祐輔と明日奈の子供、明輔が産まれてから約三週間後。明日奈と明輔は無事に退院。鎮守府に帰ってきた。
「わぁ! 可愛い!」
「本当です!」
そして、明輔は面倒見の良い艦娘達から人気者になっていた。
夕雲と電、雷は目を輝かせながら寝ている明輔を見ている。
「まだ小さいから、どっちに似てるかは分からないわねぇ」
「けど、髪の色は明日奈さんに似ているのです」
夕雲と電は明輔がどちらに似てるのか会話しているが、雷は明日奈に近寄り
「夜泣きとかはどうかしら? 大変だったら、私に頼っても良いからね?」
と聞いていた。
すると、編み物をしていた明日奈は
「それがね、明輔は中々泣かない子なのよ。泣いても短いから、むしろ聞き逃さないようにしないといけないわ」
と雷に教えた。そう明輔だがあまり泣かない子供で、しかも泣いても短い時間しか泣かない。だから、明日奈と祐輔は泣いているのを聞き逃さないように気を付けている。
「親孝行な子ね! けど、疲れたりしたら頼ってね?」
「ありがとう、雷ちゃん」
ちなみに、彼女達が居るのは鎮守府敷地内の祐輔と明日奈の部屋だ。とはいえ、最近祐輔は妖精達に頼んで拡張してもらう手筈になっている。
これは明輔が産まれたからになる。
お風呂場も広くし、断熱性の向上。台所も今はワンルームマンションみたいな感じで、廊下にあるのだが、変更する予定になっている。
その時、明日奈は時計を見て
「あ、そろそろ明輔にあげないと」
と呟いた。
そして、立ち上がろうとしたが
「大丈夫よ、任せて!」
と雷が明日奈を静止して、台所に向かう。そして雷は、手慣れた様子で哺乳瓶に粉ミルクを入れて、湯で解かして混ぜる。
一連の光景を見ていた明日奈が
「慣れてるね、雷ちゃん」
「昔、孤児院に居たからね。大人の手が足りない時とかは、手伝ってたのよ」
駆逐艦、雷。
本名、
海から少し離れた山の麓の村に住んでいた当時小学4年生の彼女だが、ある日に鎮守府の防衛線を突破した深海艦隊の爆撃機の爆撃によりその村は壊滅。
彼女は数少ない生き残りの一人で、都心の方の孤児院に引き取られた。最初は落ち込んでいた彼女だったが、自分より幼い子供が居る事に気付き、落ち込んでる場合じゃないと奮起。
そして、彼女の面倒見の良さが爆発した。
泣いてた子供の面倒を見てあやし、赤ちゃんが泣いたらオムツを替えたり、ミルクを挙げたりしたのだ。
気付けば、大人顔負けの面倒見の良さを発揮し、孤児院の新人の先生になった大人達に指導したりするようになっていたという。
「だから、子供の面倒を見るのだけだったら、明日奈さんより経験あるわよ?」
「本当に上手……ぐずつきもしない……」
明日奈は雷が哺乳瓶を咥えさせた明輔が、一回もグズらない事に驚いていた。
明日奈も何回も挙げてきたが、やはり度々ぐずついてしまっていた。だが、雷があげていると、一回もぐずつきもしないのだ。
「まあ、コツよね……あ、そろそろかしら」
雷はそう言って、空になった哺乳瓶を明輔の口から放して、抱っこすると、背中をトントンと軽く叩いた。
すると、明輔の口からケフッという声が聞こえた。
「赤ちゃんはまだ上手くゲップが出来ないから、こうして背中を軽く叩いて促さないといけないの。忘れないようにね」
「ありがとう、雷ちゃん」
明日奈もやった事はあるが、一回で成功したことが無かったが、雷が目の前で実践してくれたので、違いが分かった。
すると雷は
「さて、次はお昼を作るわね」
とまた台所に向かう。
「え、悪いよ」
「良いから良いから。まだ本調子じゃないんだから、頼ってね!」
一回立ち上がろうとした明日奈だったが、確かに本調子ではない。腰が痛むのは確かで、雷の手助けはありがたい。
「それに、明日奈さんはお母さんなんだから、栄養を採らないといけないからね」
「……うん、ありがとう」
明日奈は、雷の厚意に甘える事にした。
明輔はお腹いっぱいになったから、眠り始めている。
そんな明輔の頭を優しく撫でて、明日奈は
「……幸せだなぁ……」
と呟いた。
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