この小説はpixivに投稿していたものの再投稿になります。
朝方、始発駅のホーム。出勤のビジネスマン達がごった返す中、二人の女性がその中に混じっていた。
片方は、白地にピンクの花柄模様があしらわれたワンピースをきたボーイッシュな女の子。もう片方は、ジーンズに赤いシャツを着たボブヘアの女の子だ。
「そりゃさ、ボクはみっちーに17歩(二人麻雀)で負けたけどさぁ。負けたほうが勝った方の言うこと聞くってきいたけどさぁ。これはないんじゃないかなぁ」
ワンピースの女の子は、所在なげに足元をちらちらと見ていた。
丸顔ショートヘアのボーイッシュで可愛らしい彼女は、自分の着ている服に対して、なにやら思うことがあるらしかった。
「だいじょーぶだいじょーぶ。睦ってばボーイッシュな女の子って思われるから。あと、言われた通り、私の紐パン、付けてるよね?」
眼鏡をかけたボブヘアの女の子は、底意地が悪そうな笑みを唇に浮かべながらそう答えた。ずり落ちた眼鏡のブリッジ、くい、と中指で押し上げる。
「約束だし、つけてるけど……でも、ボクは男だよ? こんなワンピースなんて着てもすぐばれちゃうって。胸だってないし」
などと囁きながら、細い手で恥ずかしそうに自分の胸を服の上から隠す。そう、彼女――彼は、男だった。男だ、と言われても信じられないぐらい女の子だったが、染色体上にも肉体的にも精神的にも、男性だった。ちらちらと二人を見ているように感じるサラリーマンの視線の動きも、睦にとっては自分の女装姿がばれてるからでは、と思うと気が気でない。
数日前、自分の彼女との17歩という二人でできる麻雀で、勝ったほうが負けたほうになんでも好きなことをやれる、という条件で賭け麻雀をやった。
同人誌の仕上げのために徹夜で作業。頭がハイになった状態で余興としてやったのだが、結果は惨憺たるもので、睦の五戦五敗。みっちーに徹底的に叩き潰された格好だ。
そして、みっちーの出した条件がこれ――満員電車で女装して乗る、だった。
「いいから、乗るよ?」
やってきた始発電車へ、睦の手を引いて乗車するみっちー。
「え、や、ちょっ」
みっちーに手を引かれる間もなく乗客が押し寄せ、二人は一気に反対側のドアまで押しやられる。
「くっ……朝のラッシュってさすがに凄いね」
みっちーが、つぶされそうになりながら一言感想を漏らす。
「そりゃそうだよ。なんでこんな電車に乗りたがるのかなぁ」
などと答えながら、みっちーがつぶされないよう、彼女と乗客の間に入り、乗客の圧力から守る。
「ふふ……知りたい?」
にやぁ、と笑って睦月を見るその視線に、睦はぞっとした。
こんな笑い方をするときの彼女は、大抵ろくでもないことを考えているからだ。
みっちーは、睦に体を寄せて、
「あんね、私の友達に、今日、この時間、男の娘がここに乗るから、好きにしていいよって連絡してたの」
「好きにって、みっちー……」
絶句した。好きにしていいって、つまりはそういうことなのだろう。
「そ。睦が女の子の手で好きにされて、私の前であんあん声上げそうになるのを我慢しながら」耳元に顔をよせて。「射精しちゃうの」
ぞっとした。
元々、サドっ気は強いほうで、セックスのときも主導権を握りたがる彼女だった。
だが、今まではこんなに露骨なことはしたことがなかった。せいぜい、手首を縛られたりとか、アナルを責めようとしたりとか、その程度だ。
「もうね、我慢できないの。エロ同人みたいに、あんあん喘いでぴゅっぴゅしちゃう睦を見たくて見たくてしかたないの……睦のことは大好きだし大切にしたいけど、でもそれ以上に……」
そわ、と、ワンピースの薄い布地越しに誰かがお尻をなでた。
「え?」
睦はびっくりして誰かを確認しようとする。
「ね、私を見て。私だけを見るの。私の目を見て、目を逸らさないで、私を見て私に見られながら喘ぐの。目をそらしたら、お仕置きだよ?」
そう言って、みっちーは睦の頬に両手を添えて、自分のほうを向かせた。
「……怖いよ……」
「大丈夫、私の友達、可愛い子や美人さんばっかりだから。ああ、男性には声をかけてないよ? だって睦、ホモじゃないでしょ?」
「ホモとかそういう問題じゃなく……っ!」
なでていた手とは別の手が、スカートの布地を透過してじかに太ももをなで始めた。
「ああ、そのワンピースね。改造してあって、見た目わからないように切れ目が入ってて、そこから手を入れられるようになってるの。すごいでしょ」
「ぅあっ!」
また別の手がスカートの中に入り込み、腰にある結び目をする……と解いた。
びっくりして、パンツが落ちないよう内股になるも、反対側の紐も解かれ、簡単に床へ落ちてしまう。
「周りが見えないからわからないだろうけど、私達のまわり、私の友達しかいないよ? みんな、睦のおちんぽやあなるをいじりたくて仕方ない人たちばっかり。これから終点まで一時間。睦がどう変わるのか楽しみだわぁ」
――十分後。
睦は、ワンピースに仕掛けられていたあちこちにある穴に手を入れられ、何本もの手に体中をまさぐられていた。胸や乳首、痛いぐらいに勃起した欲棒はもちろんのこと、ローションまみれのアナル、首すじ、耳、太もも、とにかく性感帯と思われるありとあらゆる場所をまさぐられ、性感を無理やり煽られている。
「ん……ぁ……く、ふぅ……」
痴漢され始めてから一気に性感帯をなぶられ、絶頂間際まで追い詰められてから、射精を許されないまま延々と弄ばれ続け、どうにかなりそう――というより、どうにかなってしまっていた。
見ず知らずの女性達の手によって、なでられ触られるだけで性感を刺激されているこの状態に、疑問を感じるべきなのかもしれないし、逃げ出すべきなのかもしれない。
が、もうそんなことはどうでもよくなった。
誰かに――乗客にばれるかもしれない恐れが、逆に彼を昂ぶらせる。
「うふふ……可愛いよ、睦」
何人もの女性の手に体をまさぐられ、喘いでいる自分の恋人に文字通り魅入られていた。自分が望んでいた彼の姿がそこにあったからだ。
「私、こんな風になってる睦をずっと見たかったんだ。ね、どう? 気持ちいい? 気持ちいいよね? だって睦、一番きもちいいときの顔してるもん」
「気持ち……よくなんうぅぅっ」
今まで尻肉を撫で揉んでいた手が、いよいよ後穴に触れたのだ。
みっちーと肉体関係を持つようになってから、ずっとずっと開発され続けてきた性感帯だから、そのタッチだけで睦の背筋に快楽が駆け上がり声を上げさせようとしてしまう。
「あ、今アナル触られたよね? 睦、一番いい顔したもん」
睦は小さくうなずいた。うなずいてる間も触られ続けている。
やわやわと揉むように刺激され、ほぐされていくと、体が勝手に受け入れようとする。
肉穴が広がり、指を誘うようにやんわりとうごめく。
とろ、と馴染み深い感覚がアナルを襲う。ひんやりとしていて、ぬるぬるして。
「ぅくっ……これ、ローション?」
「そうだよ、好きにしていいけど乱暴はダメって言ったの。ローションとかワセリンもってきてって言っておいたの。どう? こんなところでアナルを責められる気分は」
こく、こく、と何度かうなずき、
「すごい……すごく、いいの……」
「どうにかなっちゃいそう?」
「うん……どうにかして……もっと、もっとして」
ずぬ、と馴染んだ感覚がアナルを広げた。細い女性の指が入ってきたのだ。
「ふっ、くぅっ!」
仰け反り、ぴく、ぴく、と体を震わせる。
「あっは……入れられたんだ。わかる、わかるよぉ……睦がアナル責められたとき、そうなるもの」
とぷ、と先走りが押し出されるようにあふれ、糸をひいて床に滴る。
「ね、痴漢プレイ、どう? いい?」
「うん……いい、いいよぉ」
睦は、すっかりこの羞恥にまみれた痴漢プレイのとりこになってしまった。否、とりこにならざるを得なかった。
身をよじり、慈悲なく乱暴に性感をあおろうと自分の体を這い回る手から逃れようとするが、逃れられるはずもない。
ラッシュアワーの電車の中だ。
ぎちぎちのすし詰め状態であり、さらに回りは自分を痴漢し、責めている女性によって固められている。そんな中で女装させられ、女性に囲まれて延々と責められ続ける。
思いも寄らない場所が、何本もの手と指によってまさぐられる感覚。
頭がどうにかなりそうだった。
大声で喘ぎたいが、それは許されない。
それがなお、性感を昂ぶらせる。
体の中心から焼かれるような錯覚を覚えるほどの快感。愉悦。
自分の中で高まる快楽の波に対して、彼にできることはなにもない。ただ、見ず知らずの女性達の指先に嬲られ声を押し殺しながらもだえるだけだ。
これからどうなるんだろう。
そんなことを考えても、すぐに痴漢たちの淫技によって払われる。
終点につくまで、残り40分。
睦に仕掛けられた淫らな罠は、まだ終わらない。