---和泉紗霧----
ピカピカの高校2年生になった私とエルフちゃん。ムラマサちゃんと3人で通えるのも後1年である。兄さん…紗霧は今日も元気です…
ゴールデンウィークへ突入したのだが…学力に難の有る私とエルフちゃんは、勉強漬けである。小淵沢ベースから、深雪さん、うまるちゃんが家庭教師として派遣されてきたのだった。
「う~ん…深雪さんをモデルで描きたいなぁ…」
「ふふふ♪この参考書が終われたら良いですよ」
分厚い参考書…10ページごとに問題が設置されている。勇者が現れて退治してくれないかな?
「運動に関しては、エリカと蘭さんに習って下さいね」
物腰は柔らかであるが、深雪さんは結構キツい。スパルタ教育では無いのか?一方、うまるちゃんはフレンドリーではあるが、天性の成績優秀者で、ロクに勉強をしないで来た為、教え方が下手で、勉強の仕方がわからないらしい。
『紗霧、適材適所だよ』
って、脳裏で兄さんの言葉が、甦る。確かにそうだと思う。縁プロジェクトは、まさに適材適所で運営されているし。
「むっむむ!」
何故か、私の部屋で、ムラマサちゃんは読書中である。大先生の問題作の新作が発売されたのだった。あの『冴えない彼氏の育てかた』の第一章「高校生探偵編」である。読む人が読めば、誰と誰のことがわかる、見て来たような真実を元にした、エセフィクションというか。どうやって、覗き見たのだろうか?
「第3章まで書き上がっているのか」
って、何故か本屋の娘が、ムラマサちゃんの隣で、読書タイムをしている。
「問題は第4章が誰かですよね」
うまるちゃんは気になるようだ。可能性のあるペアは、達也さんと深雪の義兄妹ペア、叶さんとうまるちゃんのお兄さんの同級生ペア、フリーになっためぐみんと誰かくらいか。う~ん、兄さんの初恋の君がモデルだと、少し嬉しいけど。無いだろうな…
「紗霧ちゃん、私とお兄様は無いですよ。お兄様は真由美さんがいますし」
私の心を読んだような深雪さんの発言。読心術でもマスターしているのか?
「そう言えば、恵さん達は、里帰り中ですよね」
ナイス発言だ、うまるちゃん。そう、里帰り中である。なにか、あの女に間違いが起きないだろうか?
「紗霧…悪人顔になっているわよ。あんた、今度はどんな鬼畜な考えをしたの?」
泣きそうな顔のエルフちゃんに指摘された。最近、私の方がエルフちゃんを責めていたりするから。
「エルフちゃんに対してでは無いわよ♪」
「じゃ、誰?」
みんなの視線が私に集まった。
「そんな悪いことしませんよ~」
「どんな悪いことを考えましたか?」
冷たい眼差しで深雪さんに睨まれた。そうだ!参考書と格闘しないと…
---佐藤美和子---
どうして、こうなったのだろうか?記憶が曖昧だ。工藤君に病院みたいな場所に連れて行かれて、目覚めたら、高木君と婚姻していた。式は6月で式場は予約済みだという。
「私は認め無い!どうして、私の許諾なしに、話を進めているの?」
「まぁまぁ、佐藤君、落ち着いて。私達夫婦が仲人では不満かね?」
目暮警部夫妻が仲人だと言う。ここまで高木君一人でセッティング出来るとは思えない。工藤君が絡んでいるのだろう。
高木君が借りた新居に、高木君、私、目暮警部夫妻が集まり、式の段取りを決めていた。
「警部!私は、結婚するつもりは無いですよ!」
「そうは言うが、もう既に籍は入っている」
公文書偽造では無いのか?
「工藤君から聞いたぞ。洗脳された影響が残っているそうじゃないか」
洗脳?された覚えは無い。私…彼の元にいたい…なんで、隔離するんだ?
「私は朝霧沙樹先生のボディガードになりたいんです」
「そんな人物はいないそうだ。それこそ、洗脳された影響だぞ」
いない?いないはずは…工藤君が何かをしているようだ。蘭ちゃんにもしているのだろう。妃先生へ連絡を取らないと…
目暮警部夫妻が帰った後、高木君の目を盗み、妃先生の事務所へ急いだ。
---加藤恵---
なんで、こんなことに成っているのだ?全裸の私と全裸の安芸君が、安芸君の部屋のベッドで交わっている。安芸君程度のテクニックでよがっている私。確実に媚薬を使われたのだろう。手足が痺れて動けない。安芸君のしたいようにされている。まるで、生きているダッチワイフ状態である。
確か、久しぶりの里帰りで、自宅傍の喫茶店でお茶をしていて、安芸君に出会い…そこから記憶が飛んでいた。飲み物に入れられたのだろうか?
「倫也、いるか?!」
がちゃ!
いきなり部屋のドアが開いた。知らない大人の女性が立っている。
「えっ!母さん…」
「倫也!何をしているの?あなた、大丈夫?」
身体を揺すられているが、自分の意志で手足が動かない。全然、大丈夫では無いです。
「あなた!倫也が、女性に…」
「どうしたんだ?!おい!倫也…なんだ?この薬瓶は…」
安芸君のご両親のようだ。で、薬を盛られたのは確実である。って、こんな淫ら姿を見せている私。不憫だろう…
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救急車で病院へ…警察には連絡をしなかったようだ。恋人同士の遊びで、不備があったという体らしい。
「彼女はショック状態のようですが、良い方向へ向かっています」
白衣の人がそういう。私の両親と、安芸君の両親が話し合っている。イヤな予感しかしない。
「息子に責任を取らせます。お嬢様を息子にください」
「恵は好きな人がいるんですよ。同棲しているのですよ」
「その方には、事情を話します。申し訳ありませんでした」
って、感じで…
脱法薬物を使ったらしく、後遺症が残るとかで、安芸君の両親は、私を引き取り、面倒を見たいといっているようだ。
「ムネ君に会いたい…」
母に伝えた。
「もう、会わない方が良いわ。彼も重い病気なんでしょ?病人同士では無理よ」
取り合って貰えない。ベッドから降りられない私は。自力でムネ君に連絡は取れない。どうすれば良いのだろうか?
---毛利蘭---
正宗君を車椅子に載せ、お母さんの事務所へと向かった。美和子さんが、お母さんの元へ駆け込んだそうだ。事務所へ行くと、美和子さんが震えていた。
「蘭…あぁ、連れて来てくれたのね。美和子さん、来てくれたわよ」
美和子さんが、正宗君に気づいた。立ち上がり、ヨロヨロと近づいて来た。
「どうしたんですか?これは…」
包帯で巻かれている正宗君。1つの身体で、2つの人格がケンカした為の怪我だらけである。
「美和子…大丈夫か?」
「私のことより、正宗君…大丈夫じゃないよね」
「大丈夫だよ。アイツとは和解寸前だしね」
アイツとは、危険な方の人格である。正宗君の正義感が、アイツの凶暴性を押し倒したようだった。
「ごめんね。傍にいなくて…本当にごめんなさい」
平謝りの美和子さん。
「蘭、ちょっといい?」
お母さんと別室に移った。
「美和子さん…蘭と同じようなケースよ。あの探偵小僧が暗躍したみたい」
新一が、高木刑事の依頼を受けて、美和子さんの奪還作戦を計画して、高木刑事とその同僚が、その作戦を実行したそうだ。公安調査室の仕事中に拉致されたらしい。
「警察が拉致?」
「彼らに言わせると、救出だそうよ。だから、合法だって言うのよ。で、美和子さんの同意無しで、高木刑事と入籍は済ませているの」
私と同じだ…で、正宗君を強請ったのね…
「美和子さんは、どうなるの?」
「心配しないでいいわよ。あなたと同じケースだから、コチラに勝ち目はあるから。離婚届けは提出したわ。これで半年の猶予は稼げたはずよ」
それならいいけど…
二人で、正宗君の元へ戻る。
「蘭…美和子も連れて帰って大丈夫かな?」
「うん♪大丈夫だよ。ねぇ、お母さん」
「う~ん…でも、探偵小僧が来たみたい。どうする?」
ドアの前に設置してあるカメラのモニタ画面へ視線を向けて、お母さんが危機を知らせてきた。このタイミングで…マズい…
「いいよ!頭脳対決だな♪」
アイツにスイッチしている正宗君。危険だ…イヤな予感しかしない。
がちゃ!
ノック無しで、新一、目暮警部、高木刑事などが入って来た。
「アポもノックも無しなんですか?」
「緊急時ですからな」
お母さんと目暮警部が対峙した。そして、新一、高木刑事は、アイツと対峙している。
「よぉ!探偵小僧!また、強請に来たのか?」
「俺は強請っていないよ。アレは手切れ金だろ?あぁ、ちょうどいい、蘭も連れて帰るぞ♪」
「蘭も美和子も渡さないよ。お前達みたいな雑魚にはもったいない♪」
対決姿勢である。
「美和子さん、大丈夫ですか?」
「近寄るな!私は決めたの。彼の傍へ帰る」
「何を言っているんですか?こんな…え?この怪我は…」
車椅子に載り、頭に包帯を巻いている正宗君は、重傷者に見える。
「探偵小僧にやられた。って言っても警察は、ソイツの仲間だもんな。逮捕はしてくれないだろ?」
「おいおい、俺はやっていないぞ。嘘はいけないなぁ。どこかの組織にやられたんだろう?」
「どっちの言葉を信じるかだな。あぁ、僕は、エマージェンシーボタンを持たされているんだよ。危ない局面が多いからね」
エマージェンシーボタン?あれって、達也さんへのコールだよね?
「もうすぐ、助けが来るはずだよ。心電図、脳波計のデータも、ボタンを押すと、送られる仕組みなんだよ。今のデータを見て、僕の…仲間が…どう判断してくれるか…」
マズい…アイツ、正宗君に何かをしたんだ。正宗君に走り寄る。
「正宗君、聞こえる…ねぇ、正宗君…」
顔色が悪い…
「おい!そこを退け!」
ドアの方で揉めているようだ。
「早く退けって言っているんだよ!」
ドン!
「正宗君、大丈夫か?」
カバンを持った達也さんが入って来た。カバンを開けて、診察を始めた。
「君達は何者かね?!」
ドアから入って来た強面集団に、目暮警部が職質をしている。
「俺達?俺達、警察庁の特殊急襲部隊の者だ。なるほどね、警視庁の捜一に囲まれていたのか。それはエマージェンシーな状況だな」
警察庁…警視庁の上位組織である。
「蘭さん、もう大丈夫です。彼らはエリカの家の門下生達ですよ♪」
達也さんが説明をしてくれた。そう言えば、エリカさんの家の道場って、警察庁のキャリアの人とか、機動隊の人が多いって言っていたような。
「大丈夫か?」
エリカさんが走り寄って来た。エリカさんの問いに、達也さんの顔は険しい。
「マズいなぁ。正宗君がアイツを止める為に…アレルギー物質を摂ったようだ。いや、正宗君がそうするように仕向けたのか?」
ショック状態…そうか、もう身体を張って止められないから、経口摂取したのか。足が動かない正宗君は、もう窓から飛び出ることは出来ない。いや、ここから飛び出たら死んじゃうけど…
「エリカ、救急車を手配してくれ」
「ドクターヘリを手配してある♪」
すごい…エリカさん…そう言えば、入り口の方が静かになったような。視線を向けると、捜一の皆さんと新一が連行されて行く。
「気付け剤は打った。点滴を始めた。正宗君、帰ろう…小淵沢にね♪」
正宗君の耳元で、優しく語り掛ける達也さん。美和子さんが車椅子を押している。私とエリカさんでガードをしつつ、達也さんは容体をチェックしながら、ヘリへと向かった。
---加藤恵---
「恵…彼が緊急入院したそうよ」
ムネ君…また入院なのか…今度は何をやらかしたんだ?
「こんな恵じゃ、彼は面倒見られないでしょ?わかってよね」
母さんが私を諭す。それはそうなんだけど…でも…ムネ君のことは忘れられない。
「転院したい…小淵沢の四葉病院へ…」
ムネ君が入院している病院。達也さんの勤務している研究所が敷地にあるし。この状態から脱出出来るかもしれない。
「小淵沢?四葉?あそこは、政財界の大物しか入院できないはずだが」
担当医が妙なことを言う。ムネ君が入院しているんだよ。
「母さん、彼の事務所へ連絡して、ダメ元で、転院したいって、伝えてみて」
母さんの代わりにダメ元であるけど、担当医が四葉病院へ連絡をしたらしい。すると転院はオーケーだそうだ。
「あの病院に君のカルテがあるそうで、受け入れてくれるって。君の彼氏はスゴいんだな」
そう言えば、縁プロの定期検診は、あの病院だったなぁ。もう1つ思い出した。
「彼の主治医が、あの病院の次期院長候補なんですよ」
達也さんの叔母さんが、現院長のはずだ。
「司波達也君か…脳神経外科の…」
頷く私。達也さんって、有名なんだ…
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転院して、達也さんの検査を経て、快方へ向かっている。
「脱法ドラッグの情報は、公安へ回したから、被害者の救済に、恵さんの治療データは役立つよ」
そう言われると、私はモルモットになった気分である。
「ムネ君は?」
「大丈夫だよ。死ぬ程の量は摂取していないから」
身の危険を知らせる為に、データ送信している心電図と脳波計に、異常値を出させたそうだ。
「電話とかで知らせられないから、そういう手段を執ったようだよ。彼のそういう処が危険なんだよ。誰かを助ける為に、自分の命を使う…心のどこかで死にたいって、思っているのかもしれない。但し、無駄死はしないだろうけど」
達也さんの表情は、どこか寂しげである。
「妹の為にも、みんなの為にも、彼には生き抜いて欲しいんだけどな…」
難しいんですね。
「恵、大丈夫か?!」
ノックも為しに、安芸君が入って来た。面会謝絶なんだけど…
「ここは面会謝絶だぞ」
「誰だ、お前は!俺は恵の旦那だ♪」
「旦那?結婚していないわよ!」
「入籍は済ませているよ。ここを見つけてくれた探偵が、入籍しておくと良いってアドバイスをくれてね」
誰?そんなふざけた提案をした探偵って…ムネ君の天敵の顔が浮かんだ。
「認められない、違法行為だぞ」
達也さんが言ってくれた。
「だから、お前は何だ?!恵の両親の承諾も取れている。個室か、恵。ここに泊まれば、ホテルはいらないな」
おい!ホテル代わりに使うな!
「部外者は出て行ってくれ!」
「だから、お前は何者だ?!お前が出て行け!」
「俺は、彼女の主治医だ」
「そうか…では、主治医を交代してくれ。お前が、恵を洗脳したヤツだろ?!」
脱法ドラッグ使いの安芸君に、言われる筋合いでは無い。それに、私は洗脳はされていない。
その後、安芸君は病院の警備スタッフにより、排除された…
ついに安芸君登場…
大人姿に戻った新一は暗躍し、正宗と対峙…
オチなかったら、二人とも子供姿にしたり(^^;