---和泉正宗---
「どちらの名前に親近感を感じますか?」
弘一さんに訊いてみた。
「では、朝霧先生と呼ばしてもらいます。部外者のいない時はね♪」
この人って、ファンなのか?
「わかりました」
「娘の非礼を詫びたい。すまない。思い込んだら、自分が正義って感じの娘なんだ。本当に迷惑を掛けてしまったな」
「いえ、良い経験が出来ました。次回作で利用するかもしれません」
「そうか…そう言って貰えると助かる。で、賠償なんだが、たぶん娘は18歳未満の為、罪を問えないとは思うので、民事事件として賠償をして行きたい。壊した物は総て賠償する。後、望むことはあるかな?」
「二度と深雪に手を出さないでください」
「わかった。言い聞かせておく。後、娘をモデルにしていいぞ♪」
う~ん…作風に合わない身体なのだが…トランジスターグラマーな彼女。背丈に対して、胸とお尻がデカイのだ。ドワーフとかならいけるかな?
「朝霧先生の有りそうで無さそうな日常は好きなんだよ」
あぁ、やっぱり。ファンは大切にしないとな。自分の部屋から『悪魔と天使』シリーズの完結編を持ち出し、弘一さんの目の前で、サインを入れた。
「これをお持ちください」
「良いのか…これを貰って…」
「家に来てくれたファンの方には、贈り物を心掛けております」
「話には聞いていたが、実直だな、君は」
誰に聞いたんだ?
「朝霧先生の支援者に加えてくれないか?警察関係で困ったことが有れば相談に乗るし、多少なら資金も用立て出来る。どうかな?」
有り難い話なので、お願いした。ただでさえ、ストーカー被害者が多いから。非力な俺では護れない気がするし。
「では、新作を楽しみにしているよ」
弘一さんが帰って行った。
---和泉紗霧---
蚕ちゃん、なゆちゃんを部屋に呼んで、おパンツ会議をしている。獲物見つけたのだが、どう切り出すか、二人に相談をしている。
「そうだよね。隙が無い感じですよね」
って、おパンツ星人の蚕ちゃん。ちなみに、蚕ちゃんのおパンツは見る価値は無い。グ○ゼのコスパの良いおパンツらしいから。
「襲い掛かったら、直ぐに制圧されちゃいそうだよね」
って、裸族のなゆちゃん。ちなみに裸族なので、おパンツはシンプルである。
「蚕ちゃんは、そんなおパンツを履いているのに、どうして、あんなおパンツを描けるの?」
疑問を訊いてみた。彼女の作品に出てくるようなシルクのおパンツを、履いているのを見た事が無いから。
「鑑賞用にコレクションしているんです」
鑑賞だけの為に買っているのか…う~ん、そこまではしたくないなぁ。履いていないおパンツは単なる布であるから。
「いつものように『あなたのおパンツを見せて下さい』でいいんじゃないの?」
って、なゆちゃん。
「彼女は、兄さんのお気に入りだよ。失礼があったら、スルーの刑2週間なんて言われたら、泣くに泣けないもん」
スルーの刑2時間も辛かった。あれは食らいたくない罰だ。私の食事もスルーされたら、餓死は必至である。
「そうよね。スルーの刑はきついよね」
なゆちゃんも食らっている。兄さんがちっひーと添い寝をしているのに、いつもの様に夜這いをして、半日ほど食らったそうだ
「ちっひーと添い寝の時はダメだよ。ちっひーが枕を持って夜這いって、よっぽどの時なんだから。なゆちゃん、空気を読もうよ」
「紗霧ちゃんに言われるとは…」
確かに…ちっひーがいても、逆サイドに潜り込んだことがあるし。
「で、今回のターゲットはどうしましょう?」
この館初めての武闘派の女性らしい。で、エリさん曰く、黄金比ボディだと言う。この館ではうまるちゃんがそうらしいので、二人目らしいのだが、うまるちゃんは『ぐーたら姫病』が有る為、兄さんの対象にはなりにくい。
「正宗君の好みって何かな?」
兄さんの好みのおさらいか?
「私、エルフちゃん、青葉ちゃん、蚕ちゃん、切絵ちゃん、ヒカリちゃんは妹枠だよね」
「私は大丈夫だよ♪」
裸族が自慢げに言った。今に見ていろよ!
「で、ひっちー、うまるちゃんが鬼門だろうな」
「好きなタイプではあるよね?」
「でも、ちっひーとうまるちゃんでは体型がまるで違うんだけど…」
「うまるさんがOKなら深雪さんもOKですよね?比率は同じだし」
「問題は私達と同じ体型のちっひーはなんでOKなんだ?」
いや、私が対象外になっている原因はわかっている。年齢的なものだ。まだ、準備OKな身体では無いようだった。
「ですよね…」
いや、蚕ちゃんは体型以前なんだろう。おパンツを髪飾りにする神経が、兄さんには分からないらしい。
「ちっひーさんのおパンツはどうでしたか?」
タブレットの画像を捲って、ちっひーがモデルのイラストを見せた。
「スポーツブラに普通のタイプか…」
コンコン
ドアがノックされた。息を潜める私達。
「おやつをお持ちしました」
ドアを開けて、今回のターゲットの深雪さんが現れた。テーブルの上に、ジュースとクッキーを置いてくれた。
「うん?どうしたの?紗霧ちゃん」
怪訝な顔で私を見つめている深雪さん。いつものセリフが口から出ない。見つめられるだけで、何かの重圧を感じる。脳裏で兄さんの声で『無理と無茶はダメだぞ。わかっているよな』って、響き渡っている。
「あの…」
勇気を振り絞る。今が勇気の使い所だ!
「おパンツを見せて下さい!」
ついに言えた。唖然としている蚕ちゃんとなゆちゃん。きょっとんとしている深雪さん。あぁ~、変な妹と思われちゃったかな…
「今日は見せパンだけど、いいのかな?」
頬と耳を赤らめた深雪さんから、意外なお返事。
「正宗君と…添い寝する時意外は、見せパンだけど…」
ガーーーン!兄さんにしか見せないのか…
「え?泣かないでよ、紗霧ちゃん」
失礼な事を申した私を優しく抱き締めてくれた。うっ!気持ちが良い…胸の感触って、こんなにも気持ちいいのか…私だって、いつか…野望は大きいのだ♪
「恥ずかしいなぁ。また、そのうちね♪」
って、真っ赤な顔で部屋から出て行ってしまった。
「なゆちゃん♪」
なゆちゃんに抱きついてみた。あの感動は無い。黄金比のもたらす奇跡なのかな?
「どうした、紗霧ちゃん」
「いや、抱き心地を検証してみたの」
「どうだった?」
「深雪さんに軍配が…」
「えっ?そんなに違う?」
「雲泥って感じ…」
「う~ん…もう少し大きく無いとダメかな?」
「裸族で大きいと垂れるのでは?」
「それはもっとマズいなぁ」
蚕ちゃんの指摘で、悩み始めた裸族のなゆちゃん。って、なんで、私の部屋で裸族をしているんだ?
---白川京---
正宗君が社屋で唸っている。朝霧作品の新作の目処は付いたらしいけど、マサムネ作品の目処が付かないようだ。
「どんなモデルを探しているんですか?」
「紗霧のリクエストの紅兎の陵辱シーンは書けたんだけど、彼女を襲う生徒の下僕化のシーンが書けないんだよ」
「どんなタイプの女性をイメージしていますか?」
「う~ん…」
確か、理科室に連れ込んで…そうなると白衣の似合う女性か…見た物を元に妄想を膨らませる正宗君。元が無いので、書けないようだ。
「みや~さんにしたいけど…」
え?私?好みじゃ無いでしょ?
「ダメだよね…う~ん…」
それで、ここで唸っているのか…私がここにいるから…
「私は白衣は似合わないと思うよ」
ジト目で見ている正宗君。イメージが私なのか?3階の資料庫に向かい、白衣を着て2階へ降りた。
「どうかな?」
「違うんだよ。女生徒なんだよ。白衣の下は制服だよ」
あぁ!そうだね。生徒役が欲しいんだよね。でも…
「私に合うサイズの制服が無いんだよ」
「あぁぁぁぁ~!そこかぁ!問題は…」
凹んだ正宗君。私と彼のヤリトリを見ている事務員予備軍のうまるさん、深雪さん、恵さん。しかし、正宗君は彼女達の視線を感じていないみたいだ。
「どうするかな…みゃーさん、僕の締め切りって、いつだっけ?」
素に戻ると一人称が「僕」になることがある正宗君。少しパニッくっているのかも知れない。
「ちょっと待ってねぇ…えぇっと…和泉マサムネ先生は7月の中旬ですよ。だから、後3週間位かな」
「3週間かぁ…う~ん…」
正宗君は徐に立ち上がり、どこかへと出て行った。
「大丈夫ですか?」
深雪さんが心配そうに訊いてきた。
「スランプだな…無茶しなきゃいいけど…」
「私が立候補しましょうか?」
って、うまるさん。
「ここにいる4名は眼中に無いわ。ここにいない誰かが…」
誰を襲う、いやモデルにするんだ?あのスランプ先生は…
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夜…人気の無い資料庫。正宗君と二人っきり…イメージは私らしい。なんで、私なんだ?
「私は高校生じゃないよ」
私の問い掛けをスルーし、何かを考えて居る正宗君。で、
「どうされるのがイヤですか?」
考えが纏まったのか、訊いてきた。
「無理ヤリはイヤ。ムードの無いのはイヤ」
ここでモデルにされるのはイヤである。でも、身体は何かを期待している。乳首が立ってきているし、少し濡れてきてもいる。
「そうか…」
ツカツカと私の方へ近寄って来た正宗君が、私に抱きついた。私の胸に顔を埋めている。ブラが微妙に動き、その刺激で濡れ具合が多くなっていく。
「ダメだよ…正宗君…」
彼は言葉を発することなく、頬を重ねて来た。ビクっと身体が跳ね、彼のしたいようにされている。
「イヤなら抵抗してください」
耳元で囁く彼。抵抗…出来無い。彼の行動を受け入れている私の身体。
パチッ
ブラのホックが外された。張ってきた乳房が拘束から自由になっていく。ブラのストラップを腕から抜き去る彼。ブラウスのボタンは既に外されていた。あっという間に上半身が産まれたままに。
スカートのホックを外されと、スカートは床に落ちていき、湿り気を帯びているパンティーは外気により冷たさという刺激をもたらしてくれていた。
欲しい…でも言えない。イヤだと言ったシチュエーションだから。私の意地である。
ゆっくりと机の上に押し倒されていく。背中に机の冷たさが伝わり、その刺激を愉しむ私の身体。パンティーがゆっくりと脱がされていく。何も抵抗しない私。そんなメスになった私に彼の身体が重なってきた。意外な焦らし…私の中に入ってこないで、身体を重ねるだけって…こんなにも欲しいのに…
「どうして…」
「イヤなんだろ?」
「ここまでしたのに?」
「イヤなんだろう?」
「イヤじゃない」
「イヤなんだろ?抵抗していいよ」
「だから…イヤじゃないわよ…」
私の指が彼を私の中へ誘導して、中に入って貰った。
「イヤなのに?」
不思議そうな顔の彼。そういうことか…心理状態を知りたかったようだ。行為がしたい訳でなく。イヤがる女性の心の変化を知りたかったのだろう。
「イヤだけど…正宗君ならば…参考になったかな?」
「みゃー、ありがとう♪そうか…身体と心は別なんだね」
うん?心理状態では無く、ソッチの確認か。用が終わったので、私から離れようとした彼を抱き締めて放さない。
「放置はダメだよ。最後までやってくださいね♪」
とっても困った顔の彼…この表情は好きだよ。
---和泉正宗---
みゃーのおかげで、イメージが湧いた。スケッチブックに妄想した情景を描き、それにそって更に妄想を膨らませて、文字に置き換えていく。
紅兎と共に、下僕化した者達に抵抗していた女生徒。紅兎と別行動中に、触手に襲われた。逃げて、抵抗する彼女。しかし、触手に手、脚を拘束され、触手の先端は彼女の下着の中に潜り、蠢いていく。拒否する彼女の心、受け入れる彼女の身体…そして…先に描き上げてあった、紅兎のシーンへと続くのである。
「おぉ…兄さん、今回も攻めたねぇ~」
紗霧に誉められた♪
「で、モデルは誰にしたの?ねぇ、マサムネ?」
エミリーに訊かれた。朝霧の挿絵には顔は描いておらず、誰かが分からないようになっている。身体はなゆであるけど。
「身体は裸族だよね?」
って、紗霧がビンゴである。
「え?私をモデルに?何にもしてくれていないんですけど…」
不満げな顔のなゆ。当のみゃーは、顔に出さずに、誤字脱字チェックをしてくれている。
「で、7月中の締め切りで、あがっていないのは?」
大和さんに訊いた。
「後は、千寿先生ですけど、間に合うと思いますよ。問題は8月の締め切りです。山田先生と可児先生、後…伊月先生です。8月はエルフアイランドでの合宿があるんですが、どうしますか?ねぇ山田先生♪」
意地悪っぽく、大和さんがエミリーに訊いた。
「はぁ~?持ち主抜きなんて許せないわ!絶対に7月中に書き上げて、一緒に行くからね」
8月の1ヶ月間は、エミリーの島で過ごす予定になっていた。昨年の話を聞いた、不参加の仲間達が楽しみにしていたのだ。
「もちろん、私も書き上げますよ。プライベートビーチなんですよね?ヌーディストビーチにします♪」
なゆも7月中に書き上げるようだ。
「俺も行くよ。水着美人達を見ながら、クリスさんと酒を飲むんだから♪」
伊月先生も意欲を露わにしている。伊月先生は、ちっひーをちっひー枠にしたと、宣言した。妹でも弟でも無いちっひー枠。だから、妄想の対象外なんだと結論付け、妹がいないから妄想を愉しめるのだと達観したようだ。これにより、ちっひーと伊月先生の兄妹関係はぎこちないけど、修復方向になり、なゆ、みゃーとも、修復しつつあるようだった。