最前線
祐輔の艦隊は、第二波の敵艦載機群と交戦していた。敵艦載機は、素早い動きで弾幕を回避していき、爆弾や魚雷を投下していく。
それを祐輔の艦隊は、紙一重で躱しては不用意に接近していた敵艦載機を撃破していた。
「相手の動きが早くて、攻撃後しか当たらないデース!!」
「深海の新型機……大本営の発表以上の性能だ! 気をつけろ!!」
ドクロの見た目の敵艦載機は、一応大本営も把握しており、その予想性能と合わせて発表された。
しかし彼女達の体感ではその発表された性能以上だと分かった。
速度は彩雲に迫る程で、旋回性も高い。
これを大本営は、零戦63型爆戦と同等と発表していた。
「帰ったら、大本営にこのデータを送り付けてあげマース!!」
金剛は文句を言いながら、三式弾を上空に向けて撃った。上空から、敵艦載機が急降下爆撃しようとしていたようだが、金剛が撃った三式弾が開いて大量の子弾を空中に散布させ、次々と撃墜していく。
そして、数分間の激戦の末に、敵艦載機は全て消えた。
今のところ、艦隊には損傷は無し。しかし、気を抜く事は出来ない。長門はすぐに艦隊の状況を把握すると
「これより、我々は敵艦隊に突撃する! 飛龍が飛ばしていた彩雲が、敵艦隊を捕捉した! 敵は……装甲空母姫だ」
装甲空母姫
カスガダマ沖にて最初に確認された鬼・姫級の一体で、その名前の通りに高い防御力と多い搭載数を誇る。
その艦搭載機数による攻撃力は高く、下手すれば連合艦隊でも負ける可能性がある。
「だが、装甲空母姫の進路は千州島だ……放置する訳にはいかない」
祐輔艦隊には、撤退するという選択肢もある。
あくまで今回は、行方不明になった飛行機の捜索と、ドイツ艦娘の保護が目的なのだから。
しかし、もし千州島に居る味方艦隊が敗北し、再度千州島が深海に占拠・拠点化されたら、陽光作戦が無駄になってしまう。
「そんな事は、あってはならない……我々は、千州島に向かう!」
『了解!』
長門の決定に従い、艦隊は行動を開始した。
その頃、初音島鎮守府司令室
『敵は、装甲空母姫率いる艦隊か……』
「はっ! データリンクと陸奥からの通信で分かりました。確かに装甲空母姫なら、敵艦載機数の多さにも納得です」
祐輔と元帥が、装甲空母姫にどう対処するか話し合っていた。装甲空母姫はカスガダマ沖で初めて確認されてから、度々大規模作戦に現れては、何度も艦娘艦隊を苦しめてきた強敵の一体である。
とはいえ、倒せないという訳ではない。
数は少ないが、倒した記録も残っている。
『千州島の艦隊に対し、出撃命令を下した。合わせて、横須賀の艦隊を乗せた弐式大艇が間もなく千州島付近に着水する。一度千州島の戦力と合流し次第、合わせて戦闘に参加する』
「了解です!」
そこまで会話した時、不意に警報が鳴り響いた。
「何事だ!?」
「当鎮守府の第三防衛線上に、深海艦隊を捕捉! こちらに向けて進撃中!」
祐輔の問い掛けに、レーダー士官が答えた。
「数は!?」
「今現在、六体確認! まだ増えるかと思われます!」
レーダー士官はそう告げながら、戦況マップに情報を
確かに、真っ直ぐに初音島を目指している。
「まさか……」
『2面作戦か!?』
深海艦隊が、千州島だけでなく初音島にも同時に侵攻を開始したのだ。
対処を誤れば、最悪両方が陥落してしまう。
『もう少しで、海鳴の艦隊がそちらに合流する。それと、呉にも出撃を要請する。何とか持ち堪えろ』
「了解です!」
そこで通信は終わり、祐輔は
「第一種戦闘配置! 自治体に避難警報発令! 敵の数はまだ少ないが、侮るな! 今居る全艦娘に非常呼集!」
と指示を下した。
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