※この作品はR-18です。

艦隊これくしょん・絆の旋律   作:京勇樹

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過ちは繰り返される

海鳴鎮守府、正門付近。

そこでは厳戒態勢が敷かれて、兵士達が完全武装で待機していた。

前回の須郷の事件の際に破壊された門は強化され、見た目こそ変わっていないが強度は二倍になっていて、人員も大幅に増員された。

しかし陸戦隊兵士の中には、緊張している様子の若いのも居る。すると、30代半ばと見られる女性兵士が

 

「なんだ、緊張しているのか、栗田」

 

とその若い兵士の肩を叩いた。

栗田と呼ばれた青年。栗田数馬(くりたかずま)二等兵は、ビクッと体を震わせて

 

「あ、当たり前ですよ! 自分は、まだ配属されてから2ヶ月しか経ってないんですよ? それなのに、初戦闘が、もしかしたら友軍かもしれないなんて……」

 

「元、友軍だ……奴らは、殿下に弓引いて、更には艦娘達を化け物と蔑んでいる……そんな奴らを、友軍と思うな」

 

「中川軍曹……」

 

栗田の言葉に、女性兵士。中川幾恵(なかがわいくえ)軍曹は厳しい顔を浮かべた。

それに栗田が驚いていると、右目が青い、生体移植を受けた痕跡のある少し年上の男が

 

「仕方ないさ……中川軍曹は、ここの艦娘……駆逐艦娘に、自分の娘が居るんだ……八神提督は、その駆逐艦娘を保護してくれた方でな、恩人なんだ」

 

と栗田に説明した。

 

「提督が……」

 

「しかも娘さん……陸軍から違法な実験の実験台にされたらしくてな……いまだに後遺症が残ってるんだ……」

 

「つっ!? それでですか……」

 

岩谷礼二(いわたにれいじ)伍長の話を聞いた栗田は、先ほどの中川軍曹の語気の強さに納得した。つまり、陸軍に対して怒りや憎しみといった感情が強いのである。

しかも、友軍の筈の陸軍が行った違法な実験による後遺症。

もし、自分の家族がそんな事をされたら、そう考えると栗田にも中川軍曹の怒りの強さにも納得した。

その時、正門正面の道路に一台の大型トラックが見えた。その配色から、海軍の物資輸送トラックと判断し、栗田が

 

「開けます」

 

と正門を開けようとした。だが、中川軍曹が栗田の首根っこを掴み

 

「待て……あのトラックの識別番号……見たこと無い」

 

とトラックのボンネットに書いてある識別番号を、指差した。それを聞いて、栗田も改めてトラックのボンネットの識別番号を見た。

確かに、その識別番号は初めて見た。

中川軍曹は、小銃を構えて

 

「運転手! 今すぐ、貴様の所属部隊と軍籍を言え!!」

 

中川軍曹がそう言った直後、トラックの荷台の天井を突き破り、何かが。強化外骨格が現れた。

 

「警報! 第六師団だ!!」

 

岩谷伍長が無線に大声で言った直後、鎮守府全体で警報音が鳴り響いた。栗田は、小銃を乱射しながら

 

「用意して、正解でしたね!」

 

と言って、停めてあった装甲車の後部ハッチから対戦術機榴弾発射器を取り出して、構えた。

しかし、出てきた強化外骨格は全部で二機。しかも、気付けば近くに止まっていたらしいトラックの荷台から次々と強化外骨格が出現してくる。

それを見た中川軍曹は

 

「後退しろ! 正門は一時放棄! 一度後退し、後続と他の部隊と合流し、態勢を建て直す!」

 

と指示し、装甲車のキーを回しながら栗田を片手で制した。その時になり、栗田は強化外骨格が二機だけじゃないと気付いた。

 

「伍長!」

 

「了解!」

 

呼ばれた岩谷は、固まっていた栗田を引っ張りながら後部ハッチに飛び乗った。その直後に中川軍曹は、装甲車を急発進させ、離れた。

 

「くそっ! 第六師団め!?」

 

「八神提督! こちら正門の第一分隊! 申し訳ありません! 第六師団の強化外骨格に正門を制圧されました! 現在、第一分隊は後退中!」

 

「このぉぉぉぉ!!」

 

栗田は上部の機銃で強化外骨格に対して、牽制射撃をしている。

 

『強化外骨格の数は!?』

 

「今現在、目視で16! まだ増える模様!」

 

はやてからの問い掛けに、岩谷は後部ハッチから小銃で射撃しながら答えた。

 

『了解や。今、待機していた全部隊に出撃するように指示した! それと、神代中佐が強化外骨格を装着し、そちらに向かいます! 他の部隊と協力し、第六師団の迎撃を行ってください!』

 

「了解!」

 

「まずいです! 正門を開けられて、歩兵部隊も入ってきてます!」

 

栗田の報告を聞いて、岩谷は

 

「栗田! 機銃で出来るだけ減らせ! 俺も小銃で撃つ!」

 

「了解!」

 

栗田の機銃に合わせ、小銃を撃ち始めた。

銃弾に撃たれて、次々と第六師団の兵士達が倒れていく。だが、その時

 

「RPG!」

 

「掴まれ!」

 

栗田の大声の直後、中川軍曹が装甲車を大きく蛇行させた。その瞬間、装甲車のすぐ脇で対戦術機榴弾による爆発が発生し、上部から体を出していた栗田が車内に落ちてきた。

 

「栗田! しっかりしろ、栗田!!」

 

「栗田がどうした、伍長!?」

 

装甲車は幸いにも無事で、まだ走れる。中川軍曹は装甲車を運転しながら、岩谷に問い掛けた。

 

「今の爆発で、栗田が負傷! 肩に破片が刺さってます! 応急処置します!」

 

「無理に破片は抜くな! 出血が酷くなるぞ!」

 

『今の爆発音はなんや!? 何が起きた!?』

 

「第六師団の対戦術機榴弾です! 破片により、栗田二等兵が負傷! 岩谷伍長が応急処置しています!」

 

『そのままハンガーまで後退せよ! 医療班を待機させる!』

 

「了解!」

 

報告が終わると、中川軍曹はバックミラーで遠くなっていく第六師団を見ながら

 

「反逆者どもめ……!」

 

と苦々し気に低い声を漏らした。

後に、第六師団の反逆。または、530事件と呼ばれる事件が始まった。

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