夜
「かんぱーい」
「乾杯」
と理香と明日奈の二人は、小料理屋鳳翔に来ていた
この店は軽空母艦娘の鳳翔が営んでる店である
たまに、同じ軽空母艦娘の瑞鳳が手伝っている場合もあるが
シミュレーターを終えた後、理香と明日奈の二人はそこに寄っていた
そして、鳳翔が出したほうれん草のお浸しと日本酒で乾杯した
そして、一口日本酒を飲むと
「それで、お母さんとは相変わらずなの?」
と理香が問い掛けた
すると明日奈は、溜め息混じりに
「うん……」
と端的に答えた
「相手は誰だっけ?」
「帝国軍技術研究厰電子部門第三班班長の須郷伸之中佐……」
理香の問い掛けに、明日奈は嫌々といった様子でそう言った
すると理香が
「でも、お母さんは明日奈の為にって思ってるんでしょ?」
「それは分かってるけどね……須郷さんの性格が、どうしても好きになれないの……」
理香の言葉に、明日奈は溜め息混じりにそう言った
明日奈が、海軍に居るわけ
その理由が、明日奈の母親
結城京子が選んだ婚約者
須郷伸之と結婚したくないからだ
母親は須郷の学歴と経歴、更に昔からの知り合いという点で須郷を選んだようだ
しかし明日奈は、須郷の本当の顔を知っていた
須郷は両親と会う時は、如何にもな好青年を演じている
しかし本当の性格は、人を見下す傾向が強いのだ
明日奈と明日奈の兄
結城浩一はそれを知っており、明日奈は兄と相談
そして兄の助言に従い、海軍に入ったのだ
近衛ではなく、海軍にだ
結城の力は近衛にまで及んでおり、浩一も本来は衞士として呉防衛戦で戦うはずだったが、気付けば後方配置だったらしい
それを浩一は、結城家からの介入と判断した
だから近衛に入ったら、浩一の二の舞になるのは予想出来た
それを避けるために、海軍に入ったのだ
その甲斐あり、今まで結城家の介入はない
だが、一度実家に荷物を取りに行った時に母親から
『今でも遅くないから、海軍なんて辞めなさい』
と言われた
だが明日奈は、辞める気はないと言って初音島に来た
海軍を辞めたら、即座に結婚させようという腹だろうと明日奈は予想している
父親たる結城彰三は明日奈の話に耳を貸してくれるが、母親は自分が正しいと信じて疑わない
だから明日奈が何を知る言おうが、話を聞かない
故に明日奈は、母親が折れるまで帰るつもりはない
「それで、いいと思える相手は居たの?」
「まだ……」
理香の言葉に、明日奈は項垂れた
確かに、須郷と結婚するのは嫌だ
だが、だからといって須郷以外なら誰でもいいという訳ではない
明日奈も乙女だ
自分で好きになる相手を見付けたい
大本営に居た時、何人かの将官が交際を迫ってきたことがある
だが明日奈は、その全てを断っている
何せ、その殆どが明日奈が結城家という名家だから交際を迫ったのだ
中には、自分の年齢を考えろ
と思える人物からも、交際を迫られた
中にはしつこい輩も居たが、明日奈の上司
防人武仁
深海大戦を初期から支えている叩き上げの提督で、数多くの優秀な軍人を排出した防人家の現当主
だが血統派には属さず、艦娘も兵器とは見なしていない軍人だ
そんな武仁を筆頭にしたのが、所謂穏健派
艦娘を酷使せず、艦娘を対等の立場と見ている最大派閥である
そして、過激派
この過激派は艦娘を兵器と見なし、捨て艦や単艦特攻なども辞さない派閥だ
この過激派に属する提督の多くが、ブラック鎮守府を運営
逮捕されている
なお、祐輔は穏健派に属していて、武仁の部下に当たるらしい
だから武仁は、明日奈を初音島に送ったのだ
まあ、その武仁も珠に秘書艦娘の霧島にシバかれているが、それは武仁が要らぬ茶目っ気をするからだ
つまり、自業自得だ
すると、理香が
「アタシだって男に縁は無いほうだけど、祐輔はどうよ」
と明日奈に言った
すると明日奈は
「リズ、私と彼はまだ会ったばかりよ? そんな直ぐには」
と言った
だが理香は、そんな明日奈に
「だけどさ、祐輔の見た目……明日奈の好みじゃないの?」
と問い掛けた
その問い掛けに、明日奈は思わず
「うぐ……」
と声を漏らした
確かに、祐輔の見た目は明日奈の好みである
実を言えば、明日奈は祐輔のことが一年半前から気になっていると言っても過言ではない
一年半前の沢渡島撤退戦
その戦いに明日奈は、海軍からのCP要員兼予備戦術機部隊指揮官として参加
祐輔は提督兼衞士として参加
その戦いで祐輔は、帝国軍のプロパガンダを兼ねた無謀な退路確保戦闘に投入された
支援も無しに深海悽艦艦隊に中隊規模で突入し、指定ポイント内に居る全ての空母級と戦艦級を撃滅せよと命令されたのだ
その命令を祐輔は遂行したが、生還は祐輔を含めて三名
負傷した部下二名を保護して帰還したが、祐輔も負傷した
明日奈は予備戦術機部隊の指揮官として弾薬と推進材を祐輔の部隊とSに運び、そのまま予備戦術機部隊を指揮
祐輔の部隊の奮闘により、戦艦と空母合わせて12が撃沈された
明日奈はその後、知り合いに頼んで祐輔のことを調べて貰った
その後は武仁の補佐があり、半ば忘れていたのだ
「まあ、明日奈の気持ち次第ね」
理香はそう言うと、徳利の酒が無くなっていることに気付き
「鳳翔さん! お酒追加と厚揚げください!」
と注文した
すると、隼庸にお酒を渡していた鳳翔が
「わかりましたが、理香さん。今日は飲みすぎないでくださいね」
と言った
その言葉を聞いて、理香は
「分かってますって。明日には響かないようにしますよ」
と返した
それから、一時間後
祐輔私室
「ん? 電話?」
祐輔は部屋で本を読んでいたら、自室の電話が鳴った
そして取ると
『あ、祐輔? ちょっと頼みがあるんだけど』
と理香からだった
そして十数分後、祐輔は小料理屋鳳翔前に来た
「リズさん、どうし……明日奈さん?」
そこに到着すると、リズが明日奈に肩を貸していた
「ごめんね。ちょっと明日奈を部屋まで運んでくれない? 明石と夕張から通信が来たのよ」
そう言うと理香は、泥酔している明日奈に視線を向けた
泥酔している明日奈を見て、祐輔は
「リズさん……飲ませましたね?」
と非難がましい視線を向けた
すると理香は
「明日奈がいい飲みっぷりだから、ついね」
と苦笑した
それを聞いて祐輔は、明日奈の落ち度を知った
理香は鎮守府に居る飲兵衛組みと肩を並べる酒豪だ
技術研究厰に居た頃は、それで何人もの衞士や先任整備士達を沈めていた程だ
「んじゃ、よろしくね」
理香はそう言うと、明日奈を祐輔に預けた
そして理香は、しっかりとした足取りで艦娘用第一出撃ドックの方に向かった
そして祐輔は、運びやすいようにと明日奈をお姫さま抱っこで持ち上げると歩き出した
そして祐輔は、一つの事実を思い出した
「しまった……明日奈さんの部屋何処か、知らない」
寮は仕官寮だが、部屋の場所を知らない
もし知っていても、鍵が掛かっている
その鍵が何処に仕舞っているのかも、知らない
そして少し考えると
「仕方ない……僕の部屋に運ぶか」
祐輔はそう判断した
そして祐輔は、自室に向かった
祐輔の私室は、執務室のすぐ近くだ
執務室のある本棟の裏手
そこに、小さな小屋がある
そこが、祐輔の私室だ
部屋面積は、約10畳
祐輔はそこに運び込むと、明日奈をベッドに寝かせた
そして祐輔は、ベッドとは反対側の部屋の隅のソファーで寝ようと思い、一歩踏み出した
が、それはすぐに止まった
なぜならば、祐輔の着ているジャージの袖を明日奈が掴んでいたからだ
「明日奈さーん」
祐輔は声を掛けるが、明日奈は起きない
だから祐輔は、明日奈を起こさないように手を放そうとした
だが今度は、その手を明日奈は掴んだ
「不味いか」
祐輔はそう呟くと、もう片方の手で放そうと試みた
しかし次の瞬間、祐輔は思いきり引っ張られた
「あー……これは、アウトだ……」
明日奈は祐輔に、両手両足で抱き付いていた
恐らく祐輔が本気で振り払えばいいだろうが、それでは明日奈を起こしてしまう
そうしたら、今の明日奈では帰りが心配である
だから祐輔は、諦めて抱き枕になることにした
「うう……明日奈さん、いい匂いがするし、柔らかい……」
祐輔は背中に感じる柔らかい感触に、僅かに顔を赤らめた
はっきり言って、明日奈はかなりの美人である
美人美少女ばかりの艦娘達と過ごしている祐輔ですら、美人と思うほどだ
だから祐輔は、苦し紛れで
「……昔を思い出して、何とか寝よう……」
と言って、ゆっくりと目を閉じた
そして
「おやすみなさい……姉さん」
と最後に呟いた
どういう話を書いてほしいですか
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戦闘多め
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日常多め
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エロ多め