海鳴鎮守府の戦いは、転換に入っていた。
海中に施設されていたジャミングブイは破壊出来て、そして近づいてきていた爆撃機も過半数が撃墜出来た。
『残数2! 集中弾幕射撃! 確実に落とせ!』
『了解!』
弾の指示に従い、中隊は残っていた爆撃機に弾幕を集約させた。数秒後、退避しようとした先頭機が蜂の巣をなり爆散。二機目は主翼がへし折れて墜落した。
『よし、爆撃機の全機撃破確認! 全周警戒!』
『了解!』
弾の指示に従い、トライアド中隊は円陣を組んで警戒態勢に移行した。すると
『こちら、海鳴陸戦隊隊長の神代冬也! トライアド1、神埼大尉を管制ユニットから救助した! 多少の負傷はあるが、命に別状は無い!』
と冬也から通信が来て、直哉が担架に載せられているのが見えた。確かに、頭部から多少の出血はあるが、五体満足そうだった。
『感謝します!』
『お互い様だ。こちらも、対処が難しいのを対処してもらったからな。これから、医務室に送る』
『頼みます!』
冬也率いる部隊が護衛になり、直哉は海鳴鎮守府の執務棟に入っていった。
恐らく、これで直哉は大丈夫だろう。
だが、状況はまだ変わっていない。
相手戦力は未知数で、他にどんな装備を有しているのかも分からない。
弾は必死に頭を回し、どう指示出しするか考えていた。その時
『こちら海鳴鎮守府、八神や! この通信を聞いている全友軍に通達する! 敵は、元第六師団! 及び、単冠湾警備府の久我提督!』
とはやてから通達が入り、二人の顔写真が表示された。
一人は、陸軍第六師団の隊長たる長田孝治少将。
そしてもう一人が、単冠湾警備府提督の
『先ほど確認された、特攻艦娘の所属……巧妙に隠蔽されてたけど、単冠湾やった! 単冠湾から、元第六師団に送られたようや!』
単冠湾警備府はその名の通りに警備を担当している拠点で、主には深海艦隊の接近を報せたり、深海潜水艦隊の対処。もしくは、遠征艦隊の中継地として利用されている。
しかし、その単冠湾の提督たる久我義光提督には、色々と悪い噂があった。
余った物資の横流し、兵器の横流し、艦娘への違法な行為。噂は多々あったが、今まで明確な証拠が見つからず、捕まえる事が出来なかった。
だが、特攻艦娘の所属データを書き換えという、本来は大本営しかやってはいけない行為を、久我はやった。
しかも、国家反逆罪が適用されている元第六師団がその艦娘を運用していた。
こうなれば、国家反逆幇助が適用出来る。
『今、大本営に通達済みで応答待ちやけど……十中八九、単冠湾の久我提督も国家反逆罪が適用される筈や! それに伴い、以後は単冠湾所属の艦隊にも警戒せよ!』
そこで、はやてからの通信は切れた。
単冠湾付近の基地となると、新潟西港と新潟東港の警備府。そして、北海道全体の泊地となる。
『……本当、一枚岩にならないのは……人間だからかね……』
弾は少し嫌気を覚えながら、そう呟いた。
それから事態が動いたのは、数分後の事だった。
『こちら、総軍省! 現時刻を以て、帝国全軍は一時的に煌武院悠陽殿下が指揮を執られる! 今現在、余力のある各駐屯地から戦術機部隊と機械化歩兵師団が順次出撃中! IFFの更新を行う! 友軍と反乱軍の識別は確実にせよ!』
『殿下が!?』
『直接指揮を!?』
まさか悠陽が直接指揮を執るというのは予想外で、弾達は驚いた。
『海鳴鎮守府並び、初音島鎮守府。今現在、そちらに技術研究厰所属の戦術機部隊が向かっている。誤射しないように留意し、以後は彼らと共闘せよ』
『了解!』
その時になり、戦況マップに接近する戦術機部隊の反応が現れた。所属は、技術研究厰。間違いなく、技術研究厰所属の戦術機部隊だろう。
『こちらは、技術研究厰所属第3戦術機甲大隊。補給物資もある。安心されたし』
『感謝します』
技術研究厰部隊からの通信を聞いて、弾は安堵した。
実は、初音島戦術機部隊の残弾が心許なかったのだ。もしもう一度襲撃されたら、途中で弾切れになっていたのは確実だろう。海鳴鎮守府には推進材はあっても、戦術機用の弾薬はなかったのだ。
『補給物資が到着次第、残弾が多い機体から補給開始する』
『了解!』
そこまで指示を下した弾は、直哉の苦労を察して
(次から、もう少し手伝ってやるかね)
と思った。
どういう話を書いてほしいですか
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