海鳴鎮守府沖合いで特攻艦娘の迎撃をしていた直哉は、特攻の波が収まった時に、ある事に気付いた。
「……レーダーが……!?」
なんと、戦術機のレーダーの一部分に酷いノイズが発生していたのだ。直哉は半ば反射的に、戦術データリンクの指揮官権限でしか見れない全機同調のレーダーを見た。
すると自分だけでなく、部隊全員で同じ事が起きてると気付いた。
「チャフか!!」
チャフ
電波欺瞞紙とも言われる物で、何らかの方法で空中に電波を反射させる物を浮遊させる事で、一時的にだがレーダーを無効化させる為の兵器である。
直哉は素早くレーダーから光学カメラによる照準に切り替えて
「トライアド1より、付近の味方に通達! 広範囲に、チャフの影響を確認した! 地上部隊はグランドソナー! 戦術機部隊は光学カメラで広範囲索敵!」
『了解!』
グランドソナーというのは、地上を進むからには地面に必ず何らかの震動が伝わる。その震動を、地中や地表に設置した機材で確認し、味方や敵の位置を判断する装置の事だ。
欠点としては、相手が音速飛行していた場合、震動が伝わるより早く接敵してしまう事もあるのだ。
『こちら、神代中佐だ。此方のレーダー員の話では、海面からも何らかのジャミングが発せられているようだ』
「了解! という事は、複合か!」
直哉はチャフのみと考えていたが、海鳴鎮守府のレーダー員の話では、どうやら海面に何らかのジャミング発生装置もあるようだ。
「トライアド1から
直哉も指示を出してから、直ぐに海面の走査を始めた。少しすると、海面から少し沈んだ位置に何らかの機械を発見した。
「こいつか!?」
直哉は精密照準し、短連射を繰り返した。
海中な為に威力が減衰されたり弾が逸れたが、数発が命中し、爆発した。すると、極狭い範囲だがレーダーが戻った。
「各機、今見つけた物のデータを送る! 一つずつ見つけて、確実に破壊せよ!」
直哉がそう指示を下した直後、警報が鳴り響き
『海鳴管制から緊急通達! 11時の方角から、大型機多数接近中!!』
とノイズ混じりに、通信が聞こえた。
反射的に直哉は、言われた方角に視線を向けた。
するとその先には、二発式の大型爆撃機が見えた。即座にデータベースから弾き出されたのは、四式重爆撃機・飛龍である。
「爆撃機接近! 八神提督!」
『海鳴鎮守府は出撃させてない! 敵と判断!』
はやては素早く、接近していた飛龍を第六師団機と判断し、対空警報が発令された。
地上部隊も一部が対空機銃に駆け寄り、対空砲撃を始めた。
しかし飛龍も高度を上げていき、対空機銃の回避を始めた。それを見て、直哉は
「第一小隊、対空砲撃! 第二、第三小隊はブイの破壊を優先!」
と指示を下し、無反動砲と複合突撃砲を構えた。
その時直哉は、飛龍の主翼に見慣れない装備を見つけた。
「なんだ、あれは……」
そう呟いた直後、主翼からそれが外れて、最初は増槽かと思ったが、即座に違うと分かった。
増槽だったら、楕円形なのだが、それは円柱形。しかも主翼から切り離された直後、後部に十字状に翼が開かれた。
「噴進弾!?」
飛龍から放たれた噴進弾は、驚異的な速さで直哉達に迫ってくる。
「クソッ!? 迎撃!」
直哉は急いで照準を切り替えて、接近してきた噴進弾の迎撃を始めた。直哉に続いて、弾や一夏。そして簪機も迎撃を始めた。一発ずつ確実に撃破していくが
「間に合わない!
直哉は指示を下して、機体を大きく動かした。
しかし、この噴進弾もまた、試作兵器。これは初音島鎮守府の弐式大挺に装備されていた物と同じ、対空噴進弾。
「開いて、中から!?」
カバーが開いて、中から大量の子弾が空にばら蒔かれ、先頭に居た直哉機は回避するスペースが無かった。
『直哉!』
『避けろぉぉぉ!』
「お前ら、離れ」
そこで、直哉の意識は途切れた。
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