※この作品はR-18です。

艦隊これくしょん・絆の旋律   作:京勇樹

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年末のある日

年末に近づき、後は無事に年を越すだけとなった12月29日。

その日は朝から雪が降り、桜の花びらと共に舞うという幻想的な光景が広がっていた。そして年末というのは、深海側の活動も平時に比べて大幅に下がっており、各鎮守府・警備府・泊地は開店休業状態となる。

それは、初音島鎮守府も例外ではなく、祐輔は遠征や各訓練関連、開発関連の書類が終わると、昼頃には手持ち無沙汰になっていた。

 

(ふむ……大掃除は、もう終わってますし……)

 

と祐輔が何をしようか考えていると、書類を小脇に抱えた明日奈が入室してきて

 

「祐輔君、大本営から書類が来たよ」

 

と祐輔に差し出した。

 

「大本営から?」

 

確かに、表面に捺してある判子は、武仁の物だった。何だろうと思いながら、祐輔は封を開けて、中から書類を取り出した。

一枚目は、新たな艦娘の着任に関する書類。そして、二枚目が問題だった。読み進めていくうちに、祐輔の目が鋭くなり、手に力が入った。

 

「祐輔君、どうしたの?」

 

と明日奈が、優しく祐輔の手に触れた。それで我に返った祐輔は、一枚目の書類を掲げて

 

「新しく、四人の艦娘が着任するようです。ゴトランドさん、秋津洲さん、パースさん、アブルッツィさんの四人です」

 

と明日奈に、一枚目を手渡した。

 

「一気に四人かぁ……うん、分かった。該当寮には、私から連絡しておくね……それで、その二枚目はどうしたの?」

 

二枚目の方が本題だと言わんばかりに、明日奈は一枚目を自身の机の上にあったバインダーに挟むと、祐輔が裏返しに置いた二枚目に視線を向けた。

その問い掛けに祐輔は、少し間を置いてからその書類を明日奈に手渡した。受け取った明日奈は、書類に目を通したのだが、時間が経つにつれて、目付きが険しくなり

 

「……須郷さん……っ!!」

 

須郷の名前を呟きながら、その書類をグシャリと握り潰した。その書類に記載されていたのは、須郷が行ってきた非合法な行動の数々。

00部隊の拠点としていたのは、元八景島警備府。数年前までは海軍の拠点だったが、ある日の提督が謎の死を遂げ、その後再稼働することもなく廃拠点となった。

その提督の死、そして廃拠点化したのも、須郷の仕業だった。須郷はなに食わぬ顔でサーバーのメンテナンスと偽り、セキュリティを無効化させ、雇った外部の殺し屋にその提督に薬物を注入し、暗殺させた。その後、本来は拠点として再稼働する筈だったのをハッキングで廃棄に変更。更に、裏で手回しして自身の拠点とした。

以後、自身と繋がりがあった企業を使い、内部を改造。

00部隊の拠点かつ、自身の実験施設とした。

そして、そこで行われた非道な実験の数々。

違法な薬物の投薬。人工心臓を移植し、血管を増やし、薬物の巡りを増やして肉体の強化。

それだけでなく、祐輔に移植されているアナリティカルシステム。それの量産品と後催眠暗示を使った兵士の洗脳。

まだ有るが、それらの人道を無視した実験に、明日奈は憤りを覚えた。

 

「……出来るならば、裁判に掛けるべきだったんでしょうが……」

 

「ううん、あの場で殺して正解だったよ……でないと、もっと犠牲が出てた……祐輔君は、正しいことをしたの」

 

明日奈はその書類を暖炉に放り込むと、祐輔を抱き締めた。一番ではないかもしれないが、祐輔も須郷の被害者で、祐輔が00部隊から生還したからこそ、00部隊のことが判明し、調べられた。

祐輔の生還、それが須郷の明暗を別けたのだ。

その後二人は、暫くの間抱き合った。

 

「よし! それじゃあ、祐輔君。お昼にしようか」

 

「そうですね。お昼にしましょう」

 

二人は努めて明るくしながら立ち上がり、執務室から出た。そして、食堂に向かいながら

 

「うーん、今日は何にしようかな」

 

「季節物もアリですね」

 

と楽しそうに会話していた。

何気ない日常が、過ぎていく。

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