読みにくくてほんとすみません。
フェイトちゃんを見送ると、彼が声をかけてきた。
「良かったんですか?」
「牽制は必要やからな」
「へ?」
「わからんならそれでいいわ」
「はあ」
「何故急に夕食を?」
「迷惑‥やったか?」
「とんでもない」
「ちょっと‥もうちょい‥近づきたいなーって」
「はあ‥」
「この間から君と付き合い始めたけど‥特に、何も変わりないやん?」
それだけ言うと、はやてはお盆を片付けに席を立った。
ギクッと思う。それは俺も思っていたことだ。
付き合ったら、何かが変わると思っていた。
でも実際には何も変わりない。誰かが言っていた。愛とはお互いに愛そうとする努力が必要なのだと。もちろんはやてへの好意は少しも薄れていない。だが、ただ好きなだけじゃダメなのかもしれない。
少なくともはやては何か不安を感じている。
これは俺の怠慢だろう。
どうすればいいのだろうか。恋人として一歩進む必要があるのかもしれない。だがそれは俺1人で決める事じゃない。経験不足の事実が重くのしかかる。
くそっ。シャリオにでも相談するか‥
辺りを見渡すと、丁度シャリオと目が合った。
ニヤニヤしながらこちらへ近づいてくる。
えー、こいつに相談すんの?
「そこまで嫌そうな顔されると、幼馴染としてもさすがに傷付くんだけど」
「鏡で自分の顔見てから言いやがれ」
「どれどれ?」懐から鏡を取り出し、自分の顔を確認するシャリオ。
「いつも通りの可愛い可愛いシャリオちゃんじゃない?」
「ぬかせ」
「何か相談があるんでしょー?ほりほり?言ってみたまえ若人よ」
くっ‥今こいつに頼るのは屈辱的だが背に腹は代えられん。
仕方なく、先ほど考えた、自分の思いを話して聞かせる。
「簡単だよ」
フンフンと聞いてから、
こともなげに、言葉を発するシャリオ。
「 マジで?」
「すごいなおまえ」
「それで?俺はどうすればいい?」
「やっちゃいなさい」
手をグーにして
人差し指と中指の間から親指さんがこんにちは!ってバカー。やだ‥シャリオったら‥お下品‥
俺が軽くひいていると、シャリオは少し赤面しながら咳払いをひとつ。
「いや冗談抜きで、抜いちゃいなさい常談抜きだけに!」と、ドヤ顔を披露してくる幼馴染みに俺は開いた口がふさがらない。
俺の幼馴染みがこんなにオヤジなわけがない!
シャリオさん帰ってきてーー!
「はやてさんだって待ってるわよ」
「えー?ホントにござるかー?」
疑わしげな視線をシャリオに送る。
「あのね?女にだって性欲はあるの。男が好きな女抱きたいって思うのとおなじくらい好きな男に抱かれたいって思ってるんだよ?」
シャリオさんちょっとセキララ過ぎません?
今日はやてさんが夕食作りに来てくれるんでしょ?
「え?なんで知ってんの?」
「さっきの、聞こえてたし」
「そこで確認してみたら?」
「確認って?」
「少しでもはやてさんが誘惑してるって感じたら、抱きなさい‥」
「誘惑‥ねえ‥」
はやてに限ってそんなことあるだろうか‥?
「まあ‥わかったよ」
「ただ‥少し」
「少し‥何よ?」
「声のトーン下げてくれ‥」
「ごめん」
赤面しながらテヘペロポーズをとる。
◇はやてside◇
弘義君と話終わったあと、空のお盆を返して、食堂を歩いていると、シャーリーが歩いてきた。
「後でお時間下さい。」
スレ違い様に声を掛けられる。
「了解や」
私が答えた時には、もうシャーリーはすでに2~3歩離れていた。最後にテーブルへ戻り、弘義君に挨拶する。
「もういくな。また夜にな~」
「お疲れ様です」
彼が慌てたように敬礼して見送ってくれる。
書類仕事を片付け、シャーリーへと連絡をとる。
「はい」
「時間出来たで」
「お手数ですがデバイスルーム迄ご足労願えますか?」
「すぐ行くわ」
デバイスルームでは既に、シャーリーが待っていた。彼の姿がないようやけど。
「彼ならもう帰りました」
「そ、そうなんか‥」
「さて、まずは勝利おめでとうございます」
いきなりそう切り出され。なんの事かと、困惑する。
「鮮やかなお手並みでしたね。監理局が誇る二大エースに何もさせませんでしたよ」
「なのはさんが元気なかったのがおかしいなって感じましたけど‥」
「ああ‥なのはちゃんな、多分あの子、自分の気持ちにまだ気付いてないわ。」
「成る程。それで‥」
ん?今一瞬、シャーリーの顔がゲマだったような‥
目をこすってもう一度見てみると、いつものシャーリーだった。
「どうしました?はやてさん」
「ん?ああ。何でもあらへんよ」
「それで、今回はなんの用なんや?」
「お昼の成果を褒める為ってことはないやろ?」
「作戦会議です。」
「作戦?」
「そうです。今日の夕食作りで勝負を決めましょう!」
「勝負を決める?」
「ええ。あわよくば、最後迄いっちゃいましょう!」
「さ、最後迄って‥つまり‥そういうコトでいいんか?」
「いいんです!」
フェイトさんがあの調子だと、ちょっと、私も予測‥つかないんで。
シャーリーにここまで言わせるなんて、フェイト‥恐ろしい子!
「わかったけどそこまでなんか?もうちょいゆっくりいきたいなーなんて。」
「甘い!甘すぎですよはやてさん」
「ダイエット中にお菓子を食べるデブくらい甘いですよ!」
「そ、そんなにか」
良いですか?恋愛において、まあまあで済ましていい、イベントなんてひとつもないんです。まあまあ良い印象をあたえたようだ。で満足してちゃいけないんです!そんなのセーブ&ロード当たり前なんです!
せやろか?
「一回のイベントで、てにはいる限りの最大の戦果を求めなければ、最後には泣く事になるんです!」
「お、おう‥」
「すいません。取り乱しました‥」
「い、いや‥私も甘かったわ」
「そこで、今日のメニューですが、シャマル先生監修のもと、考案致しました。牡蠣と山芋は入れましょう。あとはアサリとしじみとニンニクも忘れずに!」
シャリオに提案される材料を聞いて、私は顔が赤くなる。およそ、世間一般で、精を想起させるものばかりだからだ。
って、なんでシャマル?
言っちゃなんだがシャマルの料理は‥
私が訝しげにシャーリーを見ていると、
シャーリーは我が意を得たりと、
「安心してください。シャマル先生に監修頂いたのはあくまで材料だけです。レシピには一切関わっていません!それに、はやてさんには‥レシピなんて必要無いでしょ?」
と、何だか羨ましそうにシャーリーは言ってくる。
まあ‥確かに料理は得意や。
「うん。任せとき!」
そう言って胸を張る。
「ちっ」
ん?今シャーリー舌打ちせんかった?
「さて、彼の好みですが弘義は濃い目の味付けが好きですね」
ふむ。確かにこの間連れていかれたラーメン屋も結構塩辛かった。あんなんばっか食ってたら、体調おかしくしてまうで。
少し‥薄目に味付けしようか‥と、私が考えていると、シャーリーが急に声をあげた。
「ちょっと待ったあ~」
「き、急にどうしたん?」
「はやてさん、今、彼の身体の為に薄目に味付けしようなんて、考えてません?」
「うっ‥」
図星を突かれ私は口ごもる。
「あかんの?」
「ダメです」
「良いですか?たった一食、塩を0、?g減らしたところで、意味はありません」
そら、そうやろうけど‥でも彼の身体を考えるなら‥
私が納得出来ずにいると、シャーリーは察したのか更に言葉を続ける。
「良いですか?そういうのは結婚してから考えれば良いんです!」
「け、けけけけ、結婚て、シャーリー、気が早いわ」
私が熱くなった頬を抑え、いやんいやんしていると、
シャーリーはまるで私を汚物を見るような目で見ると、っていやいや、上官になんて顔してるんや!
シャーリーはふう。と、ひとつタメ息を吐くと
呆れられてしもうたんやろか‥シャーリー!見捨てんといて!私が不安気にシャーリーを見ていると、
「良いですか?はやてさん‥さっきも言いましたけど、恋愛では、常に最大の戦果を獲りにいかなきゃダメなんです!」
お、おう。
「彼女が彼氏に手料理を振る舞う!なんていう一大イベントで、そんな甘い考えは捨てて下さい!」
「はい!シャーリー師匠!」私は彼女の気迫に圧され、思わず敬礼してしもた。
「良いですか?ここで、彼の好みの味付けの料理を出せば、彼は結婚迄考えます!男は!身体の事心配して薄目の味付けにしました。なんて、こっちの苦労なんざ知ったこっちゃ無いんですよ!出された料理が自分の好みかどうか、この一点だけしか見やしないんです!」
せ、せやろか‥?
「すいません。取り乱しました」
「いや‥ええねんけど、過去になんかあったんか?」私が恐る恐る尋ねると、
「気にしないで下さい‥」
「それはともかく重要なのは野菜炒めです」
「へ?そうなんか?」
「他のものは礎材で押しきれますが、野菜炒めは純粋に味付けの好みが出ます」
「こういうちょっとしたものを自分の好みで作ってもらえると、ポイント高いです」
「ふむふむ」
「あとは、カレーや玉子焼きが重要度高いですが今回は見送りましょう。」
「そうなん?カレーは解るとして、玉子焼きくらいなら別に作ってもええけど」
「いえ、濃い目の味付けが好きな人でも
玉子焼きは甘いのが好きとかいうやつたまに居るんで、一か八かになるので今回はやめときましょう」
「わかった‥」
~後、最終兵器としてこれ渡しときますね。
そう言って、彼女は2~3粒の錠剤を渡してくる。
「これは?」私が不安気に訪ねると、
「バイ○グラです」
「ちょっ」
「あくまで念のためですよ童貞はいざって時にヘタレて勃たない事ありますから、料理に混ぜても良いですし、いざとなった時に使うのも良いですし、弘義はまず間違いなく童貞でしょうから」
幼馴染みにこんなこと言われて弘義君も災難やなぁ。
「えっと‥シャーリーはええの?その‥私と弘義君がそうなっても‥」
「気にしないと言えば‥ウソになりますけどね‥でも言ったでしょう?私はやてさんと弘義を応援するって‥」
「シャーリー‥」
表情に陰を落としながら彼女は答えてくれた。
私はその言葉に感銘を受けた。
「ごめんなぁ。ごめんなぁ」
私はそう言って、シャーリーを抱き締める。
シャーリーの心中を思って泣けてくる。
彼女は一体どれ程の切なさに耐えながら、私を応援してくれているのだろう。
自分だったら、絶対に無理だ。
「あと‥これもどうぞ」
そして彼女はまた何かを渡してくる。
「これは?」
「コンドームです弘義が常備してると、思えないんで」「何から何までありがとうな」
「針で穴を開けとくのも有りですよ?」
「開けるかっ!」
「さて、」
急にシャーリーが真面目な顔になる。
「わかってるでしょうが、弘義はヘタレです」
「うん」
「そんなやつにその気にさせるには精力料理だけでは、心許ないです」
「はい」
「なので、普通に誘惑しちゃいましょう」
「へ?」
誘惑て‥いきなり言われても、ウチ‥そんなのようやらんわ‥熱くなる頬を押さえながら私がいやんいやんしていると、
またシャーリーが冷たい目をしていた。
養豚場の豚でも見るかのような冷たい目えぇー!?
いやだから‥上官にそんな顔しちゃらめぇえー!
だって、誘惑なんか出来へんもん。私がすがるようにシャーリーを見ていると、
「まあ私もはやてさんが誘惑できるなんて思っていません」
あれ‥今私軽くディすられてへん?