※この作品はR-18です。

艦隊これくしょん・絆の旋律   作:京勇樹

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遅くなりました
この時期は、どうしても昔を思い出しまして……
世界から、テロなんて無くなればいいのに……


年末パーティー1

大晦日、夜9時。大講堂

何時もなら何もない場所には、幾つもの大机と特製の飛行甲板型コタツが置かれ、そこに全初音島艦隊の艦娘と珍しく外部からのお客が来ていた。

そして壇上に、祐輔が立ち

 

『今年も、もう間もなく終わりを迎えます。初音島艦隊は、皆の協力のお陰で、誰も欠けることなくここまで来て、更に新しい仲間を迎えました。ありがとうございます……さて、堅苦しい話はここまでとしましょう。今年は、芳野さくら博士に来ていただきました。博士』

 

と挨拶を言った後、さくらを壇上に呼んだ。呼ばれたさくらは、軽い足取りで壇上に上がると、祐輔からマイクを受け取り

 

『はい、ご紹介されたさくらです! ボク達初音島の住民は、君たちのお陰で安心して暮らせています。だけど、これだけは忘れないでください。ボクは、君たちの味方です。君たちが学校に通いたいというのなら、風見学園は受け入れます。周囲の人達が何と言おうとも、風見学園は受け入れます……忘れないでね!』

 

さくらが朗らかに言うと、講堂に集まっていた全艦娘は拍手した。今初音島艦隊に在籍している艦娘の中には、以前はブラック鎮守府に居て、そこでは非道な扱いをされていたのが何人も居る。最近ではマシになったが、その影響で人間不信になった艦娘も居る。

そんな彼女達からしたら、さくらの言葉は非常に嬉しいものだった。

 

『芳野博士、ありがとうございました……さて、どうやらもう待ちきれない子も居るようですし……ここからは、食事の時間です! 皆さん、好きに食べてください』

 

祐輔のその宣言の直後、食事が始まった。国際色豊かになったからか、様々な料理が用意されており、そんな中には一部の料理自慢の艦娘によりその場で調理されている物も多数あった。

その料理が気になった艦娘達が、続々と料理の置かれてる大机に駆け寄っては、その料理を貰っていく。

そこには、笑顔が溢れていた。

 

「ふう……今年も、誰も欠けなくて良かった……」

 

祐輔は呟きながら、近くの椅子に腰かけた。近くから

 

「うわっ、このステーキぶ厚っ!?」

 

「あら、スズヤ。食べますか?」

 

「カロリーが怖いけど、食べる!」

 

とか

 

「あ、羽黒! 新しいお肉持ってきて」

 

「分かりました、足柄姉さん」

 

という会話が聞こえてくる。その会話を聞いて、祐輔は楽しそうで良かった、と思っていた。すると

 

「祐輔くん」

 

「料理、食べないんですか?」

 

と声が掛けられた。

 

「あ、音姫さん、由夢ちゃん……まあ、最初に比べたら増えたなぁって……そういえば、聞いたよ二人とも。音姫さんは来年で上級仕官学校提督科を卒業。由夢ちゃんは、現場研修医になるって」

 

祐輔は明日奈が差し出された料理を受け取りながら、二人にそう切り出した。

 

「あははー、私もようやく提督になれるよ。配属は、もちろん初音島(ここ)だよ♪」

 

「私は、一年間の研修医です。もちろん、場所は初音島(ここ)です」

 

祐輔の話題に、音姫は笑みを浮かべながら。由夢は真剣な表情で答えた。元々、音姫は風見学園時に生徒会長を勤め、優秀だが癖の強かったメンバーを統率していた。提督としての資質は十分だろう。

 

「けれど、まさか提督科を一年で卒業するとは……流石は音姫さんですね」

 

「結構頑張ったからねー」

 

本来上級仕官学校提督科は、三年間となっている。しかし音姫は、その優秀な成績からそれを短縮。たった一年間での卒業となったのだ。

 

「という訳で、来年からは私も新任提督となります。宜しくお願いしますね、榊原祐輔少将」

 

「まだ敬礼は要らないですし、初音島鎮守府内だけなら要らないですよ、音姫さん」

 

音姫が敬礼しながら告げると、祐輔は苦笑いしながらも返礼した。そして、一息吐くと

 

「さてと」

 

と懐から、犬笛を取り出して吹いた。その直後、川内が祐輔の隣に現れて

 

「はいはい、どしたー?」

 

と問い掛けた。

 

「えっとね、ガンビア・ベイちゃんが居ないから、探してきてほしいんだ」

 

と川内に頼んだ。頼まれた川内は、グルリと講堂を見回して

 

「あー、本当だ。居ないね。迷子かな?」

 

とガンビア・ベイが居ないことに気付いた。

 

「頼める?」

 

「はいはーい、お任せー」

 

川内は軽く答え、一瞬にして姿を消した。

 

「……こんなに居るのに、全員の名前と顔を覚えてるんですね」

 

「まあ、必要だからね」

 

由夢が驚いていると、祐輔は笑みを浮かべながら答え、料理を口に運んだ。すると、音姫は

 

「大丈夫! 顔と名前を覚えるのは得意だから!」

 

と胸を張った。そこ、慎ましやかな胸とか言わない。怒られても知らないゾ。

そうして、少しすると

 

「おーい、ガンビア・ベイ居たよー」

 

「迷ってしまいましたぁ!」

 

ガンビア・ベイの手を引きながら、川内が現れた。どうやら、敷地内で迷っていたらしい。

 

「まあ、無事で良かったですよ。料理、食べてきてください」

 

「ご迷惑を掛けましたぁ!」

 

一言謝ってから、ガンビア・ベイは料理の方に駆けていった。すると

 

「あー! ガンビイ、おそーい! どうしてたのー!?」

 

「迷ってましたぁ!」

 

「あらあら……無事で良かったわ」

 

とサムとサラトガの声が聞こえた。どうやら、心配していたらしい。

 

「さてと……僕も新しい料理を取りに行こうかな」

 

祐輔はそう言って、立ち上がった。そこに

 

「やっほー、祐輔くん♪」

 

とさくらが現れた。

 

「さくらさん。そういえば、アイシアさんはどうしたんですか?」

 

「ん? アイシアなら……ああ、あそこ」

 

とさくらが指差した先、欧州艦娘が集まってる所で、何やらおもてなしされていた。

 

「ああぁぁぁ……遊ばれてる……」

 

「にゃははー。楽しいなら、いいんじゃないの?」

 

気付けば、胴上げまでされていた。しかも、かなり高い。

 

「待って待って待って! 怖い!! 凄い怖くからぁ!?」

 

「ああ、あれは流石に……」

 

祐輔は止めようと、駆けようとした。だが、先に

 

「やりすぎだ、お前達! 特に、ドイツ艦!」

 

と長門が止めに入り、落ちてきたアイシアを受け止めた。最終的には、講堂の天井間近にまで胴上げされていて、アイシアは震えながら長門に掴まっていた。

 

「まあ、楽しむのは構わないけれど、節度を持ってください。特に、アイシアさんは芳野博士の助手なんですから。彼女が怪我でもしたら、一大事ですよ」

 

長門の後に諌めたのは、古鷹だった。吹雪は恋人の直哉と何やら談笑していて、気付いていなかったらしい。

 

「う、それもそうね……悪かったわ……」

 

「ごめんなさい……」

 

多少は酔いが醒めたのか、謝罪する欧州艦娘達。すると、降り立ったアイシアも

 

「まあ、あんな高さ(約9m)は怖かったけど……無事だから良いよ。けど、次はやめてね?」

 

と許した。それを見つつ、祐輔は鳳翔から年越しソバを受け取った。

 

「今年は、何処から拘ったんですか?」

 

「鰹節から拘って作りました」

 

「そこからですか」

 

瑞鳳の言葉に、祐輔は驚いていた。どうやら、出汁に使っている鰹節から拘って作ったらしい。材料は、恐らく漁港から仕入れたのだろう。

 

「今回は、漁港からいい鰹が貰えたので、以前ある番組でやっていた作り方を参考にして、作りました。海老も丁寧に下拵えし、ソバも手打ちです」

 

「今年は徹底しましたねぇ」

 

鳳翔の話を聞いた祐輔は、ソバを啜った。

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