※この作品はR-18です。

冴えない彼氏の育てかた   作:もっち~!

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SS:加藤恵 Part2

 

 

 

 

 

意識が覚醒していく。部屋が明るい。空気も澄んでいる。誰かが、私の手を握り絞めている。横を見ると椅子に座って、私を見つめているムネ君がいた。

 

「もう大丈夫だよ」

 

って…私の悪夢は終わったのか?

 

「ここは?」

 

「小淵沢の病院…高遠さんが、恵を見つけて来てくれたんだ」

 

高遠さんって、ムネ君の従者になった方だ。裏の世界に精通したアシスタントだと、以前、紹介されたことがある。

 

「子供は?」

 

「いないよ」

 

「いないって?」

 

「想像妊娠じゃないの?」

 

そんなオチなのか…確かに、お腹は膨らんでいない。あれ?

 

「でも…残念なお知らせがある。恵はもう子供を産めないらしいよ」

 

ムネ君の表情が曇っていく。ダメ…闇に染まったら…

 

「ムネ君…君の傍にいられれば、出産なんか些細な問題だよ。だから、気に病まないでいいから…」

 

つまりは、流産したのだろう。助け出される過程のアクシデントか?

 

「恵が見付かって、恵を診断した結果、事件性があると判断されてね、恵の元夫が指名手配されたんだ」

 

元夫?離婚したのか?安芸君…で、ジャマになって、あんな場所に…

 

「彼が離婚届けを提出したようだよ」

 

淡々と話しているムネ君。感情を押し殺しているのか?それとも無感情なのか?

 

「ねぇ、ムネ君は大丈夫なの?」

 

「僕?大丈夫だよ…たぶん…」

 

たぶん?まさか、ムネ君も何かやらかしたのか?

 

「記憶が曖昧な時があるんだ。だから、自信は無いんだよ」

 

再発したのか?私のせいで…

 

「でも、大丈夫みたいだよ。達也さんも深雪も優しいから」

 

何かあると、あの二人は険しい顔をされるからな。なら、大丈夫か?

 

◇

 

翌日、詩羽さんとエリリンが、お見舞いに来てくれた。入院ってこういう物だよな。

 

「倫也が行方をくらましたそうだよ。まったく、アイツは…」

 

私と離婚をして、詩羽さんとの復縁をしようとしていたようだ。

 

「倫理君は倫理君の世界感で生きているからねぇ。あれは、死んでも治らないだろう」

 

って、詩羽さん。そうかもしれない。自分は正義で、ムネ君は悪だと決めつけていた。私のムネ君を想う心は、洗脳の賜り物と決めつけていた。そして、安芸君と結婚することは、私を解放する為に必要だとも。

 

なのに、離婚?有り得ないだろ?私の意志を無視した結婚の先に、どんな救いがあると言うのだろうか?

 

「聞いたわ。もうダメだってね」

 

エリリンと詩羽さんの表情が歪む。もう出来ないってことだね。

 

「いいの。ムネ君の傍で、サポート出来れば。それが私の望みであり、願いだから」

 

「正宗君には、伝えたのか?」

 

「伝えたけど…少し心配だよ。詩羽さん、エリリン、ムネ君の心のケアをお願い…」

 

まだ四肢の麻痺が改善されない私には、ムネ君のケアが出来ない。もどかしいなぁ。

 

 

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