悪神の魂を宿した兵藤一誠 作:岩喰う
四体の眷属の忠誠の言葉を聞いた後、僕に赤髪ツインテールにくりっとした赤い眼の少女がこう言って来る。
「主、それでオレ達はまず何をすればいいんだ?」
ニカッと笑顔を浮かべながらそう言って来る少女の名前はヴェファル、二番目に作られた眷属で本来の姿は全身に紅蓮の炎を纏い、三本の尾を生やしている赤い眼をした巨大な猛虎である。
「まずはお前らの身体に刻印を刻む。」
そう言いながら僕は右手に黒いオーラを纏わせる。
「それはどのような刻印なのですか?」
そう聞いてくるのは褐色肌でストレートロングヘアーの金髪に赤い猫眼をしている給仕服を着たグラマラスな女性は最初に作られた眷属で名前はアークディウス。
「どんなのっていうか、簡単なものだよ。」
そう言いながらアークディウスの右手の甲に黒い獅子の刻印が刻む僕に対して褐色肌で黒い短髪に橙色の三白眼の筋骨隆々の大男がこう言って来る。
「主、その刻印は眷属によって違うのですか?」
真っ直ぐ僕の方を向いてそう言って来る大男の名前はベレイルヴァッロ、三番目に作られた眷属で本来の姿は橙色の眼をした黒色の鬣に蹄に岩を思わせる甲殻を持つ筋肉質な黒い巨馬である。
「うん、共通の
その問いにそう答えると、ベレイルヴァッロが頭を下げながらこう言って来る。
「配下である我等にこの様なお心遣い感謝します。」
それに対して僕はこう言った。
「大袈裟だな、まぁいい。」
そう言いながら僕はベレイルヴァッロの右手の甲に黒い馬の刻印を刻む。
「主にとっては大袈裟でも俺達にとっては嬉しい事なんだぜ?」
そう言って来るのは褐色の肌に漆黒の髪に紫色の眼の少年の名前はルヴォニクス、四番目に作られた眷属で本来の姿は漆黒の肉体と翼を持ち、山吹色の鋭い嘴を持つ紫の眼をした巨大な鴉である。
「そういうものなの?」
「そういうモンだ。」
僕の言葉に同意するルヴォニクスに鴉の刻印を刻むと最後に残ったヴェファルに黒い虎の刻印を刻む。
「ありがとな、主!!」
満面の笑みを浮かべながらそう言って来るヴェファルに対して僕は穏やかな気持ちになった。
しかし、すぐに顔を引き締めて眷属達にこう言った。
「これから僕は修行の旅に行く、そこでお前達には護衛としての任を与える。」
僕がそう言った瞬間、眷属達全員が平伏しこう言って来る。
「「「「その任、謹んでお引き受けいたします。我等の命に代えましても貴方様をお守りいたします!!」」」」
その言葉を聞いた僕は次に目的地の場所を口にする。
「最初の旅の行き先は冥界だ。」
そう言った瞬間、俺達は転移の魔法陣で冥界へと飛ぶのだった。
魔法陣でやって来たのは冥界の森だった。
「ここが冥界か・・・、空の色が紫ってぐらいで他は普通だな。」
そう言っていると、目の前に爆発が起きた。
アークディウスが瞬時に防御結界を張ると同時にヴェファル、ベレイルヴァッロ、ルヴォニクスが戦闘態勢に入る。
爆発によって巻き起こった煙が晴れてくると、そこには猫耳のある黒髪と白髪の二人の女の子と如何にも偉そうな奴が部下らしき数人の男女を連れていた。
「着いて早々何これ・・・。」
ウンザリとした表情でそう言うと、アークディウスがこう言って来る。
「主、あれは悪魔と妖怪の猫又ですね。」
そう言って来るアークディウスに対して僕はこう言った。
「そうなんだ、それで何で争ってるわけ?」
「恐らくですが、あの悪魔があの猫又の二人は眷属になる事を拒んだのではないでしょうか、それで言う事を聞くように痛めつけているのではないかと。」
「・・・気に入らない。」
「主?」
アークディウスの言葉を聞いて自分の感情が無くなっていくのが分かる。
「アークディウス、結界を解除しろ。」
「かしこまりました。」
僕の言葉にアークディウスは二つ返事で結界を解除する。
結界が解除されると、僕は地面を蹴って猫又の女の子達と悪魔達の間にへと入った。
突然現れた僕に全員が驚きの表情を浮かべる。
「な、何だ貴様は!?」
さっきから偉そうにしていた悪魔がそう言って来るのに対して僕はこう言った。
「ねぇオジサン達さぁ、あの女の子達に何してるの?」
無邪気な子供のように問いかけると、悪魔の男はこう言って来る。
「フン、あの猫又のガキ共は偉大なる上級悪魔であるこの私の眷属になる事を拒んだのだ、痛めつけて力の差を解らせてやっている所なのだ。」
ニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべながらそう言って来る悪魔に対して僕はこう思った。
「{あ、こいつクソだな。}じゃあ、僕も混ぜて欲しいな。」
そう思いながら俺の言葉を聞いて猫又の二人を体をビクつかせる。
「ほう、いいだろう。寛大な私に感謝するんだな。」
逆に悪魔の男は俺の言葉に機嫌を良くしたのかそう言ってくれた。
「うん、感謝するよオジサン。それじゃあ始めようか、蹂躙を。」
僕がそう言った瞬間、悪魔の後ろに控えていた部下の男が雑巾の様に絞り上げられて血をまき散らしながら絶命した。
あまりの出来事に猫又の二人と悪魔の男とその部下は絶句するが、僕はそれに構うことなく次の行動に移った。
僕が両手を合わせると、部下の女の身体から湯気が出てくる。
それに対して動揺する女だが、もう遅い。
十秒過ぎた頃にはミイラの様に乾涸びて絶命をする。
その頃には猫又の二人も、悪魔の男とその部下も意識を取り戻した。
その瞬間、さっき殺した女の事を叫びながら部下の男の一人が涙を流しながら襲い掛かってくるが、その攻撃が僕には当たる事はなかった。
それはルヴォニクスが靴に仕込んでいる刃物で男の腕を切り落としたからだ。
後で褒めてあげようと思いながらその激痛に耐え切れずに大声をあげようとした男に対して僕はパチンと指を鳴らした。
すると、男の口の中から大量の植物が生えてくる、それら全てが魔力を餌とする毒草である。
男は毒草に持っている全ての魔力を吸い尽くされて乾涸びて絶命をしてしまった、恋人か片思いか知らないけど似た様な死に方が出来たから良いよね。
残っているのは悪魔の男と部下の女の二人だけだった。
部下の女は恐怖で足が竦んでいるが、そんなのは関係ない。
僕が指をなぞる様に指を動かすと、その女は眼・耳・鼻・口から血が噴き出して破裂した。
それは僕が女の身体の血の流れを逆流させたからで、それに身体が耐え切れず破裂したのだ。
「ひ、ひいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?」
悪魔の男は何とも滑稽で無様な悲鳴を上げながら地面にへと倒れてしまう。
「あっれ~、どうしちゃったのオジサン?そんなに青褪めた顔しちゃってさ。」
僕がそう言うと、悪魔の男はさっきとは一変して恐怖に完全に支配され青褪めた顔をしている。
「・・・・・・・・!?」
「ねぇ、黙ってないで何か言ったらどうなのさ?」
そう言って睥睨とした眼で男を見ながら僕は言葉を続ける。
「き、貴様は・・・い一体・・・・何者だ・・・。」
言葉が切れながらもそう言って来る男に対して僕はこう言った。
「言った所で無意味でしょ、どうせすぐに死ぬんだから。」
そう言って僕は男に対して指差すと、額に穴が開き絶命した。
「それじゃあ、アークディウス後処理よろしくね。あと、何か役に立ちそうな物があったら教えてくれる?」
「かしこまりました。」
後処理はアークディウス達に任せて、僕は襲われていた猫又の二人に近づいていく。
白い耳の猫又は近づいてくる僕を見て怯え、黒い耳の猫又が白い耳の猫又を自分の身体を盾にして庇う。
「君達って何であいつらに狙われてたの?」
そう言って疑問を投げかける僕に対して黒い耳の猫又がこう言って来る。
「別に、アンタには関係ないでしょ。」
素っ気ない態度でそう言って来る黒い耳の猫又に対して僕はこう言った。
「まぁ、確かにそうだね。でも、あいつらに負わされたその傷ではもうまともには動けないでしょ。」
「・・・!!」
「姉様、そんな・・・!!」
僕は脇腹を指差しながら言った一言に顔を歪ませる黒い耳の猫又、白い耳の猫又もそれに気づいたようだ。
「しかも、そのままにしておけば出血多量で一時間で死ぬよ。」
「そんな・・・!!」
僕の言葉を聞いた白い耳の猫又は悲痛な顔を浮かべる。
すると、後処理を終えたアークディウス達がやって来る。
「主、後処理完了いたしました。そして、"フェニックスの涙"二つほどが悪魔の男の懐に忍ばれておりました。」
「うん、ご苦労様。」
アークディウス達に労いの言葉をかけた後、白い耳の猫又がこう言って来る。
「お願いです、黒歌姉様を助けてください。何でもしますからお願いします、お願いします、お願いします・・・。」
「白音!?」
土下座をして懇願してくる白音と呼ばれる白い耳の猫又、その行動に対して驚く黒歌姉様と呼ばれた黒い耳の猫又。察するに猫又の二人は姉妹のようだ。
それに対して僕はこう言った。
「いいよ。」
そう言って僕は魔法陣を展開させ、ある場所にへと転移するのだった。
転移した先は冥界に行くまでいた異空間であり、邪魔が入らないようにする為にここにやってきた。
「それじゃあ、治療を始めようか。」
そう言って僕はフェニックスの涙を黒歌の傷口に垂らすと、みるみる内に傷口が塞がっていく。
完全に傷口が塞がると、僕はこう言った。
「はい、終わったよー。」
そう言いながら持っていた瓶を黒いオーラで消滅させると、白音がこう言って来る。
「黒歌姉様を助けていただいてありがとうございます!!」
「気にしなくていいよ。」
頭を下げてそう言って来る白音に対してそう言っていると治療台から体を起こして黒歌がこう言って来る。
「それでアンタは何が目的にゃ?」
「何も。僕はあの悪魔が気に入らなかったから殺した、ただそれだけだ。」
ギロリとにらんでくる黒歌に対して冷静にそう言い返す僕。
「私達を助けてアンタ何のメリットがあるって言うのよ。」
「何もないけど、それが?」
「じゃあ何で助けたのかにゃ?」
そう言ってくる黒歌に対して僕はこう言った。
「僕は両親に捨てられた、理由は解らない。」
「「!?」」
「だけど、明らかに弟が生まれてからおかしくなっていた。」
「「・・・・。」」
そう言いながら自分の右の手のひらに視線を向ける。黒歌と白音は黙って僕の話を聞いている。
アークディウス達も口を挟まずに静かにその場に待機している。
「捨てられたあの日、土砂降りの雨が降っていて僕はその中を傘を差さずに歩いていた。雨のせいで体の熱を奪われ、疲労のせいで倒れこんでしまった。」
「そんな時だ、僕の目の前に現れたお姉さん達が助けてくれた。」
「そのお姉さん達の正体はゾロアスター教の悪神アンラ・マンユ、ザリチュ、タルウィ、アカ・マナフ、ドゥルジ、アエーシュマ、タローマティ、サルワ、アパオシャの九柱の神だった。」
僕の言葉を聞き、驚きの表情を浮かべる黒歌と白音。アークディウス達は眷属であるがゆえにそれはもう知っている為、驚きはしない。
「しかも、その九柱の悪神達の魂と僕の魂と適合しているがゆえに悪神達の力を授けて貰って行使することが出来る。」
「だからこそ、この力を受け取った後悪神達との修業をつけて貰って力を得た。」
「だけど、本当に強くなれたのか解らずじまいだった所に旅に出たらいいと言われて眷属を作った後に冥界にやってきたら黒歌達と出くわしたって所だよ。」
そう言い終わると、オーラで作った椅子に座る。
「それで助けた理由ってのがただ純粋に君の事を思っている君の妹に頼まれたから。ただ、それだけだよ。」
椅子に座ったままそう言い切ると、僕は眼をつぶった。