※この作品はR-18です。

艦隊これくしょん・絆の旋律   作:京勇樹

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新任艦娘

「弐型を、近衛で配備……か」

 

「ああ。瑞鶴の耐用年数が近いからな」

 

祐輔の呟きに返答したのは、椅子に座りコーヒー擬きを飲んでいた唯依である

現在、試験運用している不知火弐型

それを、近衛にも配備しようと計画されていた

その理由が、現在近衛で運用されているFー4J改

82式、瑞鶴

採用してから既に、20年以上が経過している

少しずつ改修して運用しているが、耐用限界が近付いていた

改修しているとはいえ、根本となったのはFー4J

77式撃震である

この機体は現在、少しずつ退役が始まっている

その代わりに不知火が配備されているが、近衛でも瑞鶴の退役が考えられていた

しかし、新型機開発は上手くいっていなかった

しかも、近衛の専用機

武御雷は、コストがかなり高い

現在帝国軍戦術機部隊では、一部を除いてHIーLOWミックス構想が採用されている

HIーLOWミックス構想

それは、コストが高い機体を少数

そして、コストが低い機体を多数混ぜて部隊を編成し、部隊を運用するという構想だ

しかしこれには、性能が近くないといけない欠点があった

何故ならば、幾らコストが高く性能がいい機体を運用しようが、コストが低い機体が性能が悪ければ、コストが高い機体を失うことになりかねないからだ

しかし、性能が高いというのは即ちコストが高くなる

だから現在、帝国軍では第二世代相当の軽量級戦術機の開発

もしくは、外国産機体の改修・導入を決めた

その開発は順調とは言えず、外国産機体の導入も上手くいっていない

そこで考えられたのが、弐型の近衛の採用だった

弐型の性能は、武御雷に迫っていた

それが、宮内庁の戦術機調達課に認められたのだ

しかし、認める代わりに出された案があった

それは、弐型より高い格闘戦能力の確保だった

 

「それで、唯依達が運用を?」

 

「ああ。ホワイトファング隊を含めて、約一個大隊だな」

 

「なるほどね……腕部関節の耐久性を二割上げて、更にレスポンスを上げたのか」

 

と祐輔は、近衛仕様の弐型の仕様書を見て呟いた

それだけでなく、爪先にスーパーカーボン製ブレードベーンを増設

これにより、弐型よりも高い格闘戦能力を確保していた

推進(ジャンプ)ユニットに関しては、従来のままとなった

 

「で、試験運用の一環で、僕の鎮守府に配備か……巌谷さんも思いきったね」

 

「宮内庁からは苦情が出たらしいが、押しきったそうだ」

 

祐輔の言葉に、唯依はそう言った

 

「で……この一機は?」

 

と祐輔が見たのは、搬入された13機目の近衛仕様弐型の書類だった

すると唯依が

 

「これを」

 

と胸ポケットから、一枚のメモを取り出して祐輔に渡した

それを受け取り、祐輔は一読

そして、片眉をひそめて

 

「あの機体を、僕が?」

 

と唯依に視線を向けた

すると唯依が

 

「ああ……『お前なら、問題なく運用出来るだろう』とな」

 

と告げた

それは、帝国技術研究厰第一室責任者

巌谷英慈准将の言葉である

彼は、祐輔の事をよく知っていた

 

「……了解。僕でよければ、運用するよ」

 

祐輔はそう言って、書類にサインした

そして祐輔がその書類を吹雪に渡すと、ドアが開いて

 

「祐輔くん。遠征艦隊が帰ってきたよ」

 

と明日奈が入ってきた

 

「はい、わかりました」

 

祐輔は返答しながら、明日奈から書類を受け取った

その直後

 

「第一艦隊、帰還したぞ」

 

と長門が帰ってきた

 

「お帰り。結果は?」

 

と祐輔が問い掛けると、長門は

 

「4ー5海域の攻略は完了した。新しい仲間を迎えたぞ」

 

と答えた

そして入って来たのは、銀髪が特徴の駆逐艦娘だった

その艦娘は、敬礼しながら

 

「あたいは夕雲型駆逐艦、十六番艦、朝霜さ!」

 

と名乗った

すると祐輔が

 

「確認しました。僕が、この鎮守府の提督。榊原祐輔です。よろしくお願いします」

 

と名乗った

すると、朝霜は

 

「なんだ? なんか、なよなよした奴だな。本当に大丈夫なのか?」

 

と首を傾げた

すると、長門が

 

「朝霜、失礼だぞ」

 

と朝霜を睨んだ

しかし朝霜は、軽く笑い

 

「本当に相応しいか、あたいが見極めてやるぜ!」

 

と言って、艦娘としての身体能力を使って一気に動いた

その速さは、普通の人間だったら反応出来なかっただろう

 

「つっ!」

 

「祐輔!?」

 

明日奈と唯依は、それぞれ刀と拳銃を抜こうとした

だが、それより早く朝霜は床に叩き付けられた

 

「がっ!?」

 

「威勢は良し。だが、相手の実力を把握しないと……死ぬよ」

 

祐輔は朝霜の拳を受け止めると、合気道の要領で朝霜を投げた直後に首筋に手刀を当てていた

 

「つ、強えぇ……」

 

「僕、一応は元陸軍だったからね」

 

朝霜は驚きで目を見開いていた

すると、明日奈が

 

「祐輔くん、大丈夫!?」

 

と祐輔に近寄った

それに対して、祐輔は

 

「大丈夫ですよ、明日奈さん」

 

と笑みで返した

それを聞いて、明日奈は

 

「だけど、この子はどうするの? 司令官に対しての攻撃は、最低でも営倉入り。最悪だと、解体だよ?」

 

と問い掛けた

それを聞いて、朝霜は頬をひくつかせた

だが、祐輔は

 

「この鎮守府に、戦力を遊ばせておく余裕はありません。今回は営倉入り等は無し。ただし、新人訓練期間を倍にします」

 

と告げた

それを聞いて

 

「新人訓練期間?」

 

と朝霜が首を傾げた

それを聞いて、祐輔が

 

「はい。この鎮守府の慣例です」

 

と返した

新人訓練期間

それは、初音島第一鎮守府にて新しい艦娘が入った場合は必ず行うことである

 

「確か、最近長波も入ってたよね?」

 

「ああ、そうだな」

 

祐輔の問い掛けに、長門は頷いた

長波とは、朝霜の姉妹艦娘である

 

「あいつは、訓練期間中に独断出撃して、吹雪が居なかったら沈んでたな」

 

と言ったのは、長門だ

それを聞いて、祐輔は手を叩いて

 

「ああ、そういえば、それで一ヶ月に伸びてたね」

 

と思い出したようだ

そして、戻ってきた吹雪に

 

「吹雪ちゃん、長波ちゃんの残り訓練期間は?」

 

と問い掛けた

すると吹雪は

 

「ちょうど、二週間です」

 

と即答した

 

「それで、残り二週間の訓練教官は誰だっけ?」

 

と祐輔が問い掛けた

 

「響ちゃんです」

 

「あ、響ちゃんか」

 

駆逐艦響

この鎮守府では、少し特殊な子の一人である

 

「じゃあ、この子も連れてってあげてくれる?」

 

「朝霜ちゃんですね。何かしました?」

 

と吹雪が問い掛けると、唯依が

 

「いきなり、祐輔に攻撃してきたな」

 

と言った

それを聞いて、吹雪は

 

「ああ、それで、投げられたと」

 

と納得していた

そして吹雪は、立ち上がった朝霜に

 

「では、行きますよ」

 

と言って、歩きだした

そして、グラウンドに着くと

 

「響ちゃん!」

 

と声を上げた

すると、ジャージ姿の銀髪の少女が振り向いた

 

「なんだい、総秘書艦?」

 

と吹雪に問い掛けた

すると吹雪は、朝霜を指し示して

 

「訓練期間二週間の朝霜ちゃん。お願いね」

 

と言った

すると、響は

 

「初っぱなから、何かやったのかい? 中々豪気だね」

 

と言った

すると朝霜が

 

「え、響?」

 

と驚いていた

すると響は

 

「そうだよ、第六駆逐隊の響こと、ヴェールヌイだよ。どっちでも、好きに呼んでくれていいよ」

 

と名乗った

しかし、朝霜は

 

「いやいや、そうじゃない! デカくね!?」

 

と驚いていた

しかし、驚くのも仕方ないだろう

朝霜が知っている響は、小学校低学年位の見た目だった

しかし、教官役をしている響は、見た目が中学生位だったのだから

すると響は

 

「まあ、私は、この鎮守府では、かなり年上の方だからね。今世界中に居る艦娘の中でも、古参の方だよ」

 

と言った

 

「異動組か……」

 

「そうだよ。姉妹揃って、元ブラック鎮守府からだよ」

 

朝霜の呟きを聞いて、響はそう言った

元ブラック鎮守に所属していた艦娘は、幾つかの選択肢が与えられる

ドロップ、建造艦の場合は退役か、初期化しての再配属、別の鎮守府に異動

人間からの場合は、艤装を解体して人間に戻るか、別の鎮守府に異動である

そしてこの響は、同じく人間から選ばれた姉妹艦と共にこの鎮守府に異動してきたのだ

最初は改にすらなっていなかった響だったが、祐輔が二年掛けて改二

ヴェールヌイにしたのだ

 

「今は、新任艦娘に対する教官をしているよ」

 

「じゃあ、お願いね」

 

吹雪はそう言って、執務棟に戻っていった

そして響は

 

「それじゃあ、今日の教導を始めるよ」

 

と朝霜と長波に言ったのだった

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