カタカタと、薄暗い室内にキーボードをタッチする音だけが響いている。
本日の分の作業がひと段落ついたところで、島津は、手をとめ、上司に話し掛ける。
「なあ?」
「ん~?なーに~?」
間延びした調子で、手をとめ、返事をする彼女に向き直り、島津は言葉を続ける。
「報告したい事があるんだ…」
俺のトーンに真面目さを感じ取ったのか、シャーリーもこちらに向き直り、両手を膝に置く。
いや…そこまでかしこまられても、困るんだが…
「はやてさんと上手くいったの?」
「うぇっ⁈」
何でわかるんだ…シャーリーはサトリだったのか…。
そんな俺の心を見透かしたように。更にシャリオは言葉を続ける。
「わかるよ、それくらい…この間はやてさんとでかけてから、ずっと機嫌いいじゃない…」
「うぐっ」
ぐうの音も出ない。
「初恋が実って良かったですね~…同時に私の初恋は終わったわけだけど…」
ジト目で祝福してくれるシャーリー、最後の方はよく聞こえなかったが…
「おうっサンキューなってちょい待て!」
「何ではやてが初恋だって知ってるんだ?」
思わぬ言葉を受けて、顔が熱くなる。
すると、大げさにため息を吐いてシャリオは答える。
「高校の時からずっと言ってたじゃない?」
「そうだっけ?」
「ニュースでやってた、魔法少女が、魔法少女が~って、ぶっちゃけ若干キモかった」
「おいっ!」
幼馴染のあんまりといえばあんまりな
言葉に、ツッコミを入れる。
「若干じゃなくてかなり」
評価の低さに憤ってるわけじゃねえよ⁉」
勢いのままに、、シャリオにつかみかかると、
きゃーと小さく悲鳴をあげて、シャリオは逃げ惑う。
シャリオを追いかけながら、島津は内心安心していた。ここのところ。シャリオの元気がなかったためだ。
だが今のシャリオは少なくとも平常運転に見える。こういう追いかけっこも昔と同じだ。幾ばくかの懐かしさがこみ上げ、唇の端が上がるのを感じる。
「はいそこまで。」
急に掛かった声に二人してピタリと止まる。そしてギギギと、二人同時に声の主を見ると、
そこには、愛しのはやてが立っていた。しかも、両手を腰に当て、頬がぷっくりと膨らんでいる。
どうやら愛しい人は、ご機嫌ななめのようだ。
「弘義君?シャーリー?ここは精密機械があるから、鬼ごっこは外でやってな?」
「「はいすいません。」」
すごすごと二人で謝る。
「あ、弘義君?」
「はい、何でしょう?」
はやてによびかけられ。顔を上げると、未だに私、不機嫌ですと主張を隠さない青筋がこめかみに浮かんでいた。
「ほっぺ」
「は?」
多分、ほっぺと言ったと思うのだが、だとしても意味が判らず、聞き返す。
「ほっぺ貸して?」
「はぁ」
やはり意味が分からない。
わからないままに頬をはやてに寄せる。
すると、そのほっぺをおもいきりつねられた。
「いひゃいいひゃい…」
容赦なくねじられたほっぺを抑え、恨みがましくはやてを睨む。
「交際はじめた次の日に。他の女といちゃついてた罰や。」
「へ?待ってくれ。別にいちゃついてなんか…」
「傍から見たらそう見えたっちゅー話や」
「自分、めっちゃ楽しそうにしてたで?」
「確かにシャリオは、幼馴染だし、気の置けない仲ではあるし…」
もごもごと、言葉を濁していると、
「弘義」
そのシャリオが、声をかけてきた。
「なんだ?」
「アンタもう帰りなさい。」
「うぇっ?」
いやいや。今、帰るタイミングじゃなくね?
「今から私、はやてさんとガールズトークするから」
「はやてさんもいいですよね?」
◇はやてside◇
「はやてさんもいいですよね?」
そういうシャーリーの目は、とても真面目で、どこか挑戦的な輝きを放っていた。
ピンときた。ピンと来たで。
これは受けなきゃ女がすたるな…
「わかった。そやな。たまには私らも女子会と洒落こもか」
「というわけや。島津君はサッサと帰り」
私の言葉を聞いた島津君は、不安そうな眼差しでこちらを見てきた。
ああ…
もう、そんな捨てられた子犬みたいな目すんなや…
ホンマ…可愛いやつやで、
私の気が変わらないのを察したのか、島津君はノロノロと後ろ髪を引かれながら、出口へと歩いていった。
さて…正念場やな…。
あかん…ドキドキしてきた…そもそも私、ガールズトークなんかした事ないし。
ど、どうなるんやろ…はやての脳内には
包丁を持ったシャーリーが立っていた。
「
「この泥棒狸ー!」
「堪忍してー!」
シャーリーの包丁が自分のおなかに吸い込まれて行くところまで妄想したところではやては我に返った。
「さて…はやてさん…」
「はいぃっ?!」
先程迄の妄想のせいか、はやては思わず気を付けの体勢をとってしまう。
「ふふふ」
仕方ないなぁとでも言いたげに微笑むシャーリー。
「本題からいきましょうか…私、あまり駆け引きとか、得意じゃないんで、むしろ駆け引きじゃ、狸と名高いはやてさんに
勝てる気がしないんで」
あれ…?なんか今私ディスられた?
「はやてさんは弘義と交際をはじめた。って事でいいんですよね?」
「う?うんせやで。最近告白されてな。」
改めて聞かれるとなんや照れくさいな。
あー。私今顔真っ赤やわ。
そんな私を見て、シャーリーは。ふう。とひとつ息を吐き、緊張を解いた。
「もうわかってると思いますけど、私も弘義が好きです」
「うん…やっぱそうやったんやな…」
シャーリーの言う通り、薄々わかってはいた。でも、実際に面と向かって言われると、またそこはかとないダメージがあるなこれ…。
あー。なんやろこれ…
今迄あまり感じた事のない感情。じぶんでも正体不明の感情が胸の中で渦巻いている。
シャーリーに対する、優越感?罪悪感?不安感?どれもしっくりこない。
取り敢えず今はこのモヤモヤは後回しや。
私が思考を切り替えたのを感じたのか、再びシャーリーが口を開く。
「でも、安心してください。私は、はやてさんを応援してますから」
「へ?」
予想外の言葉に呆けたような言葉を返すことしか出来ない。
「何故かって?ふふ。そうですね。私が好きになったのは、はやてさんの事が好きな弘義なんですよ。」
シャーリーが言ってることが解らない。私が理解出来ずにいると、シャーリーが仕方ないといった感じで、口を開いた。「それじゃ聞いてください。私の初恋の物語を…」
「私が彼を異性として意識したのは高校生の時でした。それまでは、家が近い、ただの友達、家族に近い感覚でした。ふふ。世の中の幼馴染なんて大体そんなものですよ?むしろ距離が近い分恋は始まりにくい状況にあると思います。高校一年の時でした。彼がいつも通り家に遊びに来て、興奮気味に話すんですよ」
「魔法少女キターーーーーー!って」
ふふ。すいません。当時の彼があまりにキモかったので、思い出し笑いです。
キモかったと言いつつ随分、いとおしそうに微笑むんやな。これは私の知らない彼の物語。
その光景を現在の彼に当てはめる。なんや簡単に想像ついて可笑しいわ。
「お気付きだと思いますが、その魔法少女が当時のはやてさんたちです。
うん。それは初対面の時になんとなく聞いてた。
えー。すみません。途中で切れていますが、手違いで、消えました。構想は出来ていますので、あとはメンタルの問題です。近々、続きを投稿しますので、申し訳ないですがもう少しだけ、お待ち下さいませ。