妹が出産しまして、色々と動き回ってて暇がありませんでした
初音島、対第六師団最前線の海上。
「全員、後退砲撃! 速度は落とさず、ジグザグに動け!」
『了解!!』
天龍も指示をしながら砲撃。大破した敷波を回収し
「悪い、気遣う余裕はない! 痛むだろうが、我慢しろよ!」
と敷波を肩に担いだ。
「ごめんなさい、天龍さん……アタシが、ヘマしたから……」
「お前は悪くない! まさか、戦車の砲撃で大破するなんざ予想外だろうが!」
敷波が謝罪するが、それを天龍は一蹴する。
実際問題、艦娘用の装備にある戦車も対陸上目標用の装備な為に海上戦では有効打にはなり難い装備だ。
それが砲撃してきたとしても、一撃で大破するというのは完全に予想外過ぎた。
しかも天龍達は知らないのは、その戦車には艦娘にも有効な試作の対深海弾が装填されている。
それらを考えると、誰も天龍達を責められないだろう。
「それに、あの揚陸舟……かなり速い! 新型か!!」
天龍達が知る揚陸舟は、通称で大発と呼ばれる正式名は大発動挺という舟である。これの最高速度は、空荷状態で9ノット(時速約14km)。満載状態だと約8ノット(時速約13km)と非常に遅い。
しかし第六師団が運用している揚陸挺は、天龍達も見たことない見た目で、その速度は約40ノット(時速約74km)という高速だった。
それもその筈で、第六師団が運用しているのはこちらも技術研究厰から横流しされた試作揚陸挺のホバークラフトだ。
海面スレスレを浮き、船体後方に装着している巨大なプロペラで加速することにより、非常に高速での機動を可能にしていた。
「絶対に足を止めるな! 相手の機動先を読んで、海面を狙え!」
『了解!』
天龍も指示しながら14cm連装砲を撃ち、ホバークラフトの機動先の海面を狙った。しかし、ホバークラフトの操舵手も相応に練習したのだろう。
速度の強弱や不規則に船体を左右に振る事で、砲撃を回避していく。
祐輔の艦隊もかなりの手練れなのだが、それは対深海艦隊に特化している為に機動の予測が上手くいっていない。
天龍は焦りそうになりながらも、砲撃を続けていた。
その時
『HQより前線各員に通達。これより、広範囲殲滅攻撃を開始する。指定範囲より至急退避せよ』
と通信が届き、戦術データリンクの戦域マップに範囲がオーバーラップされた。
その場所は、天龍達も入っている。
「全員聞いたな!? 大至急退避! 爆雷を最低深度に設定して、ばら蒔け!!」
天龍は指示しながら、艤装の妖精達に指示して爆雷投射器から次々と爆雷を発射し、一気に反転し離脱を開始した。
それを好機と捉えたのか、第六師団側は攻勢に討って出た。ホバークラフトの上に固定されている戦車から、砲撃が放たれる。
しかし、先に艦隊がばら蒔いた爆雷が次々と起爆し、海水の壁が複数形成され、それらが砲撃を食い止める。
そして、中には爆雷の爆発で船体が大きく揺れるホバークラフトも出て、動きが止まった。
そうして徐々に距離が開いていき、とうとう艦隊が指定範囲より外に出た。
その直後、天龍達の遥か頭上で爆発が起きて、揚陸舟隊に鉄の矢の雨が降った。
「こいつは……1500mmOTH砲か!?」
初音島鎮守府にある兵器の中でも、最大級かつ最大火力の兵器。それが、試作兵器の1500mmOTH砲だろう。
最初は鎮守府の航空部隊による絨毯爆撃を考えていた祐輔だったが、レーダーで捕捉したホバークラフトの数と速さから爆撃では相当数の漏れが出ると考えて、1500mmOTH砲のフレシェット砲弾による広範囲殲滅攻撃に切り替えたのだ。
「今のうちに全速力で後退! 絶対に止まるな!」
『了解!』
天龍の指示に従い、全速力で後退する艦隊。
その時、再び頭上で爆発が起きて降り注ぐ鉄の矢。
次々と煙が上がり、失速して沈んでいくホバークラフトと戦車。
中には溺れてる兵士や、血まみれの兵士が浮いてるのが見えた。
「……恨むなよ……先に攻撃してきたのは、お前らだ……」
そう呟いた天龍は、敷波を早くドックに入れる為にもう振り返る事なく鎮守府に全速力で戻っていった。
その時、また爆発音が天龍の耳に入った。
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