「陸軍第六師団のクーデターやて?」
「ああ……少し前に、長官から通信が届いた。これが、書類だ」
はやてからの問い掛けに、冬也はそう言って執務机の上に書類を置いた。それを一読したはやては、深々とため息を吐き
「去年の12、5事件と考えて、一年の間に二回……ほんまに、どうなってるんや……」
「俺に言われてもな……今は、陸戦隊に完全武装させて待機させている。正門も閉めさせて、陸軍の車両が近づいたら攻撃していいと指示を出しておいた」
冬也の報告を聞いて、はやては頷いた。
今は陸軍第六師団のみだが、もしかしたら他に呼応する部隊が居るかもしれないと考えたからだ。
「……あの後、対戦術機武装を増強したけど……複雑や……私達の共通の敵は深海棲艦なのに……」
「陸軍はこの数年、予算も人員も削減され続けている……一部の陸軍の家系はそれが面白くはないようだ……」
「せやかて、最近の陸軍は不祥事も多かった……少し前には、ある陸軍の基地が不法に拉致した艦娘をターゲットにして、対深海兵器を作ろうと実験……結果、その艦娘は暴走し、陸軍基地は壊滅……後始末を海軍に押し付けてきたやないか」
はやては数ヶ月前に起きた、陸軍の不祥事の例を挙げた。その陸軍の基地司令は、艦娘を化け物と呼び、何時かは深海棲艦と同じように人類に仇なすと考えていた。
そこで、対深海兵器の開発をするという名目で、近くの海で単艦行動していた駆逐艦娘を拉致。
艤装を奪い、薬物を投与し、時には的にした。
その結果、その駆逐艦娘は憎しみで暴走。
その陸軍基地は、約7割の施設が消滅し、残った施設も何らかの破損があった。
そして、その陸軍基地に配備されていた戦術機部隊の約6割を引き換えに制圧した。
流石にその規模の被害となれば、査察部が動いて、基地司令官がしていた悪事の全てが明るみになった。その結果、基地司令官は拘束され、後に処刑された。
そして駆逐艦娘の提督は、一生懸命捜索していたのに見つけられず、あまつさえ味方と思っていた陸軍により過酷な実験に使われていたと知り、自分を酷く責めて、一度は退任しようとする程に追い詰められていた。
しかし、周りの他の艦娘達のおかげもあり、何とか今も提督を続行している。
「……とりあえず問題は、その第六師団がどの程度の装備を有しているかによるな」
「せやな……強化外骨格程度やったら、対処出来るけど……」
須郷の時のように戦術機まで投入されたら、幾ら装備を増強したとは言っても対処は難しい。
その時、ドアが開き
「失礼します。先ほど、陸軍本部より通信が来ました。陸軍特殊部隊が件の第六師団の施設の一つを制圧したところ……こちらの情報を得たと送信されてきました」
と一人の通信士官が、脇に抱えていた書類をはやてに差し出してきた。表面には、第二種閲覧制限の文字が書かれてある。
第二種となれば、佐官未満の閲覧禁止となる。
「ん、ありがとうな。受け取った」
「では!」
はやてが受け取ると、その通信士官は部屋から去った。それを見たはやては、その書類を読み始めて
「……冬也さん。対空砲も用意させといて」
「ということは、空挺部隊も居たか?」
「……空挺ではないけど、ヘリ部隊や。完全に対人部隊や」
はやてはそう言って、書類を冬也にも見えるように開いた状態で机の上に置いた。
確かに、中型ヘリ部隊を擁していると記載されている。
それを鑑みれば、対空砲を用意させた方が良いのは確実である。
「……今から、発令してくる」
「お願い」
はやての言葉を聞いて、冬也は部屋から退室した。
そしてはやては、窓から外を見て
「……防弾ガラスを導入して、正解やったね……」
と呟いた。
出費的には痛かったが、念のために導入していたのだ。
「……ほんま……人間は過ちを繰り返すな……」
はやては何処か落胆した様子で、そう呟いたのだった。
どういう話を書いてほしいですか
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