霞部隊
帝国軍に2つある特殊任務部隊で、一つ目は総理大臣指揮下の特殊作戦群。
そして2つ目が、政威大将軍指揮下の霞部隊である。
双方共に通常の指揮下には無く、独立した部隊になる。
特に霞部隊は任務の特殊さ故に、その存在を知るのは僅か一握りのみになる。
「殿下、霞部隊は既に指示を待つのみとの事です……御下知を……」
月詠真那の言葉に悠陽は頷き、指示を下す。
「第六師団並びにアメリカ軍を撃滅せよ」
ほぼ同時刻、初音島鎮守府。
そこに居た更識楯無特務大佐は、懐に仕舞っていた端末が震えたのを感じ、取り出した。
「……承りました。殿下……」
楯無はそう呟くと、近くに居た祐輔に歩みより
「榊原提督……私は、本来の任務に戻ります」
と告げた。
「分かりました、更識特務大佐……貴官の無事を祈ります」
祐輔はそう言うと、受話器を持ち上げて
「リズさん。試02式の2番機の用意を……更識特務大佐が出撃します」
と言った。それを聞きながら楯無は、地下司令部を出て急ぎロッカールームへと走った。
ロッカールームに到着すると、急いで自身の強化装備を纏い
「総員、どうか」
と短く呼び掛けた。
勿論それは、霞部隊専用通信周波数になる。
『第一連隊、既に』
『第二連隊、同じく』
何時ものように、頼もしい返答が来た。
つまり、既に臨戦態勢という事であり、更には目視で敵を見つけているという証拠だ。
「殿下のご命令は、第六師団とアメリカ軍の撃滅……つまり、徹底的に殲滅すべし……分かっているな?」
感情を感じさせない冷たい声音で問い掛けながら、楯無はロッカールームから秘匿ハンガーに向かい、リズが端末を差し出して、装備を聞いてくる。
その端末で
「我々の役割はなんだ?」
『我々の役割は』
『殿下の命を粛々とこなす事』
「我々の使命はなんだ?」
『殿下に逆らう愚か者を』
『一人残らず滅ぼし、この帝国を支える事』
部下の答えに満足そうに頷きながら、楯無は機体のコクピットに乗り込む。
コクピットブロックが収容され、機体から様々な情報が楯無の視界に表示される。
「ならば我々は此より、反逆者を徹底的に叩く! その為に、あらゆる手段を行使せよ!!」
『了解!!』
そして楯無は、月虹の跳躍ユニットを噴かせて初音島鎮守府から飛び立った。
場所は変わり、第六師団の長田の居た秘匿基地。
そこの地下司令部にて、長田は額から血を流しながら、自身の血溜まりの中に倒れていた。
それを行ったのは、長田の副官だった男。
その男は、アメリカ中央情報省。通称CIA所属の
「さて……こいつに全ての罪を擦り付けて……後は我々のプランで事を成そう……我々が関わったという証拠は全て破棄せよ。その後、海兵隊に対して政威大将軍の抹殺を伝えろ」
「はっ!」
特殊破壊工作部隊の隊長の一人、ウィリアムズ・リッカーの指示を受けて、一人の部下。勿論の部下は、特殊破壊工作部隊の人間である。は、地下司令部から出ていった。
恐らく、他にも居る特殊破壊工作部隊の仲間に指示を伝えに動いたのだろう。
そうしてウィリアムズは、自分が殺した長田の遺体を侮蔑した表情で見下して
「想像以上に役立たずだったな、貴様は……まあ元々、極東の黄色い猿共には、何の期待もしていなかったがな」
と言い捨てて、地下司令部から出ていった、
ほぼ同時刻、第六師団の拠点の一つに、帝国陸軍第一旅団と帝国航空宇宙軍所属第一空挺大隊が殺到し、制圧を始めた。
「絶対に逃がすな! 奴らは殿下に……引いては陛下に弓引いた大罪人だ! ここで息の根を止めてやれ!」
「第一空挺大隊と歩調を合わせろ! 包囲し、確実に仕留めろ!」
二人の隊長の指示を受けて、両部隊は目の前の敵に対して弾を次々と叩き込んでは物言わぬ死体に変えていく。
特に陸軍からしたら、身内が引き起こした騒動だから、その気迫は凄まじい。汚名返上という所だろう。
すると、第六師団側は拠点に撤退していく。
「隊長! 敵が拠点に引きこもりました!」
「対戦術機榴弾を使って、あの扉を破砕突破! 地下通路がある可能性が高い! 絶対に逃がすなよ!」
「はっ!」
陸軍側は何人かが装甲車から対戦術機榴弾を持ってきて、拠点の扉を狙って構えた。
そうして二発が扉に対して撃ち込まれ、扉は粉々に吹き飛んだ。
「まずは我が部隊から、小隊を突入させます」
「罠を警戒せよ。ここは敵の拠点なのだ」
「勿論です。罠に警戒しつつ、第三小隊突入せよ!」
陸軍側から、一個小隊が先行突入した。
突入して少しの間、激しい銃声が鳴り響く。数分と掛からずに鳴り止み
『隊長! 一階を完全に制圧しました! 上階と地下の制圧の為に、応援を願います!』
と中に突入した部隊から通信がきた。
「次は、中隊を突入させましょう」
「こちらも中隊を突入させる。こちらは地下を」
短く話し合うと、両方から新しく中隊が中に突入していく。そうしてまた、激しく銃声が鳴り響き始めた。
今回も合同部隊が制圧するだろうと考えていたが
『こちら、空挺第一中隊! 地下に、奴らの強化外骨格を三機確認! 応援を願います! 願います!』
と、切羽つまった様子で報告がきて、空挺部隊側は
「直ぐに送る! 何としても持ちこたえるんだ!」
と指示した。
通信を聞いていた陸軍側は
「こちらの強化外骨格を向かわせます! 四機、地下に向かって空挺部隊を援護せよ!」
と手早く強化外骨格を向かわせた。
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