◇シャーリーside◇
朝、出勤途中で、弘義を見つけた。唇の両端が自分の意志と関係無くつり上がるのを感じる。と、同時に私は走り出した。
弘義の腕に抱き着き、胸を押し付ける。サービス増量中だよ♪
◇弘義side◇
朝、ボケーっと出勤していると、いきなり横から衝撃が来た。と思ったら、シャーリーが腕に抱き着いていた。
ファッ!?
え、ナニコレ?なんかすごいふよんふよんしてる。俺は顔が熱くなるのを感じながら、シャーリーへと抗議の声を上げる。
「お、おい?当たってるんだけど‥」
するとシャーリーにグイッと腕を引っ張られ、その勢いで、頭も下がる。するとシャーリーが俺の耳元に唇を寄せ、ぽしょりと呟いた。
「当ててるんだよ?」
耳に息遣いと、共に聞こえてきた言葉に更に顔が熱くなる。ふうっと更に耳に息を吹き掛けられ、
顔の半分に意識を持っていかれた瞬間、
チュッと、俺の頬に柔らかい感触が来た。
驚いてシャーリーの方を見ると、シャーリーはこちらへぺろっと舌を出して、いたずらっぽい笑みを浮かべていた。
「やり過ぎだぞ?」
「童貞男子が喜びそうな事してあげたんじゃない私は悪くない。弘義が童貞なのが悪い」
「いや?童貞ちゃうし‥」
「チッキショオォォー!!」
そしてシャーリーは叫びながら走り去って行った。
やられた‥初手で既に、俺の心臓は限界だ。
俺は茫然と、シャーリーの背中を見ていることしか出来なかった。
その後、デバイスルームへと入ると、シャーリーが出迎えてくれた。
「おはよっ弘義っ♪」
まるで先程の事が無かったかのような対応に多少戸惑う。
「おはようございます。主任」
「デート決めてくれた?」
ウキウキしながら聞いてくるシャーリーに言い放つ。
「デートには行けない」
「‥ぇ?何で?」
「はやてに聞いた。許可してないって」
「そっか。バレちゃったか‥」
「何でウソついたんだ?」
「だって仕方無いじゃない!」
「弘義とデートしたかったんだもん‥」
泣きながら言葉を吐き出すシャーリーに俺は言葉を失う。
「何で今更?今までずっと応援してくれていたのに‥」
「あはは‥ホント今更だよね‥でも仕方無いじゃない!気付いちゃったんだもん!弘義が!好きだって!」
「なん‥だと‥ははは‥」
「何がおかしいのよっ?!」
「俺もお前が好きだったんだよっ!」
「‥ぇ」
「はやて達に一目惚れして、それでお前が応援してくれたから!俺の事なんて何とも思って無いんだって!」
「‥ウソ‥ウソ‥はは‥ナニソレ‥ああ‥」
シャーリーは両手で顔を覆うとその場に泣き崩れた。
俺はいたたまれない気持ちで動けずにいた。
幼なじみで両想いだった俺達はなんの因果か、スレ違いまくって、今こうなっている。なんの冗談なんだか?まるで喜劇だ。視界が滲む。泣いているのか?俺は‥
「弘義ぃ‥」
すがるように、シャーリーが声をかけてくる。
俺は黙って、シャーリーを見つめていた。
「デート‥しようよ?」
「無理だ。俺ははやてを裏切れない。」
「今、俺が好きなのははやてだけだ。」
「それでもいいよ。弘義の隣ははやてさんに譲るよ。想い出をちょうだい‥」
「ぐぅっ!」
涙ながらに訴えてくるシャーリーに心が揺れる。
俺の初恋の女が泣いている‥
家族同然に育ち、一緒にメカ弄りをしていた光景が甦る。
「弘義ぃ‥」
スンスンと鼻を鳴らしながら、シャーリーが手を伸ばしてくる。
俺がその手を取ろうとした時、脳裏にはやての笑顔が浮かんだ。
(私以外の子に言ったらあかんよ?)
「!」俺が伸ばしかけた手が落ちる。
それを見たシャーリーは絶望に顔を染め、
再び泣き崩れた。
シャーリー‥すまない。すまない‥すまない。
俺は歯を食い縛り、心の中でシャーリーに謝り続ける事しか出来なかった。
もしかしたら、俺達が恋人になっていた未来もあったのかもしれない。
だが、今の俺が一番大事に思っているのははやてだけだ。
さて、無性にタバコが吸いたくなった俺は、喫煙所へと急いでいた。
今のシャーリーに声をかけると余計な事を言ってしまいそうだったから。
新しいいちゃいちゃが思い付かなければ、次で終わると思います。