※この作品はR-18です。

冴えない彼氏の育てかた   作:もっち~!

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人魚とセントール*

---羽島伊月---

 

久しぶりに、ちっひーが部屋に来た。ちっひーとの関係性は正常化している。ちっひーが彼を恩人枠として捉えているように、俺は、ちっひーを妹では無く、ちっひー枠として捉えたからだ。

 

「どうした?」

 

浮かない表情のちっひー。

 

「どうすれば、正宗君を救えるかな?」

 

自発的に仲良くなろうとすると、消えそうで恐いという彼は、自発的に女性を求め無い。あのカオス的なハーレム状態で、平常心って言うのは異常である。

 

「徐々に、距離を縮めるしか無いだろうな。彼が警戒しないレベルだ」

 

女性嫌いでは無い。来る者は拒まない。可児子の夜這いを嫌がらない。正常なレベルである。最後の1つは異常であるかもしれないが。

 

「今は、彼の思い描いた道を進めよ、ちっひー♪」

 

「それしかないかな。で、兄さんの調子はどう?」

 

ここに住みようになって、妹枠のモデルが増えている。ケンケン曰く、正常レベルに近い性癖になってきたなって感じで、ファン層は少し広がった感じだ。

 

「妹物の大家を目指すべく、孤軍奮闘中かな」

 

「そうなのか…兄さんはここに来て良かった?」

 

こんな俺を心配してくれるちっひー。

 

「あぁ。ちっひーとも、みゃーとも、可児子とも、以前通りの交流が戻ったし。可児子の過剰な愛情表現も減ったしなぁ」

 

良かったんだと思う。そういや、春斗はどうなったんだ?音沙汰が無いが…

 

 

 

---金剛叶---

 

正宗君の思い描く飲食店計画。資金以外、順調に進んでいる。作家は固定給では無いので、1年間に稼いだ額で考え無いとダメらしい。稼げない月も当然有るから。今、使っている資金は、昨年中に稼いだ額から税金などの控除を引いた額で賄っているそうだ。

 

まぁ、足り無ければ、私達の父親が補填する気でいるけど。

 

妹のひかりは、ここへ住んで変わった。人見知りが減った気がする。度々、彼の家へ遊びに行き、千尋さん、うまるさん、深雪さんとの会話を楽しめるようになったそうだ。

 

彼はどこを目指しているのだろうか。妹さんだけでなく、仲間の将来まで考えるなんて、高校生としてどうなのって感じである。そういうのは、私達大人が考えることなんだけど、彼の発想には付いて行けていないのが現状である。

 

ここに生活基盤を移して、タイヘイとの交流は、スムーズには成ってきている。緊張する相手が彼に移ったことで、タイヘイを過剰に意識せずに、会話が出来ているのは良かったことである。タイヘイと一緒になろうかと思う時もあるのだが、彼を忘れられない。私の知らない私を見つけてくれそうだし…

 

 

 

---白川京---

 

あれほど説明したのに、『何だ、これは』って、訊いてきたヤツがいた。

 

「この合宿費って何だ?」

 

「説明しましたよね?メールでお知らせもしましたよね?」

 

「覚えていない。見ていない…」

 

こいつは…変わらない性格の伊月。

 

「じゃ、伊月はお留守番組ってことで。あぁ、合同イベントだから、合宿費は天引きしますからね」

 

合同イベントとは、ここに所属する全員の参加が可能となるイベントで、その費用は会社と儲けの出た作家陣で持つ決まりになっていた。

 

強制参加では無いので、参加は自由であるが、ノルマは課せられる。参加しなくても儲けの出た作家は費用を払うこと。参加しない分、納期のノルマがキツいことだ。さて、伊月君はどう選択するのか?

 

「そうか…会社で決まったことなのか。ならば、払う。で、イベントの内容は?」

 

うっ!こいつ、マジでお知らせを見ていないようだ。内容を知れば、喰い付くと思うのだが…

 

「山田エルフ先生の所有するプライベートアイランドで、8月の1ヶ月の間、合同合宿をします。編集部が許せば、担当者と1ヶ月の間缶詰も可能です」

 

「ケンケンと缶詰はノーサンキューだな」

 

まぁ、そうだろうな。

 

「プライベートビーチも有り、女性陣の水着姿を堪能出来るかもしれません」

 

「えっ?マジ?う~ん…妹枠系の水着姿かぁ♪」

 

エサに喰い付いた伊月。

 

「でも、参加しないんだよね~」

 

「ちょっと、待て!結論を急ぐな。う~ん…ビーチ…行く。行きます。いや、参加させてください」

 

土下座をしてきた伊月先生。これには驚きである。食いつき過ぎだぞ!

 

「ちなみにケンケンが参加するそうだよ。同部屋宿泊は決定だからね」

 

「えっ?」

 

「えっ、じゃないよ~。好みの女性と同じ部屋を狙っていたの?」

 

「違うって…一人部屋…実物の妹枠がいたら、妄想出来無いだろ?」

 

あぁ、確かに妄想出来無いな。現実を見たら、卵を産む妹なんか妄想出来無い。脱ぎたてのパンツなんか喰えないだろうな。

 

「あと、7月中に締めきりをクリア出来無いと、強制的に留守番決定だからね!伊月とエルフ先生の二名はね」

 

島の所有者が不参加の可能性が有る。現在、参加を目指すエルフ先生は追い込み中である。

 

「あと2週間か…がんばる!絶対に書き上げる」

 

これで、全員で参加できるのかな?

 

 

 

---土間うまる---

 

美智留さん、千尋さん、私、恵さんで、水着を買いに行った。詩羽さん達は、もうネットで購入済みらしい。う~ん、どういう水着がいいんだ?

 

「これなんかどう?」

 

美智留さんが手にしたのは、シースルー生地の上下。まる見えである。

 

「無理です。美智留さんが着て下さい。男性は正宗君以外にも、いるんですよ!」

 

恵さんが拒否。

 

「昨年はどうだったんですか?」

 

参加経験のある恵さんに訊いた。

 

「普通のビキニだよ~。全裸だった時も有ったけど、ムネ君は興味無いみたいだから。でも、今年は他の男性が参加するから、全裸はマズいかなって」

 

全裸も有りだったのか…う~ん、私的には全裸は無いなぁ。

 

「美智留は、全裸でいいんじゃないの?たぶん、なゆも全裸だろうし」

 

って、恵さん。千尋さんは?あれ?もう買っているし。

 

「どういうの?」

 

「バトルスーツ風のがあったから…あと、スクール水着風とか。露出は少な目で、普通とは違うテイストのものにしました。正宗君の参考資料になれるようにね♪」

 

あぁ、そういう発想も有りだよね。資料目的ならば、見つめてくれそうである。う~んどうするか…

 

美智留さんと恵さんの攻防は続いていた。スタイルに自信のある人はいいなぁ。どうしよう…ビキニとワンピを買うか…その時、目に入って来た水着…チューブトップかぁ…実用性は無さそうである。一見履いていないように見える肌色のパンツ…恥ずかしいけど…これも購入♪

 

水着選び…女同士の戦いは始まっていた…

 

 

 

---和泉正宗---

 

朝霧作品の新作を構想中である。島に行くんだし、人魚も有りかな?人間と人魚の恋物語はありふれている。奇抜な組み合わせは…達也さんが脳裏に浮かぶ。達也さんだと、何の種族にすると絵になるかな?先日描いた赤髪の女性との絡みの絵を見つめる僕。

 

「お兄様の絵を見て、何を唸っているんですか?」

 

深雪が声を掛けてきた。構想途中の構想を聞かせた。

 

「人魚はエリカさんですか?」

 

「深雪の方がいいかな?」

 

スケッチブックを手にして、妄想していく。人魚になった深雪を…透き通る肌…クリスタルボディにするか?背景が光の屈折で歪んで透けて見える。

 

「透き通る肌だと、こうなるんですね」

 

描いている途中の絵を見て、深雪が感想を漏らした。

 

「そうか、水で出来ているようにすれば良いのか」

 

しかし断念。ウォーターボディーが表現出来無かった。難しいなぁ。見た事ない物は。で、達也さん…広く厚い胸板、凜々しい顔立ち。戦士系だよな。ドワーフ?猿人系?しっくり来ない。う~ん…深雪はネットで、達也さんに合いそう種族を検索していた。

 

セントール…ふと脳裏に浮かんだ言葉。セントールって何だっけ?辞書を調べる。そうか、ケンタウロスかぁぁぁぁぁ。ぴったり合いそうだ。スケッチブックを手にして描いていく。

 

「え?見付かったのですか?」

 

描き始めたことに気づいた深雪が、声を上げて近づいてきた。

 

「ケンタウロスですか…上半身はお兄様で、下半身は馬かぁ」

 

力強そうな馬を、競馬のデータベースで調べて、画像データを得た。問題はどこまで上半身かだ。臍の上か、下か…腹筋美を考えると臍下かな?構造的に考えて、骨盤辺りで融合が自然なのかな?

 

構造を妄想する為に、骨格図を妄想していく。人間の骨盤と、馬の肩を融合させてみる。背骨はL字湾曲して尻尾に繋がる。そうなると、人間の性器部分は馬の腹辺りに来る。ケンタウロスの性器は、確か馬側だったはすだ。

 

「骨格から考えるのですか」

 

特異な技法を興味深く見つめる深雪。

 

「うん。これが終われば、次は内臓だよ。心臓がどこにあるかで、戦闘シーンで死なない戦い方が妄想出来ると言うか」

 

この場合の心臓の位置は問題である。人間側にあるのか、馬側にあるのか、両方にあるのか。作者の妄想の腕の見せ所だな。あの巨体を駆動するには大きくて丈夫な心臓は必要だろうな。人間の器には入り切らない可能生がある。馬側にするか。その分肺臓は人間側に大きな物を設置だな、

 

内臓図が描き終わると、筋肉図に着手。そして、最後に皮を着させた。

 

「う~ん…お兄様はケンタウロスだったのですね」

 

って、深雪も妄想世界に入ってきていた。

 

「まだ、問題はある。人魚とケンタウロスって、どうやって交わり、どうやって愛し合うんだろう?」

 

海の亜人と平原の亜人。生活スタイルが違いすぎる。

 

「それは難しい問題ですね」

 

「そもそも、魚類と馬類で交われるのかな?」

 

何かを想像してしまった深雪の顔と耳は真っ赤に染まった。

 

「うっ…人魚の身体が破れちゃいますよ」

 

馬並み…デカイのを想像したんだね。

 

「体位も問題だよ。馬は下になれない。でも人魚を下にすると圧搾死だよな」

 

「腹上死では無く、腹下死ですね…」

 

「そうか!水の中で、人魚が浮いた状態で、交われば良いのか」

 

スケッチブックを手にして、ラフスケッチを描いていく。

 

「これなら出来ますね。でも、顔が遠いですね」

 

身体に対して、直立してる上半身のケンタウロス。下半身が交われば、顔は遥か上になる。

 

「そうか…魚部分を馬部分と同じ長さにすれば、人間部分は抱き合えるはず」

 

ラフスケッチを更に描いてみた。人魚がデカく見える。でも、物理的にこれしかないと思う。この異種族カップルが成就するには…

 

「これなら、愛し合えますね」

 

深雪の視線は、達也さん似のケンタウロスを見つめていた。

 

「よし、これで、キャラ設定は出来た。後はプロットだな」

 

思い浮かぶ情景をラフスケッチに起こしていく。舞台は海でなくて、あの湖だな。光が飛び交うあの湖…ラストシーンをラフスケッチした。

 

「えっ?!最後、人魚は光の粒子になるんですか…」

 

哀しそうな表情の深雪。達也さんと一緒になりたいのかな。

 

「人魚の世界は水の底だよ。ケンタウロスが引き込まれれば、彼が死んでしまう。それは酷い姿の死体になるはずだ」

 

「ですよね」

 

涙目で、ケンタウロスの最後のショットを見つめる深雪。

 

「朝霧沙樹はそういう作家なんだよ。哀しい最期しか描けない…」

 

俺の最期はどうなるのだろうか…紗霧…

 

 

 

---千寿ムラマサ---

 

正宗君の新作のプロットを見せて貰った。涙が止まらない。なんていう物を書くのだ?!こんな物を見せられたら、戦闘物が書けないじゃないか…

 

「先輩、どうかな?」

 

「この顔を見て、わからないのか!」

 

住む世界が違う二人…最期は想う気持ちの重い方が消えるのだな。相手を護る為、相手にもっと生きて欲しいから。

 

「君なぁ!どうしてくれる。身体が震えてきたじゅないか」

 

えっ?!

 

正宗君が私を優しく抱き締めた。震えが収まっていく。

 

「花ちゃん、その顔…かわいいよ♪」

 

かぁ~っと、熱くなる頭。たぶん。顔と耳は真っ赤だろうな。恥ずかしいよ~。

 

「名前で呼ばないで…恥ずかしいよ~」

 

正宗君の胸に顔を埋めた。私の後頭部を、優しく撫でてくれている。うっ!顔を上げられない。恥ずかしい…彼の片手が背中を抱き締めてきた。

 

このまま…押し倒されて…って、背中から移動しない彼の手。何もしないのか?弱っている女の子を前にして…身を委ねている弱っている女の子だよ~。

 

「落ち着いたかな?」

 

なぜ、こんなシチュエーションで、そんな優しい言葉が出るのだ!壊したいとか言え無いのか?

 

私の肩を両手で抱き起こし…え…着物が肩から脱げていく。上半身裸になった私。彼は私の顔を見つめている。どうなるの…まだ中学生なんですけど…彼の目つきは観察者の様になってきた。何に興味を持ったのだ?ねぇ、中学生だよ。無茶はダメだよ~。

 

壊して欲しい心と、恐怖心がせめぎ合う。声に出せない心の叫び…彼の指が乳首をタッチ。うっ!身体の芯が熱くなっていく。

 

「正宗君…」

 

「花ちゃん…」

 

彼の目には千寿ムラマサは映っていない。彼を想う梅園花が見えているだけか…ゆっくりと、押し倒されていく。望んでいたけど、ダメだよ。まだ早いって…

 

畳に寝かされて、帯が解かれていく。太股が痙攣している。足の裏が熱い。これって…着物上で全裸で横たわっている私。ノーブラノーパンだったので、着物を脱がされると全裸姿になる。

 

彼の指が割れ目をなぞった。うっ…入れられちゃうんだ…望んでいたことなのに、何故か恐い。目を閉じて、その時を待った。でも、その時は訪れない。どうしたのだ?目を開くと、私しか部屋にいなかった。そして、机の上にメモが…

 

『まだ早いな…かわいい花ちゃんへ』

 

って書かれている。そうだよ、まだ早いんだよ。って、彼にとっては、妹枠なのかな?それはそれで、嬉しいような、残念なような気分だけど。

 

 

 

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