◇弘義side◇
昼。俺ははやてに呼び出されていた。
司令室へと入ると、はやてが申し訳無さそうな顔で待っていた。
「急に呼び出しなんてどうしたの?」
俺の問い掛けに、はやては俯き気味に答える。
「ちょっとややこしい事になってな‥」
「ややこしい事って?」
俺は何か仕出かしたかなと思って、はやてへと、聞き返す。
すると、はやてはいきなり俺に向けて頭を下げ、
「何も聞かんと、なのはちゃんとフェイトちゃんとデートしてくれへん?」
「ええ‥」
いきなり彼女から、他の女性とデートしてくれと言われた。‥‥どういう事なの‥?新手の美人局かな‥?
「えっと‥遠回しに別れてくれって言われてる?」
するとはやては怒りに燃えた瞳で俺を睨み、俺を一喝した。
「そんなわけないやろっ!!」
その声量に、俺がビリビリと痺れていると、
「えっと‥理由は聞いちゃダメなんだよね‥?」
するとはやてはとても辛そうに、コクリと頷いた。
「わかった。はやてが言うなら、何かどうしようもない理由があるんでしょ‥」
「ごめんな‥ごめんな‥」
涙をポロポロ溢しながら謝る彼女にそっと近づき、彼女が泣き止む迄頭を抱え込み撫でてやった。
「ありがと‥もう‥大丈夫や‥」
スンスンと鼻を鳴らしながら、彼女が俺の手をそっと掴んだ。
俺の手をにぎにぎしながら、しばらく弄んだ後、彼女はふわりと微笑んだ。
「デートに行くのはええけど、浮気は許さへんからな」
「イエスマム!」
柔らかい笑顔に、似合わぬ、確かな威圧感を感じて、俺は敬礼で答える。
握られた手が痛いくらいにミシミシと悲鳴をあげていた。
◇シーンチェンジ◇
◇弘義side◇
時は流れ、なのはさんとのデートの日がやってきた。なんでもプールに行くらしい。今日は秋晴れになり、太陽も照り付け、気温もそれなりまで上がるそうだ。
朝待ち合わせ場所に着いた俺は、驚き戸惑っていた。
既に、なのはさんは来ていたのだが、問題は服装だ。
今日は日差しが強いからだろう。麦わら帽子を深めに被り、白いTシャツにミニスカートからのぞく、太ももがたいへんけしからん。
いや、問題はTシャツに書いてある文字だ。Tシャツのフロントにはデカデカと、黒字で「生涯魔砲少女」
と書いてある。どこに突っ込めばいいのかわからない。Tシャツはともかく、控えめに見ても美人な彼女は人目を惹いていた。
どうしよう‥俺、‥今から彼女に話し掛けんの‥?俺がジリジリと彼女への距離を詰めていると、突然彼女がこちらを向いた。
彼女は俺の姿を認めると、ニパーッと笑顔をつくり、此方へ駆け寄ってきて、俺の腕へと抱き付いた。
周りから舌打ちと共に殺気が漏れ出す。
俺は向けられた殺意に冷や汗をかきながら、何とか声を絞り出した。
「い、いきまひょうか‥?」
噛んだ。‥死にたい‥
彼女はジーッと俺の様子を確認すると、更に強く抱き付き、胸を押し付けてきた。
あ。フヨフヨしてる‥思ってた以上に、柔らかいし大きい。俺が、押し付けられる感触に、赤面し硬直していると、
なのはさんは俺のそんな様子を見て、何故か嬉しそうに、更に胸を押し付けながら、俺の手に指を絡めてきた。
何事?
何?この状況?
なのはさんってこんなにスキンシップとる方だったっけ?
「うーん、もうちょっと待ってね?未だフェイトちゃんが来てないから」
え?フェイトさんも来るの?
「うふふ‥
「それまでは、なのはの感触で楽しませてあげるの」
「いや‥なのはさん‥あのですね‥人目がすごいので、とりあえず落ち着きましょ?」
瞬間、俺の逆側に、ふわりと暖かい感触がきた。
「お待たせ。」
フェイトさんだ。
何故かフェイトさんも俺の腕に抱き付いている。
「あ、スゴい‥フカフカしてる‥」
「まるで干したてのふとんみたい」
「うふふ。えいっ♪」
更にフェイトさんが押し付けてくる。
何をって?言わせんな。
「フカフカがフカフカが‥きもひ‥いい‥」
「むー!ずーるーいーのー!」
なのはさんが頬を膨らませながら、抗議をしてくるが、俺の意識は既にフカフカの虜だ。
フェイトさんのおっぱいは凶器でしたまる
「それなら‥えいっ♪」
と、なのはさんが俺の手を太ももではさんだ。
「ちょっ‥」
「んふぅっ‥」
手の甲に当たる、柔らかい恥丘の感触に、そして彼女が漏らした吐息の色っぽさに、俺の息子が、起き出した。
ムクムクと起立したやんちゃ息子を悟られまいと俺が中腰になると、なのはさんは更にいたずらっぽい笑みを浮かべて、
「あれーどうしたのー?」
と、身体を密着させてきた。吐息を耳に吹きかけるサービスぶりだ。
やられた‥
俺は今迄、なのはさんの事を純真無垢なまるで少女のような人だと、思っていた。だが今の彼女は間違いなく年相応の女性だった。子どもだと思っていた女性の豹変ぶりは、一種のギャップのようなモノを感じさせ、そして何処か背徳感すら感じさせ、俺の息子は完全に戦闘状態になってしまい、
何とか落ち着こうと、辺りを見回し、フェイトさんの服装で目が点になった。
白いTシャツにデニムのショートパンツ。これまた太ももが大変眩しい。ここまではいい。だが彼女のTシャツにもフロントにはデカデカと字が書いてあった。
「なのは命」と書いてあるそのTシャツはじっとりと汗で湿っており、彼女の下着が黒であると主張していた。
「フェイトちゃん?その変なシャツ何?」
「変じゃないもん!」肝心のなのはさんが引いていた。哀れ‥フェイトさん‥
なのはさんの指摘に口を尖らせて反論するフェイトさんがくっそ可愛い。
「なのはだって変なシャツ着てるじゃない!」
「変じゃないの!なのははまだ少女なの!」
「私達、もうすぐ成人なんだよ?」
みしり、その瞬間俺の腕に万力のような圧力がかかった。
「いだだだだだ!!」
「弘義!大丈夫?ほーら。フカフカだよー」
痛がる俺を心配してフェイトさんが胸を押し付けてくれた。
「あ‥フカフカ‥すごい‥フカフカすごい」
すると、なんということでしょう‥全く痛みを感じなくなったのです。これが匠の技ってやつか。違うか。違うな。
「なのは?弘義に当たっちゃダメだよ?可哀想でしょ?まあ私のフカフカがあるから平気だけどね」
「へーえ?」
ビキビキという効果音がなりそうなほどになのはさんのこめかみに青筋が浮かんでいる。
まるで⚫️⚫️の柘みたいだ。
「ほ、ほら?早く中入りましょ?」
俺は身の危険を感じ、不運と踊っちまう前に、
フカフカの虜、フカパニから回復すると二人を中へと誘う。
「「うん。じゃあ中でね?」」
二人はハモッて返事をする。
あれ?険悪な雰囲気はどこへやら。二人は腕を組みながら、中へと鼻唄交じりに入っていく。
うむ。仲良き事は美しきかな
眼福なり。
俺は深く考えるのを止め、そそくさと着替えに行く。
男はこういうとき楽である。着替えもサクッと終わ
り、プールサイドへとでたが、当然のように女性陣の姿はなく、
俺は一人佇んでいた。チャプチャプとプールの水を掬い、涼をとる。
暫く、水の冷たさをたのしんいると、後ろで歓声が上がった。
なんだなんだと後ろを見ると、そこには予想通り二人の水着の女神が降臨していた。
「「お待たせー」」
ザワッ
二人が俺に声を掛けた瞬間、空気がざわついた。
殺気を纏った支線が俺を貫く。
なのはさんはピンクのビキニ。フロントの谷間の部分が大きく開いており、俺の視線を捕まえて離さない。デカイじゃないですかーやだー。普段小さい小さいとよく自虐しているが、比較対象がおかしいだけなのだろう。2つのお山は充分過ぎる程育っていた。
そのおかしい比較対象のフェイトさんは
黒のチューブトップのような水着であり胸元の上の部分がハート型に開いており、上乳も下乳も楽しめるようになっていた。
なんて、親切設計。これが今流行のバリアフリーか。違うか。違うっぽいな。
ボンッキュッボンッぷりがスゴい。これと比べれば、なのはさんが卑屈になるのもわかる。
「デカイ‥デカ過ぎる‥」
「あれって足が4本あって、胸のとこで膝抱えてるんじゃないの?」
ギャラリーの心無い感想に、フェイトさんが顔を赤くする。そんなギャラリーの視線を遮るように俺は彼女の隣へと立つ。
「さ、行きましょ」
彼女の手を握りプールサイドへと誘う。
「う、うん」
俺に手を引かれた彼女は何故か先程よりも顔を赤くしていた。
「私はエスコートしてくれないの?」
なのはさんが不機嫌オーラ丸出しで声をかけてくる。
「いえいえ‥とんでもない」
俺は謝罪しながら、彼女へ手を差し出す。
彼女は俺の手を嬉しそうに握ると、ニコニコと我先にと歩き出した。
そこで周りを見ると、余り混んではいないようだが、俺達の周りには人だかりが出来ていた。
勿論視線のお目当ては二人の美女だろう。あの変なシャツを脱ぎ水着となった彼女達はもう魅力を妨げるものが無い今、プールの男共を思う存分魅了していた。此の分嫉妬の視線も増し増しになっていた。ちょっと怖い。
「どうする?声かけるか?」
「男の方は冴えない感じだしワンチャンあるんじゃね?」
「バッカよく見ろよ。男の方目だたないけど、結構ムキムキだぜ?」
「お、おう。良い身体してんな。顔も俺好みかもワンチャンあるかな?」
やめろ。ワンチャンないから。物騒な会話をしている男達の方をなるべくみないようにしながら、俺は足を速める。
「プッモテモテだね?弘義」
フェイトさんが吹き出しながら声をかけてくる。
人の流れが途切れたところで、俺達は腰を下ろした。
「嬉しくないっす」
「でもほんとに結構筋肉ついてるよね?何かやってたの?」
「いえいえ。何もやってないですけど、魔力が無いんで、せめて身体くらい鍛えようと、一時期筋トレばっかりしてました。初恋の人達を守れるように」
「そ、そうなんだ‥」
俺がそう言うと、フェイトさんは真赤になって、俯いてしまった。なんか変な事言ったかな‥?
と、俺が首を傾げていると、フェイトさんがまっすぐにこちらを見て、口を開いた。
「初恋の人達って‥私達だよね?」
「うえっ⁉️」
「な、何でそれを‥?」
フェイトさんに言った事は無かった筈だが。
「シャーリーに聞いた」
あの野郎!全く‥あいつは昔から口が軽い。
俺が奴のメガネを叩き割る決意を固めていると、フェイトさんが更に口を開いた。
「その‥ホント‥なんだ?」
「いや、あの?ホントではあるんですが‥」
「すみません‥守るとか大口叩いて‥」
「ううん‥嬉かったよ‥?」
「笑っちゃいますよね?実際には、ちょっと身体鍛えたくらいじゃとても追い付けないくらい‥あの少女達は強くて‥」
「魅力的で‥」
俺がそこまで言葉を溢したところで、フェイトさんがソッと、俺の手を握った。
フェイトさんはじっと俺を見つめていた。
その目は潤んでいて、どこか色気を帯びていた。
「そんなことないよ‥今日だって、周りの視線から守ってくれたし‥私だって女の子だし‥そんな風に言って貰えたら、とても嬉しい‥よ?」
いつの間にかフェイトさんの距離がとても近い。
呼吸が感じられる程の距離に彼女の顔はあった。
ソッと彼女が目を閉じた。
これはいかん。
危うく彼女の唇へと吸い込まれそうになりながら、俺は顔を離す。
彼女はギュッと目を閉じていて、長い睫毛がぷるぷると震えていた。
その扇情的な後景に泣く泣く背を向けて、俺は謝罪する。
だって脳裏にはやてが浮かんだんだもの。
「浮気は許さへんからな!」
と、寂しげに微笑む彼女が脳裏に焼き付いていた。
「すみません‥フェイトさん‥俺、今はやてを愛してるんで‥」
「うん‥そうだよね‥ごめんね‥」
それだけ言うとフェイトさんは走り去ってしまった。プールサイドは走っちゃいけません。
弘義君?」
ビクッと俺が振り返ると、そこにはなのはさんがいた。
「フェイトちゃんを泣かせたの?」
ゴゴゴゴゴゴ!と、効果音がついてそうな感じで仁王立ちしている彼女を見て、脂汗がだらだらと出てくる。
「いえ!‥はい‥その‥ですね‥」
「うふふ。見てたから、無理に説明しなくてもいいの」なのはさんはまるでからかうようにほほ笑みながら、しどろもどろに説明しようとする俺を止める。
「はい。なんと言いますか。」
「フェイトちゃんもバカなの。正攻法で行ったって無理に決まってるの‥でも‥それでこそ‥なの」
なのはさんがボソボソと何かを呟いたが俺には聞こえなかった。
「え?なんて?」
「なんでもないの」
間髪入れずにそう返されては仕方ない。
「さて‥弘義君?」
なのはさんが深呼吸をひとつしてから俺へと、口を開いた。
「はい‥」
「あんなのでもフェイトちゃんは私の親友なの」
あんなのて‥一体なのはさんの中で何が起こって、フェイトさんの株がここまで堕ちてるんだろう‥
「はい」
神妙に首肯く事しか出来ない俺。だって、怖いんだもの。
「なので‥弘義君には罰を受けてもらいます」
「はい。はい?」
すると流れるようになのはさんは俺へと近付き、俺を押し倒した。
背中の傷みに耐えながら、目を開けると、俺に馬乗りになって見下ろしているなのはさんがいた。
「エヘヘ。」
「なのはさん?何を」
「だからー罰なの」
意味がわからない。モジモジと俺の上で動くのを即刻やめて頂きたい!息子が起きちゃう!
恥丘を股間に押し付けながらこちらを見下ろす彼女の目は嗜虐的な輝きを放っていた。どういう原理なのかいくら俺がもがいても、彼女をどかすことは出来なかった。
「なのはさん?あの‥当たって‥」
「何が?ちゃんと言ってくれないとなのはわかんないの」
なんということでしょう。あどけない少女のようだった彼女がまるでSMの女王様のような顔をしています。これが女王感染者か。雛見沢症候群の症状ってやつか。多分違うな。羽生が仲間にいないのにどうすればいいんだ。あの新人に‥ティアナに鉈でも持たせるしかないのか。ティアナのデバイスは鉈にするか。
俺が益体もない事を妄想していると、ふいになのはさんが俺の顔に手を添えた。
「ハヤテチャン‥ごめん」
そして彼女は何かを呟き俺の唇に自分の唇をソッと合わせた。
気の遠くなるような時間の後、
「プハッ」
なのはさんが顔を離した。どうやら息をするのを忘れていたようだ。
「ごめんね‥」
俺が驚愕に目を見開いていると、なのはさんが謝罪をしてきた。
「なぜ?」
俺の問いかけに彼女は困ったような笑顔を返すだけだった。