※この作品はR-18です。

艦隊これくしょん・絆の旋律   作:京勇樹

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経過

音姫が新たに提督になってから、早くも約2ヶ月が経った。音姫は祐輔・アリア両艦隊と連携しつつ、確実に自分の艦隊を増やし、練度を上げていった。

そして、三人(二人と一匹?)で集まり、ある程度会議した後

 

「ふう……分かってたけど、艦隊運営って大変だね……膨大な量の書類に、戦闘の指揮……しかも、祐輔君は通常の他に試作兵器の運用もやってるんだよね?」

 

と音姫は、祐輔に問い掛けた。

すると祐輔は、書類をバインダーに挟みながら

 

「まあ、僕は元々軍属でしたからね。それに、技研厰の所属だったので、書類には慣れてますよ」

 

と答えた。しかし音姫は

 

「だけど、祐輔君は衛士訓練課程は未了で任官。提督のも即席コースの半年でしょ? 私は高等仕官校の提督課程を三年……雲泥の差を感じるなぁ……」

 

と気落ちしていた。しかし、祐輔の時と音姫の時とでは大きく状況は異なる。祐輔が訓練生だった時は大規模侵攻が日本全国で起きて、繰り上げ任官を投入しなければ、最前線の維持が困難だった。

その後、提督になる際は元々の提督が病気で引退することになった為に、急遽提督を配置する必要があった。

元々軍属で、更には提督としての資質を有していた祐輔は、正しく好条件の人材だったのだ。

しかし、ここ数年は本土の防衛状況も落ち着いてきた。音姫はその世代になる。

 

「まあ、状況が状況でしたから……さて、僕はそろそろ一回病院に行ってきますね」

 

「あ、うん。明日奈さんのお迎えだよね? いってらっしゃい」

 

バインダーを大淀に預けた祐輔は、軍服の上着を脱ぎながら会議室を出た。そして祐輔は、一度自室に戻って上の服だけ着替え、車のカギを取って駐車場に向かった。

その後、鎮守府の敷地を出て水越病院に向かった。

季節は夏に差し掛かり、少しずつ気温が上がってきた。

近いうちに、軍服も夏服に切り替わる予定だ。

 

「……最近は、緊急出撃の頻度も減ってきたな……」

 

やはり、近くの敵基地が陥落したというのはかなり大きい。緊急出撃のベルも減り、明日奈の精神的負担も減っただろう。

 

「予定だと、後4ヶ月位か……」

 

予定だと、産まれるのは10月後半になる。秋に差し掛かり、冬支度の準備を始める頃だろうか。しかし、近い内に大規模作戦が発令される。

聞いた話では、海外での作戦になる。

 

「……今度は、参加するかな……」

 

祐輔は今まで、大規模作戦には片手で数える程しか参加していない。時々、大規模作戦中に敵の艦隊が本土を奇襲してくることもある。

 

「今度、そのことに関して話し合うかな……」

 

今度、アリアと音姫の二人と会議することをガンガンながら、祐輔は安全運転で水越病院に向かった。

走らせること、十数分。ゆっくりと水越病院の駐車場に入り、祐輔は車を停めてから病院に入った。

すると

 

「あ、祐輔くん!」

 

と自分を呼ぶ声が聞こえて、そちらを見ると、大きくなってきていたお腹を撫でながら明日奈が椅子に座っていた。

 

「明日奈さん、どうでした?」

 

「うん、順調だって……それで、性別だけど……女の子だって……」

 

明日奈の報告を聞いて、祐輔は明日奈のお腹を優しく撫でながら

 

「そうですか……それは、良かったです……!」

 

と嬉しそうにした。子供と言えばだが、明日奈と祐輔が保護責任者となっている少女。優衣だが、最近は少しずつ本を自分で読むようになってきた。

一応年齢的には、もうすぐで7歳位な為に小学校に通わせようか、と明日奈と話し合っている。

祐輔も見ている限り、優衣は手先も器用だ。もう既に、箸を器用に使って食事をしている。

やはり、艦娘の遺伝子を使っているからか、学習能力が高いようだ。須郷から保護出来たのは、幸運だっただろう。

 

「それじゃあ、ゆっくり車まで行きましょうか」

 

「うん、ありがとうね」

 

祐輔は明日奈を補助しながら、ゆっくりと車まで移動を始めた。お腹が大きくなった為に、下が見えにくくなったり、バランスが悪くなるのだ。

人によっては、バランスが大きく乱れて歩くのも覚束なくなるのだ。そのことを、祐輔は姉の百合から教えられて、どうすべきか時々教えてもらっている。

なるべく寄り添い、右手で片手を引き、左手は腰に手を回して歩くのを補助しつつ、視線は先を見ている。

明日奈は軍人として鍛えている為、バランス感覚はかなり優れており、脚力も一般人を越えているので、一般的な妊婦よりかは早く歩けている。だが、歩き難いのは変わらない。

病院の待合室から駐車場の車まで、時間を掛けて移動し、ゆっくりと席に座らせた。そして、お腹に負荷を掛けないようにシートベルトを着けてから、祐輔も運転席に座って、車を走らせ始めた。

街中を走りながら、祐輔は事前に買っておいた飲み物を明日奈に差し出した。

 

「ありがとう、祐輔くん」

 

「いえいえ。大事な奥さんを支えるのが、僕の役割ですから」

 

明日奈からの感謝の言葉に、祐輔は朗らかに笑みを浮かべながら答えた。そして、二人が乗った車は鎮守府に到着し、祐輔と明日奈は自室に戻っていった。

ゆっくりと穏やかに、時は流れていく。

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