長門は装甲空母姫に接近しながら、レーダーで捕らえた敵艦に対して砲撃した。
すると、海中からイ級が飛び出してきたが
「邪魔だ!!」
と殴り飛ばし、装甲空母姫に向けて飛ばした。
殴った時点でイ級は撃破している為に、装甲空母姫は無造作にはたき落とした。
それ自体は長門も予想していたので、既に肉薄して至近距離で砲撃をしようとした。
しかしその砲身を、装甲空母姫は掴んで強引に向きを変える事で阻止した。
だが、その程度で長門は止まらない。腰部から試作兵装の杭打ち機を取り出して、右腕に装着し
「この距離は……こちらの距離だ!!」
とその杭打ち機を、装甲空母姫の肩目掛けて繰り出した。先端がほぼ密着状態になった瞬間、轟音と共に収納されていた杭が射出され、装甲空母姫を数m程押し飛ばした。
流石に射程距離から離れた試作兵装を仕舞おうとした長門だったが、その時、杭打ち機の先端が歪んでいる事に気付いた。
もう使えないと判断した長門は、舌打ちしながら杭打ち機を投棄した。
(戦艦級ですら打ち抜けるこいつでも、大したダメージにはならないか! やはり、姫級は厄介だな!)
長門はそう考えながら、装甲空母姫に肉薄し
「撃てぇ!!」
至近距離で全主砲を一斉射。狙いは、
だから同時に、艤装の飛行甲板を狙ってあらゆる兵装から攻擊していた。
勿論だが、そんな攻擊をすれば反動は凄まじい。だから至近距離に近付いた。
幾ら高い機動性を有していても、至近距離から放たれる砲弾の壁は避けようがないからだ。
長門の目論見は当たり、主砲は耐えられてしまったが、副砲の一つが飛行甲板に展開していた髑髏型に命中し、大爆発を引き起こした。
そこから、他に展開していた髑髏型に次々と爆発が連鎖し、装甲空母姫は怨嗟の叫び声を上げながら炎に包まれた。
長門はその隙を逃さず、砲撃しようとした。
『長門、右に避けろ!!』
だがその通信を聞いて、長門は数m程右に移動した。その直後、装甲空母姫に試製51cm砲が直撃し、大きく仰け反った。
武蔵改ニの主砲だ。
それを確認した長門は、主砲を指向し
「全主砲交互砲撃!!」
長門の主砲が交互に砲撃をする事で、間断なく装甲空母姫に命中していく。そこに、武蔵改ニからの砲撃も加わり、装甲空母姫も大破に陥った。
後少しで、装甲空母姫を撃破出来る。
だがその時、長門は気付いた。
「しまった! 弾切れだと!?」
考えてみれば、祐輔艦隊は先に一戦交えた後だ。
島から来た艦隊に比べて、残弾が少ないのは道理。
戦闘に集中し過ぎるあまりに、残弾管理を疎かにしてしまったのが、今回の原因だった。
武蔵のほうはまだ残弾はあるが、奥に突撃した前衛艦隊の支援砲撃に回された。
このままでは、逃げられる。長門がそう考えた時
『ようやく、有効範囲に入ったわね』
という通信の数秒後、装甲空母姫に砲撃が命中した。
威力は、41cm砲。それは落伍し、遅れていた陸奥からの砲撃だった。
『私の砲弾は、まだまだあるわよ!』
そして始まるのは、陸奥からの乱打。
祐輔艦隊の陸奥は、最大射程での命中率は非常に高く、足を止めた相手など案山子同然だった。
すると
『長門、試製の爆裂徹甲弾を撃つわ! 離れて!』
と陸奥から通信が来たので、長門は後退した。
その直後、装甲空母姫が大きく吹き飛ばされ、爆発した。
試製爆裂徹甲弾。
一式徹甲弾を強化・発展させた砲弾で、相手の装甲を貫通後に爆発する火薬をより強力な爆薬に変更し、純粋な威力ならば倍と判断された試作兵装だ。
そして長門は、満身創痍の装甲空母姫が海面に浮いているのを見つけた。
近寄ってみれば、もう長くはないと分かる見た目で、もう間もなく海中に沈んでいくだろう、と分かる。
そんな装甲空母姫を見下ろしながら
「……叶うならば、穏やかに眠れ」
と呟いた。
その直後、光の柱が天を突いた。
光が収まると、装甲空母姫が浮いていた場所には雲龍が浮いていた。
「ドロップか……他の深海棲艦は……」
長門が周囲を見ると、装甲空母姫が率いていた深海棲艦は撤退するか撃破されていた。
「放置は出来ないからな……」
長門は雲龍を抱え上げ、妖精から残っている燃料を聞いた。
「……武蔵、すまないが補給艦を私の場所に向けてくれないか? 弾もだが、燃料が底を突きそうだ」
こうして、千州島の戦いは幕を下ろした。
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