初音島司令部
「弐式大艇より入電! 要救助対象のドイツ艦娘達の全員の無事を確認! 更に、飛行機の操縦士も保護。ただし、操縦士は重傷! 艦隊は遅滞戦闘の為に現地に残るとの事!!」
通信士からの報告に、祐輔は
「医務局に待機命令。即座に治療出来るように、手術室の準備をさせておいて」
と指示した。軽い怪我なら、姉の居る医務室で対処出来るが、重傷は手術室のある医務局の出番である。
それはさておき、祐輔は戦術マップを見て
「さっきは、かなりの数の艦載機だった……確実に空母級が2体は居る……もしくは……鬼・姫級だ……」
と呟いた。そして、少し間を置いて
「……金剛さんを旗艦に、空母機動艦隊を編成。編成内容は、金剛さんに一任する! 編成完了し次第、弐式大艇2番機にて出撃!」
と指示を出した。そして祐輔は
「鎮守府に対空警戒を発令! 地元自治体にも、何時でも避難出来るように連絡を!」
と続けて指示した。
この時、祐輔の頭の中では2つの可能性が出ていた。
「まさかだけど……千州島の再占拠か初音島を狙ってるのか……?」
今、千州島には各鎮守府から抽出した精鋭艦隊が防衛戦力として駐屯しており、一時的に元帥が指揮権を有している。
元帥の艦隊は長門を旗艦に通常規模のみ、千州島に居るが、主力は本土に残っている。
烏合の衆とまでは言わないが、駐屯艦隊は練度の差があり、不安点がある。
そして初音島鎮守府は、祐輔の艦隊はほぼ全員が精鋭と言ってもいいが、新しい艦娘はまだまだ練度は低い。
そしてアリア艦隊はそこそこまで練度は上がってきており、一部の艦娘はもう少しで改ニになれるが、まだ改ニは居ない。
そして最後に、音姫の艦隊。
こちらはまだまだ新人の域を出ず、艦隊規模はようやく100人を超えた所で、改が少し在籍している程度になる。
不安点が無い、と言えば嘘になる。
それらを考えたら、2カ所のどちらかを占拠し拠点化する可能性が祐輔の中で出てきたのだ。
「……元帥に通信を繋いで」
そして、十数分後。
『占拠による拠点化か……確かに、十分にあり得るな……』
祐輔の推測を聞いた元帥は、唸っていた。
実は千州島は、今まで時々深海艦隊の襲撃があり、それらも再拠点化の為と考えたら辻褄があうのだ。
しかし、通常級の深海艦隊では太刀打ち出来ないから、鬼・姫級が出張るという事になったのかもしれない。
「恐らく、飛行機は目に付いたから撃墜した可能性もあります」
『今、その報告書は読んだ。確かに、その可能性も高いな』
深海棲艦の動きは予想出来ない為、結局は推測でしか無い。だが、備えない訳にはいかないのだ。
元帥は少し黙考してから
『私の権限で、横須賀と海鳴の艦隊に出撃命令を出す。横須賀に千州島、海鳴に初音島に向かうように指示する』
「了解しました!」
『榊原提督、鬼・姫級の種類が判明したら、直ぐに連絡するように』
「はっ!」
そこで通信は終わった。そこに、大淀が近づき
「提督、弐式大艇2番機が海域に到着し、空母機動艦隊が現着。長門さん達と協力して、戦闘を開始しました」
と報告してきた。
「分かりました。司令部に行きます……」
こうして、長い1日が始まった。
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