※この作品はR-18です。

冴えない彼氏の育てかた   作:もっち~!

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夏合宿 Part1

---和泉正宗---

 

肝試し時に発生した隠し倉庫での惨劇…なので、みんなで、エルフの館の未使用部分を捜索することにした。万が一に備え、窓の無い部屋に入る際には、防毒マスクを着用した。

 

館購入時に手に入れたという、屋敷の図面を手にして、捜索をする。結構、年代物のヤバい物が出てくる。ギロチン…誰が使ったんだ?剣や刀…ファンタジー世界から、転移してきたのか?まぁ、そういうヤバい物は、山田さんのお兄さんが処分してくれるそうだ。

 

「なぁ、エルフ…」

 

「マサムネ…二人の時は、エミリーって呼んで…」

 

「エミリーってペンネームか?」

 

「はぁ?本名よ!エルフが本名な訳無いでしょ!エミリー・グレンジャーって言うのが本名なのよ」

 

取り敢えずスルーして、本題を切り出す俺。

 

「で、エミリー…使っていない部屋を貸してくれないか?」

 

俺の提案に目が点になる山田さん。

 

「どうするの?」

 

「改装して、共同の作業部屋にしたい…俺の家は狭いから…毎週のように集まるのはいいんだけど…効率が悪いだろ?」

 

「費用は折半よ」

 

「何言ってんだよ。俺が全部持つよ、大家さん♪」

 

「アンタ!お金…有るの?」

 

心配そうに俺を見るエミリー。

 

「和泉マサムネ名義だと…無理だけど…裏技の方ならね♪」

 

--------

 

こうして、館の使っていない部分を改装して、作業部屋にすることにした。大体の構想をエミリーのお兄さんに伝えると、工事とかの手配をしてくれるようだった。エミリーの島での合宿中に改装を終わらせる予定だそうだ。

 

「マサムネ君…20万部作家で出せる金額では無いだろ?」

 

ムラマサ先輩に構想を話したら、恐い顔で睨まれた。

 

「まぁ、副業の方の稼ぎで…」

 

「副業?そんなことをしているから、心がこもっていない作品になるんじゃないのか?」

 

激高している彼女の前に、新作『囚われエルフ』のサイン本を置いた。

 

「うっ…これは…朝霧沙樹の新作…何…サイン本だと…」

 

本を手にしたムラマサ先輩の手が震えている。

 

「それの印税で、どうにしますよ。先輩♪」

 

俺のことを驚いたような表情で見つめる先輩。

 

「マサムネ君…君が朝霧…あぁ、そういうことか…やられたよ♪」

 

ペンネームに仕込んだ事に気づいた先輩。多くを語らないでもわかってくれるのは有り難い。

 

「そうか…あのベストセラー作家が君だったのか…私も少し寄付をするよ、後輩。君達と合同で作業がしたいからな」

 

満面の笑顔の彼女は、俺の渡した本を大切そうに抱き締めていた。

 

------

 

集合場所に集まった、山田さん兄妹、俺、紗霧、ムラマサ先輩、恵さん、エリさん、詩羽さん。そして神楽坂さんまでいる。なんでだ?

 

「合同合宿って聞いて、敏腕編集者として同行しようと思った訳よ」

 

集合場所は、空港…エミリーのプライベートジェットで、近くの島まで行き、そこから、エミリーのプライベートクルーザーでエミリ-のプライベートアイランドへと向かった。エミリーのお兄さん、クリスさん曰く実家が金持ちらしい。なので、全部印税で買ったというのは嘘になるそうだ。

 

「マサムネ君、君と知り合った妹は変わったよ」

 

俺に気さくに話し掛けてくるクリスさん。

 

「悪い方に?」

 

「いや、良い方にかな。ワガママでどうしようも無い妹だったけど、気遣う心をゲットしたって感じだよ。ありがとう」

 

「いえ、俺も迷惑をかけているし」

 

「妹は迷惑と思っていない。で、妹の事はどう思っているのかな」

 

「どう?妹枠かな…紗霧と似たような年齢だし」

 

「妹枠か…今はそれで良いけど…」

 

「将来のことはわかりません。でも、現状で言うならば、紗霧のことを理解してくれる女性がいいかなって。エミリーは紗霧とも仲が良いし。妹が二人って感じです」

 

「君は正直だな。それが妹には良いんだろうな。フィルターを通さずに、現状を見て、本音を言ってくれる君がね♪」

 

「お兄様!」

 

エミリーの声が聞こえた。声のした方を見ると、顔を真っ赤にして、ワナワナと震えているエミリーが仁王立ちしていた。

 

「うん?トイレを我慢か?」

 

「違います!」

 

「力み過ぎると出ちゃうぞ!」

 

「出しませんよ~」

 

俺とエミリーのヤリトリを微笑んで見ているクリスさん。

 

アレコレと話し込んでいる間に、島に着いた。島の中央辺りにゲストハウスが有り、行けの有る森や、白い砂浜の海岸があるそうだ。まず、ゲストハウスに向かい、部屋割り。皆一人部屋だ。自分の部屋に向かい、ベッドに横になり、取り敢えず寝る…

 

 

 

---和泉紗霧---

 

兄さんは疲れたのか、自分の部屋に行き、寝ているようだ。うん?神楽坂さん、これは美味しい身体だな…詩羽さんもいいなぁ。

 

「エルフちゃん、ここって、wifi使えるの?」

 

大事なことを確認する。

 

「使えるわよ。使えないと仕事にならないでしょ?」

 

「まず、水着に着替えて、ビーチかな?」

 

って、詩羽さんの声。う~ん、それは見ないとなぁ。直射日光下でも見やすいタブレットも持って来ているし。お姉さんチームは水着に着替えている。エルフちゃんもかぁ。私は…いいや…

 

ビーチに向かうと、水着を纏った女性が…、創作意欲が湧く。

 

「ふ~ん、こんな短時間で描けるのか」

 

神楽坂さんが、私の作業を見ていた。う~ん、詩羽さんの肢体にロックオンして気づかなかった。

 

「おぉ、新型のタブレットかぁ」

 

エリさんが近寄って来て、タブレットに興味を持ったようだ。

 

「エリさんは?」

 

「私はノートPCを持ち込んだよ。あぁ、デジカメもある」

 

「どういうことよ…」

 

ムラマサちゃんの声。おぉ~水着姿。それもハイレグビキニだぁ~!新たな獲物をロックオンした私。

 

「どういうことって、寝ちゃったんだもの。しょうが無いでしょ?」

 

「こ、こ、このような恥ずかしい恰好をすれば、マサムネ君の隣に居られるって…」

 

「1ヶ月もいるんだよ。その間に…うんうん機会は沢山あるんだよ」

 

なるほど…エルフちゃんの口車にのって、そのような姿に。兄さんがエサなのが、気になるが…この際、スルーするか。ムラマサちゃんの姿を描いていく。

 

 

 

---和泉正宗---

 

う~ん…良く寝た…久しぶりかな、こんなに寝たのは…って…えっ!

 

「おはよう♪ムネ君」

 

恵さんが添い寝をしていた。あの柔らかい胸、柔らかい下腹部が、俺に密着している。いつの間にか全裸にされていた俺…

 

「私はクリエーターじゃないから…ムネ君の傍にいたいだけ…」

 

恵さんに魅入られた俺は、彼女と身体を合わせる。柔らかい彼女の各部位。蕩けていくそうだ…

 

「俺なんかでいいの?」

 

「出逢えた奇跡は…縁が紡いだ物でしょ?」

 

あぁ、そう書いた。確かに書いた。

 

「ムネ君だけだよ。真っ直ぐと私を見てくれていたのは…」

 

あの儚げな笑顔を浮かべる恵さん。

 

ドン!ドン!

 

ドアをノックされた。バスローブを着込んで、ドアを開けると、紗霧がいた。

 

「兄さん…あの女と…」

 

「紗霧…」

 

数時間振りなのに、久しぶりに逢った気がした。

 

「えっ…」

 

紗霧を抱き締めて、頬を合わせた。紗霧から驚きの声が漏れた。

 

「どこに行っていたんだ?俺を捨てて行ったのか?」

 

「そうじゃないよ…捨てる訳無いでしょ?私の…だもの」

 

「ライバルが妹さんだと、手強いなぁ」

 

恵さんの声。ライバル?何のだ?

 

 

 

---和泉紗霧---

 

あの女が兄さんを…でも…それはそれで良かった面も有る。兄さんは一人で留守番出来無いのだ。起きた時に誰も居なかったら、パニックになっていたかもしれない。兄さんの本当のお母さんは、兄さんが留守番をしている間に、事故に遭い…それ以来、留守番が出来無くなったと、私のお母さんに聞いていた。だから、一人にしないでって…私が家にずっと居れば…そんな理由を引き籠もりの理由にしようと思った時期も有る。でも、それはそれで兄さんを苦しめることになるから…

 

「兄さん、一人にしてごめんね」

 

「大丈夫…恵さんがいてくれたから」

 

あの女も兄さんの弱点を知っているのかもしれない。これは強敵である。

 

「大丈夫よ、紗霧ちゃん。私が一緒にいるからね♪」

 

うっ!なんかジェラシーが沸々と…でも、兄さんには気づかれないようにしないと。兄さんが悪い訳では無いから。

 

「どうだった?何か収穫は合ったのか?」

 

「うん♪ムラマサちゃんのハイレグビキニ♪」

 

描いたイラストと、生写真を兄さん達に見せた。

 

「中学生でこんなに…」

 

恵さんが驚いている。いや、私もだ。中学生の割に胸が大きいムラマサちゃん。でも、あそこは熟成中なので安心だ。この女のように交わる危険性は無いから。

 

しかし、兄さんは女性の水着姿に、あまり興味を示さない。女性の裸にも興味を示さないんだよな。大丈夫なのかな?少し心配である。過労でホルモンバランスが崩れたのかな?

 

「服を着たら、リビングへ行く」

 

「うん♪」

 

リビングで待っていると、兄さんと恵さんが仲睦まじくやってきた。そして、私の座っている傍に座った。

 

「それでさぁ、このシーンのイラストを頼みたいんだ」

 

兄さんの新作『恐怖の人間枕』である。夏場に書いても、発売は冬に近いんだけど…怪談でいいのかな?

 

兄さんは、ネタ帳を見ながら、朝霧名義の新作の構想に入っていた。メインはソッチだよね。マサムネ名義は、私との共同作品を作りたいという夢の部分、朝霧名義は生活を支える現実部分って理解をしている私。任された仕事をこなさないとな。

 

「う~ん…」

 

唸っている兄さん。アイデアが舞い降りて来ないようだ。

 

「そうか…」

 

うん?何かが舞い降りたみたいだ。一心不乱にプロットを書き上げていく兄さん。今の兄さんには恵さんも私ですらも、眼中に無いんだろうだ。私も頑張らないと!

 

「エルフ先生!遊んでばかりで無くて、マサムネ君のように、仕事をしてくださいよ!」

 

「えぇぇぇぇ~」

 

山田兄妹のヤリトリが聞こえる。詩羽さん、エリさんも浜辺から戻り、仕事をしていた。あれ?ハイレグのムラマサちゃんは?

 

 

 

---千寿ムラマサ---

 

どんな服装で、彼の前に行こうかな…この水着は恥ずかしい…でも、このような暑い環境で着物は…う~ん…

 

コンコン!

 

ドアがノックされた。ドアに向かい応対に向かう。ドアを開けると紗霧ちゃんがいた。

 

「どうした?」

 

「いや…マサムネ君の前に行くのに…この水着では…」

 

「大丈夫だよ。兄さんは姿で判断しないから。私の兄さんを舐めないでね♪」

 

紗霧ちゃんの言葉で、背負っていた何かが降りた気がする。そうだった。彼は、そういう物に拘らなかったな。問題ではあるけど…女性の裸に興味が無いって…

 

紗霧ちゃんと共にリビングへ向かうと、私以外の作家勢は仕事をしていた。

 

「はい、これ♪」

 

紗霧ちゃんから、ノートPCを受け取った。

 

「兄さんから、ムラマサちゃんが来たら、渡してって。没原稿が入っているんだって」

 

そうだ…ダメ元で頼んだのだ。没原稿も読みたいと…覚えていてくれたんだ…空いている席に座り、電源を入れて、読み始めた。

 

 

 

---和泉正宗---

 

夕食後、エミリーに見せたい場所があると連れ出された。森の奥深くに、池があった。そこには光の粒が飛び交っていた。

 

「蛍…きれいでしょ?」

 

蛍かぁ…幻想的な風景だ。周囲を木々に囲まれている閉鎖空間。飛び交う光の粒。妖精が飛んでいるって言われても、納得してしまいそうだ。

 

「ねぇ、マサムネ…私と付き合ってください」

 

意味がよくわからないので、スルーする。何に付き合うのだ?散歩は今、付き合っているが…

 

「マサムネ!ねぇ…無視しないでよ~」

 

泣き声になったエミリー。彼女の頭を軽く抱き締める。これで泣き止むかな?

 

「マサムネ…今は無理って、わかっている。自覚もある。でもねぇ、大きくなったら…」

 

「エミリーのお兄さんにも言ったけど、将来のことはわからない。現状ではエミリーと紗霧は妹枠だよ」

 

「うん♪聞いていたわ」

 

エミリーが俺の胸に顔を埋めてきた。

 

「鼻水を拭くなよ」

 

「していないよ~子供じゃないもん!」

 

「まぁ、取り敢えず、今を生きようぜ!」

 

「はい♪」

 

俺の顔を見上げて見ているエミリーの顔が、妖精に見えた気がした。

 

 

 

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