※この作品はR-18です。

冴えない彼氏の育てかた   作:もっち~!

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深雪を襲う悪夢X

---和泉紗霧---

 

ゴールデンウィーク中は、勉強三昧…そして、私が妙なことを願った為、あの女は兄さんの前から消え、大先生の問題作の第4章は、あの女絡みらしい…

 

他人の不幸を望むと、自分に降りかかると言う。兄さん、紗霧は悪い子です。反省しています。だから、見捨てないでください。

 

 

「まさかなぁ、恵さん編になるとは…」

 

ムラマサちゃんが唸っていた。あの女の相手は、あの女のストーカーらしい。

 

「ストーカーと結婚?有り得ないでしょ?」

 

って、エルフちゃん。

 

「どうした?おい、紗霧…顔色が悪いぞ」

 

ムラマサちゃんが、私を抱き抱えた。

 

「私が…望んだから…だから、あの女は…」

 

「考えすぎだ。お前に、そんな力は無い」

 

そうだけど…タイミング的に…どうしよう…

 

「紗霧…」

 

エルフちゃんの声が遠くで聞こえる。

 

---------

 

瞼を開くと、蘭さん、達也さん、深雪さんがいた。ここは?

 

「大丈夫だよ。軽い貧血だ」

 

って、達也さん。

 

「私…どこかが悪いんですか?」

 

「ちゃんと食事を摂っているかな?」

 

あぁ、最近、食欲が無い…私が望んだせいで…

 

「蘭さん、紗霧ちゃんをお願いします」

 

「はい」

 

達也さんと深雪さんが病室から出て行った。

 

「ムラマサ先生、エルフ先生から訊いたよ。考えすぎだよ」

 

そうなのかな…

 

「恵さんは、彼とは一緒にならないよ。恵さんのストーカーって、バレたからね」

 

蘭さんによると、この病院に入院したあの女を追って、やって来たストーカー。様々な手で、病院へ被害をもたらしたそうで、今は牢屋の中らしい。

 

「恵さんの身体から、違法薬物、脱法薬物が検出されたそうだよ。警察が、彼の両親を問い質したら、白状したって」

 

あの女を薬で、どうにかしていたストーカー。その事実をストーカーの両親は、あの女の両親に告げず、隠蔽したらしい。我が子かわいさ、ってヤツらしい。

 

「蘭さんは大丈夫なんですか?」

 

「私?うん、大丈夫だよ。アイツは私のストーカー認定されたから♪」

 

蘭さんの話では美和子さんも大丈夫らしい。大先生の予言は、伊月先生とみゃーさんだけ、的中した恰好である。

 

「伊月先生とみゃーさんは、来月式を挙げるそうよ♪」

 

そうなんだ…

 

 

 

---和泉正宗---

 

「で、紗霧の症状は?」

 

達也さんに訊いた。紗霧もこの病院に入院したそうだから。

 

「栄養不足による貧血だよ」

 

俺が傍にいてやれないから…悩みを相談出来る相手が、いなかったのだろう。

 

「正宗君、君の方が重病なんだから。そんなに思い悩むなよ」

 

重病?

 

「俺がですか?何の病気ですか?」

 

「何の?まさか…」

 

達也さんの表情が険しくなっていく。

 

「妃先生の事務所での記憶って有るか?」

 

「何時のですか?」

 

最近行った覚えはないけど…達也さんと深雪が顔を見合わせた。俺は、記憶障害なのか…

 

「エリカ!止めろ!」

 

達也さんの叫ぶ声…何が起きたんだ?

 

 

 

---司波達也---

 

危なかった。窓から飛び降りようとした正宗君。エリカが止めて、大事には至らなかたが…

 

「お兄様、どういうことですか?」

 

「治ったと思っていた正宗君…アイツが演じていた可能性がある」

 

アイツとは、正宗君の精神にいる、知能犯的な別な人格である。

 

「演じていた…では…」

 

「妃先生の処へ行ったのは、初めからアイツだったんだ。そして、アレルギーショックを引き起こしてから、正宗君にスイッチしたのかもしれない」

 

危険である。紗霧ちゃんにすら、キバを剥くアイツ。

 

「そんな…」

 

深雪の顔から血の気が引いていく。それ程の恐怖を、俺達に刻んできたアイツ。

 

 

 

---司波深雪---

 

目の前で、お兄様がいたぶられている。

 

「どうしたよ。僕を殺せば、お前の大好きな兄は助かるよ」

 

悪魔の囁きをするアイツ。でも、目の前にいるのは正宗君である。殺せない…

 

「そうか…じゃ、いたぶり殺してもいいな?」

 

アイツは、注射器を手にした。何かの液体が入っている。お兄様の腕にソレを注入しようとしている。私は…正宗君を殴り殺した…

 

 

あっ!夢かぁ…荒い息…夢に出てくるようになったアイツ。いつか、本当に正宗君を殺してしまうかもしれない。アイツの目付き…恐い…

 

って、ここはどこだ?寝室で寝ていたはずが…これも夢なのか?全裸で何かのカプセルのような装置に入れられていた。

 

『深雪の淫らな姿が見たい♪』

 

アイツの声が脳裏に響く。次の瞬間、有り得ない刺激の波に飲み込まれた。身体の中で何かが蠢いている。それも何匹も…

 

「助けて…」

 

『淫らな姿を晒せ♪』

 

身体中に何か、何匹も蠢いている。何が起きているの…

 

『こんな状況なのに、乳首が立ち、クリも立っているのか…淫らな女だな♪』

 

目の前で何かが光った。まさか、ストロボ…写真に撮ったの?

 

『達也がみたら嘆くかな?ふふふ♪』

 

「やめて…お兄様には見せないで…」

 

あぁ…気持ちが良い…こんな刺激は今まで感じた事が無い。何をされているんだ?

 

『ドエムな深雪よ、もっと恥ずかしい姿を晒せ♪』

 

カプセルから解放された。目の前に正宗君がいる。でもきっとアイツだ…ここで断ち切らないと…

 

--------

 

「深雪…死ぬな!」

 

正宗君の声…ここはどこ?

 

「そうだ…俺を殺せ!」

 

正宗君…

 

ブクブク…

 

ガラッ!

 

「深雪!何をしているんだ?!」

 

パシッ!

 

え?お兄様…頬を叩かれた。どうして?

 

お兄様の手で、私の手が引き上げられていく。私の両手は、正宗君の首を絞め、湯船に沈めていた。

 

夢なら醒めて下さい…

 

でも…夢でなかった…私は正宗君を…

 

「まさか、深雪まで病んでいたとは…」

 

悲痛な声のお兄様。その日から、私も個室に入院になった。

 

お兄様と一対一で行うカウンセリング…なんか嬉しい。こんなに私に対して、親身なお兄様は、久しぶりである。

 

「深雪…アイツの暗示に負けるな!」

 

暗示?

 

お兄様は、私の前に、原稿の束を置いた。これは…目を見張る私。タイトルは『とある義兄妹の物語』という作品だった。作者は大先生である。

 

義理の兄に想いを寄せる妹。だけど、後一歩が踏み出せない。そんな彼女を助けようと、天使が彼女に協力をする。毎晩、彼女の耳元で、彼女の心を揺さぶるような話を、伝えていく。彼女は一種の暗示状態に陥り、彼女の前にあるジャマな元凶を消して、義理の兄に告白する。そんなシーンで物語りは終わっていた。

 

「これは…」

 

「アイツが、お前で実験した結果を踏まえて、書き綴ったのだろう。正宗君は、脳裏で思い出した記憶を書いたに過ぎない。元凶はアイツだ。正宗君を殺しても、何も解決はしない」

 

でも、宿主の正宗君が死ねば、アイツも消えるはずだ。

 

「いいか、深雪…正宗君は自殺することを防止されている。深層心理の深い部分で、自殺願望が残っているのかもしれない。だから、アイツはそれを叶える為に、誰かに殺される道を選んだんだよ」

 

あっ…そういう事なのか…私の正宗君に対する殺意は、アイツに植え付けられたのか。でも、彼が消えれば…

 

「いいか、深雪。もし、深雪が正宗君を殺しても、俺とは一緒にはなれない。お前は塀の向こう側に収監されるんだ」

 

あ…そこまで考えていなかった。殺意一色だったから。お兄様とカウンセリングが出来るのは、踏みとどまっているからなのか。

 

「いいか?正宗君から自殺願望を、消し去ることが大切なんだぞ。アイツは正宗君の願望を叶える為なら、手段を選ばないだけだ」

 

手段を選ばない…危険過ぎる。

 

 

 

---和泉正宗---

 

家出をした。一緒にいると、仲間を傷つけてしまうから。どこか、知らない街で生きよう。死ぬと哀しむ者がいるから…

 

当面、生活出来る分だけのお金を、新しく作った口座に入れて、着替えとノートと鉛筆をカバンに詰めて、みんなの目をかいくぐって、家出をした。

 

駅で電車を待つ。

 

「私も一緒に行きますよ」

 

美和子が話し掛けてきた。僕の様子がおかしいから、僕に気づかれないように、張っていたようだ。

 

「ダメって言っても?」

 

「勿論付いて行きます。私はあなた専属のエスピーですよ♪」

 

追い返す気力は残っていない。なので、美和子と二人で逃避行になった。知らない街に着いて、佐藤美和子、正宗姉弟として、宿屋にチェックインした。アパートを借りると、身分証の提示が必要だから。

 

宿屋の人には、俺が売れ無い画家で、スケッチ旅行中だと美和子が説明した。宿屋の様子を僕がスケッチして、プレゼントすると、宿屋の人は信じてくれたようだ。

 

昼間…窓から見える景色をスケッチする。ふと、学校帰りの女学生が目に入った。その娘をスケッチしていく。

 

ある日、美和子が、その娘を部屋に連れ込んだ。

 

「え!これって、私ですよね…」

 

描き溜めた彼女のスケッチに魅入っている。

 

「どうして…連れて来たんだ?」

 

美和子に訊いた。

 

「彼女が描きたいんでしょ?」

 

描き溜めたスケッチの山を指差した美和子。

 

「いや、何となくだ。目に入ったから…」

 

「どうかな?モデルになってくれないかな。弟が、アナタをモデルにしたいと思うのよ」

 

僕の言い訳をスルーして、彼女にモデル依頼する美和子。

 

「私なんかで良いのですか?」

 

「うん♪」

 

美和子が楽しそうだ。僕のことなのに…そして、彼女をモデルにして描くことになった。

 

最初は制服姿、休みの日には私服、そして、薄着…セミヌードと美和子のリクエストが過激になっていく。彼女は嫌がらずに、モデルを務めてくれた。

 

そして、ついに…

 

「いいですよ。正宗先生のモデルなら♪」

 

って、全裸でポーズを取る彼女。それを、僕はスケッチしていく。

 

そして、漸く納得する1枚が完成した。美和子が、それをコピーして、彼女へプレゼントした。

 

「ゴメンね。バイト料がスケッチ画で…」

 

「いえ、嬉しいです。こんな私を描いてくれるなんて。弟さんが売れることを祈っています」

 

「ありがとうございます」

 

 

 

---七瀬美雪---

 

部屋にお気に入りの1枚を額に入れて飾った。見えそうで見えないポーズである。これなら、人に見られても大丈夫なレベルである。

 

「美雪…ヌードモデルもしたのか?」

 

幼なじみで、4軒隣に住む、一ちゃんが訊いて来た。

 

「うん♪そうだよ」

 

「その絵描きは男性なんだろ?」

 

「うん♪そうだよ」

 

「見られても、大丈夫な間柄なのか?」

 

「一ちゃんみたいなエロ目線じゃないからねぇ♪」

 

畳に座り、遠くを見つめるポーズ。立て膝を斜めに崩して秘部を隠し、膝に肘を載せ、乳首を隠している。問題無いレベルである。

 

「う~ん…妖しいなぁ。その作家の名前は?」

 

「売れていないって言われて、名前を訊きにくくてねぇ」

 

作家としての名前を訊いていない。連絡先を訊けば良かったかな?

 

「うん?!この落款って…」

 

ネットで何かを調べ始めた一ちゃん。どうしたんだ?

 

「やっぱり…おい…美雪…これ、売れるぞ…」

 

「売らないわよ!私のお気に入りを売らないでくれる?」

 

生唾を飲み込む一ちゃん。どうしたんだ?様子がおかしい。

 

「どうしたの?」

 

「売れ無い作家って、嘘だよ。超有名な作家だ」

 

え?嘘っ!

 

「朝霧沙樹だ…」

 

「えっ!超有名な…」

 

彼が朝霧沙樹だったのか…そう言えば、彼の絵は総て、鉛筆画であった。

 

「コピーでも、高額で売れる…原画が公開していないのであれば…」

 

一ちゃんが、私のお気に入りに手を掛けた。

 

「だから、売らないって言っているでしょ?!」

 

「鑑定してもらおうよ♪」

 

「売らないって。だから、鑑定なんかしないよ~!」

 

--------

 

翌日、学校の帰りに、あの宿屋に向かうと、引き払った後だった。どうして?

 

原因は家に帰えると、判明した。私のお気に入りが消えていた。一ちゃんが持ち出したようだ。どこからか、帰ってきた一ちゃんを、捕まえて追求すると、

 

「即、買い取りしてくれたよ。ほら♪」

 

って、10万円を渡された。

 

「だから、売らないって言ったでしょ?!」

 

私の絵を売ったことで、マスコミなどが、この街に押し寄せて来たらしい。それをいち早く知った取材NGの彼は、この街を去ったようだった。

 

「返して貰って来てよ!」

 

お金を一ちゃんに渡しのだが、あの絵は転売による転売で、既に100万を超えたそうだ。

 

「どうしてくれるのよ!」

 

「泣くなよ…美雪…ごめん…」

 

泣くだろう。私のヌードが取り上げられているんだから!!

 

翌日からモデル探しが始まったらしい。あの絵を持ち込んだ一ちゃんの家の前には、マスコミ関係者の群れがたくさんいる。これじゃ、家から出られないよ~!

 

 

 

 

 

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