それに最初に気付いたのは、海鳴鎮守府で警戒していた直哉だった。
「ん……接近してくる反応アリ……この反応は、艦娘か……」
仲間か、と一瞬考えた直哉だったが
「いや……トライアド1より海鳴HQ! 八神提督に伺いたい事がある」
と海鳴鎮守府に問い合わせながら、無反動砲を構えた。
『こちら八神や。どうしたんや?』
「確認したいが、今現在海鳴鎮守府で出撃や遠征に出ている艦娘は居るか?」
直哉の問い掛けに、はやては僅かに間を置いて
『いや、今は誰も出てないで。既に全員戻ってる』
と返答し、それを聞いた直哉は跳躍ユニットを噴かし始めた。
『神埼中尉!?』
「こちらに接近している艦娘は、対潜警戒をしていない……常に一定の速度で移動しているだけだ」
直哉が言う対潜警戒というのは、之字運動と呼ばれる航行である。これは不規則にジグザグに航行する事により、潜水艦の魚雷による精密照準をさせない為の警戒行動である。
いくら鎮守府間近とはいえ、それをしないというのはあり得ない。深海棲艦はどこに居てもおかしくなく、どこから現れてもおかしくはないのだ。
「目標視認……陣形も取らず、ただ移動してるだけ……あれは!?」
高度を上げた直哉は、接近してくる艦娘達を見つけた。艦隊陣形もなく、バラバラに近付いてきているのは駆逐艦娘で間違いなかった。
そして直哉は、その駆逐艦娘達の艤装に取り付けられている物に気付いた。
「くそっ!? 自爆兵だ!!」
爆雷とも違う黒い容器が無理矢理取り付けられていた為に、直哉は即座に正体に気付いて無反動砲を照準し撃った。放たれた砲弾は真っ直ぐに進み、該当駆逐艦娘に命中した。その直後、凄まじい爆発が起きて空気を震わせた。
「なんだ、この威力は!? ただの爆薬じゃないな!?」
爆発範囲から離れながら、直哉は機体の制御に注力していた。
第六師団が単冠湾第一警備府の提督から引き渡された艦娘に取り付けたのは、須郷が横流ししていた兵器の一つ。
核兵器には及ばないが、大量破壊兵器に当たる。
アメリカでは実用段階にある兵器で、須郷は極秘裏にこの兵器のデータを入手。子飼だった班に秘密裏に製造させ、陸軍に高値で売り渡していたのである。
その威力は凄まじく、艤装に取り付けられていたサイズでも半径数百mが吹き飛ぶだろう。その証拠に、直哉が攻撃した駆逐艦娘の近くに居た別の駆逐艦娘も消えている。爆発に巻き込まれて、消滅したようだ。
「トライアド1より中隊各機! あの駆逐艦娘達を、絶対に海鳴鎮守府に近付かせるな! 我々に与えられた任務は、海鳴鎮守府の防衛だ!」
『了解!!』
直哉の指示に、トライアド中隊が動いた。
各機はそれぞれの武装で、攻撃を開始した。それを確認しながら直哉は
「八神提督、聞こえるか! 今からそちらに、該当駆逐艦娘のデータを送る! なんとか、所属を割り出してほしい! それと、初音島鎮守府に通達を頼む!」
『了解や! 任しとき!!』
はやてからの返答を聞いた直哉は、自身も突撃した。
ただ無作為に、目的地に向かって進む駆逐艦娘達に対し、トライアド隊は距離を取りながら攻撃していた。
「先ほどの爆発の威力を参照し、不用意に近付くな! 距離を取って攻撃するんだ!」
『了解!』
直哉の指示に斉唱が返ってくるが、弾と一夏の顔が映り
『くそっ……これ考えた奴、相当性格悪いぜ!?』
『出来るなら、首謀者を直接殺しに行きたい位だ!』
と憤っていた。その気持ちは直哉にも分かり、腸が煮えくり返るような気持ちだった。
そして直哉も、また一人の駆逐艦娘に無反動砲を撃ち込み爆発させて
「……今は目の前の状況の対処を優先。第六師団もだが、協力した提督にも罪を必ず償わせる」
地を這うような声音で、そう告げた。中隊隊長として、感情任せの行動は出来ない。と強く自分を律していた。
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