鎮守府近海
こちらでの戦闘も、終わろうとしていた。
対空戦闘は終わり、初音島艦隊は総力を上げて深海棲艦艦隊に攻擊していた。
長良率いる水雷戦隊はすれ違いざまに魚雷を発射し、鎮守府に侵攻しようとしていた深海棲艦の前衛艦隊を撃滅し、リシュリューやウォースパイト達戦艦は、砲身が焼き付けても構わない、と言わんばかりに砲撃を敢行。
深海棲艦艦隊に、砲弾の雨を降らせた。
凄まじい勢いで、数を減らす深海棲艦艦隊。だが初音島艦隊は、攻擊の手を緩めなかった。
途中合流したはやての艦隊と合同で、徹底的に攻擊を続行した。
初音島近海で戦闘が始まり、約四時間後。深海棲艦艦隊の全滅が確認された。
その中で、輸送ワ級に陸戦戦力が大量に積載されていた事が分かり、深海棲艦が初音島を攻略しようとしていたと判断された。
祐輔はそのデータを纏めて、大本営の元帥宛に送信した。
「はあ……疲れた……」
『お疲れ様やね、榊原提督』
「ああ、これは八神提督。救援感謝します」
祐輔が司令部の椅子に深く腰掛けると、通信画面にはやての顔が表示された。
『気にせんでええよ。ウチの所の艦娘達が、普段お世話になってるしな』
「それでもですよ。八神提督の艦隊が来なければ、苦戦していたでしょうから」
はやての艦隊は、遠洋から帰る際に一度初音島鎮守府で燃料補給する事が度々あるのだ。
とは言え、初音島鎮守府は燃料補給所としての役割も担っているので、海鳴艦隊だけではないのだが。
『それと、北海道方面……単冠湾と鹿児島港鎮守府でも交戦があったようや』
「単冠湾と鹿児島港でも?」
どうやら、今日は初音島だけではなかったらしい。
はやてから話を聞くと、単冠湾の方は北海道の各警備府から戦力が向かい、鹿児島港は佐世保から向かったらしい。
同時多発侵攻。
これらから、大本営は深海棲艦が日本本土への侵攻を画策していると判断し、各方面に
「第一防衛基準ですか……まるで、千州島が深海拠点だった頃ですね……」
『せやな……ウチらは、何時も以上に協力態勢を強化しとこうな』
「はい。そうしましょう……今日はありがとうございました」
祐輔が頭を下げると、はやては手をヒラヒラと振ってから、通信を切った。
それを確認した祐輔は
「千州島に向かわせた艦隊は?」
と一人の通信将校に問い掛けた。
「先ほど千州島司令部から飛び立った弐式大艇に乗った、と暗号文が」
通信将校はそう言いながら、今解読が終わった文章を祐輔に差し出した。
それを読んだ祐輔は
「全員無事か……良かった……」
と安堵した。
途中から通信が妨害されていた為に、心配していたのだ。
そして祐輔は
「第一防衛基準が発令された為、探査仕様のUAVを射出……所属不明を探知したら、報せるように」
と言って、地下司令部から退出した。
廊下を歩きながら
「……面倒な事にならなければ良いんだけど……」
と呟いたのだった。
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