※この作品はR-18です。

艦隊これくしょん・絆の旋律   作:京勇樹

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愚行

「第三射終了……敵勢力の残存数は?」

 

1500mmOTH砲を撃ち終わった後、祐輔はデータリンクだけでなく、司令部に問い掛けた。

データリンクでは、最初に比べて大幅に減った事しかわからない。すると、少しして

 

『偵察衛星からの情報では、当初の約1割……残り10隻未満となっています』

 

と通信将校から、返答が来た。

それを聞いて、祐輔は少しして

 

「OTH砲回収し、肩装甲の取り付けを開始します。海神隊展開し、砲撃準備。データリンク照準、有効射程距離に入り次第、砲撃開始」

 

『了解! 海神隊、展開!』

 

祐輔は1500mmOTH砲を回収し、カタパルトから降り始めた。その途中で、崖上のハッチが次々と開いて海神隊が展開を開始。

その海神隊の搭乗員は、訓練した妖精達である。

祐輔が確認する限り、揚陸船隊はまだ近づこうとしている。

 

「……退かないか……何がそこまで、奴らを駆り立てる……」

 

祐輔からしたら、理解し難い事だった。

少しずつエレベーターで下がっていく間に、海神隊の砲撃か始まり、一つずつ戦術データリンクマップから敵を示す光点(ブリップ)が消えていく。

そうして、エレベーターが完全に降りたタイミングで最後の一つも消えた。

 

「……海神隊、しばらく警戒態勢で待機。対空警戒を厳となせ」

 

ハンガーに入り、祐輔は一度機体から降りながら海神隊に指示を出した。

 

「……陸軍は、反艦娘が多いとは言ってもね……」

 

祐輔も元陸軍だった為に、陸軍の内情はある程度知っている。

陸軍の上層部。特に、軍人の名家産まれの人間の大多数は艦娘を深海棲艦と同じに見ており、何時か人間に牙を剥くと考え、対深海兵器と銘打って艦娘にも有効な兵器や薬を作ろうとしたり、技術研究厰に作らせようと指示していた。

しかし技術研究厰は、責任者が巌谷に変わってからはそのような指示は拒否するようにし、以前までは陸軍の兵器のみを作っていたが、陸・海・空・近衛軍全ての兵器を作るようになった。

それにより、以前より汎用性が高い兵器を作るようになり、更には威力の高い兵器も考案するようになった。

 

「……問題は、第六師団の残存戦力……そして、呼応した部隊が居るかどうかだけど……」

 

仮にも師団な為に、最低でも6000名は確実に居て、最大で約9000名になる。

それだけでもかなりの人数だが、もし第六師団に呼応して行動を開始した部隊が居たら、一万以上になる。

今のところ、揚陸船隊を撃滅した為に数百人は死んだ計算だが、本土での騒動を考えたら、第六師団は全員が確実に出撃している。

 

「……単独とは、考え難いけど……」

 

須郷のように戦略もわかっていない奴なら、単独で動く事も十分にあり得る。

しかし、相手は仮にも陸軍師団。大きな作戦行動は単独の方が珍しいのだ。

 

「……大至急、大本営に通信を繋げてください」

 

祐輔が危惧したのは、第六師団が繋がっているのが陸軍ではなく、海軍だったらである。

艦娘に対抗出来るのは現状、深海棲艦以外では戦術機と同じ艦娘である。(及び、祐輔が知らない試作兵器)

そして祐輔は、今までの特務としての活動で陸軍と海軍が裏で繋がっている事もあるのを覚えていた。

 

「……杞憂なら良いんだけど……」

 

祐輔はそう呟きながら、戦術データリンクの広域情報の確認を始めた。

同時刻、第六師団のある拠点にて

 

「何を手間取っている! 早く、海鳴鎮守府と初音島鎮守府の制圧を終わらせないか!」

 

「しかし少将。両鎮守府に送った部隊からは、既に交信が途絶しています。新たに送るにも、後々の事を考えたら、これ以上は……」

 

第六師団師団長、長田孝治(おさだこうじ)少将は補佐官が告げた内容に、苛立たし気に拳で机を叩いた。

今第六師団は、海鳴鎮守府と初音島鎮守府。そして、国会議事堂に戦力の大部分を回して、三ヶ所を制圧しようとしていた。

しかし予想外に、その三ヶ所に向かわせた全部隊からの交信は途絶していた。

国会議事堂には帝都守備連隊が配備されており、いくら第六師団とはいえども精鋭部隊の帝都守備連隊に敗北した。

そして、海鳴鎮守府と初音島鎮守府は2つの鎮守府の連携により、部隊は全滅していた。

長田の計画の帝都城攻撃を考えたら、これ以上戦力を回す訳にはいかなかった。

 

「ええい! 単冠湾の提督の艦隊はどうした!?」

 

「……それが、少し前に深海棲艦の艦隊が接近してきた為に迎撃戦闘に入る。と通信が来まして……」

 

「これだから、海軍は信用ならん!!」

 

補佐官の報告に、長田は再度拳で机を強打した。

祐輔の懸念通り、第六師団には海軍の協力者が居たのだ。それが、長田と同じ軍人の名家の産まれの男が提督の第一単冠湾警備府だった。

しかしどうやら、直前に深海棲艦の襲撃があった為に参加出来ていないようだ。

 

「……そうだ! アレを海鳴と初音島に向かわせろ!」

 

「……アレとは、まさか……」

 

長田が何かを思い出し補佐官に命ずると、補佐官は何やら躊躇った表情を浮かべた。

しかし長田は、気にした様子もなく

 

「そうだ! 単冠湾の提督から回された人形共だ! あんな人形共でも、特攻位は出来るだろ! 出せ!!」

 

「……は」

 

長田の指示を受けて、補佐官は司令室から出ていった。

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