※この作品はR-18です。

冴えない彼氏の育てかた   作:もっち~!

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夏合宿その4 Part1X

---和泉紗霧---

 

待望の夏休みである。うまるちゃん、深雪さん、ちっひーのおかげで、私もエルフちゃんも補習無しになった♪

 

みんな!ありがとう~♪

 

そして、恒例の夏合宿である。皆で、小淵沢ベースへ移動する。

 

 

久しぶりの兄さん…元気になったって聞いている。

 

「紗霧、はしゃぎすぎだぞ!」

 

って、ムラマサちゃん。車の中で、原稿を書いている。兄さんの新作を読み耽った結果、自分の原稿書きが間に合わなくなったようだ。だけど、あっちへ着くまでに書き上げる気満々らしい。

 

私とエルフちゃんは新作に挑むつもりだ。通学期間中は、補習という敵と日夜戦わないといけないので、長期休みの時に、一気に作り上げる予定である。

 

「牧場はどうですか?」

 

エルフちゃんがちっひーに訊いた。

 

「まだまだかな。牧草は生えたけど、冬場の分まで生産出来ないんだよ。もっと耕作地を広げないとねぇ」

 

って。

 

「今回は絵のモデルさんも呼んでいるそうですよ」

 

って、深雪さん。兄さんが、旅先で知り合った学生さんだそうだ。歳はムラマサちゃんと同じらしい。

 

「この子ですよね」

 

うまるちゃんが、画集の該当ページを開いた。胸が大きい…ムラマサちゃんよりも大きい。だけど形は悪くない。これが兄さんの好みか。う~ん…

 

「紗霧、悩んでも、胸は大きくならないぞ!」

 

って、ムラマサちゃん。そうだけど…

 

「見た目じゃなくて、中身が問題なんじゃないかな~」

 

って、深雪さん。そうですね。このモデルの子とはやっていないって、美和子さんが言っていたし。

 

「でも、体内なんか、鍛えられないですよね?」

 

エルフちゃんが口に出しちゃダメなことを言う。産まれ持った物である。それを弄ることは、兄さんは許さないと思う。

 

『紗霧は紗霧だから良いんだよ』

 

って、兄さんの有り難い言葉が、脳裏に浮かんだ。改造した私は、私で無くなる。そんなことを言いたいのだろう。

 

 

 

---七瀬美雪---

 

朝霧先生のモデルとして、夏休み期間、避暑地での合宿に招待された。一ちゃんの横流し騒動で迷惑を掛けてしまったので、二つ返事で、参加するとお伝えした。

 

車で美和子さんが迎えに来てくれた。着替えを詰めたカバンなどを車に載せて、合宿所へと車が走り出した。

 

「小淵沢ベースっていうのが、合宿所の名前なんですか?」

 

「合宿所では無いわよ。私達のお城かな」

 

お城?

 

「見た目はお城では無いわよ。でも、夢を叶える為のお城みたいな場所なの」

 

「美和子さんの夢って?」

 

「私は単純よ。大切な人の傍で暮らすこと」

 

朝霧先生のことかな。

 

「朝霧先生もそこに住まわれているのですか?」

 

「大先生は、大先生の家よ。麓に母屋があるの。そこに住んでいるわ」

 

麓?お城は山の上かな?

 

--------

 

小淵沢の都市部を抜け、山の方へ…

 

「街中から遠いんですね」

 

「うん?もう隣家の敷地だけど…」

 

車窓からは山しか見えない。

 

「この山から、私達の敷地よ」

 

え?なんかスケールがデカく無いですか?

 

「あの橋を渡った先よ」

 

橋を渡ると門があった。表札には『和泉』と掲げられている。美和子さんが何かのスイッチを押すと門が開いた。なだらかな山道が開けた。

 

「あそこに見えるのが、母屋よ。まず、ベースに行って、荷物を降ろそうね」

 

少し昇ったところに、日本家屋があった。ここに朝霧先生が住んでいるのか…山道を登っていくと、突き当たりにマンションのような建物があった。

 

「ここがそう。小淵沢ベースにようこそ♪」

 

--------

 

建物の内部は、1階の正面にデカい暖炉があり、奥には食堂と厨房で、2階から上が、各人の部屋だそうだ。

 

「4階の部屋になるわ」

 

部屋の鍵を貰い、部屋に案内していもらう。窓から見える見晴らしは最高である。部屋には机と本棚、後、ベッドとクローゼットが備え付けられていた。

 

「まぁ、何もない場所だから。スマホは使えるからね」

 

確かに電波強度は強いようだ。

 

「美和子さんの部屋はどこですか?」

 

「2階だよ。来る?」

 

「はい♪」

 

美和子さんの部屋。私の部屋とあまり変わらない。

 

「変わらないでしょ?あぁ、ここでの唯一の娯楽は読書だからね。地下に図書室があるから。今、案内するわ」

 

地下の図書室…スゴい…朝霧沙樹先生の全集がある。画集も総て揃っている。柏木エリ先生の同人誌も総てあるし。

 

「美雪さんは縁プロジェクトって知っている?」

 

「たしか、複数の作家さんの集まりですよね」

 

「そう。ここはその支社なんだよ。本社は五反野にあるんだけどね」

 

そうなんだ…そう言えば、朝霧先生の本にブランドロゴが入っていたっけ。

 

「だから、縁プロジェクトの作家全員の全作品が、ここに収納されているのよ」

 

そうか…これが夢のお城の正体なんだ。

 

 

 

---和泉紗霧---

 

漸く小淵沢ベースに着いた。車での長旅は堪えるなぁ…運転をしてくれた深雪さん、うまるちゃんは母屋へ、ちっひーは牧場へ向かった。

 

フロントで、部屋の鍵を貰う。フロントと言っても、今日は誰もいなかった。何時もはみゃーさんがいるけど、何か問題でも起きたのか?

 

共同の仕事場に向かうと、みゃーさんがいた。伊月さんがぺこぺこしている。納期落としか?

 

「あぁ、紗霧ちゃん、おかえりなさい♪」

 

「ただいま…って、伊月先生、どうしたんですか?」

 

「いや…完成したと思ったら、もう一か月分足り無かったんだよ~」

 

納期を落としましたね。

 

「伊月、2ヶ月分って言ったよね?新婚旅行は、いつになったら行けるのかな?」

 

納期がマイナス1ヶ月になるまで書き上げたら、新婚旅行へ行くらしい。

 

「この夏合宿期間に、頑張る!」

 

「秋は新婚旅行へ行かないわよ。松茸のシーズンなのよ♪」

 

食欲の秋だよね。

 

「あぁ、ここにいたのか…」

 

って、美和子さんと知らない女性。

 

「みゃーさん、紹介しておく。彼女がモデルお七瀬美雪さんです」

 

「七瀬です、よろしくお願いします」

 

「こちらこそ♪私は、ここの管理をしています。羽島京って言います。で、これが亭主の羽島伊月です」

 

「羽島伊月先生って…妹物の大家の?」

 

「まぁ…そんな時期もあったかな」

 

照れくさそうな伊月先生。

 

「後、彼女がエロマンガ先生だよ」

 

「そんな名前の人は知りませんが、よろしくお願いします」

 

と、挨拶した。

 

「え…こんなかわいい子なんだ…オジサンかと思っていました。ごめんなさい」

 

良く言われるんだな。オジサンと思われている私。なんでだ!

 

「後で紹介するけど、山田エルフ先生と、千寿ムラマサ先生も到着しているわ」

 

って、みゃーさん。窓からは、牧場で小動物と戯れるエルフちゃんとムラマサちゃんが見えた。

 

 

 

---司波深雪---

 

母屋に戻ると、正宗君が仕事をしていた。高遠さんが来てからは、彼に留守番と言う名のガードを頼むことが多くなった。

 

「彼を護ることが、私の役目です。遠慮無く言ってくださいね」

 

って、言われている。まぁ、エリカもいるし、京香さんもいるから、安心ではある。それに、高遠さんが来て下さってから、悪魔のようなアイツはなりを潜めていた。

 

「正宗君、ただいま♪」

 

「おかえり、深雪、うまるさん。家庭教師だけで無く、長距離運転させてごめんね」

 

「いいんです。これが私達の仕事です。正宗君は、書くことに集中してくださいね」

 

「うん♪」

 

うまるさんと私で、校正作業を始めた。だいぶ溜まっているなぁ。エリカには校正作業は無理だから。

 

「深雪…ちょっといい?」

 

「はい♪」

 

正宗君とお風呂場へ…全裸になり、二人で湯船に浸かった。だけど、直ぐに私の胸に身体を預けるように眠ってしまった正宗君。のぼせる前に、エリカにヘルプを出さないと危険かな?

 

 

 

---金田一一----

 

美雪が合宿へ行ったという。久しぶりに帰って来たと言うのに…どこへ行ったか、定かでは無いそうだ。なのでメールを送った。

 

『どこにいるんだ?』

 

『バイトだよ♪』

 

『何のバイトだ?』

 

『朝霧先生のモデル♪』

 

また、ヌードモデルなのか…

 

『あぁ、そうそう…婚約、おめでとう♪』

 

って…紅葉のことがバレている。どこからだ?自分の家に帰ると、その紅葉がいた。

 

「おかえりなさい、あなた♪」

 

って…

 

 

 

---七瀬美雪---

 

まったく一ちゃんと来たら…旅先で一目惚れしての婚約だと、一ちゃんのお母さんに自慢された。訊けば、相手は、関西ではトップクラスのお金持ちのご令嬢だと言う。どうせ、私は庶民の娘ですよ!まったく、もぉ~!

 

「どうしたの?彼氏?」

 

美和子さんに訊かれた。

 

「違いますよ。婚約したって自慢をするヤツです」

 

「そう…今夜は何かな?あぁ、紹介するは、彼女はモデルの七瀬美雪さん。で、ここの厨房と牧場を担当している羽島千尋さん」

 

「羽島千尋です。よろしくお願いします」

 

「こちらこそ。って、羽島先生の妹さん?」

 

「そうです。兄には会いましたか?」

 

「えぇ」

 

「みゃ~に、絞られている場面だったよ」

 

「そうですか。納期を落としたからね。で、今夜は鍋にしますか?シシ鍋とクマ鍋だと、どっちが良いですか?」

 

って、言われても…

 

「両方、食べた事が無いです」

 

「では、クセのないシシ鍋にします♪」

 

「ムラマサ先生、エルフ先生、手伝って下さい」

 

「わかった」

 

「了解♪」

 

え?千寿ムラマサって、オジサンでなかったんだ…こんな可愛い女性だったとは…

 

「あっ!ムラマサちゃんもオッサンだと思っていたんでしょ?」

 

って、エロマンガ先生に突っ込まれた。

 

「その通りです…エルフ先生はイメージ通りだったけど…」

 

「あぁ、そうだ。地下3階に温泉が出来たから」

 

って、美和子さん。地下3階?そんな深くに…

 

「待望の温泉ですか。これで母屋へ行かないでもいいんですね」

 

訊けば、今までは母屋にしか無かったそうだ。だけど、地下へ施設を増設していたら、地下3階で温泉が出たそうだ。

 

-------

 

夕食…食堂に囲炉裏があり、そこでみんなで鍋を突っつく。

 

「おいしいです」

 

初めてのシシ鍋…美味しかった。

 

「肉の熟成庫があって、熟成させているんです」

 

千尋さんことちっひーが説明をしてくれている。ここでは、本名呼びを嫌う人が、多いらしい。一人だけペンネーム呼び嫌いもいたけど。

 

「このハムも美味しい」

 

「それはシカのハムです」

 

って、野生の動物を狩っているらしい。クマ、シカ、イノシシは定番だとか。

 

「猿なんかも狩るんですけど、それは犬達のエサです。犬達に猿はエサだって覚えてもらうんです」

 

牧場の小動物や、畑を荒らされるのを防止する為に、犬を放し飼いにしているらしい。後、ここの住民はほぼ全員狩猟免許を持っているそうだ。

 

「無いと不便だからね。普段から狩らないと、クマとかが出やすくなるんだよ」

 

って、京さんこと、みゃーさん。

 

「まぁ、気にいったら、ここで一緒に暮らすのも手だよ」

 

って、みゃーさん。都会には無い物が沢山ありそうだけど、都会になれている私では、都会から離れることが出来るかが心配である。

 

「まぁ、都会から離れられないメンバーもいるけど」

 

柏木エリ先生、霞詩子先生がそうらしい。

 

「まだ、紹介しきれていないけど、今、ここにいないのは、缶詰状態の作家さんだよ」

 

可児那由多先生、きりんりん先生、三国山 蚕先生がまだ、部屋から出て来ないらしい。

 

「まぁ、締め切り落としても、のうのうと飯を食っている伊月先生のような、強心臓持ちもいますけどね」

 

って、みゃーさん。固まっている伊月先生。なんか、楽しそうだ。

 

-------

 

食後は、図書室で読書である。私の目の前で画集を開いて、唸っているムラマサ先生、エルフ先生。開いているページは、私のヌード画では無いですか。本物と見比べているようだ。恥ずかしいなぁ。

 

「なるほど…」

 

「何がなるほどなんですか?」

 

「私達は絵のモデルにされたことが無いんだよ。違いを見ていたんだけど、この絵のような表情をしたことが無いかなって」

 

私も無いんだけど…表情は先生の妄想だけど…でも、確かにそういう表情をするかも知れない。モデルの仕事…なんかドキドキしてきたなぁ…

 

 

 

 

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