二人の子供が鎮守府に来て、約2ヶ月が経過。
明輔はすくすくと成長し、体重が7kgになった。
今はミルクを飲んで、スヤスヤと寝ている。
「うーん……保育園に行かせるべきだよね……」
「そうですね……幸い、初音島の保育園は受け入れ人数には余裕がありますが……」
そんな明輔の横で、明日奈と祐輔の二人は保育園のパンフレットを見ていた。その保育園は風見学園の系列で、入園には両親の審査はあるが、それ以外は何も無い。
気が早いかもしれないが、やはり早く決めておいた方が良いのは確かである。
それはそうと、12月は半ば。もう少しで新しい年になる。だがその前に、クリスマスだ。
「さくらさんが、明輔に何かプレゼントを送るって言ってましたよ」
「あはは。ウチのお父さんとお母さんも」
さくらもだが、明日奈の両親が明輔に何かプレゼントを送るという。あまり高いのだと、気を使いそうではある。そこは、両方の良心と常識に期待するしかないのだが。
イベント好きなさくらだから、何かやるだろうな。と祐輔は考えている。
そして鎮守府でだが、少しずつクリスマスの準備が進んでいる。
「鎮守府も、大分装飾されてきたね」
「まあ、楽しんで生きてほしいですからね」
祐輔としては、艦娘達も年相応として生きてほしいと思っている。恋したり、自分がしたい事を見つけたりしてほしいと。
今は確かに戦争中だが、何時終わるかは分からない。まだまだ続くかもしれないし、唐突に終わりを迎えるかもしれない。
もしそうなった時、道に迷ったりしなくてすむように、自分がしたい事を見つけておいてほしいと、そう思っている。
中には既に、新しい趣味を見つけている艦娘も多数居る。
例を挙げると、弥生は園芸に興味があり、最近だと中庭に季節ごとに花を植えて世話をしている。
鳳翔は敷地内に、民間人も入れる小料理屋を営んでいる。
そして明石が、港に敷地を借りて造船所を経営している。
これらは全て、祐輔が許可してやっている。
ふとその時、祐輔の着ていた軍服の右ポケットから電子音が聞こえて、それを聞いた祐輔は右ポケットから片耳式の小型無線機を取り出して
「どうした」
『提督、海軍省から緊急電です。本日の午後に初音島の滑走路に到着予定だったドイツからの飛行機が、深海棲艦の戦闘機の襲撃を受けて、消息を絶ったと』
通信将校の報告を聞いた祐輔は立ち上がり
「分かりました。弐式大艇を用意し、練度の高い艦娘を集めてください。僕もすぐに司令部に行きます」
と言った。そして、明日奈に
「すいません。少し緊急度の高い任務みたいです。いってきますね」
「うん、頑張ってね」
と明日奈に見送られて、家を出た。
「状況報告」
司令部に入ると、既にそこにはアリアと音姫の姿もあった。そして、唯依と直哉も現れ
「海軍省から、続報が来ました。件の飛行機は……このポイントで消息を絶ったそうです」
と大淀は、地図の一ヶ所を指差した。そこは、少し前まで深海の陸上型の姫が居た千州島だ。
「……随分と大回りしてたんですね」
「はい。どうやら、千州島に警備府を建設する為の工作班も一緒に乗せていたようで、当鎮守府に着任予定だった艦娘達……プリンツ・オイゲンさんやZ1さん達の御厚意で先に寄って下ろしたそうなんです……その後に初音島に向けて出発しましたら……消息を絶ったと」
祐輔からの疑問に、大淀は書類を机に置きながら説明した。それを聞いた祐輔は、少し黙考してから
「……長門さんを旗艦に、連合艦隊を編成してください……種類は空母機動艦隊で……相手は恐らく、空母級が居ると思います……」
「分かりました」
祐輔の指示を受けて、大淀は一旦司令部から離れた。そこに音姫が歩み寄り
「何か気になる点が?」
「……このポイント……前に確か……戦艦棲姫の他に……装甲空母棲姫が居た場所なんです……」
祐輔はそう言って、過去のデータをパソコンで呼び出した。確かに、飛行機が消息を絶ったポイントは以前、戦艦棲姫と装甲空母棲姫が陣取っていた場所だった。
「なるほど……けど、泊地水姫を撃破してからは、居なくなってたんだよね?」
「ええ……」
音姫の指摘通り、泊地水姫を撃破してからは確認されていなかった。だが、現れないという保証も無い。
「……長門さんは僕の艦隊でも最古参の戦艦娘ですから、練度はもうすぐ上限……それに、指揮能力も高いですし、判断能力も高いですから心配は無いとは思いますが……」
「姫級二体に連合艦隊……一応戦力的には、十分だと思うよ……?」
音姫のその言葉に、祐輔は頷いた。
長門の戦闘力に、判断能力の高さならば並大抵の敵には対処出来る。そう判断した祐輔は、長門に
「長門さん、頼みますね」
と告げた。
こうして、救難任務が始まった。
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