※この作品はR-18です。

艦隊これくしょん・絆の旋律   作:京勇樹

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凶報

技術研究厰

そこのハンガーでは、戦術機部隊が出撃しようとしていた。天枷研究所製第二世代戦術機。試04式、機体名は隼庸(じゅんよう)。

天枷研究所が単独で開発した軽量級第二世代戦術機で、以後量産される不知火弐型との共同運用。HI・LOWミックス構想のLOW側を担うべく開発された戦術機だ。

そして、各隊長機として不知火弐型。

それらが大隊規模で出撃しようとしていた。

 

「これから君たちは、海鳴鎮守府に向かってクーデターを起こした第六師団を撃滅することになる。本来の用途たる対深海ではなく、対人戦……君たちの中には、忸怩たる思いの者も居るだろう……しかし、これは殿下の為である。第六師団は殿下に弓引き、政威大将軍をすげ替えようとしているのだ……これを見過ごせば、帝国は未曾有の危機に瀕するだろう……これを阻止する為、君たちには力を貸してほしい!」

 

『ハッ!!』

 

巖谷の言葉に、集まった衛士達は斉唱で返す。

そして衛士達は整備士達から、機体の整備状況と装備を確認していく。

それを見ている巖谷の近くに、巖谷の副官が歩み寄り

 

「准将……続報です」

 

とバインダーを巖谷に差し出した。

 

「ご苦労」

 

それを受け取った巖谷は、バインダーに挟まっていた書類を読み始めた。ある程度読むと、頭が痛そうに額を抑えて

 

「……これは、本当か?」

 

「間違いありません……正直言って、確認した私も目を疑いました……」

 

巖谷の問い掛けに、副官は神妙そうに答えた。

その内容は、第六師団の装備の中に未だに試験段階の装備。はっきり言ってしまえば、本来ならば技術研究厰しか試験運用していない装備があったというのだ。

具体的には、対深海用弾頭を装填した戦車。

ある試験で、艦娘に対してもある程度の効果が確認された試作兵器だ。

 

「何処から漏れた……扱いは厳重にし、私を含めて一部の隊長各しか知らない装備だぞ……」

 

「……考えられるのは……須郷元中佐かと……」

 

「……研究資金欲しさに、横流しでもしたか……」

 

巖谷も確認した須郷の資産は、あり得ない金額だった。

未だに何処から出された金かは捜査中で、押収した時点で数億あった。

その対価として、一部の装備を横流ししたのならば話は繋がる。

 

「……新しく同じような情報が入ったら、逐一私に伝えてくれ……これから私は、管理者に問い詰めてくる」

 

「分かりました」

 

巖谷はバインダーを副官に渡すと、ハンガーから出た。

そして、頭を抑えながら

 

「……あいつは、要らん爆弾を残していったな……まったく……」

 

と悪態を吐いて、試作兵器保管部署に向かった。

同時刻、初音島鎮守府司令部。

そこでは祐輔が、データリンクで得られた様々な情報から、日本全国の戦闘状況を見ていた。

全体的に見れば、第六師団側にとっての悪い情報ばかりで、良い方向だった。

しかし、祐輔の表情は優れなかった。

 

(幾ら前々から準備を整えていて、反艦娘を唱えていても……何らかの対策をしてないのは、あり得ない……)

 

祐輔はそう思いながら、戦術データリンクに同期してるマップの一ヶ所を睨んだ。

千葉県、楯山警備府。今現在、唯一第六師団に大部分を制圧され、苦戦している場所だ。

完全制圧まではされていないが、既に約六割まで制圧され、その中には港湾設備もある。

 

「……対水上レーダー、感覚狭めて」

 

「……? それは、どういう……」

 

祐輔の指示を聞いて、レーダー士官が首を傾げた。

その直後、警報が鳴り

 

「報告!」

 

「上空警戒12番機から、所属不明の揚陸船隊発見の報告! 数、20以上! 一部には、戦車を確認したとのこと!」

 

祐輔の問い掛けに、通信将校が声に出しながら祐輔に報告書を差し出した。

 

「気付くのが遅かった……!」

 

「第二哨戒艦隊旗艦の天龍から入電! 我、接敵! これより、撃滅する! 以上です!」

 

「いけない! 厳重警戒するように伝えて!」

 

「了解!」

 

通信将校が第二哨戒艦隊に通信している間、祐輔は数秒間黙考し

 

「今、管制棟に居るのは……確か、瑞穂さんでしたか?」

 

「……ああ。念のために、サラトガも待機しているが……」

 

「大至急通達。高高度絨毯爆撃……相手を揚陸船と思うな。徹底的に叩け」

 

「了解した」

 

祐輔の指示を聞いたグラーフは、近くの受話器を使って通話を始めた。その時

 

「提督! 天龍から緊急伝達! 相手戦車からの砲撃で、敷波が大破!」

 

「全力後退を指示! 持ってるなら、爆雷をありったけばら蒔いて、目眩ましにしろ!!」

 

祐輔の指示に、通信将校は復唱も省略して天龍に伝えた。そこから祐輔は、アナリティカルシステムも使って一気に高速思考を始めた。

十数秒後、データリンクに接続し

 

「ここからは、僕が直接指揮する……」

 

とだけ告げて、全体指揮を始めた。

まだ、事件は終わらない。

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