更に時は経ち、6月下旬。
大本営から、大規模作戦が発令された。
帝国、国連、アメリカ軍合同で行われる反攻作戦で、主力はもちろん帝国になる。
場所は、ラバウル方面。
ラバウル泊地を最前線拠点にし、参加を決めた提督率いる艦隊が集結する。
大本営の作戦部からもたらされた情報によれば、ラバウル方面のブーゲンビルに深海棲艦が集結しつつあるという。恐らくは、ラバウル泊地への侵攻を考えているだろうから、先に打って出て、深海艦隊を撃滅するというのが、今回の作戦の概要になる。
初音島艦隊からは、祐輔艦隊が向かうことになり、音姫艦隊は戦力不足を理由に不参加。
アリア艦隊は万が一に備え、残ることにした。
祐輔艦隊は資源を貯めつつ、艦隊の練度向上を行った。その一環として
「吹雪ちゃん、これ」
「え、これって、まさか……」
「うん、ケッコン・カッコカリの指輪。あ、言っておくと、直哉君から奪おうとかは考えてないよ? それに、中を見て」
最初は不安気に祐輔を見た吹雪だったが、祐輔に言われて指輪の内側を見た。指輪の内側には、K・KとN・Kと彫られていた。
「え、これ……」
「実は、大本営には言ってないんだけどね……直哉君には低いけど提督の資質が有ったんだ」
祐輔の話を聞いて、吹雪は驚いた。提督の資質が有ることを、大本営に伝えていない。実はこれは、軍規違反に該当する。
「低いと、大抵は警備か遠征艦隊の提督になるんだけど……今や直哉君は、初音島鎮守府の大事な戦術機中隊の指揮官……そんな人材を失う訳にはいかないからね……あ、こっちは直哉君に渡してね?」
祐輔はそう言って、対となる指揮官用の指輪を吹雪に渡した。
「それに、吹雪ちゃんと直哉君を引き離すなんて出来ないから……二人は、大事な僕の部下だからね」
「司令官……ありがとうございます……!」
祐輔の話を聞いて、吹雪は感極まった様子で頭を下げた。そして次に、祐輔は古鷹に
「古鷹さんにも、これを」
実は古鷹は、祐輔艦隊では吹雪の次に練度が
これにより、祐輔艦隊ではまず、吹雪と古鷹の二人が練度上限を突破した。
そして、作戦数日前に祐輔艦隊は初音島を出発。一路ラバウルを目指した。
作戦名、星一号作戦が開始された。
今回の作戦では、祐輔は戦術機での出撃は控え、艦隊の指揮に注力することにした。
夕張と明石が中心になり、高精度の通信機器を設置し、艦娘用母艦により補給と修復を行う。
『こちら、作戦第一艦隊……現在、敵潜水艦隊の漸減中です』
「了解。常に探針機の反応に留意しつつ、前進してください」
艦隊旗艦の名取からの通信を聞いて、祐輔は適宜指示を下す。その周囲では、大淀が中心になり、データリンクから必要な情報を抽出し、的確に書類に纏めていた。
「祐輔さん、こちらを……」
「ありがとうございます……」
祐輔は大淀から渡された書類を一読し
「CPより艦隊に通達します。敵潜水艦隊の旗艦は、潜水棲姫と判明しました。今、対象のデータを送ります」
『……データ確認しました。音紋データも受信……優先的に狙うように心掛けます』
「注意してください。以上です」
『了解』
通信が終わり、祐輔は一息吐きながらお茶を一口飲んだ。すると、吹雪が困惑した様子で近寄り
「祐輔さん……祐輔さんに、会いたいというお方が……」
「僕に?」
吹雪の話を聞いて、祐輔は不思議そうにしながらその人物が待っているというテントに向かった。中に入り、待っていた人物を見て、祐輔は固まった。
何せ、政威大将軍の煌武院悠陽だったのだ。
「で、殿下!? ご連絡いただければ、こちらから本部に向かいましたのに!?」
「いえ、構いません……此度は珍しく、国外の作戦に初音島から艦隊が参加したと聞きまして……直接赴こうと思っただけです」
「しかし、殿下の身に何かあったら……」
実はテントの周囲に、近衛らしき気配は無い。恐らく、悠陽は単身で来ていたのだ。
「いざというときは、特務たるそなたが守ってくれるでしょう?」
その言葉から祐輔は、悠陽が自分を信頼してくれていると思った。
「は……この身に代えましても」
祐輔の言葉に、悠陽は頷き
「さて、此度そなたに会いに来たのは、顔を見に来ただけでなく、話があったからです」
「話……ですか」
祐輔は、悠陽が座ってから新しく用意された椅子に座った。大事な話だと思ったからだ。
「まず、長き間に渡り、初音島鎮守府を少ない人員で維持し、要らぬ苦労を掛けたことを謝罪します」
「恐れながら殿下。それに関しましては、大本営の一部高官達が独断で行ったことと長官より伺っております。決して、殿下の御責任とは……」
「いえ、榊原提督。私の管理不行き届きと不徳の致す処が理由……今後、同じ事が起きないように独自の内部監査班を設立し、監査の目を厳しくします」
祐輔が最後まで言う前に、悠陽は被せる形で発言した。こうなったら、悠陽は引かない。そう考えた祐輔は、
「分かりました……」
と頷いた。祐輔が頷いたのを見て、悠陽は満足した様子で
「それでは、此度はこれで……貴官の此からの活躍に期待してますよ。榊原提督……」
と言って立ち上がり、テントの出入口に向かった。
「はっ! 粉骨砕身します!!」
祐輔は悠陽がテントから出るまで敬礼しながら見送り、悠陽が出てから
「……川内さん、念のために着いていってください」
と近くに待機していた川内に、頼んだのであった。
こうして、星一号作戦は始まった。
どういう話を書いてほしいですか
-
戦闘多め
-
日常多め
-
エロ多め