作戦から、数日後。大本営正面海域
『今回の作戦で、散っていった英霊達に対して……敬礼!!』
拡声器で言われた指示に従って、船上に立っていたあらゆる将校達は敬礼し、その直後に儀杖隊による空砲が鳴り響いた。
陽光作戦に参加した戦術機部隊、陸戦部隊、合わせて数千名の戦死者の為に、合同葬儀が行われていた。
艦娘艦隊にも損傷艦娘は数多出たが、轟沈は無し。
しかし、戦術機部隊では生還したのは、全体で見れば約4割。一番損耗が激しかったのは、やはり
陸戦部隊は、約3割が戦死。その他にも、数多くの負傷者が出た。
しかし、その甲斐あって日本帝国にとって懸念の一つであった泊地水姫は撃破出来て、帝国本土が危険に晒される確率は一気に減った。
大本営での合同葬儀から、更に数日後。祐輔の艦隊に新しい艦娘が何人か来た。
「ドイツから来た、グラーフ・ツェッペリンだ。よろしく頼む、アドミラル」
「イタリアから来ました! ザラ級重巡洋艦のザラです!」
「同じく、ポーラですぅ」
「防空駆逐艦の照月です! よろしくお願いします!」
「朝潮型駆逐艦の峰雲です。よろしくお願いします」
海外艦を含めて、5人入隊してきた。アリア艦隊は、約20人程が人隊した。
すると、グラーフが代表してか一歩前に出て
「この鎮守府と貴官のことは、本国でも有名だった……蒼き風神……衛士では、世界でも唯一と言える姫級の複数撃破者……極東で5本の指に入る衛士、とな」
と語った。それを聞いて、祐輔は後頭部を掻きながら
「あはは……そちらにも伝わってましたか……確かに僕は衛士ですが、同時に当鎮守府の提督です。では、改めて名乗りましょう……初音島第一鎮守府提督の榊原祐輔中将です。こちらは、僕の副官でもあり、奥さんの」
「榊原明日奈大佐です」
祐輔と明日奈が名乗ると、5人は一斉に敬礼した。そして祐輔は、5人が姿勢を楽にしたのを確認してから
「さて、貴女達も知っての通り……少し前にこの初音島から南に約100km程の地点にあった島……千州島が攻略されました」
と説明を開始した。それに合わせて、明日奈がパソコンを操作してスクリーンを下ろし、千州島の位置を表示させた。
「それにより、以前よりかは深海艦の襲撃頻度は低下しました。それに伴い、一部の任務が変更になりました」
祐輔が説明するのに合わせて、明日奈が深海艦の襲撃頻度の比較を表示させた。攻略されるまでは、三日に一度は深海の侵攻艦隊が確認されていた。しかし攻略されてからは、一週間に一度位までに低下している。
「以前までは緊急出撃と試作兵装の試験が主任務でしたが、CSARと試作兵装の試験になります。CSARとは、戦闘、捜索、救難のことです」
「CSAR……あまり聞かない内容だな……」
「まあ、そうでしょうね……CSARを遂行出来るのは、精鋭と判断された艦隊だけだからです。帝国ですと、大本営と横須賀辺りのようです」
グラーフの疑問に、祐輔はそう答えた。確かに、戦闘だけならまだしも、捜索に救難となると、生半可な腕の艦隊では出来ないだろう。
その点、祐輔の艦隊は練度は申し分ない艦娘ばかりだ。
「まず、貴女達は訓練からです。詳しくは、訓練担当艦娘の子に聞いてください……さて、長々と話すのもなんですから……最後に、これだけ言っておきましょう……最前線にようこそ」
祐輔のその言葉に、5人は再び敬礼した。
それから数分後、5人は敷地内を大井の先導で歩いていた。
「なにやら、工事しているな……」
「はい。アリア艦隊と合わせて、かなりの人数が来ましたからね。新しく寮を建設したり、一部施設の改築。新しい設備を作ったりしてます」
グラーフが周囲を見ながら首を傾げると、大井が説明した。そこに、一人の男性が近寄り
「お、大井ちゃんやないか」
「あら、野菜の収穫ですか?」
「せやで。見てみ、立派に育ったで? 今から、食堂に持っていくとこや」
「本当ですね。夕食が楽しみです」
「ほんまやね。それじゃ、またなぁ」
頭にタオルを巻いた男性は、ネコ車に乗せた野菜を大井に見せた後、食堂のほうに向かっていった。すると今度は、木材を担いだ筋肉が凄い男性が来て
「お、その子達が新しい艦娘かな?」
「はい、そうですよ。寮や新しい施設の方はどうですか?」
「寮は概ね完成したな。今は川内ちゃんと家具の配置とかやってる。施設はもう少し掛かるな。悪いね」
「いえいえ。こちらこそありがとうございます。貴方達のおかげで、ウチの子達も退屈しないですし、新しいことを覚えてくれてます」
「そう言って貰えると、嬉しいね。んじゃ、またな」
男性は軽く挨拶すると、建設現場に向かっていく。それを見送った峰雲が
「……今のお二人、見覚えがあるんですが……」
「二人だけじゃないわよ? あと三人居て、一人は食堂で間宮さんや伊良湖さんと料理研究してるし、一人は……あの煙が見える? あの下辺りで、レンガや陶器、炭を焼いてるし……一人は建設現場で手伝ってるわよ」
「……なぜ、あの五人組が……」
「何でも、自分たちから立候補してきたそうよ? 彼ら、海に何かと縁があったらしいわ。今の自分たちに何が出来るか考えて、海軍の手伝いをしたいって……まあ、それが初音島鎮守府になったのは偶然だけど……」
大井も説明しながら、不思議そうにした。
こうして、新しい仲間が加わった。
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