「祐輔君、調査班からの報告書だよ」
「ありがとうございます、明日奈さん」
襲撃の翌日、祐輔は明日奈から報告書を受け取った
そして祐輔は、その報告書を無言で見た
襲撃者達は、祐輔の予想通りに下水道を通ってきたようだった
しかも、下水道の鉄筋が切断されていたらしい
その証拠に、その近くに切断に使っただろう工具も放置されていたようだ
それを読み終わると祐輔は、その報告書に判子を押して
「対策は、明石さん、夕張さんと話し合って決めよう……被害は……施設の破壊位かな?」
「うん。聞いた感じだと、そうだね」
祐輔の問い掛けに、明日奈はそう言いながら頷いた
そして祐輔は立ち上がり
「さてと……川内さーん」
と声を上げた
すると
「はいはーい、呼んだ?」
と川内が、天井から現れた
そして、川内が着地すると
「壊れた所の修理、お願いします」
「はいよー」
祐輔からの依頼を聞いて、川内は腰にベルトを装着
そのベルトには、様々な工具がある
実は、川内が第一初音島鎮守府の棟梁なのである
最初は他の川内と同じく、夜戦にしか興味を示さなかった
しかしある日、何の気なしにやってみた柵作りが楽しかったらしい
それ以来、ちょくちょく鎮守府の棚を修理したりするようになった
それ故か、棟梁川内と呼ばれるようになっていた
そして川内は、執務室から去った
その川内を見送った明日奈が
「まだ、慣れないなあ」
と呟いた
明日奈からしたら、やはり昼に普通に活動している川内は意外だった
川内型軽巡洋艦一番艦、川内
艦時代は、三回に渡る夜戦を経験していたからか、艦娘になっても夜戦が大好き
夜八時以降になると、夜戦夜戦と騒ぐことから通称で夜戦バカとも呼ばれている艦娘である
そして改二になると、夜戦忍者とも呼ばれる
祐輔艦隊の川内は改二である
普段は主に、夜間哨戒班の班長を勤めており、呼ばれた時や寮の建築時等に棟梁となる
そしてその腕だが、某五人組アイドル達がしている艦隊に居る川内に負けない
というのが、本人談である
それはさておき、祐輔は受話器を掴み
「あ、リズさんですか? 明石さんと夕張さんを執務室に送ってください」
と言った
そして、執務すること数分後
「呼びましたか?」
「工学部コンビです!」
と明石と夕張の二人が現れた
「まあ、要件は分かるかと思いますが」
と祐輔が言うと、二人は頷き
「セキュリティの件ですよね」
「既に、案は纏まってます」
と言って、机の上に書類を置いた
それを祐輔は一読して
「はい、この案で行ってください」
とGOサインを出した
それを受けて、明石と夕張の二人は執務室を去った
それを祐輔が見送ると
「祐輔君、包帯交換しよ」
と明日奈が救急箱を持ってきた
見てみたら、祐輔の左手の包帯の一部が赤くなっていた
どうやら、滲んでしまったらしい
「気付きませんでしたよ」
祐輔はそう言うと、明日奈の前に座った
そして明日奈は、巻かれていた包帯をほどいた
祐輔の左手は、親指の付け根から掌を横切るように切り傷があった
処置されているようで、縫われた後がある
それを明日奈は見てから
「祐輔君、衛士なんだから……手は大事にしてね」
と心配そうに言ってから、血で真っ赤になった傷パットを交換
そして、新しい包帯を巻いた
そして、執務を再開しようとした時にチャイムが鳴った
どうやら、お昼らしい
「あ、お昼だね……今日はなんだったかな」
と明日奈は呟いた
すると祐輔は、机に座り
「僕は、ちょっとこの書類を片付けますね」
と言った
すると、明日奈が
「そう言えば、祐輔君……私、祐輔君を食堂で見た覚えが無いんだけど……」
と祐輔を見た
すると祐輔は
「あー……ここ二、三カ月の間は行けてないですね」
と思い出すように言った
それを聞いて、明日奈は
「……その間、何を食べてたの?」
と問い掛けた
その問い掛けに対して、祐輔は
「これです」
と、机の引き出しからブロックタイプのレーションを取り出した
それを見た直後、明日奈はツカツカと祐輔に歩み寄り
「そんなので、いいわけないでしょ!」
と祐輔の肩を掴んだ
「しかし、書類が……」
「私も手伝うから、ちゃんと食べるの!」
祐輔の反論にそう言うと、明日奈は祐輔の首根っこを掴んで引きずっていった
それを、書類を提出しようと来ていた理香が見て
「相性良さそうね」
と呟いてから、手に持っていた書類を一瞥した
そして
「明日奈に恨まれたくないし、後にしますか」
と言って、脇に抱えていたファイルに挟んでから食堂に向かった
そして、数分後
「すいません! 日替わり定食を二人前お願いします!」
「はい、ただいま!」
明日奈の注文を受けて、少ししてから間宮が丼とお椀、小鉢が乗ったおぼんを二つ持って現れた
そして、カウンターに置くと
「日替わり定食二人前、お待たせしました……お久し振りです、祐輔さん」
と間宮は、祐輔に頭を下げた
そして、明日奈に視線を向けると
「もしかして、明日奈少佐が?」
と問い掛けた
すると明日奈は、憤然とした様子で
「文字通り、引っ張ってきました」
と告げた
それを聞いて、間宮が
「ありがとうございます。少し心配してたんですよ」
と言った
すると間宮は奥に引っ込み戻ってくると
「はい、追加です」
と祐輔のおぼんに小鉢を一つ追加した
「色々と栄養価が心配なんで」
祐輔が視線を向けると、間宮はそう言った
どうやら、祐輔が視線を向けた理由を察したらしい
その間宮の言葉を聞いて
「ほらね、祐輔君。ちゃんと食べないと」
と苦言を呈した
流石に二人に言われたからか、祐輔は
「まあ、なんとか来るようにします」
としか言えなかった
そして祐輔と明日奈は、机に座り食べ始めたのだった
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