※この作品はR-18です。

艦隊これくしょん・絆の旋律   作:京勇樹

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情報屋

弥生を保護した翌日早朝

 

「祐輔さん、さくらさんから電話です!」

 

と秘書艦席に座っていた古鷹が言った

吹雪は今、対潜艦隊として出撃中である

古鷹の言葉を聞いて、祐輔は頷いてから受話器を取ってからボタンを押して

 

「はい、代わりました。祐輔です」

 

と名乗った

すると、元気な声で

 

『ハロハロー! さくらだよー!』

 

と相手が名乗ってきた

すると祐輔は

 

「相変わらず、元気なようで何よりです。して、今日はどうしました?」

 

と問い掛けた

すると、さくらは

 

『どうしましたって、祐輔君の所に新しい子達が来たでしょ? 顔見せに来てよー!』

 

と言った

それを聞いて、祐輔は苦笑しながら

 

「何処から聞いたんですか? まったく」

 

と言った

すると、さくらが

 

『あ、それと、鼠君が君に会いたいってさ』

 

と言った

それを聞いた祐輔は、目を細めて

 

「分かりました。今からそちらに向かいます。あ、ただ全員は流石に無理ですからね。連れていくのは」

 

と言って、受話器を戻した

すると、書類を整理していた明日奈に視線を向けて

 

「明日奈さん、出掛けますよ」

 

と言った

 

「出掛けるの?」

 

「はい、天枷研究所です」

 

明日奈が首を傾げると、祐輔はそう言った

天枷研究所

それは、初音島にある日本が世界に誇る最先端のロボット研究所である

戦術機に関する研究だけでなく、AIを用いた人間サイズロボットの研究・開発もしている

すると祐輔は、視線を古鷹に向けて

 

「吹雪ちゃんが帰ってきたら、吹雪ちゃんと一緒に指揮をお願いね」

 

と言った

その言葉に古鷹が頷いたタイミングで、ドアが開いて

 

「ん、出掛けるのか?」

 

と唯依が入ってきた

すると祐輔は、指を鳴らして

 

「唯依、ナイスタイミング。出掛けるよ、天枷研究所に」

 

と言った

それから数分後、唯依の運転する車に乗って天枷研究所に向かった

 

「ごめんね、唯依。運転させて」

 

「構わないさ。今の中では、私が一番階級が低いからな」

 

祐輔が謝ると、唯依はそう返した

そして少しすると、車は大きな研究所に到着した

入口の門樋には、《天枷研究所》の文字

 

「ここが、天枷研究所……」

 

「私も、初めて来たな」

 

「唯依、駐車場にお願い」

 

「分かった」

 

祐輔の言葉に従い、唯依は車を駐車場に停めた

そして、祐輔が先に立って中に入った

中は研究所らしく、白を基調とした配色だった

そして少し歩いていると、木製の重厚なドアが見えた

祐輔は何の躊躇いもなく、そのドアをノックした

すると

 

『どうぞー! 入って入ってー!』

 

と中から、元気な声が聞こえた

それを聞いた祐輔は、ドアノブを握って

 

「失礼します」

 

と中に入った

そして、明日奈と唯依は中に居た人物を見て固まった

なにせそこに居たのは、金髪碧眼の見た目10歳位の少女だったからである

すると、祐輔が

 

「結城少佐、篁大尉、この人がこの天枷研究所の責任者の一人。芳野さくら博士です」

 

と説明した

それを聞いて、二人は驚愕した

まさか、日本が世界に誇る三大天才の一人が、見た目少女だとは思って居なかったのだ

すると、さくらが

 

「祐輔君、堅いよー? 君と僕の仲じゃないか。何時も通りでいいよ?」

 

と微笑んだ

それを聞いて、祐輔は

 

「わかりました。さくらさん」

 

と笑みを浮かべた

すると、明日奈が

 

「祐輔君、あの人とどういう関係なの?」

 

と小声で問い掛けた

すると祐輔は、さくらを見て

 

「さくらさんは、一時期ですが、家族を失った僕を引き受けて育ててくれた人なんです」

 

と説明した

つまり、義母になる人物だ

するとさくらは

 

「とは言っても、仕事が忙しくって中々家に帰れないから音姫ちゃんや由夢ちゃん。義之君に任せっきりになってたけどね」

 

と苦笑いを浮かべた

それを聞いて、明日奈と唯依は納得したことがあった

それは、義之と祐輔の気安さだった

初音島鎮守府は、他の鎮守府や泊地に比べるとかなり緩いだろう

しかし、祐輔と義之の関係はその中で違った

その理由が、二人には分からなかった

それが、今分かった

義之と祐輔は、兄弟同然に育ったのだ

それならば、二人の気安さに納得出来た

すると祐輔は、二人を見て

 

「それでは、僕は戦術機の部品供給に関する話がありますので」

 

と言って、ドアの方に向かった

すると、明日奈が

 

「あ、だったら私も」

 

と祐輔に着いて行こうとした

しかし、それを祐輔は手を上げて制止し

 

「さくらさんが、二人に話が有るようなので、そちらをお願いします。では」

 

と言って、部屋から出た

それを見送ったさくらは、内心で

 

(大人の後始末……ごめんね、祐輔君)

 

と謝罪した

そして数分後、祐輔は一人の人物と出会っていた

そこに居たのは、頭からすっぽりとマントを被った小柄な人物だった

マントから見えるのは、鈍い金髪に鼠の髭を彷彿させる三対のラインだった

彼女が、通称で鼠と呼ばれる人物

アルゴである

年齢・本名不詳だが、その情報収集能力は特筆すべきものがある

だから、彼女を知る者達は《軍の情報部よりも、アルゴを頼れ》と言う位だ

報酬をキチンと払えば、彼女はあらゆる情報を集めてくれるのだ

 

「ほらヨ、ゆう坊。頼まれた情報ダ」

 

アルゴはそう言いながら、祐輔に掌に収まるサイズの代物

USBメモリを手渡した

祐輔はそれを受け取り

 

「ありがとうございます、アルゴさん。報酬は何時も通りに」

 

と言いながら、紙袋を手渡した

すると、アルゴが

 

「先に言っておくゾ、ゆう坊。件の第三館山警備府は真っ黒だ。職員全員ナ」

 

と告げた

それを聞いて、祐輔の目に暗い光が宿った

 

「既に詳細は、閣下に通達済みダ。恐らく、近い内に動くことになル」

 

「わかりました」

 

アルゴの言葉を聞いて、祐輔は返答しながら頷いた

すると、アルゴが

 

「……なあ、ゆう坊。お前が外れても、誰も恨み言を言わないゾ。お前はもう、十分に戦った……」

 

と悲しそうに言った

すると祐輔は、少し間を置いてから

 

「……僕は、戦うことしか知りません……戦うことでしか、存在意義を証明出来ません……戦うことでしか……居場所を見つけられません……」

 

と言った

それを聞いたアルゴの表情が、僅かに曇った

それに気付かずに、祐輔は

 

「それに何より……あの部隊を潰さない限り、僕は……前に進めないんです……00部隊……あの部隊だけは、終わらせます」

 

と言った

そして、アルゴを見て

 

「情報、ありがとうございました。閣下には、02式で何時でも動けると言っておいてください」

 

と言って、去った

それを見送り、アルゴは

 

「……00部隊……軍非公式の捨て駒部隊……奈落部隊……」

 

と呟くと、姿を消した

この後、祐輔は明日奈と唯依の二人と共に鎮守府に帰還したのだった

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