◇シャーリside◇
食堂で弘義とフェイト隊長を見つけると、ふう。とため息をひとつこぼして、私は通信ウィンドウを開く。
「はいはーい?シャーリーどうしたん?」程なくして、相手が応答する。
相手とははやてさんだ。
「今、食堂で、弘義とフェイトさんが一緒に食事してます」
「なんやて‥すぐ行くわ。ありがとな」
時間が惜しいとばかりに、言葉すくなに、通信を切られる。
さて、次は‥
食堂を出た所で、丁度廊下の先から、目的の人物が、サイドに結んだ栗色の髪を揺らしながら、こちらへ歩いてくるのが見えた。
「こんにちは、なのはさん」
「ああ、シャーリー、こんにちは」
「これからお昼ですか?」
「うん、ちょっと遅くなっちゃった」
「お疲れ様です。そう言えば、今食堂で、弘義とフェイトさんが一緒に食事してましたよ?珍しいですよね」
「へぇ‥じゃ、シャーリー、私もういくね」
「はーい。ごゆっくり~。」
ニコニコと手を振ってなのはさんを見送る。
さてどうなるかなー。
私はごっそり食堂に戻り、弘義達のテーブルの死角へと陣取る。
やーん、ワクワクしちゃう。弘義‥グッドラック‥!みwwwなwwwぎwwwってwwwきたwww
ジーッと観察していると、フェイトさんが弘義に胸を押し付けていた。デレデレした顔がムカつく!すると、なのはさんが食堂に入ってきた。
私はコソッと視線から外れる。
◇なのはside◇
私はシャーリーから話を聞いて、急いでいた。弘義君とは、私が最近少し気になっている男の人。
具体的に何が気になっているとかは、よくわからないけど、ユーノ君とも少し違う、今迄、感じたことのない感覚を覚えている。そもそも比較材料があまり無いのだ。同年代で仲良くしている異性はユーノ君だけだし、彼はユーノ君じゃないのだから、ユーノ君と違うのは当たり前だし、むー、よくわからない。誰かに聞いたら解るかな‥シャーリーあたりに聞いたらわかるかも。シャーリー、友達多そうだし‥。そう考えながら、食堂に入ると、フェイトちゃんと弘義君が一緒に食事をしながら、いちゃついていた。その光景を見た瞬間、私の胸にチクリと、傷みが走った。
かと思えば、そのまま胸に締め付けられるような圧迫感が襲いかかってきた。
なんだろ‥これ‥?
《マスター!》
私が正体不明の感覚に苦しんでいると、突然、レイジングハートから念話が入る。
《え?どうしたの?レイジングハート》
《emergencyです。今すぐ人のいないところへお願いします》
emergencyって。六課のアラートは鳴っていない。レイジングハートだけが探知できた?そんなことがあるのだろうか?
《ハリーハリーハリー!》
《わかったよ!》
レイジングハートに急かされ、私は慌てて人気の無い所を探す。と、言っても今はご飯時、そしてここは食堂だ。廊下に出ても、こちらへ向かって来る人がまだちらほら伺える。
ああ‥もう!
私は仕方なくトイレの個室へと駆け込む。
《ここならいい?》
《OK》
するとレイジングハートはトイレの個室の壁にあるビジョンを写しだした。
それは先程の弘義君とフェイトちゃんの風景。
《わかりますか?マスター?》
《フェイトちゃん‥ちょっと‥距離近すぎない‥?》
《流石、ご明察ですマスター。さすマスです。》
《え?レイジングハート、ちょっと‥キャラちがくない?》
《yesMr.島津から学習しました。》
弘義君‥ウチの子に何教えてくれてるの‥!
この部分に注目して下さい》
そう言ってレイジングハートはさらに映像を拡大させる。
《MissフェイトはここまでずっとMr.島津に、胸部を接触させています。》
《それによる、彼の心拍数は50%上昇しています》
「ふ、ふーん。」
《マスター。彼我の戦力差は甚大です。》
プツン、
何かがキレた音がした。
《レイジングハート‥ちょっと‥頭、冷やそうか‥》
《nomaster!sorrysorryヒゲsorry!》
レイジングハートはもうダメだ。メンテナンスに出さないと‥。
あれ?でも、メンテナンスにだしたからこうなっちゃったんだっけ‥私はユラリとトイレの個室から出ると、食堂へとゆっくりと戻った。
しかしそこではいまだにいちゃついている二人がいた。
注文したナポリタンを受けとると、ツカツカと、未だにいちゃつき続ける二人へ近づき、声を掛ける。
「楽しそうだね?」
あれ?自分で思ったより、冷たい声が出ちゃった。
「なのは‥」
フェイトちゃんが呆然と私の名前を呼ぶ。
弘義君はなんだかユラユラしている。
「ごめんね?随分と楽しそうだったからつい声かけちゃった。」
すると、フェイトちゃんは若干残念そうな顔をする。
カッチーン
お邪魔してごめんね?フェイトちゃんのバーカ‥
「高町隊長、こんにちは」
弘義君が
、挨拶をしてくれる。彼は未だに私の事を高町高町隊長と呼ぶ。はやてちゃんははやて部隊長、フェイトちゃんはフェイト隊長。なんだか私だけ距離が遠く感じて寂しくなる。
「はい。こんにちは。私も一緒していいかな?」
距離が遠いなら、近付けばいい。
祈るような気持ちで聞いてみる。
「もちろんかまいませんよ。フェイト隊長もよろしいでしょうか?」
「え?もちろん良いよ。なのはも一緒に食べよう?」
二人の了承がもらえた。
「やたっ♪」嬉しくて、つい小さくガッツポーズをとってしまう。
そんな自分がなんとなく気恥ずかしくて私はそそくさと席につく。もちろん弘義君の隣だ。
その瞬間、フェイトちゃんがこちらをジトッと睨んでいるのが見えた。は?なんか文句あるのなの?
私は真っ向からその視線を受けて立つ。そして同じく視線に感情を乗せて、睨み返す。
◇はやてside◇
私が急いで食堂に到着すると、シャーリーが現れた。
「お疲れ様です」
「ああ、シャーリー教えてくれてありがとな?」
見ると、あれ?気のせいかな?なのはちゃんもおるんやけど‥
「フェイトさんにきをつけて下さい」
それだけ言って、シャーリーは離れていってしまった。するとお盆にナポリタンを載せて戻ってきた。「これどうぞ」
「何からなにまでおおきにな」
私は礼を言って、お盆を受けとると、
さて‥行くか‥覚悟を決めて歩きだそうとすると、
シャーリーがスッと横に立ち、
「フェイトさんがヤバイです」
「や、ヤバイって?」
意味が解らずに、聞き返す。
「理由はわかりませんが、何か覚醒してます。」
か、覚醒?なんやそれ‥でもまぁ、なんかヤバそうなのはわかったわ。するとシャーリーは更に耳元に口を寄せ、囁いてくる。
「作戦変更です。もうあんまり悠長にしてられないかもしれません。はやてさん、今夜、彼の家に晩御飯を作りに行きましょう。そして、あわよくば‥です!」あわよくば?あわよくば何するん?
テーブルに目を向けると、なんやなのはちゃんとフェイトちゃんが睨み合っとる。ケンカしとるんか?それは好都合や1vs2より1vs1vs1のが全然やり易いわ。これもシャーリーのお膳立てなんやろか?凄いなぁ。同盟組んどいてホンマ良かったわ。さて、やったるか‥二人とも、覚悟しいや!
えータイトル通り、今回は4話の裏で起こっていた事を書いてみました、
え?別にいらなかった?
そんな事言わずに黒シャーリーの活躍をご笑覧ください。