになっている。だけど…彼には、私がどう見えているのだろうか…
はっと、意識を取り戻すと、いつの間にか、下着姿になっていた。自分で脱いだのは確かだ。彼の座っている姿にブレは無い。
「熱いですか?少し休憩しますか?」
彼の声にビクっとする私の身体…あっ…股間を気づかれないようにゆっくりと閉じていく。彼の声で濡れてきた。私って、こんなにも淫らだっけって思う位、彼を欲している私。
そうだ、彼の作品がそうだ。一心不乱に読み進めていくと、物語のその場に自分がいる気分になる。彼は言霊使いなのだろうか?
「だいぶ描き溜まったなぁ。後は…深雪さん、イヤだったらそう言ってくださいね。全裸を見せて貰えませんか?」
イヤじゃ無い自分がいる。でも、そういう女には思われたくない。どうしよう…返事をせずに無言でブラとパンティーを脱ぐ私…
「立ち上がって、十の字になるようなポーズになってくれますか?」
言われた通りにする。十字架に磔となるシーンが脳裏に浮かぶ。それだけで、いやぁぁぁぁ~、乳首がそそり立ち、茂みが湿地帯になっていく気がする。でも、彼は変な目で見ずに、私の、今ある私の姿を描いている。プロなんだって実感できる彼の視線。お兄様だって、下着姿の私に対しては、目付きが変わるのに…彼は変わらない絵師の目付きのままである。
「う~ん…やっぱり…」
彼は何かを呟いた。
「どうしたんですか?」
気になったので訊いてみた。
「服を着た状態だと、おやって感じだったんだけど、十の字のポーズで、はっきりとわかりました。深雪さんの身体って、シンメトリーなんです」
シンメトリー?中心軸に対して 左右相称ってこと?
「身体の中心線に対して左右相称なんです。これって、奇跡ですよ」
そうだ。聞いたことがある。身体の中心軸に対して左右相称の人間はいないって…えっ?私がそうなの?
「街で初めて深雪さんを見た時に、そう感じたんですけど、有り得ないはずだから、僕の感覚がズレているって結論付けたのですけど、あの時の感覚は正しかったようです」
それで、あんなに必死に私にお願いをしたの?確認をしたかったから。少し寂しい気分になった。でも、次の彼の言葉で、そんな気分が消えていった。
「もう1つお願いをして良いですか?」
「はい…なんですか?」
「近くで見て良いですか?」
頷く私。ゴクリとツバを飲み込んだ。近くで見たいって…耳が更に熱くなっていく。彼が近づいてきた。彼の気配だけで感じている私の身体。醜態だけは彼の前で晒したくない。
「う~ん…おへそが…これって…」
おへそ?彼はルーペで私のおへそを調べて、スケッチブックに描き始めた。これって、何か変だ…何で?
「少し触りますよ」
って…割れ目を開いている感触がある。うっ…脈が速く力強くなっていく。
クチャ
湿っているのか音がする。下半身に力が入らなくなってきた。彼の肩に手を付いた私。その為、彼の描いている物が目に入った。私の割れ目の内部を描いているようだ。色鉛筆を使って、色合いも近似色に塗っているようだ。恥ずかしいよ~、正宗君…
「あれ?何で?」
また、彼は何かに気づいたようだ。
「今度はどうしたの?」
「いや…こういう物なのかなって…男の僕にはわからないです」
何かを発見したのね…
「どういう物なんですか?」
「ここもシンメトリーなんです…色合いに至る迄…」
えっ?色合いがシンメトリー?どういうことかな?頭の中が真っ白になっていく。
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胸に気持ちの良い刺激を感じ、はっとした。私の呼吸は荒かった。運動をしてもここまで荒くなったことは無かったのに…私の下に誰かがいる。男の人のようだ。彼の胸板の感触で、意識が覚醒したようだ。誰?あなたは?
下半身に力が入らない。腕の力で状態を起こすと、疲れ切った顔の正宗君がいた。どういうことだ?あれ?下腹部の感覚がおかしい。今までに感じた事の無い感覚を感じている。
恐る恐る片手を近づけると、正宗君の身体の一部が私の中に入っているようだった。これって…そういうことなのよね。で、上に私がいて、呼吸が荒いってことは…きゃぁぁぁぁあ~!彼の上で跳ねていたんだわ。体力が果てるまで。
で、正宗君が疲れ切っているってことは、何度も彼の体力を削いだってことで…腰を少し上に持ち上げると、粘っこいゲル状の物が、私と彼の身体の隙間から、漏れ出てきた。中出しってヤツだよね、きっと…ラノベで読んだことがある…
「正宗君、大丈夫?」
疲れ切っている彼に声を掛けた。
「どうにか生きています。はぁ…はぁ…深雪さん、激し過ぎます。はぁ…はぁ…」
顔が熱くなっていく。私って激しいんですね。
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呼吸が落ち着いてきて、正宗君とお話が出来るようになった。
「割れ目の中を描いていたら、どういうことよって、深雪さんが暴れ出して、責任を取りなさいって…僕を全裸にして…」
恐い目に遭ったのか、正宗君の目元に涙が。つい、ソレを舐めてしまった。驚いて、目を瞑った正宗君。
「ゴメン。でも、正宗君の味って美味しいよ。好きだよ、正宗君♪」
彼の唇に自分の唇を重ねる。何かのスイッチが入って淫乱化したのか、普段では考えられない行動をしている私。
「俺も好きです。深雪さんの中って気持ちいいですよ」
その時、気づいた。彼はまだ私の中にいることに。そして、私の腰は小刻みにまだ動いていることに。
「もう出ないと思いますよ。今までの最高記録ですよ。10回以上って…」
そんなにしたの?それは呼吸も荒くなるよね。重労働だもの。他人事のように思い始めた私。実感が無いから。淫乱化中の記憶がまるで無いから。
そうだ。このまま、彼を帰す訳には行かない。シャワーを浴びないと。彼から離れると、大量の彼の精液が、私の身体から流れ出て来た。こんなに出させてしまったのか…
自力で歩けない正宗君に肩を貸して、シャワールームへ行き、体液塗れの身体を洗い流した。
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精気を使い果たし、ボロボロとなった正宗君は、私のベッドで寝ている。私はお兄様に、正宗君の描いた絵を見せて、質問を浴びせていた。
「これはどういうことですか?」
「そういうことだ。俺も気になっていたので、確認した」
お兄様も気になっていたの?なんで、言ってくれなかったのだろうか?
「そういうことって?はっきり言ってください」
「お前は、人工授精による試験管ベビーだったそうだ。俺も、さっき聞いたところだ」
さっき?
「それって、盗聴とか盗撮をしていたんですか?ねぇ、お兄様!」
「お前が心配だったからな」
怒りが込み上げてきた。心配してくれるのは嬉しいけど…プライベートを覗き見されて…
「彼はたぶん、臍で気づいたんだろうな」
シンメトリーな臍…有り得ない。臍の緒が繋がっていたならば有り得ない。
「私は…お兄様とは他人ですか?」
「深雪は叔母様の子供だそうだ」
叔母様…子供の産めない身体である。そのせいで、婚約は破談され、未だに独身であった。だから、人工授精して試験管で…真実を言わなかったのは、私の為だからかな。
「私は…お兄様を愛していました。でも、今は…」
「それがいい。彼は、深雪のことを真っ直ぐ見てくれる。兄である俺には出来無いことだ」
叔母様は本家の当主。家督のことがあるから、お兄様の妹にして、私を逃がしてくれたのかな?
「この家を出て良いですか?」
「彼の家に行くのか?」
「ダメですか?」
既に、駆け落ち気分である。
「叔母様から伝言だ。深雪の好きに生きろと。後ろ盾にいつでもなるし、養育費も出すからって」
「家督は?」
「俺が叔母様の子供になる。深雪と母親をトレードだよ」
「いいの?」
「気にするな。彼の元でのんびり生きろよ。彼の高校へ転校だな。手続きはする。その前に、彼の承諾をもらえよ。気の強いお前のことだから、ダメでも押し掛けるんだろうがな」
私の行動を知っているお兄様。15年も一緒に生活していたから、何でも知っているのだ。
---和泉正宗---
日曜の夜に帰宅した。僕を待っていてくれたみんなの目が点になった。
「兄さん…何をしてきたの?デッサンだけじゃなかったの…」
「マサムネ…どういうこと?あんた、そろそろ女難の相をどうにかしなさいよ」
「マサムネ君…君ってヤツは…どうして、こうも陸釣りがうまいのだ?」
我が家の三人の妖精達が、僕に言葉を投げて来た。返す言葉を持ち合わせていない僕は、ただただ、彼らの言葉に叩かれていく。
「うっ…理想的な美人じゃないの…シンメトリーか…」
エリさんも気づいた。
「非の打ち所はどこかな?」
って、恵。
「あぁ、みんなに紹介します。司波深雪さんです。モデル担当になります」
「司波深雪です。みなさん、よろしくお願いします」
スーツケースを2つ持った深雪さんが玄関にいた。
「モデル担当なら、一緒に住んでいいのか?」
って、美智留。
「家事全般できるそうです。前の国立高校では首席だったそうです」
「家事が出来て、国立で首席だって?美智留に勝ち目は無いだろ」
って、詩羽先輩。
で、館の皆さんの洗礼が終わり、深雪さんの抱えている問題を話すと、割りとあっさりと受け入れてくれたみんな。心に闇を持つ者には優しい、館の住民達。
「人工授精で試験管ベビーだったんだ…」
紗霧はショックを受けていた。いや、紗霧以外のみんなもかな。小説では有り得る設定の人物が目の前にいることに。実際に存在していることに。
「国立で首席なら、飛び級で同じクラスでも大丈夫じゃないかな?」
って、恵さん。
「そうですね。同じクラスだといいなぁ」
「なぁ、私も転校していいか?」
って、美智留。
「美智留はダメだろ?お前、特殊事情持ちじゃないし」
詩羽先輩に却下された美智留は凹んだ。
「部屋は、2階の紗霧の隣、仏間だけど…紗霧、案内してあげて」
「兄さん、わかったわ。さぁ、どうぞ♪エルフちゃん、スーツケースを1つ頼むよ」
深雪さんは紗霧達と2階へ。
「家事が出来るってことだから、千尋君は寮の方を頼めるかな」
「わかりました」
「みゃーさん、事務関係の仕事を教えてあげて。千尋君は食堂の方の準備に入って貰うからね」
「あぁ、そうね。事務と食堂の兼務はきつかったものね」
「え?大丈夫ですよ」
「千尋君、分担制だよ。一人で抱え込まないでいいんだよ。で、先輩も食堂を頼めますか?俺も紗霧の食事の準備を終えれば、手伝いますから」
「わかった」
一人メンバーが増えたことで、千尋君の負担が減っていく。良かった良かった♪
---司波深雪---
転校の手続きに時間がかかるそうで、来週から一緒に登校できるらしい。特殊事情持ちで、国立高校からの推薦もあり、特別に飛び級で正宗君と同じクラスに編入できることになった。
みんなが学校へ行っている間に、掃除、洗濯をして、正宗君の作品群に目を通していく。物凄い数のデッサン、イラスト、挿絵の数々。女性の身体の部位ごとのデッサンが多い気がする。そうか、部位ごとに観察をしているから、私の身体の特異性に、気が付いたのかもしれない。
「どう?気になる作品とか、有ったかな?」
社屋の3階の資料庫で目を通していた私。下の階から京さんがやって来て、訊かれた。
「部位ごとのデッサンがスゴいですね」
「あぁ、彼は部位で描く絵師だから。部位で描くから、応用がうまいの。例えば、これなんか、頭はちっひーで、身体はうまるさんとか」
鳥肌が立つってこういうことなんだな。全身の肌表面に寒気のような物が伝搬されていく。
「エロスを感じる作品ですね。これって、モデル無しで描かれたのですか?」
「何も見ずに一心不乱に描き上げていたわ」
すごい…
「私的にはこっちの方がエロく感じるけどね♪」
彼の妹さんの紗霧ちゃんのイラストを見せてくれた京さん。紅兎というキャラクターが瀕死の状態なのだが、確かにエロスを感じる。割れた装甲の合間に見える下着。
「で、これの元絵はこれよ」
もう1枚の絵…朝霧先生の作品だ。顔の表情がなんとも言えない。死相が見えるのだが、エロスも感じる。部位ごとに描き分ける彼の能力なのかな。
「仕事の方法はわかったかな?」
「だいたいの流れはわかりました」
高校を卒業したら、皆でここに就職するそうだ。この館のルールであり、皆の願いだそうで、私もそれに倣うことにした。
「正宗君は、無理には言わないけど、私達はできだけ限り長く、彼の傍にいてあげたいのよ。家族を持てない症候群の彼の傍にね」
正宗君の闇を京さんに聞いた。家族になると、いなくなってしまうと思い込んでいる彼。だから、特定の女性を好きにならない。好きになれば、将来的に家族になってしまうのを恐れているらしい。その結果、彼は女性の全裸に動じない、エロ心も湧かない、不完全な男性に変貌したそうだ。
ただ、女性の身体の感触は嫌いでは無いので、彼からは何もしないが、女性が何かする分には抵抗もせずに、したようにさせているそうだ。だから、私の淫乱化も受け入れちゃったのか。
「深雪さん、激しいらしいわね」
京さんの言葉で、淫乱化した時の状況を思い出し、顔が熱くなっていく。
「真剣に、スタミナをつけるにはどうすれば良いか、訊かれたわよ」
京さんは苦笑いしている。
「女性の私にはわからないのに。まったく、彼ときたら♪」
ほんのり紅い顔の京さん。お兄様に訊いてみようかな?