◇弘義side◇
朝。俺は待合せ場所へと歩いていた。
今日はなのはさん、フェイトさんとの二度目のデートだ。今日は遊園地らしい。遊園地なんて久久過ぎて、少し気恥ずかしいが、連れが魅力的な女性達とあって少し楽しみに思っている自分もいた。現金なものである。
待合せ場所に着き、相手がまだ来てない事を確認すると、自販機でコーヒーでも買うかと、コインを投入する。
この星の人間は‥と、おっさんが言いながらよく飲んでいるコーヒに狙いを定め、ボタンを押そうとすると、横から腕が伸びてきて、ミルクティーのボタンを押す。
ガタンと出てきたミルクティーを見ながら俺が呆然としていると、その腕は更にミルクティーをかっさらい
「隙あり‥だよ♪」
見ると、こちらへウィンクをしているなのはさんがいた。
何それ‥くっそ可愛いですね。
そんな感想を直接言えるわけもなく、熱くなった顔を冷ますようにコーヒを取り出し、顔に付ける。
「おはようございます」
「うん。おはよっ♪」
きゃるんっといった効果音でもついてそうな感じで微笑む彼女は今日も今日とて、変なTシャツを着ていた。
そのフロントにはデカデカと「全力全壊」と、書いてある。
何そのテロ予告。堂々としすぎでしょ。ゼツボー的に格好いいわ。
「ゴチになりまーす♪」
俺がコーヒーを開けると、彼女もミルクティーを掲げながら、告げてくる。
スゴいナチュラルに奢らされた。まぁ別にいいんだけどね。
「そういえばフェイトさんは?」
俺はコーヒーを一口飲んで、口を湿らせてから質問する
「フェイトちゃんは置いてきたの。特訓(少女マンガ熟読)はしたけど、とてもこの戦いに着いてこられるとは思わないから‥」
まさかの親友を餃子扱い。さすがなのはさん。俺達に出来ない事を平然とやってのける。絶望的に格好いいぜ!てか、戦いってなんすか。俺も非戦闘員なんで帰っていいすか?え?ダメですか。いやマジで、俺、あのセリフがイーっしかない人達よりも弱いですよ。
「フェイトちゃんいた方が良かった?」
俺が暗い顔をしていたのか、なのはさんは勘違いしたようで、不安気に聞いてきた。
「いえいえ、そんなことは‥っ」
その時、俺の脳裏に前回のプールでの出来事が蘇る。
瞬間俺の顔が沸騰する。
「どうしたの?‥‥っ」
急に赤面した俺を見て、なのはさんは不審な顔をしたが、すぐに原因に思い当たったようで、
俺と同じように赤面して俯いてしまう。
俯きながら、何かを考えているようだったが、やがて決心したように顔を上げると、急に距離を詰めて、腕を組んできた。そのまま俺の耳に口を寄せると、囁いてくる。
「あれ‥なのはのファーストキスだからね‥」
胸を押し付けられながら、そんな事を囁かれたら‥顔がくっそ熱い。
あー顔真赤なんだろうなこれ‥
「い、いきまひょ?」
羞恥を誤魔化すように絞り出した言葉はやはり噛んだ。死にたい‥
クスッ
そんな俺を見てなのはさんは嬉しそうに微笑むと、
「うん。行こっ♪」
と、俺の腕を引っ張るのだった。
あ、腕は組んだまま行くんですね。
彼女が動く度にフヨンフヨンと当たる感触に悶絶しながら、俺はされるがままに歩き出した。
楽しそうな彼女の顔を見て、まあいいか。と、タメ息をつきながら。楽しそうな彼女を見ていると、こちらもワクワクしてくる。これは彼女の魅力の一つだろう。
「どこから行きます?」
「うーん‥お化け屋敷!」
園内に入り、案内図の前で問い掛ける俺に
彼女は人さし指を顎に当てながら、わずかに考えると、元気良く答えてくれた。
え?何そのテンション?
お化け屋敷好きなんですか?意外ですね。
特に反対する理由もないので、案内図で場所を確認すると、歩き出した。
「お化け屋敷で‥むふふ‥なの‥」
ふと聞こえてきた彼女の不穏な呟きは聞こえない振りをしながら。
程なく、お化け屋敷に着き、二人で中へと入る。
中は当然ながら、薄暗く、少し肌寒いくらいに冷えていた。
「わっ冷えてるね~」
と、彼女が手を握って、密着してくる。
彼女の身体はとても温かく、俺は心地良さに包まれる。
「なのはさんは温かいですね」
「もっと密着しても良いんだよ?」
と、彼女が両腕を広げ、唇を尖らせて目を瞑ってきた。
「さすがにそれは‥」
「ここにあらかじめ買ってきたポッキーがあります」
「はあ‥」
いきなり山程ポッキーを取り出した、彼女の意図が読めず、俺が生返事を返すと
「いっぱいありますね‥」
「ちゃんと300円以内です」
「やだ‥買い物上手ですねなのはさん」
「良いお嫁さんになるでしょ?」
「自分で言っちゃう辺りがお察しですね」
「そしてこれを咥えます」
「待って?」
彼女の意図がなんとなく読めた俺は慌てて制止する。だが彼女は止まらない。
「ん!ん~?」
そのままくわえたままこちらへ着き出してくるなのはさん。
「お願いだからほんとに待って?」
「へたれ‥」
彼女がジト目で罵倒してくるが、気にしない。
「そういえば、弘義君のクリスマスの予定はー?」
「今の所特に決めてないですが、多分はやてと過ごしますね」
「ふーん。ならパーティーしようよ?弘義君家でやる?それともウチ来る?」
「あ。開催は決定なんですね」
「うん。弘義君の参加もね」
「お祭り事は楽しみたいしねー。最近ご無沙汰だし」
「はは。なのはさんらしいですね。」
「そうかな?弘義君は今迄、クリスマスは何かしてた?」
彼女は少し赤面しながら、聞き返してくる。
「うーん。今迄恋人いた事も無いですし、チキン食べる位ですかね」
「共食いじゃん」
クスクスと笑いながらなのはさんが茶茶を入れてくる。
「そんなにチキンじゃないですから‥」
「えー?ほんとにござるか~?」
めっちゃ煽られている。
うーむ。男として、このまま言われっぱなしでいいものか‥?
否!断じて否である!
俺はなのはさんからポッキーを一本奪うと、口にくわえ、そのまま、なのはさんを壁に追いやり、
彼女へポッキーを突き出す。すると、彼女は驚きに目を見開いていたが、すぐに、ポッキーの反対側をくわえた。そこで時間が止まったかのようにお互いが制止し、心臓の鼓動がどちらのものかわからない程に高鳴っている。俺は唇が触れる寸前迄、ポッキーを一気に食べ進めた。
ギリギリで止まり、彼女を見ると、目をギュッ!と瞑り、ぷるぷると長い睫毛が震えていた。
その表情を見て俺は冷静になり唇を離そうとする。
と、そこで彼女の目が開き、ガシッと顔が掴まれる。俺が驚いていると、彼女はそのまま俺に唇を重ねた。
「ん‥んちゅ‥ちゅ‥」
程なく、彼女の舌が唇を割って浸入してきた。
すぐに舌をからめとられ、そのまま絡め合わせる。お互いの吐息が口の中で混ざり合い、お互いの興奮度を高めていく。
「ん‥れろれろんくっんくっ‥」
彼女が美味しそうに俺の唾液を嚥下するのを見てまた興奮してしまう。ポッキー味だから実際に美味しいんだろう。
「ん‥プハッ‥」
幾度かの舌の絡め合いの後、彼女が酸素を求めるように唇を離した。その時、銀色の橋が唇を繋いでいたがすぐに切れた。彼女の口まわりは唾液でベトベトだ。
「えへへ‥」
すると彼女が嬉しそうに微笑を溢した。
「チキンじゃないでしょ?」
どこかポーッとしている彼女に
俺はドヤ顔で言ってやった。
「うん。狼さんだったの」
言われて俺はハッとして、彼女へ頭を下げる。
「失礼しましたっ!」
「いいよ。嬉かったし格好良かったし‥その代わり‥今度のクリスマスは一緒に過ごしてね‥」
そう、ウィンク交りに言って、肩に頭を預けてきたなのはさんはとても可愛いかったですまる