帝国軍総軍省
そこの司令部に、帝国全軍の代表が集まっていた。
「これより、一時的にですが……私、煌武院悠陽が帝国全軍……陸・海・航空宇宙・近衛各軍の指揮を執り、帝国に反旗を翻した者達の排除を行います!」
『はっ!!』
悠陽の言葉に、集まっていた各軍の代表は敬礼した。悠陽が座ると、部屋の隅に控えていた月詠真耶がパソコンを操作し、壁の大モニターに第六師団の戦力が表示された。
「此方が、陸軍が提出した第六師団の戦力表になります……更に、技術研究厰から裏で購入していた試作兵器も合わせますと」
悠陽の言葉に合わせ、真耶は技術研究厰が提出していた試作兵器の情報を表示させた。
「既に一部は、海鳴、初音島の両鎮守府に投入されたのが確認されています」
悠陽の言葉に、集まっていた幕僚達は沈黙している。
特に問題なのは、気化弾頭だろう。
試作とはいえ、その数は10発になる。
威力に関するデータは、巌谷から提出されていて、正式版と比べれば、その威力はかなり低い。
しかし、街を破壊するには充分な威力を有していた。もし人口密集地帯で使われたら、甚大な被害が発生する事になる。
「そして、非常に残念ですが……第六師団に呼応したと思われる戦力も確認されています……陸軍だけでなく、海軍からも」
陸軍には、艦娘など不要と宣う軍人が数多く居る。そして悲しいかな、海軍にも艦娘を化け物のように扱う提督が多数居た。
そういった提督には、なるべく要職に就かせず、更には規模の小さい拠点に就かせていた。
だが、根本的な解決に至っておらず、結果としては、今のようにクーデターに繋がってしまう。
「今時点で判明している呼応した部隊は?」
「は……陸軍からは、第六師団、第七空挺大隊、第八機甲大隊になります」
「航空宇宙軍からは、出ておりません……しかし、呼応すべきだ、と扇動した者が幾人か居た為に、その全員を拘束し、憲兵隊に引き渡しました」
「海軍からは……単冠湾警備府と鎮海警備府になります」
勿論だが、近衛軍からはそのような反乱は起きていない。近衛軍は天皇と大将軍に対し、非常に高い忠誠心を持っている。古い思想の老人達が時々不穏な動きを見せるが、それは即座に始末されている。
「鎮海警備府……韓国の拠点ですか?」
「は……第六師団が動き始めた直後、通信が途絶……当初は深海の妨害か地磁気の影響かとも思われましたが、少し前に鎮海警備府から暗号文が打電されている事が判明……今現在、その暗号を解読している最中になります」
武仁がそこまで報告した時、ドアがノックされて
「失礼します! 鎮海警備府から発せられた暗号を解読する事に成功しました!」
と一人の海軍軍人が入ってきて、間近に居た真耶に差し出した。受け取った真耶は、その書類を悠陽に手渡した。
「……暗号内容は、単冠湾警備府へであり……今が好機、民間出の低俗な提督を排して、我々軍家の出が海軍を牽引する時……とあります」
単冠湾警備府並びに鎮海警備府の提督は、両方共名門と称された軍家の出身だった。しかし、あまりに偏った思想と艦娘を使い潰すような戦法ばかりする為に、規模の小さい警備府への配属となった。
しかも、所持艦娘数にも大幅な制限を掛けており、大型艦。戦艦や空母の所持すら許さない事にした。
「温情で採用していたのを、仇で返すか……殿下、恥知らず共への処罰、我々にお任せを」
暗号内容を聞いた武仁は、低い声音でそう進言した。
温情で採用というのは、その二人の実家から警備府でも構わないから、採用してやってほしい、と嘆願されたからだ。
そうでなければ、不採用として軍から放り出していた。
一応二人の実家は、軍に対して多大な貢献をしたから、そのような形で妥協したのだ。
「……分かりました。その者達への対処は、防人長官に一任します……」
「感謝します」
悠陽の言葉に、武仁は深々と頭を下げた。そして悠陽は
「それで、陸軍の方は……」
と陸軍を見た。
「は……我々陸軍としましては、航空宇宙軍、海軍と共同で事に当たろうと考えております……誠に申し訳ありませんが、今の陸軍には以前より数は減っており、更には対人戦……特に同胞と戦う事に躊躇う軍人が多数居ります……クーデターを起こした部隊は、どうやら積極的に対人戦の模擬戦を繰り返していたらしく……はっきり言ってしまえば、陸軍単独では、敗北してしまう可能性が非常に高いのです」
悠陽からの問い掛けに、黒鉄大将が発言した。その発言は、航空宇宙軍や海軍からは予想外だったらしく、航空宇宙軍の
「……これは、我々陸軍の不徳の致すところ……今大戦が勃発してから積極的に戦闘に参加せず……そして、殿下に弓引くという大罪を許してしまいました……」
「黒鉄大将が重く受け止める必要はありません……事を起こした部隊に、非はあります……良いですね?」
「は……ありがたいお言葉……」
黒鉄大将は、悠陽の言葉に深々と頭を下げた。そして悠陽は、少し考えてから
「斑鳩大佐……近衛軍は」
「は……我ら近衛軍は、殿下の意あらば即座に動けます……」
悠陽が最後まで言う前に、嵩継が発言した。
つまり、近衛軍は悠陽の号令あらば出撃は何時でも可能ということ。
「分かりました……黒鉄大将」
「は!」
「航空宇宙軍、並びに近衛軍と共に反乱部隊を撃滅せよ。海軍は出来うる限り、三軍の支援並びに二つの警備府の完全鎮圧」
『は!』
こうして、悠陽の号令は下された。
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