※この作品はR-18です。

艦隊これくしょん・絆の旋律   作:京勇樹

11 / 178
部屋と説教

翌日早朝

0445

その時間に、明日奈は起きた

それは、体に染み付いた習慣だった

しかし明日奈は、普段は感じない気怠さを感じた

 

「うぁ……」

 

と明日奈が声を出すと

 

「あ、起きました?」

 

と声が聞こえた

 

「え」

 

明日奈は眠気と気怠さを堪えて、目を開けた

そして眼前に、苦笑いを浮かべた祐輔の顔が見えた

それを見て、明日奈は声を上げそうになった

すると、唯一空いていた右手で、祐輔が明日奈の口元を覆って

 

「落ち着いてください。深呼吸して」

 

と優しく促した

言われた通り、明日奈は深呼吸してから祐輔と離れて

 

「なんで、祐輔くんが私の部屋に?」

 

と軽く睨みながら問い掛けた

すると祐輔は、指をクルリと回しながら

 

「周りを見てください」

 

と言った

言われて明日奈は、周りを見て

 

「あれ……ここは……」

 

と今居るのが、自分に宛がわれた部屋ではないと気付いた

 

「ここ、僕の部屋です」

 

祐輔のその言葉を聞いて、明日奈は額に手を当てて

 

「確か昨日は、リズと一緒に鳳翔さんのお店に行って………」

 

と言って、そこで言葉が止まった

すると祐輔が

 

「まあ、そこまで覚えていれば大丈夫ですね」

 

と言った

そして

 

「明日奈さんは、リズさんのペースは巻き込まれて飲んで酔い潰れたんです。それを僕が、部屋まで運んだんです。僕はソファーで寝ようと思ったんですが、明日奈さんに抱き枕にされまして」

 

と説明した

それを聞いて、明日奈は

 

「迷惑を掛けて、ごめんなさい」

 

と謝った

すると祐輔は、微笑んで

 

「明日奈さんみたいな美人さんに抱き枕にされたら、役得というものですよ。それに、誰かと一緒に寝るというのも数年振りでしたから。嬉しかったですよ」

 

と言って、立ち上がった

そして、軽く体を動かすと

 

「では、僕はこれから日課の運動をしてきますね。明日奈さんは、シャワーでも浴びてください。流石に下着はありませんが、そこのタンスの三段目にシャツが入ってます。使ってください」

 

と言って、出て言った

それを見送った明日奈は、深々と溜め息を吐いて

 

「いきなり、やっちゃったなぁ」

 

と反省した

昨日の明日奈は、久し振りの親友との再会でかなりテンションが上がっていた

それは理香も同様で、明日奈との会話に花が咲いていた

そのテンションのまま二人は飲んでいて、先に明日奈が限界を突破

酔い潰れてしまったのだ

そこで理香は祐輔を呼んで明日奈の介抱を頼み、明日奈の部屋を知らなかった祐輔は自分の部屋に運んだ

と明日奈は予想した

 

「取り合えず、厚意に甘えよう」

 

明日奈はそう言うと、タンスからシャツを取り出した

その時明日奈の視界に、一つの写真たてが見えた

その写真たてには、一枚の写真が納められていた

大分古い、一枚の写真が

 

「この写真……」

 

その写真は、家族の集合写真らしい

三人の男女の中心に、一人の幼い男の子が居た

その顔立ちから、その男の子が祐輔だと気付いた

だが明日奈として驚いたのは、幼い祐輔の肩に手を置いている一人の少女

見た目からして、十代後半だろうか

その見た目が、明日奈に瓜二つだった

違うのは、髪の色位だろうか

明日奈は栗色の髪だが、その少女は黒髪だった

しかも、右側に一房だけ髪をリボンで纏めていた

恐らく、祐輔の姉なのだろう

 

「似てる……ん?」

 

明日奈はその時、その写真たての前に一つの赤黒く染まったリボンがあった

そのリボンは、写真に写っている少女が着けているのと同じだった

 

「お姉さんの、形見……なのかな」

 

明日奈はそう言いながら、リボンを見た

触らなかったのは、触ってはいけないような気がしたからだ

 

「……シャワー浴びよう」

 

明日奈はそう言うと、風呂場に入った

そしてシャワーを浴びて、お酒の匂いを落として髪を洗ったら外に出てバスタオルで髪を拭いた

 

「あ、タオル……」

 

と明日奈は気になったが、すぐに頭を振ってバスタオルをタオル掛けに掛けた

そして、下着を着けた後にシャツを着た

その時になり、明日奈は祐輔の部屋を改めて見た

 

「……少し、殺風景かな」

 

祐輔の部屋にある家具は、必要最低限しかない

他にあるのは、写真たてとボロボロの天体望遠鏡だった

 

「これ確か、兄さんも持ってたやつだ……」

 

ただその望遠鏡は、至る所が凹んだり塗装が剥がれているし、何よりも、レンズが割れていた

そして三脚

三脚は真新しい

恐らく、別の物だろうことは想像に難くない

 

「思い出の品……かな」

 

そして明日奈は軍服を着ようとしたが、軍服もお酒の匂いがした

 

「流石に、厳しいかな……」

 

明日奈はそう言うと、後で説明しようと誓って祐輔の予備を借りることにした

そして明日奈は、最後に祐輔の部屋を一望する

 

「なんか、哀しい部屋……」

 

恐らく、その部屋は正しく寝るためだけに使っている感じだった

 

「……行こう」

 

明日奈はそう言うと、小屋から出た

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

「どうでしょうか、祐輔さん! この新発明は!」

 

「試験では、ダントツの弾幕を張れました!」

 

と言ったのは、作業着を着た二人の艦娘

明石と夕張の二人

通称、工学部コンビである

 

「確かに凄いね……12.7cm連装機関砲……何恐ろしい物を開発してるか。なに、この分間300発って」

 

と言ったのは、提出された資料を見た祐輔である

工学部コンビ

またの名を、やらかしコンビ

時たま、ゲテモノ装備を開発するのが悩みの種だった

 

「戦いは数を地で行くために開発しました!」

 

「ただ残念なのが、扱えるのが戦艦級か吹雪ちゃん達、駆逐級でも改二位なんですよ」

 

と二人は言うが、祐輔は

 

「だろうね。これ、反動(リコイル)凄そうだし」

 

と言ってから、二人に視線を向けた

そして

 

「たださ、僕……これの開発資材見積書を見た覚えがないんだけど」

 

と言った

すると二人は、揃って目を反らした

 

「おい、こら」

 

祐輔がそう言うと、大淀が

 

「祐輔さん、こちらが理香さんから渡された使用資材量の書類です」

 

と祐輔に書類を渡した

それを見た祐輔は

 

「……おい」

 

と声を漏らした

声を聞いた二人は、体を震わせている

 

「やっぱり、二人か! こんなに使ったの!」

 

祐輔はそう言うと、その書類を机に叩き付けた

すると、夕張が

 

「仕方ないじゃないですかぁ! 頑強性を得るために、予想以上の資材が必要だったんですよ!?」

 

と言った

そんな夕張に対して

 

「だったら、ちゃんと請求しなさい! 無断でやったのが問題なの!」

 

と怒った

そして祐輔は、立て続けに

 

「なに、この使用資材量!? 大破した大和型と全く同じ量なんだけど!?」

 

と怒った

すると明石が、頬を掻きながら

 

「まあ、当初の見積の軽く倍以上は使っちゃいましたが……自信作です!」

 

と力説した

その言葉を聞いて、祐輔が

 

「反省してないでしょ」

 

と言った

すると吹雪が

 

「祐輔さん」

 

と言いながら、二人の襟首を掴んだ

それを見た祐輔は、コクリと頷き

 

「二人供、半日座敷牢」

 

と告げた

 

「そんな!?」

 

「殺生な!?」

 

二人は叫ぶが、吹雪は無視して二人を引きずった

鎮守府最強艦娘は伊達ではないのだ

吹雪はそのまま、座敷牢まで二人を引きずっていったのだった

そして祐輔は、静かになった執務室で膨大な量の書類を捌き始めた

明日奈はそれを補佐しながら、祐輔の横顔を見ていたのだった

どういう話を書いてほしいですか

  • 戦闘多め
  • 日常多め
  • エロ多め
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。