---和泉紗霧---
夏休みの合宿は、あっという間に終わってしまった。兄さんとしばらく逢えなくなる…
「ネットを介して、いつでも逢える」
って…兄さんの息遣い、兄さんの鼓動、兄さんの感触が、ネットではわからない。
「しょうがないじゃない、学校があるんだから」
って、エルフちゃん。
「う~ん…いざとなると恐いものだ」
って、ムラマサちゃん。もう一歩で、恐怖に負けたらしい。
「次は冬休みだね…」
「「だね…」」
主のいない部屋を見つめる私達。兄さんの部屋はそのままである。あの日のまま…没原稿の山を見て溜息を吐いていそうだ。
復活を遂げた兄さんの書くペースは、以前よりも激しさを増しているそうだ。神楽坂さん曰く、以前は2,3ページで没と判断できたが、今は吸い込まれるように読了してしまうらしい。
「あのペースは、書く意欲を与えてくれるよ♪」
はりきるムラマサちゃん。私も出版ペースの上がった兄さんに合わせて、イラストを描く速度を上げて、よりエロく、より釘付けにできるように技術を上げている最中である。
そんな、それぞれがヤル気を滲ませた頃、事件が起きた。
---白川京---
耳を疑う言葉…はぁ?何だって?
「大和さん、どういうことですか?」
連絡をくれた大和さんに聞き返した。
「だから…芥川賞に朝霧沙樹のデビュー作がノミネートして、直木賞に妖精シリーズがノミネートされたのよ…」
2賞同時?
「同時に貰えないでしょ?」
「デビュー作は新人作家の作品として扱われる場合があるそうよ。で、大先生は…マスコミに出ないよね?」
朝霧としては出ないと思う。
「出ないですよ。生き返ったばかりで、危険です」
何かしでかすかもしれない危険さもある。
「だよね…困ったわ。報道各社がインタビューさせてくれてって」
本社ベースは大和さん達にまかせて、私は小淵沢ベースで作家達のスケジュール管理をしている。なので、都会の慌ただしさから解放はされている。
「一応、訊いてみてくれる?」
大先生にお伺いを立てて、大和さんへ連絡をした。
「賞を取る為に書いている訳では無い!って…」
「いや、そのフレーズは使えるかもしれない。浮き世離れした朝霧のイメージに良いかも。また、動きがあったら知らせますね」
あちらは大変そうだ。
「どうしたんだ?」
伊月が訊いて来た。
「大先生が2賞同時にノミネートだって…」
「2賞?本屋さん大賞か?」
「違うわよ!芥川と…」
「直木賞か?はぁ?いまさら新人賞って、なんで?」
直木賞は大衆文学作品に贈られる賞であるが、芥川賞は新人作家の作品に贈られる賞である。
「みゃー、わかったぞ!」
コウさんから声が掛かった。
「奇跡の復活を祝ってのようだ。審査員に朝霧ファンが多いのも原因のようだ」
通称めぐみんボムから2年も正気を失っていた彼。プレス発表では、事故で植物状態と流していたが、いや、それに近かったんだけど、この度、2年振りに目覚めて、ハイペースで執筆開始とプレス発表をしたのだった。
それを受けて、朝霧ファンは新作を熱望し、そうでない人達はデビュー作に興味を持ったようだった。で、デビュー作の売上が…
「不思議だよな。同じく2年振りに、新刊を出した和泉マサムネ先生は、話題にならないのにな」
って、伊月。確かに…2年間の強烈なスランプと思われたのかもしれない。ギネス公認の没原稿製造機だし。
「売れているのは羨ましいけど…どうなんだろうな。本業の方は、話題にもならないって…」
考えていないに1票だな。『混合する性』を完結させて、和泉先生は新作のアイデアに苦悩中である。苦悩の合間に、朝霧先生が目覚めて、ヒット作を書いているというか…考えようによっては、不思議な作家である。
---司波深雪---
相変わらず下腹部の茂みに顔を埋めて、昼寝をしている正宗君。う~ん…そんなに魅力があるのかな?
「う~ん…」
目覚めて、ボンヤリしている。
「おはようございます♪」
声を掛ける。これ大事である。放置プレイなんかすると、パニックを起こす時があるのだ。ブラック正宗君はもう、こりごりである。
「あ、深雪…」
私の上に載っかって、スキンシップをしてくる。
「大丈夫ですか?」
「うん、たぶん…」
指で彼のモノを刺激して、今度は私が愉しむ時間…彼はその間、私の胸の感触を愉しんでいる。最近のお決まりのルーティンである。
そして、目覚めのシャワーを二人で浴びて、遅めの昼食である。
「ぬか漬けと味噌汁でいい?」
京香さんが割烹着姿で私達を出迎えてくれた。
「うん、あのぬか漬けおいしいよね♪」
まさか、隠し味が私と千尋さんのエキスとは言え無い…そこに興味を持たれるのは、危険である。何をしでかすかわからない。実験君モードな正宗君。
「千尋君は?」
「近くの牧場で研修しています」
彼女は、牧畜をする為のスキルを得ようとしていた。うん?正宗君がメモに何かを書いている。何かネタが閃いたのだろうか。
「いや、乳牛の乳房の中に人間の女性がいて、人間の母乳を絞っているって設定はどうかなって…」
メモを覗き込んでいたら、閃きを話してくれた。シュールだな…朝霧作品かな?正宗君の視線は私の胸をロックオンしていた。実験君かな?う~ん…
「こんにちわ♪」
玄関から声が聞こえた。あれは、うまるさん…
「どうも♪しばらく、こちらで過ごすことになりました。よろしくお願いします」
と、頭をぺこりと下げた。ライバル出現である。黄金比というスタイルの持ち主の彼女。見た目上ではライバルである。スキンシップが苦手な彼女が不利ではあるけど。
うん?正宗君の視線が、私から彼女の胸に…実験なら、彼女に譲ってもいいかな?惨いことがあるし…
---土間うまる---
最近、正宗君に対して影が薄い私。ここらで、存在感を残しておきたい。ここには、深雪さん、千尋さんという強力なライバルがいる訳だし。
「うまるさん、山菜を採りに行くんだけど、一緒に行ってくれますか?」
京香さんに頼まれた。今夜の鍋の具だろうか?
「はい♪」
京香さんにも存在感を示さないと。山…広大である。道無き道を歩く。コウさん、うみこさんが猟銃を持って護衛してくれている。クマ、猪は注意であり、ご馳走にもなるので、ウエルカム半分、デンジャラス半分らしい。
「うまるちゃん、猟銃の免許を取りなよ」
って、コウさん。確かに必需品だよな。
「深雪さん、ちっひーは取っているし」
うっ、負けている。
「取りたいです♪」
「後さぁ~、自動車の免許とかも要るよ」
取らないといけない免許、資格がいっぱいあるようだ。
「チェンソーも使えるようになるといい」
と、うみこさん。千尋さん、深雪さんでは腕力が足り無いらしい。私も似たようなものだけど…
「チャレンジしたいです」
と、答えて置く。野草を摘み、キノコを摘む。毒性の有る物を見極めて、捨てておく。
「コウさん、雪が降る前に、草刈りをお願いしても良いですか?」
と、京香さん。
「そうですね。ベースの者で対応します」
「お願いします」
平地でないと、クマなどの足跡が見つけにくいので、危険回避の為だそうだ。
家に戻ると、正宗君は仕事中だった。残念だ…せっかく来たのに…
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夜、温泉三昧…う~ん、極楽、極楽だ。気持ち良くて眠気が…
はっ!少し寝てしまったかな?湯冷めが恐い。って…ここはどこ?真っ暗な部屋にいる。身体は動かない。まさか…実験君か?声を上げようとするが、声が出ない。これはヤバい…状況を確認しないとダメだな。えぇ~っと…どこかに埋められている。口には拘束具があるようだけど、呼吸は出来る。耳は聞こえない。目は見えない。鼻は…ぬか漬けの香り…まさか、人間のぬか漬けか?出ないと…四肢も埋まっているのか、まるで手足が動かない。
パシパシ…
誰かに頬を叩かれている。目をうっすらと開けると、深雪さん…
「大丈夫でしたか?う~ん…美味しそうな香りですよね…」
えっ?股間に広がる快楽。深雪さんが股間に顔を埋めて、むさぼっている。一心不乱に…それが妙に気持ちが良い…
「うっ…うぐぅ…」
唇を重ねて来た千尋さん…どうして?
「どう?おいしいか?」
正宗君…撮影をしていた。私が二人に喰われているところを…二人の舌が乳首を舐める。背筋に電流が走り抜ける。股間から何かが流れ出ている。口元からも…気持ち良すぎる…
太股に柔らかい物が密着している。この感触でも達しそうだ…正宗君は私の表情を撮り続けている。ダメ…撮らないで…
「あぁぁぁぁぁ~」
呻き声しか出ない。喘ぎ声しか出ない。なんだ、この刺激は…そうだ、こまるに変身すれば逃げられるのか?こまるになろうとした瞬間、股間に何かが入って来た。大きくて、太くて、固くて、そそり立っているモノ…このまま縮小すると、たぶん、下腹部は裂ける…
絶望的な私は四つん這いにされ、後から三名の人物に太股を押さえられ、股間に入れられ、両腕を取られた恰好で、胸を弄ばれていく。目の前にはカメラがある。こんな姿を録画って…ダメ…やめてぇぇぇぇ~!
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布団の上で目覚めた。あれ?あれは夢?身体の臭いを嗅いでみる。ぬか漬け臭い…って、ことは?布団を抜け出して、リビングに降りると、朝ご飯の用意をしている京香さんがいた。
「今朝は大根のぬか漬けですよ♪」
1つ摘まむ。美味しい…ご飯が進みそうだ。
「あれ?まだ起きて来ないの?」
朝練を負えたエリカさんがやって来た。
「まだみたい…昨晩は荒れたらしいから…」
荒れた?誰が?
「ちょっと見て来ます」
エリカさんは竹刀を持って、温泉の方へと消えていった。
---千葉エリカ---
実験君かな?寝坊かな?注意をしながら、進む。実験モードになると、たまに見境が無くなる大先生。お風呂場は異常無し。そうなると醸造蔵か?いや、寝室が先か…
大先生の部屋に入ると、大先生はビデオを見ながら、仕事をしていた。そこに深雪の姿が無い。しくじったのか?大先生の見ているビデオをチェックする。うまるちゃんを深雪、千尋ちゃんが襲っている。目が点になった私。そこに隙が生じ、竹刀を奪われて、畳に押し倒された。
大先生が私に馬乗りになった。固い物体が、丁度下腹部辺りに押し当てられている。両手首は畳に押し当てられている。大先生は私の表情を見つめていた。ここは刺激しないように…ゆっくりと反撃の機会を…
「うっ!」
股間に竹刀の先端を押し込むバカがいた。
「止めろ…深雪…」
マズい、パンティが破れたら、竹刀が身体に侵入してきそうだ。どうしてんだ?
「エリカ…昨晩のキノコ…」
大先生が必死に私に何かを言おうとしている。そうか、昨晩のキノコかっ!毒キノコ…それも幻覚系か?
「正宗君…ゆっくりと、呼吸をして…」
「胸…柔らかい…」
「後で、ゆっくりと舐めていいから。深呼吸をして」
ビリッ!
パンティが破れ始めた。股を閉じて、竹刀の侵入を防ぐ。
「深雪…頼む…エリカ…」
大先生が後に倒れた。竹刀の上に倒れ込み、深雪から竹刀を奪った。飛び起きて、深雪の首筋に手刀を叩き込み、意識を刈り取る。そして、達也君に連絡をした。
「毒きのこ中毒だ。助けてくれ~!」
「わかった。30分、耐えてくれ」
って…昨晩、キノコを食べなかったのは、私と誰だっけ?なんか、見かけないキノコが鍋に入っていたよな。アレかな?
「エリカ…逃げろ」
正宗君が這って深雪の元へ行き、深雪の上に載って、体重で抑え付けている。
「言葉に甘えて♪」
達也君が来るまで、寒空の下で待った。
---土間うまる---
私の摘んだキノコ…幻覚系毒キノコだったらしい。達也さんの処置で、毒を無害してもらい、意識がしっかりしてきた。
「禍々しいキノコ以外にも毒はあるんだよ。見極めはプロでも難しい」
キノコの勉強しないと、命に関わりそうだな。
被害はエリカさんのパンティ…後、私の膣でなれ鮨を作ったらしい。室と一緒だものな。後、大根のぬか漬け…私のエキスが隠し味だとか…
エリカさん以外、ほぼ全員幻覚を見たらしい。で、ここで疑問が。幻覚症状でカメラで撮影って可能なのか?
「普通はダメだろうけど、幻覚に興味の探求が打ち勝ったんだろうな」
って、達也さんが苦笑いしている。どんだけ、観察君になっていたんだ?
「エリカ…ごめんね」
深雪さんがエリカさんに謝っている。
「わかったよ。なんで抱きついているんだ?うん?なんで、胸を揉むんだ…お前、そっち系なのかぁぁぁぁ~!」
深雪さんと千尋さんは両刀らしいから注意してと、達也さんに言われた。う~ん…この家に住むとそうなるのかな?なんか、こわいなぁ…