視点【シノン】
シャワーを浴び、精液や汗を流してきって落ち着いてきた私は、奥歯を噛み締めながら涙を流した。
ここが何処なのか分からない恐怖。
妊娠していまうかもしれない恐怖。
また陵辱されるかもしれない恐怖。
様々な恐怖が次々に頭の中を駆け巡り、堪えた筈の涙が次から次へと溢れて止まらなかった。
人を殺してしまった時の恐怖とはまた違う、自分の存在が丸ごと他人に支配されてしまったかの様な感覚に苛まれ、目眩に似た浮遊感に倒れそうになる。
「負けたくない・・・」
『妊娠なんてしてるはずない・・・』
自分に言い聞かせる事で目眩と恐怖を抑え込み、私は涙を止めてバスルームを後にした。
【24日目】
あの灰色の部屋を出てから今日まで、なんの問題も無く過ぎていった。
タトナと名乗った彼は、あの部屋を出て以来姿を現さず、なんらかの干渉をする事すらなかった。
「今日までは・・ね」
朝寝室のベッドの枕元に『ソレ』は置いてあった。
現物を見るのは初めてだったが、知識としては知っていた。
つまりは『妊娠検査薬』という物だ。
そろそろ調べられる時期なのは薄々気付いていたが、考えない様にしていた。
色々試したが、自分の容姿がアバターのそれな事以外は、正にルール通りの空間だった。
相変わらずゲームのメニューは表示されない。
欲しい物は頭で思い浮かべて取り寄せる事が出来た。
そう、多分取り寄せようと思えばこういうものも自分で取り寄せられたのだ。
「でも・・・調べない訳にも・・いかない、か」
この空間に慣れ初めていても、『妊娠』の二文字を頭に浮かべない日は無かった。
アバターのままで本当に妊娠するのかとか、やはりゲームの中なんじゃないかという色々な葛藤はあっても、あの陵辱と与えられた感覚は確かに感じた『本物』だったから・・・。
調べると決めてコップを準備している今も、心臓が激しく鼓動を繰り返している。
これで、私の運命が決まってしまうかもしれないからだ。
尿を貯めたコップに妊娠検査薬を浸す。
『・・・・・・・あっ』
結果は陰性だった。
私は胸を撫で下ろすと同時に、彼が最初に言っていたルールを思い出していた。
【26日目】
その日の朝。
朝と言っても窓も無い空間なので、壁に掛けてあった時計を、自分で決めた時間からはかっているだけなので曖昧だった。
「・・・シャワー浴びなきゃ」
ここでの生活は単調で、退屈なものだが、不思議と苦しくなる事も無かった。
精神に異常をきたさないルールが適応されているのだろう。
私はなにもしなければ延々眠り続けてしまいそうな心を自分で鼓舞し、時間を決めて必ずなんらかの行動をすると決めていた。
「はぁ・・・・」
あれから二日。
やはり彼から音沙汰は無かった。
いつまで私を監禁するつもりなのか。
否、多分分かっている。
私が・・『****』するまでだ。
「うーん妊娠してなかったみたいだね。悔しいなぁ。初めての失敗だよ」
「なっ!?」
私は突然背後から声がしたので振り返った。
するとタトナが裸でバスルームに入ってくる所だった。
「あんたなんで突然入って来たのよっ!?」
私は今まで全く姿を現さなかった彼が突然現れた事に驚き、反射的に身体を隠して叫んだ。
彼の目的なんて1つしか無いって分かっていた筈なのに。
「僕としても期間が過ぎたらシノンを帰してあげる予定だったんだけど、孕んでくれないとここからは出られないからさ」
彼はバスルームの端にジリジリと逃げる私を追い詰め、最初に出会った時と同じ様に宣言した。
「孕んで無かったなら仕方ない。シノンが孕むまで何回でもするよ」
彼は私の両肩を引き寄せるとそのままキスをした。
「んぅっ!!?」
私は逃げようと抵抗をするが、彼は肩をガッチリ掴み、股の間に足を差し込んで足を絡める。
「ちゅっ!・・・ちゅっ!・・んっちゅっ!・・はっあっ!んっ!・・・ちゅっ!」
容赦無く舌を絡め、足を割れ目を刺激するように深く深く入れ、片方の手は腰に手を回し、片方は逃がさない様に腕ごと抱き締めキスを続けた。
私は拘束をなんとか逃れようともがき、二人がゆったり入れる程の大きさの浴槽の中に倒れた。
「大丈夫?」
彼は心配そうな声を上げつつも笑顔を絶やさず、自分もお湯の張られていない浴槽に足を踏み入れる。
「きゃっ!?」
彼は私を立たせると、壁に手をつかせ、背後から両方の胸を鷲掴みにし、首筋に顔を埋め、私のお尻に男性器を擦り付けながら、隈無く愛撫をしていった。
「あっ!・・はっ!・・こすり・・つけなっ!あんっ!・・むっねっ!くびもっ!ひゃあっ!・・やめっ!・・てっ!」
あまりに全身から感じる快感に翻弄され、止めてくれる筈も無いのに思わず懇願してしまう。
その発言に自分で驚き、唇を噛んで彼の愛撫を必死に耐える。
でも痛みに比べて快感は、耐える事が難しいという事を私は、前回の行為で嫌というほど体験していた。
嫌悪感で一杯で、一突きされれば彼に対する怒りが浮かんでくるというのに、それを押し退けて思考の大半を快感に支配されてしまう。
多分人間はそういう風につくられているんだと他人事の様に思った。
「はぁ・・・はぁ・・・」
余計な事を考えてしまったせいだろう。
自分の身体が否応なしに昂ってきているのが分かってしまった。
『悔しいっ・・・』
彼はこちらを追い詰める確かな手管を持っていて、私がそれに抗う術を持っていないのだから、それは避けようのない事なのかもしれない。
しかしそれと『悔しい』という感情は別物で、彼を憎く思うしか、出来る事は無かった。
くちゅりっ・・・。
「あっ!?・・・・・」
充分に潤い、『ソレ』を迎え入れる準備が整った秘裂に、『ソレ』があてがわれる。
「いやっ!」
「気持ちよかったのは分かるけど、ぼー、っとしてなきゃまだ抵抗する位は間に合ったのに」
ずっ・・・・。
「いっやっ!!」
私は遅れながらも抵抗して、腰を振って彼の奥への挿入を防ごうとする。
しかしもう先端部が埋没してしまっている。
それに抗おうと腰を振る私は、まるで彼を誘っている雌の様な滑稽な状況に見えているだろう。
「まあそういう所が可愛くて虐めたくなるんだけどね」
「うれしく・・・無いわねっ!・・・んんっ!」
こうして会話している間にも、彼はどんどん挿入を深めていく。
初めての時より濡れ、火照り、一度ついてしまった道筋は男性器を容易に奥に導くのにも関わらず、彼はわざとゆっくりと挿入していた。
孕ませる事が目的だと言いながら、彼はどこまでも私を追い詰めるのを、その抵抗を楽しんでいた。
「はっ・・あぁぁぁっ」
彼の男性器が最奥に到達した。
痛みを感じる筈も無いほど蜜を溢し、ポタポタと空の浴槽の中を、本来の液体とは別の液体で満たす音が響く。
「動くね」
身体を背中に密着させ、耳許で囁くと、彼は両手で腰を掴み、まるで焦らす様にゆっくりと私のお尻に自分の腰を打ち付け始めた。
「はっ!・・あっ!・・んっ!・・はっ!・・んぅっ!・・はぁっ!」
私は一定の速度で前後に揺さぶられながら、下半身、主に下腹部から押し寄せる快感を必死に我慢していた。
それとを裏腹に、彼が最奥を突く度に情けない程声が、密が、溢れて止まらなかった。
浴槽の足元は最早水溜まりになりつつあり、私は踏ん張りのきかない足に力を入れて、滑らない様にするのがやっとだった。
「シノンはこんなになってまでまだ声を我慢しようとするのか・・。ならこれはどうかな」
彼はこれでも足りない、という位に子宮口に亀頭を密着させると、殆ど出し入れせずにひたすら最奥だけを重点的に責め始めた。
「あっ!・・まってっ!あんっ!・・・あっ!そっこあぁっ!ばっかりはっ!・・くる・・しいっ!」
そう、確かに苦しかった。
でも胸や息が苦しいのとは違う。
さっきまでとは比べ物にならないくらいの、大きな快感が間断無く子宮から全身に伝わってくるのだ。
いくらなんでも耐えられるレベルでは無かった。
そしてその責めは否応なく子宮を、彼の男性器を意識させ、これが『生殖行為』である事を私の本能に訴えかけてきていた。
感じる事が出来る筈は無いのに、私は彼の蔭嚢の中のグツグツと煮えたぎる様に熱い液体が、今か今かと待ち構えている映像が、さっきから頭の中でちらついて離れなかった。
「・・・・・っ」
私はそっと股の間から彼の垂れ下がる物を覗き込んだ。
それはきゅっ、と皺がより、硬く硬く引き締まり、脈打っているかの様に感じられた。
あれの中には私を『孕ませる』目的だけを持った液体が、それこそ一杯に詰まっていて、今なお大量に、量が足りないとでも言うように、次々と新しい生命の種を作り出しているのだろう。
私がそんな考えをしていたせいだろか、私の子宮は妊娠を意識したかの様にかっ、と熱くなり、心臓の鼓動にあわせて、どくどくと活発に活動していた。
『あぁ・・そっか。私の意思とか・・・関係無く・・私の子宮は・・・妊娠・・したいんだ・・』
「くっ!・・ううっ!・・んんあっ!・・っっ」
「泣いてるの?」
「うるっ・・さいっ!」
私が今まで涙を見せなかったから不思議に思ったのか、彼が首を傾げて尋ねてきたが、私は一蹴した。
彼と会話をしたくなかったのも勿論だったが、私の動揺や考えていた事を悟られたくなった為でもあった。
「そろそろ出すよ。君の子宮に。今度こそ孕ませられる様に、この前よりもっともっと沢山」
「このっ・・間よりっ・・なんてっ!」
この間も人間に出せる様な量を軽々しく超えていた。
ベッドから起き上がった時に気にしないようにしていたが、ベッドが精液を吸収しきれなかったせいで背中に広がっていた精液が糸を引いていた。
彼はそう宣言し、背中を強く強く抱き締め、子宮に男性器を吸い付かせ、決して隙間が出来ないように押し付けていた。
「いやっ!・・・もうあんなのはいやっ!」
私は無茶苦茶に暴れるが、背後から抱き締められ、性器同士が完全に隙間無く繋がっている私に逃れられる筈も無かった。
身体は同じであっても、この空間せいなのか、空間に入る前から計算して、期間になっても経血が出ることは無かった。
でも体温が高くなったり、体調に変調を感じる事はあった。
つまり胎内から血が出ていないだけで、身体機能上の生理は通過していたのだ。
そして今日は計算上の・・・排卵日前日だった。
「いやっ・・・だめなのっ・・今日は・・だめっ!」
「うん。勿論分かってて今日にしたんだ」
彼は私の言葉に最悪の言葉で答えた。
「前回は分からなかったし、思い付きだったしね。今回は絶対孕ませるから」
私は再度拒絶しようとしたが・・・。
「さあ時間だよ」
そう言われて私は思わず身を硬くし、彼のモノを離すまいと膣で抱き締返したようになってしまった。
それを合図にしたのか、言葉が切っ掛けだったのか、とうとう『子種』が私の『子宮』へと侵入を開始した。
「あぁっっーーー!!!」
堪らず私は叫び声を上げ絶頂するが、彼がそれで拘束を解く筈もなく、子宮を満たしきる為に重さを一層増しつつ、精液が吐き出し続けられた。
「あぁぁ・・重たいし・・・熱い・・前より・・全然・・・」
おかしな程の熱が私の子宮から下腹部全体を暖めていた。
一度自分を妊娠させようとした性器を、精液を子宮が覚えていて、それを注がれる事を歓喜しているかのようだった。
「あ・・これ以上・・・私に・・入ってくるんじゃないわよ・・・」
このままでは孕ませられる、分かるのはそんなことだけだった。
何故かは分からないが、今回は駄目な気がした。
「あっ・・あっ・・あぁっ・・」
子宮が、胎内が膨らんでいるのが分かる。
つまり私の内部が彼の望み通り満たされ、孕まさられようとしている事が理解出来て、涙を流さずにはいられなかった。
結合部は最早自分の愛液など見えず、漏れ出た精液で溢れかえっていた。
「くるしい・・・」
苦しかった。
快感が苦しかった。
息が苦しかった。
自分の状況が苦しかった。
勿論、お腹も苦しかった。
彼の射精は未だ止まる気配を見せない。
溢れ出した精液は浴槽を満たし始め、踝まで溜まっていた。
「もう・・いいかな」
「あっんんっ!?」
いつ終わるともしれない放出の途中で、彼は男性器を引き抜いた。
私は彼という支えを失って精液の池に崩れ落ちる。
べしゃりっ、という音と共にお腹が確かな重さを伴って揺れた。
それは子宮にそれだけの精液が詰まっているに他ならなかった。
立ち上がれなかった私を彼が抱き上げた。
私は膨らんだ下腹部を見て、再び涙を流すと、そのまま意識を失ってしまった。
【1日目】
私は寝室で目を覚ました。
頭がまだはっきりしないまま身体を起こす。
「・・・っ」
私はまだ膨らんだ下腹部を見て、あの時あのまま彼が寝室に運んだのだと分かった。
私は膨らんだ下腹部に力を込めて拳を降り下ろした。
「くぅぅっ」
拳は途中で勢いを弱め、触れただけになった。
彼に抵抗した時とは違って、ルールの通り、自傷行為はやはり全面的に禁止されているようだった。
「っ・・っっ・・・あーーーーっ!!」
私は叫ぶと、膝を抱えて泣いた。
【2日目】
私は昨日の事が無かったかの様に平静に戻っていた。
絶望するだけじゃ意味が無いことを、過去の経験で知っていたから。
未だ克服出来ていないトラウマであっても、私は絶対に負けない。
【28日目】
「やっぱり・・か」
何故か私はあの時分かっていた気がする。
私の手に握られているのは妊娠検査薬だ。
その検査薬に付いている二つの穴には線がくっきり二つ浮かんでいる。
それは私が確かにタトナの子供を孕んだ証拠だった。
「妊娠・・・」
まだお腹に手をあてても分かる筈も無い。
でも出来たからには自分の子供だ。
流石に心が軋みを上げ、涙が滲む
親に頼る事は・・・現状出来ない。
「なら・・私が・・・・」
私は前を向き、迷いを振り切る様に滲んでいた涙を拭った。
【60日目】
彼は私が孕んだ事を知ると喜ぶと同時に、90日後に出すと告げた。
私はここから、彼から、一秒でも速く離れたかった為に了承した。
しかし孕んだ子供は相手に育てさせるといいと、とても嬉しそうに笑う彼は、会話をすればするほど私とはまた違った何処かが壊れていると思った。
しかしそれで被害者である私が同情する事もありえないなかった。
【90日目】
ゲームから戻った状態で私は覚醒した。
ヘッドセットを外して起き上がり、自分の身体を確認する。
身体はアバターのモノでは無くなっていた。
しかし・・・。
私は腹部を触る。
トク・・・トク・・・。
少し膨らんだ私の腹部は、確かに私の身体にあの空間での行為が反映されている証拠だった。
夢なんかでは無かったのだ。
私はしっかりと決意をしたのだった。
その後、GGOにおいて並ぶもの無しといわれる女性プレイヤーが現れる。
驚くべき事に、ヘカートと呼ばれる対物ライフルと、同じく対物ライフルであるゲパードの二丁を使いこなす事から、『二重の神姫』と呼ばれる。
彼女の戦う姿は凄まじく、何故か傷付く事を嫌う事でも有名だった。
後述すると弾が余った場合等に、何故か必要も無いのに男性アバター下半身を撃ち抜く為に、男性嫌いとも噂されている。
彼女はお金の為に戦っているらしく、稼いだ額は有り得ない額に達するらしい。
視点【タトナ】
「・・・絶対あの下半身は僕を想定して狙ってるよね・・?」
当たらないと分かっていても恐い・・・。
「まあ、産まれたら覗きに行こうかな・・それまでは暫く近付かないけど・・・」
珍しく汗を流した僕は、笑顔をひきつらせながらも、次の目標を探しに別の次元に跳んだ。
はいこの空間では血は流れません。
処女も血は出てません。
まあ痛みは感じちゃうけど。
書いてある対物ライフルが気になる方は調べて下さい。
いいライフルなので多分調べられる筈・・。
最新型は是非シノンに実際に使って欲しいですね。