◇弘義side◇
俺が病室へともどると、
俺の姿を認めたはやてが満面の笑みで迎えてくれた。
「おかえりー」
「ただいま」
「とりあえず着替えとか衛生用品とか持ってきた。他に必要なものあったら何でもいってくれ」
「うん。ありがとうな‥弘義?」
「んー?」
「デバイス作成‥頑張ってな」
「え?なんで?」
俺が驚愕の顔ではやてを見ると、
「シグナムが念話で教えてくれたわ」
おのれシグナム。これから心の中で、シャリオ2号と呼んでやる。
「うん。頑張るよ」
俺は笑顔ではやてに答える。
「デバイスの名前どうしようって悩んでてさ。はやて、いい案無い?」
「うーん。急に言われてもなぁ‥」
ある金曜日の昼下がり。
俺は、昼飯も食わずに机にかじりついていた。
リィンがひっきりなく、新しい書類を運んでくる。はやての代わりが出来るとか思い上がっていた自分を殴りたい。誤算はあった。次元犯罪者ジェイルスカリエッティによると思われる事件が散発しているのだ。おかげで書類仕事が倍増しているのだ。ちくしょう。アリエッティだか、スカリエッティだか知らないがタイミング悪い時に、事件起こしやがって、どこに借り暮ししてやがるんだ。しかしこのままじゃまずい。俺じゃ流石に、隊長陣のリミット解除は出来ないからな。リミット付きで対応出来ない事が起こらない事を祈るだけだ。そこで思考を一度切り、机に積まれている書類の山を見ると、無意識に溜息が漏れてくる。
「今日も徹夜か‥」
がんばりますか!やる気無敵元気金曜日だもん!
俺が再び机にかじりつくと。
リィンが声をかけてくれる。
「大丈夫ですか?少しは休憩した方がいいですよ」
「ありがとう。悪いんだがヴィータに今日も飯は食堂で済ましていくように伝えてくれ‥ごめんと。」
「わかりましたですよ~大丈夫、みんな解ってくれてますですよ」
「みんなに手伝うよう、要請しといて、肝心の俺が自分でやると言ったことをこなせてないんだもんな。情けないよ」俺が自嘲交りに呟くと、リィンが慰めてくれる。
「シグナムが言ってたでしょ?弘義君はもう家族なのです。家族の為に尽力するのは当たり前なのですよ~」
「それに‥今一番頑張ってるのは弘義君なのですよ‥誰も文句なんて言うはず無いのです‥あんまり無理しないでくださいね?もし弘義君がこれで身体壊しちゃったら‥きっとはやてちゃん自分を責めます‥」
そう言われると弱い。だが、事件が起きている今、最低でもこの仕事だけはやらなければダメなのだ。そうしないと現場が動けなくなる。「明日は休みだし、ゆっくり休むよ」
「でも‥最近、お休みの日も仕事してますよね?それに夜遅くまでデバイス作成してますし‥」
ありゃ、バレテいたか‥俺がバツの悪い思いで俯くと、リィンが更に言葉を続ける。
「約束ですよ?明日はゆっくり休むって」
「ああ。休む為にも、今はこの書類を片付けないとな。」
「わかりました」
リィンは納得してくれたのか一緒に書類を処理してくれる。
コンコン。突然司令室のドアがノックされた。
「はい?」
「僕だ。グリフィス、ロウラン。参りました」
おお。来てくれたか親友のグリフィスに起動六課の副官として出向してもらえないか、レティ提督におねだりしていたのだが、どうやら汲んでもらえたようだ。助かった。
「助かった。入ってくれ」
「失礼します」敬礼と、共にグリフィスが入ってくる。
俺は思わず吹き出して、グリフィスに言う。
「やめてくれ。お前に改まられると背中が痒くてかなわない」
「しかし‥」
「俺はただの代行だ。本職は技術屋風情だ。お前が畏まる相手じゃない」
「むう‥わかった‥だが公の場では無理だからな?」
苦笑しながら、妥協案をだしてくるグリフィス。
「まっそれくらいは仕方無いだろ早速で悪いが、働いてくれ」
「予想以上の惨状だな‥」
またもや苦笑いしながら、ぼやくグリフィス。
さあ。働け、俺の休みの為に。
「お前が来てくれて助かったよ」
「今度の飲みは弘義の奢りだからな」
げんなりとしながら呟くグリフィス。
「お安い御用だ」
感謝しているのは本当なので、快諾してやる。
リィンがポケーっとこっちを見ていた。なにそれ可愛い。
「どうした?リィン」
「二人とも仲良いんですねー」
「ああ。シャリオも入れて、俺達三人は幼馴染なんだ特にこいつとはずっと親友をやっている」
「へー意外ですね?」
「そうか?」
「グリフィス君は礼儀正しいですし、真面目そうですし」
「あーこいつ、猫被るからな」
「ところで、真面目で礼儀正しいヤツが俺と友達なのが意外だという件について‥ちょっと話そうか‥」
するとリィンは青ざめて、指令室から逃げ出した。リィンが逃げ出したので結局、今日も定時帰宅は絶望的になるのであった。