EXTRLLA編はゲーム主人公の方で書くとどうしても百合+男の娘のハーレム物になりかねないのでEXTELLA/Zeroの設定を読んで聖杯戦争で敗れた方の岸波白野を採用しました。
EXTELLA編(1)
赤いドレスと中世の貴族が着るスーツを混ぜたような少し露出の多い衣装を着た剣士が敵のサーヴァントであるライダーの胸に剣を突き刺した。
「あ……」
赤いセイバーが剣を引き抜くとライダーは手にしていた突撃槍を落として後ろへと後退し膝をついた。
ライダーの霊核が破壊されたことでムーンセルからの勝敗が決まり、2組の間に赤い仕切りが引かれた。
当然、敗者となったのは―――――。
「ごめんね、マスター……」
胸を押えたライダーが悔しそうに涙を流す。そんなサーヴァントを後ろから抱きしめてそのマスターは首を横に振った。
「ありがとうアストルフォ。私がここまで来れたのも、アストルフォのおかげだよ」
これが最後だからこそ彼女は自身のサーヴァントをクラスでは呼ばず、真名で呼んだ。
彼女の感謝は本物だった。
聖杯戦争でおまけにより自我が目覚めただけの自分の剣となってくれた英霊。その感謝は言葉では言い尽くせない程だった。
それはサーヴァントとして剣を振るってくれたことだけではない。
生前の彼の旅の話。
一緒に校舎を回って食事をして、買い物をして。マイルームで一緒に過ごしたこと。
対戦相手に勝利を収め、相手の死を見るたびに心を軋ませた自分を慰め、励まし、寄り添ってくれたこと。
その全てが彼女にとって如何なる宝石にも勝る思い出だった。
黒い泥のようなものに浸食されたライダーは最後に抱きしめてくれた主の腕に触れてこの場から消え去った。
サーヴァントが消え去った後、彼女は自分を倒したマスターの顔を見る。
見るからに辛そうな、なにかを堪える表情。
きっと自分も勝ち上がるたびにあんな表情をしていたのだろう。
理解できる。なんせ、隔たりの向こうの彼は彼女自身でもあるのだから。
そして同時に別れて存在するのなら、彼女と彼は別の存在なのだ。
かけるべき言葉はない。
恨み言なんて最初から言うつもりもないし、応援するつもりも彼女にはなかった。
それでも、心残りがあるとするならば―――――。
「もう少しだけ、アストルフォと一緒に過ごしたかったなぁ……」
その言葉を最後に彼女はSE.RA.PHから姿を消した。
それから、短い時間で多くの戦いが繰り広げられた。
レガリアの力を巡り、ネロと玉藻の前の諍いに始まり、アルテラと名乗るサーヴァントの蹂躙劇。
新世界の平定の為に三勢力が凌ぎを削る。ネロと玉藻の和解をきっかけに事態は大きく収束し始め、裏で暗躍していたアルキメデスの目論見を潰すことに成功。
SE.RA.PH内は安定し、地球からも魂の存在として月に訪れる者たちも増え始めた。
再び、彼女が目覚めたのはそんな時期だった。
「ようやく、辿り着いたよ……」
かつてクラス名であるライダーと呼ばれていたサーヴァント、アストルフォ。
彼は月の戦争にはどの陣営にも属さず、ひたすらにSE.RA.PH内部を駆け回っていた。
再びムーンセルによって生の機会を与えられてから感じる繋がり。
それをひたすらに追いかけていた。
曖昧な。意識していなければ途切れてしまいそうなほどか細い繋がり。
アストルフォはこれをひたすら辿り続けた。
そして彼が辿り着いた場所は、かつて聖杯戦争の舞台となった校舎。月海学園だった。
まるで長い間廃校になって放置されていたかのようにボロボロの建物の中を進んで行く。
主の場所はここに入ってから強くなっている。そういう理由もあるが、アストルフォには彼女がどこにいるのかなんとなくでわかっていた。
「お、ここ!ここ!」
そこは、かつて自分と主が住んでいたマイルームの前だった。
扉を開けるとそこには月海学園の制服ではなく、白いワンピースを着た自身のマスターが椅子に座ったまま眠っていた。
「ごめんね。少し遅くなっちゃったかな」
話しかけるが、彼女は身動きひとつしない。それでもアストルフォはかまわずに話しかける。
「SE.RA.PHの中も大分変ったよ。もうひとりのキミが頑張ってる。でもそれはハクノが目を覚ましたら教えてあげるね」
中腰になって椅子に座っている白野と顔の位置を合わせた。
「もうお昼寝の時間はお終い。聖杯戦争の時にした約束。優勝はできなかったけど、それを叶えることができるんだよ。こんなところでいつまでも眠ってられると思ったら大間違いなんだから」
彼女を起こす方法は知らないが、理解はしていた。
なんてことはない。
眠りについて起きないお姫様を目覚めさせる方法はいつだって―――――。
アストルフォは白野の唇に自分の唇を重ねた。
本当にただ触れるような口づけ。
唇を離すと、白野の唇が僅かに震えた。首が動き、ゆっくりと閉じられていた瞼が鍵を外したように開かれる。
虚ろだった瞳が光を宿し、感情に熱が灯る。
「アス、トルフォ……どうして……?」
「すっごい大変だったんだよ!あっちこっちヒポグリフで飛び回ったり!戦闘に巻き込まれたりして!」
腰に手を当てて自分がどれだけ苦労したか主張するサーヴァントに白野はただ訳も分からずに困惑する。
聖杯戦争で敗退し、自分は消滅したはずなのに。
「そんなのボクがわかるわけないじゃん!ボクはただ、ハクノとの繋がりを辿ってここに来ただけなんだから!」
「つながり……?」
そっと左手に視線を落とすとそこには三画の令呪の内の使われなかった残り二画が左手に刻まれていた。
アストルフォとの繋がり。自分が聖杯戦争に参加し、戦った証。
「あ……」
令呪を見ていると何故か涙が流れて来た。そんな白野にアストルフォがそっと左手の甲に手を添える。
「理由なんてなんだっていいじゃないか。ハクノはここにいる。ここで生きられる。それで十分なんじゃないかな」
「うん……うん……!」
コクリコクリと頷きながら白野は左手の令呪を抱きしめる。
自分はあの聖杯戦争に勝ち抜いて多くの命を奪ってきた。
だから自分が負けた時、死という運命を受け入れた。受け入れたつもりになっていた。
でも違った。
どんなに無様でも岸波白野は生きていたかったのだと。
泣き止んだ白野にアストルフォはその手を差し出した。
「行こう、ハクノ。キミに聞かせたいこと。見せたいものがたくさんあるんだ!」
白野はその手を取り、椅子から立ち上がる。久しぶりに立ったみたいに足がすぐによろめいてしまった。
そこで思い出したかのようにあ、そうだ、と呟いた。
「おかえりなさい、
「ただいま、
ここから先は本当に月の王となった岸波白野とは関わり合いのない物語。
同名の名前を持つ彼女だけが歩く物語だった。
「ん‥‥‥‥」
目が覚める。時間にすると6時少し前。
起き上がろうとするが、横で寝ているアストルフォが白野の身体をがっちりホールドしているためそれを外さなければ起き上がれない。
白野たちが住んでいるこの家には別々に寝るスペースくらいあるのだが、アストルフォの方が拒否してくる。
なんでも―――――。
『ハクノと一緒に寝る方がボクの活力が溢れ出るんだよ!』
ということらしい。
好意をストレートに表現してくれるのは嬉しい反面こうして朝起きるたびに抱き枕扱いされるのはちょっと困ると思いつつも別々に寝てしまうと寂しく感じるのだからどうしようもない。
ハクノが目覚めてから初めにしなければならなかったのは衣食住の確保だった。要は生活を成り立つ術を探さなければならない。
月の王になった彼の下へ訪れれば生活は保障されたかもしれないが白野は彼に会うつもりはなかった。
もし会うなら偶然か、向こうから訪ねて来た時と決めたから。
そんなわけで今白野たちが行っているのはまだSE.RA.PH内で誰も手を付けていない未明領域の調査だった。
貴重なデータやら現状を画像に撮っておくだけでもお金になる。
いざとなればヒポグリフもいる。
かつて聖杯戦争でのマトリクス習得のためにアリーナの探査に入った経験を活かして白野たちの生活は一定の水準を保っていた。
私服となったワンピースの上にエプロンを着付けた白野が朝食の用意を終えると匂いに釣られてかアストルフォがやってくる。
ここ最近で知り合った白と黒の中華刀を使う自称
2人で朝食を摂りながら今日の予定を話し合っていた。
「そろそろ色々買い出ししないとダメだから、今日は買い物をしながらまったり過ごそうか」
「お、じゃあ今日はデートだね!」
「うん、そうね」
喜ぶアストルフォに白野は苦笑して紅茶を飲む。
あぁ、幸せだとこの当たり前を噛みしめながら。
活気だった町中を回りながら探査に必要な道具や食材に日用品を買っていく。
途中でアストルフォが屋台に行ったり口論している2人組の仲裁に嬉々として入ったりして刺激には事欠かない。
まぁ、もうちょっと自重してほしいとは思うが。
それに街にも色々な店が出来てきて暇を潰すことも出来る。
そうしているうちに見知った人物の背中を見つけた。
「あれ?お~いアルトリア~」
アストルフォも同時に気付き離れた位置にいる少女に声をかけた。
声に気付いて金髪の少女はこちらに振り向く。
2人が近づくと彼女は微笑んで挨拶をする。
「久しぶりですね。ハクノ、アストルフォ」
目の前に立っている少女こそ彼の有名なアーサー王である。
未明領域の探査を行っていた際に白野のミスで少しだけ窮地に陥ったことがあり、偶然助けてくれたのが目の前の少女だった。
その時宝具から放たれた極光の光は今でも覚えており、戦慄したものだが。
それ以後、こうして稀に顔を合わせて一緒に食事をすることがある。
「アルトリア、今日はうちで食べていかない?あれから少しは腕を上げたつもりなんだけど……」
「ハクノはどんどん腕を上げてるよ!アルトリアも食べにおいでよ!」
「むっ!それは楽しみですが、生憎と今日はこれから先約がありまして。それはまた次の機会に」
「そっか。なら仕方ないね」
アルトリアの返答にアストルフォが少しだけ残念そうにする。
それから互いにまた、と別れて帰路に着く。
家に戻り、少しだけ休んだ後に台所に向かって今日買った食材から今日は何にするかな~と考え始めた。
夕飯のメニューが決まり、立ち上がるとアストルフォが近づいてくる。
「ハクノッ!」
突然アストルフォが後ろから抱きついてきた。
「ア、アストルフォ!」
「う~んハクノの感触~」
「どうしたの、アストルフォ?」
甘えてくるアストルフォに苦笑しながら訊く。いつもならここでなんとなくとかそうしたい気分だったとか返ってくるのだが今日は違った。
「うん。ちょっとね。たまにこうしてハクノに触れてないとどこかに行っちゃう気がしてさ」
アストルフォのマスターである【岸波白野】は聖杯戦争で敗退し、一度死を迎えた。
その彼女が何故こうして今を生きているのか、推測は立てることもできるが理由は不明のままだ。彼女たちが未明領域の探査でデータを漁っているのもそうした理由がある。
「大丈夫。私は消えないよ。ずっとアストルフォの傍に居る。だから、そんな顔しないで……」
「……うん」
今思えばこうしてアストルフォが過剰にスキンシップを取りたがるのはそうした不安の解消もあるのだろう。
白野とていつか自分が何の前触れもなく消えてしまうのではないかという恐怖はある。
しかし先のことは先のことだ。
いつか来る終わりに身を縮ませるより今を全力で楽しく生きていく。
一度この世界から消えたからこそ白野は強くそう思うようになっていた。
1番愛しい家族と一緒に。
「あの、アストルフォ……さ、さすがにこの格好は恥ずかしいっていうか……」
「似合ってるよ、ハクノ」
「今そのセリフを言われても嬉しくないよ!」
今も台所にいる白野の格好は一糸纏わぬ肢体からエプロンを身につけただけの状態だった。
「せ、せめてベッドで、ね……」
「ここでしたいんだけど……ダメ?」
「~~~~~~!!」
顔を近づけて訊いてくるアストルフォに白野は顔を赤くして顔を背けた。
「……なるべく汚さないようにね」
「うん!」
それでもこうしてお願いを聞く辺り自分も相当,入れ込んでいると白野は内心で嘆息する。
「それじゃ、いくよ。むこうむいて」
テーブルに手を付いている白野に後ろから腰に腕を回しながら耳を甘噛みし始める。格好の所為か触れられると過剰に感じ、声が漏れる。
舌を使い耳や首筋を舐めたり、指が白野の秘部に侵入を始める。
「アストルフォ、ちょっと……っ!」
「濡れてきたよ。アハ!少し触っただけなのにね~」
「ッ!?」
言葉で攻めてくるアストルフォに白野はさらに顔を赤くさせた。
その間にも尻や太腿。胸などを軽く触れるくらいの強さで這わせ、もどかしい刺激を与えてくる。
「ん……は……アストルフォ……その、もうちょっと……」
「ん?なぁに?」
背中を舐めていたアストルフォがどうしたの?と言った感じで訊き返すがわかっているのだろう。
ここでの生活が始まってから何度も肌を重ねたのだ。どれくらいの力加減が良いのかわからないはずはない。
「どこをどうしてほしい?教えて……」
耳元で囁くように訊かれて白野は表情を歪めるが、一度熱を帯びた身体がより強い快楽を欲していた。
「むね……とか、もうちょっと強く……」
白野が答えるとアストルフォが片方の乳房を強く揉み、もう片方は乳首を抓る。
「つっ……あ……!」
突如襲った強い快感の波に白野の口から吐息が漏れる。
段々と腕に力が入らなくなった白野の片腕を上げる。
「アストルフォ……なに、をっ!?」
上げた腕の腋を舐められ始めて白野が声を上げた。
「ふあ……なんで、そんなとこ……やぁ!?」
今まで感じたことのない性感帯に首を振るが高まった快感に徐々に達しようとしていた。
しかし、そこでアストルフォが愛撫を止める。
「はぁ……はあ……はあ……?」
「今度はこっち向いて」
向き合う形に体勢を替えられるとアストルフォは屈み、エプロンをめくるとその中にある女性器を舐め始めた。
それには快楽の熱で茫洋としていた白野の頭を急激に目覚めさせる。
「――――ッ!?アストルフォ!ホントに怒るわよ!?」
テーブルの縁に尻を預けながら立っている白野がアストルフォの頭を引き剥がそうとするが構わずに行為を続ける。
秘部に舌を入れられたり、クリトリスを舐め上げる形で舌を動かすなどして愛撫を続けられ、次第に引き放そうとする手から力が抜けていく。
それと同時に再び達する感覚が湧き上がってきた。
「あ……やだぁ……!」
白野がイクと潮を吹き、その液体がアストルフォの顔にかかる。
「っ!?」
それに強い羞恥を覚えて白野は真っ赤になった顔を隠した。
「ごめんね?でも気持ちよかったでしょ?」
付いた液体を拭おうともせずに無邪気な表情で訊いてくるアストルフォに白野は答えずに顔を隠している。
「もういいよね。ボクも限界だし。そろそろ挿入れるよ」
隠している顔を外させてまた後ろを向かせる形になり、腰を掴むとそのまま一気にアストルフォの肉棒は白野の膣に侵入した。
「あ、ん!!はぁ……」
吐息を漏らしながら後ろから突かれるたびに大きな快感が寄せてくる。
体をくの字に曲げて完全にテーブルに上半身を預ける白野。それに重なる形でアストルフォも覆い被さり腰を動かしてくる。
その間にもエプロン内側に手を入れて胸を揉んでくる。
「ハクノいいよ!!いろんなところからボクの放さないってを締め付けてきてる!」
後ろからの声に白野は答えることができず、ただ達するのを我慢して唇を結び、アストルフォと一緒にイキたいという思いだけだった。
そしてそれは早く訪れる。
「ハクノ!そろそろ射精る!ボクの大事な
アストルフォが自身の精を吐き出すのと同時に白野が達した。
「……ケダモノ」
行為を終えた後、湯船の中で白野はアストルフォに体を預けながら頬を膨らませていた。
「アハハ。ごめんね。ハクノが可愛いからつい……」
頬を掻きながら謝罪するアストルフォ。しかしどうせ明日になったらあぁ、そんなこともあったねくらいに記憶が薄まってるに違いない。
一度息を吐いて思考を切り替える。
「でも私、体を重ねてる時よりこうして終わった後に2人湯の中でダラーっとしてる方が好きかも……」
「あ、それわかる。ボクもこうしてハクノに体を預けられてお風呂に入るの好きだよ!」
他愛のない会話をして笑い合う。
湯に体が溶けるように浸かりながら思う。
こうして好きな人と肌を重ねたり、日々を生きている。
この生活にもいつか終わりが訪れるのかもしれないが、その時まで笑って、泣いて、怒ってを重ねて生きていきたい。あの聖杯戦争のあと、ずっと自分を探してくれた彼と一緒に。
そこで、そういえばと体を回してアストルフォと向き合う。
アストルフォの身体を見てもしかしたら腰回りが自分より細いかもしれないと焦りを覚えたがすぐに振り払う。
「どうしたの、ハクノ?」
「……キスして」
「え?」
「さっきしてた時はキスしてくれなかったでしょ。だからいまして……」
「そうだっけ?」
「そうだよ。してくれたら、さっきのことは許してあげる……」
言っていて恥ずかしくなってきたのか、湯だけでは説明できない程に一気に顔を赤く染める。
それにアストルフォは苦笑して承諾した。
「りょ~かい!ボクもハクノに早く許してもらいたいからね!」
指を絡ませて目を閉じている白野にアストルフォは唇を重ねた。
いつか終わるこの幸福が少しでも永く続きますようにと願って。